映画クレヨンしんちゃん26作品 個人的ランキング ~感嘆と爆笑の傑作編~
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

映画クレヨンしんちゃん26作品 個人的ランキング ~感嘆と爆笑の傑作編~

2019-12-26 19:40
  • 14
Aランク
クレヨンしんちゃんを知らない人でも迷わず見るべき大傑作

5位 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦

春日部で平和に暮らしていたしんのすけが何故か突然戦国時代へとタイムスリップしてしまう。そこでひょんなことから、歴史上討たれるはずだった侍を救ってしまう。歴史を変えてしまうわけだが、そんなことはどこ吹く風とばかりに、しんのすけは政略結婚に巻き込まれたり、戦で戦ったり、と戦国時代でも大暴れ。  そして、後から何とか車で(?)追っかけてきたひろし達とも再会をするものの、歴史の荒波は一家を大きく変えていく・・・  果たしてしんのすけ達はどうなってしまうのか?  そして、変えられてしまった歴史はどうなるのか?
言わずと知れた、クレヨンしんちゃん映画の中では「オトナ帝国」と並んで最高傑作と称されることも多い名作です。

本作の中心となるのは侍の又兵衛と、という姫の身分違いの恋愛劇なのですが、当然それだけには留まらず、過去へタイムスリップした野原一家との人物との交流による「変化」の到来、時代劇らしい緊迫感がありながらもクレヨンしんちゃんらしさのあるコミカルで笑いを誘う戦い、しんのすけがタイムスリップした「意味」が知らされるオチと、とにかく最初から最後まで視聴者を退屈させない展開が目白押しです。
「雲黒斎の野望」において「時代劇なんて大体武士の戦いしかやる事がない」と書きましたが、本作は同じく時代劇をテーマにしつつも「ただの武士の戦い」の物語にならないように、一方で武士の戦いを疎かにすることもないように、あらゆる要素を最大限かつ無理なく組み込んだ、完璧に近い構成だと思います。

物語の構成もさることながら演出面も素晴らしく、特に印象的なのは野原一家の車に乗せてもらった廉と、自身の馬で駆ける又兵衛の距離が開いてゆくシーン。
どこか寂しそうな目で又兵衛を見る廉と、その後に立ち止まる又兵衛の様子は、本作の物語そのものを端的に表していると言えます。
それ以外にも、シーンの一つ一つにおいてキャラクターの表情の細かな変化も見逃せないような見事な描写で占められており、二度、三度と見返しても新たな発見があるほどです。

なお、本作は時代劇マニアからの評価も高く、「時代考証がしっかりとされている」という意見を頻繁に目にするのですが、あいにく私は時代劇マニアではないのでその辺りに関してはよく分かりません。まあ、それだけ出来が良いのでしょう。

と、ここまでベタ褒めしておいて本作が5位止まりなのは、実際の所「クレヨンしんちゃん映画でやらなくてもいい」という感が多少なりとも感じられるところ。
誤解を招かぬよう書きますが、本作が野原一家の魅力を描けていないわけでは全くありません。ただ、あくまで物語の中心が又兵衛と廉であり、それを取り巻く物語も戦国時代の人物が中心であるため、野原一家は最後まで異邦人・来訪者という構図が変わらないのです。
また、かすかべ防衛隊については「先祖」という形でそっくりさんが登場するのですが、あくまで別人であるため本人と同等に扱うことは出来ず、出番は少なめ。
そうした舞台の中では十二分に野原一家の魅力やクレヨンしんちゃんらしさを描いているとは思うのですが、どうしても「野原一家が戦国時代へ行く」ストーリーの時点で登場人物や展開の制限は少なからず受けてしまい、「足りてはいるが濃密とは言えない」範囲に収まってしまっている感は否めません。

まあ、こうした話をしてゆくと結局「私がファンタジー系の派手な世界観の方が好きで、時代劇は地味だからあまり好きじゃない」みたいな話になってしまうんですが。
その辺りを差し引いても本作の完成度は間違いなく素晴らしいもので、時代劇が好きな人であれば更に楽しめるだろうと思います。


4位 爆睡!ユメミーワールド大突撃

毎晩、楽しい夢が見られる世界、ユメミワールド。 何でも叶う夢の世界の訪れに、しんのすけたちは喜びいっぱい!・・・だったのに、 突然、楽しい夢は悪夢の世界へと姿を変えた! 時を同じくして、春日部の街にやってきた少女・サキ。 しんのすけたちカスカベ防衛隊の仲間になり、悪夢に立ち向かうと約束するが、 サキにはある秘密があった・・・
いわゆる「暗黒期」より後、近年のクレしん映画では間違いなく最高の完成度を誇る、と個人的に太鼓判を押したい作品がこれです。

