レビュー記事:エビコレ + アマガミ
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

レビュー記事:エビコレ + アマガミ

2016-11-29 14:31

    過去にバレンタインデーに関する記事を書いた際、「アマガミ」という恋愛ゲームについて触れました。この時は、あくまでバレンタインに関する自分の一つの経験という話で例として出した程度であり、ゲームの内容自体にはあまり触れなかったのですが、この点については多少の不満と言うか、不完全燃焼のような感覚を抱えていました。
    それから後、「キミキス」のレビューを依頼された際に「そのうちアマガミのちゃんとしたレビューも書くかも」と発言してから8か月も経ちましたが、ともかく今回はアマガミの、正確には機能追加版の「エビコレ+アマガミ」のレビューを書くことにします。
    この作品、元々の「アマガミ」は2009年発売、自分がプレイした「エビコレ+アマガミ」は2011年発売のPS2用ソフトですが、2014年にPlayStation Vita用として移植もされています。加えて2010年にはアニメ化されており、ファンディスクや漫画、その他のメディア展開も多岐にわたる……と、非常に長く人気を誇っている作品だと言えるでしょう。
    以前に「キミキス」のレビューを書いた際に再三にわたって比較していましたが、こちらはその「キミキス」の続編的な作品で、世界観を共有しているほか、システムやキャラクターデザイン、その他の雰囲気についても似通った部分が多々あります。


    ※相変わらず録画できるような機材がないので画面は直撮り

    先に総評から述べてしまうと、間違いなく「傑作」と呼んで差し支えない作品でしょう。
    ヒロインの魅力はもちろん、グラフィックや音楽のクオリティも上々で、シナリオやシステム面に関してもキミキスの頃から大幅に向上しています。
    そのキミキスとの最大の違いは内容のボリュームで、「延々一人のヒロインを追っかけて一問一答レベルの会話を繰り返し、気付けば終わっていた」みたいな内容だったキミキスと比較すると、普段の会話もデートイベントも、比較にならないほどテキスト量が増加しています。
    特に大きな改善点は、会話のイベントの際に多彩なサブキャラクターが登場することです。
    前作では基本的に攻略中のヒロイン以外との会話が全くと言っていいほど存在しなかったのですが、今回はルート共通のキャラクター、各キャラごとに固有のサブキャラクターがそれぞれ複数登場し、会話イベントを彩ってくれるため、どうにも内容が淡泊だったキミキスと比較して、「学園生活を送っている感じ」が強く感じられ、意中のヒロイン以外との会話すら楽しく読み進めることができます。
    サブキャラクターの個性も豊かで、前作ではゲイであること以外には目立った特徴のなかった「主人公の親友」ポジションのキャラクターも、本作では中々に濃いキャラクター付けがされており、本編中でも度々登場するため、結構な存在感を誇ります。
    総じてキミキスの良い点をそのままに、不足していた部分をしっかり補ったような内容となっており、前作と比較しても、単純に一本の恋愛ゲームとして見ても、非常に良くできた作品だと断言できるでしょう。



    ただ、その中で不満が一切ないかと言えばそんな事もありません。
    と言うか、良い点だけを述べようとすると「全体的に良くできてるよ」くらいしか言うことがないので、以後は不満点を中心に記述してゆきたいと思います。

    まず第一に不満なのが会話システムです。
    キミキスの頃と比較すると同じ会話を何度も繰り返す必要がなくなり、前作では半ばランダムに分岐していた「スキ」「ナカヨシ」ルートの分岐もプレイヤー側で選びやすくなりました。
    しかしながら、「会話がヒットするかどうかはランダム」という根本的な部分は引き継がれており、正直ここは相変わらずめんどくさいだけ、という印象が強いです。
    前作同様多少のヒントはあり、キャラクターごとに話題の好みの傾向が存在するほか、アイコンの並びからヒットしそうな話題を多少は推察可能なのですが、それでも外すときは3回、4回くらい連続で外すこともあり、その場合「興味がないみたいだな……」といった汎用テキストを延々読まされるだけで会話が終了します。
    一応、その救済策なのか「今朝に戻る」というコマンドが存在し、これを選択することでその日の行動をやり直すことができるのですが、正直「総当たりのリスクを減らすシステムを導入するより、そもそも総当たりしなくてもいい会話システムにしてくれ」と思わされます。

    また、このゲームを語るにあたって主人公のキャラクター性は避けて通れないでしょう。
    おおむね恋愛ゲームの主人公と言うとキャラクター付けが非常に薄く、一枚絵でも画面に全然映らないか、映ってものっぺらぼう。人気投票では当然のように圏外か、そもそも主人公への投票項目が存在しないというのが定番ですが、この作品の主人公は恋愛ゲームの主人公としては結構な人気を誇っており、「変態紳士」の愛称で親しまれています。
    ただ、個人的な話をすると、私はこの主人公が嫌いなので、これもマイナスです。
    その理由としては、確かにこの作品の主人公は個性的と言えば個性的なのですが、魅力的かどうかで言うと、少なくとも私の視点から見て全く魅力的ではないためです。
    簡単に言うと、よくある恋愛ゲームの「優しさだけが取り柄の地味な男」に「下品な中年オヤジのような悪趣味なスケベさ」を足したような人物像で、ぶっちゃけ気持ち悪いです
    男子高校生という都合上、エロ系の話題に興味津々なのは普通だと思うのですが、それにしてもこの主人公は本当に「下劣」といった感じで、ヒロインに対してデリカシーの欠片もないようなセクハラ発言を繰り返したり、学校の空き教室に勝手にエロ本を溜め込んでいたりと、本当に「健全なスケベ」ではなく、「下劣なクソ野郎」という印象ばかりが付きまといます。
    スケベなこと自体は悪くないのですが、そこに関連する根本的な人間性がクソなんだよ。

    「自分がどれだけ信頼されているか確かめたい」という勝手な理由で、水着の女生徒を騙して目隠しをさせて真冬のプール外に連れ出したりするからな!!

    ここまで来ると、もう本当に「ねーよwww」と笑い飛ばすより「いや、ねえよ」と冷静に否定したくなります。この場面に限らず、この主人公は他人に嘘をついたり、騙してからかったりするような行動が少なからず存在し、根本的な人間性に好感が持てないのです。
    自分は恋愛ゲームのシナリオについて「主人公の魅力の描写」をそこそこ求めています。
    シナリオ中で「ああ、これはヒロインも惚れて当然だな」と思わせてくれるような、主人公のカッコよさを描写してくれないと、それに惚れるヒロインまで薄っぺらに見えるためです。
    ですが、この作品は主人公が「カッコいい」と思えるような場面がちっとも存在しません。
    作中で主人公を指して「あんな男のどこがいいんだ」と言われる場面が存在しますが、本当にその通りだよ

    また、シナリオに関してはもう一つ不満点があります。
    このゲームは「告白したらエンディング」という、恋愛ゲームとしては結構よくあるパターンなのですが、この方式が好きではないのです。
    と言うのも「付き合ったら終わり」という都合上、ヒロインとイチャイチャするタイミングは必然的に付き合う前のシナリオ中になります。二人でデートに行って、キスをしたり、抱きしめたり……付き合っててもなかなかしねえよみたいな行動を何度も経た後での告白イベントとなるため、「そりゃ相思相愛で当然でしょ」以外の感想が一切出てこないし、告白シーンでのドキドキとか感動とか、そういうものが一切存在しないのです。
    この点については前述の通り恋愛ゲームとしてはよくある方式で、このゲームに限った不満点ではないのですが、それにしてもいい加減に疑問を持ってほしいと思います。



    また、「エビコレ+」版を語るにあたって外せないのが、追加されたミニゲームの「ぬくぬくまーじゃん」でしょう。
    その名の通り麻雀をするゲームで、面子にはアマガミ本編の登場人物がサブキャラクターまで含めて多数登場するうえ、なんとキミキスのキャラクターまで登場し、ストーリーモードではアマガミ版、キミキス版でそれぞれ独自のシナリオが存在するという凝りよう。
    もちろんミニゲームのシナリオと言うことで、そこまで本格的なものではないのですが、作中のヒロイン同士による掛け合いが多々存在し、ぶっちゃけ内容がスッカスカだったキミキス本編より面白いので、アマガミに限らずキミキスのファンにも嬉しい内容です。



    麻雀パート自体は基本的に普通です。
    作中で「頭が良い」と言われていたり、麻雀の経験があると言われている人物は強めに設定されている……らしいのですが、正直それでもあまり強くはありません。
    問題があるとすれば、この作品中では麻雀のルールを一切教えてくれないこと。
    一応、麻雀を知らない人のための機能として「自動」の機能が存在しますが、このCPUの思考パターンも決して優秀とは言えず、ストーリーモードでは自分が一位を取らないと次のステージが出現しないため、「麻雀知らないから話だけ読ませて」という人への救済策としては今一つ不十分な感が否めません。実際、当時の私もこのゲームのために泣く泣く麻雀のルールをネットで勉強した覚えがあります。結果としては楽しめたので悪くはなかったのですが、どうせなら作中のキャラクターが麻雀のルールを教えてくれるチュートリアルモードみたいなものが欲しかったところです。
    とは言え、おまけのミニゲームとしては十分すぎるボリュームなので、それこそ麻雀のルールを勉強する所から始めても損はしませんし、なかなか満足度の高い追加要素だと思います。


    というわけで改めて総評を述べると、前述の通り「傑作」と呼べる作品だと思うのですが、文句を言おうとすれば言える部分はまだまだ残っている、と言った感じです。
    キャラクターはしっかり魅力的だしヒロインとイチャイチャするイベントは充実しているものの、恋愛ドラマ的な盛り上がりは無く、大筋のシナリオは本当に平坦だし、本格的な恋愛シミュレーションを期待できる作品ではありません。あと主人公がキモいし
    しかし、単純にパッと見で気に入ったキャラクターが存在して、そのキャラクターとイチャイチャしたい、という目的ならば、間違いなく損はしないでしょう。シナリオが平坦であることも、言い換えれば面倒な鬱展開などが存在せず、ゆるい気持ちでプレイできるという利点になり得ます。前作のキミキスでは本当に「ヒロインとイチャイチャする」ことさえ許されなかったので、この点は本当に劇的に改善されています。
    総じて、恋愛ゲームに慣れていない人にも、キミキスのファンにも安心してお勧めできるクオリティの高い内容であり、これだけ長く愛されているのも頷ける作品だと言えるでしょう。
    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。