ふたば幼稚園へ編入してきた少女「サキ」と、同時期に発生した悪夢の事件が本作の中心となるのですが、まず注目したいのはネネちゃんの出番が多いことです。
私が見た限りだと、彼女はかすかべ防衛隊の中では個別の活躍が少ない方で、作品によってはウサギ殴ってるだけくらいしか印象的な場面がないことも結構多いのですが、本作においてはサキの心を開くまでの過程においてしんのすけ、そしてネネちゃんの二人が中心となります。
様々な事情から心を閉ざし、頑なでひねくれた態度と化しているサキに対して、良くも悪くもマイペースで自分勝手な部分がある二人が積極的にサキへと絡んでゆき、友達となった上で事件の真相へと近付く過程は二人のキャラクターを特に良く活かしています。
女同士という点もあってか、今までギャグ以外ではあまりメインで描写されることのなかったネネちゃんの性格が良い方へと活かされているのは新鮮さがありながらも安心感を覚える描写で、「おお、そう来たか!」と思わされます。

そして本作の舞台となる「夢の世界」は、かすかべ防衛隊の思い描く「夢」を描写することで各キャラクターの個性を分かりやすく見せつつ、視覚的にも楽しめる内容。
ここで酷く今更な話をしますが、アニメの映画ってシリーズのファンじゃない人も見るわけじゃないですか。つまり映画においては、「初見の人が置いてけぼりにならないように、キャラクターがどんな性格か分かるよう端的に描写する」「シリーズファンが『そんなもん知っとるわ!』と感じないように、説明臭さのない描写にする」という二点が求められるわけですよ。
その点において本作の夢の世界の描写は、シリーズファンであれば納得と笑いを得られ、初見の人でもキャラクターの性格の根幹を端的に掴める、見事な構成です。

サキとの関係と、夢の世界。
この並行して描かれる世界で個性を爆発させてゆく登場人物たちの描写はひたすらに楽しく、そして物語の真相へと向かいどんどんと盛り上がりを増してゆきます。
中盤からの目的として探し続けていた「バク」が現れるシーンは驚き、納得、喜びが同時に得られる瞬間で思わず目頭が熱くなるし、その後のかすかべ防衛隊たちが夢を叶えてしんのすけの助けとなるシーンになると何だかもう笑っていいんだか泣いていいんだか分からない混沌とした感情に襲われ、そんな思いに混乱しつつもこれこそが「クレヨンしんちゃん」の面白さだ!と再確認させられる、怒涛にして最高の場面です。

最終的に、事件の解決からエンディング映像として描かれるエピローグの完成度も素晴らしいもの。今までの出来事を思い返しつつ、それぞれの夢の光景と築き上げた関係性を楽しみ、まさに良い夢を見たような心地よい余韻を感じての完結は感嘆のため息が出るほど。
個人的には、この作品に出会えただけでも暗黒期のゲロ吐きそうな駄作に必死に耐えてきた価値はあったと感じられました。それくらいに素晴らしい内容です。

明確な不満点はほぼ一つだけで、過去作でも何度かあった「流行りの芸人ネタが邪魔」な点。
中盤ごろの登場は特に問題なかったのですが、いくら何でも終盤のシリアスなシーンの最中にまで出す必要はなかったでしょう。
とは言え、あくまで「必要ない」程度であってシリアスをぶち壊すほど酷いわけではないし、ある種「お邪魔虫」としては適切な存在とも言えなくはないので、そこまで大きなマイナスとも言いません。いいんですよ。最終的に面白ければ。


3位 ヘンダーランドの大冒険

今度はテーマパークを舞台にしんちゃん大活躍!?  幼稚園の遠足で出かけた“群馬ヘンダーランド”。実はそのヘンダーランドこそオカマ魔女とその一味が地球征服を企む本拠地だった!  そこで地球のピンチに立ち上がったしんちゃん。お馴染みのアクション仮面、ぶりぶりざえもん、カンタム・ロボと強力な助っ人を引き連れて、オカマ魔女率いる強敵陣と世紀の大勝負!!当時セクシーアイドルとして大活躍した雛形あきこも登場。  さあ、地球の運命はいったいどうなる!?
「クレしん映画の名作」という話題になると、大体はオトナ帝国と戦国大合戦の二大巨塔みたいな扱いをされることが多いのですが、それらに次いでファンの声を目にすることが多いのが本作だと思います。
で、実際見てみるとその扱いに偽りは一切無くて、とにかくメチャクチャ面白いわけですよ。

クレしんの映画の見どころとして、「日常が少しずつ侵食されてゆくホラー要素が怖い」みたいな印象を持っている人は結構多いと思うのですが、大体そうした印象を形作っているのは「オトナ帝国」と、そして本作によるものでしょう。
タイトル通り本作の舞台となる「ヘンダーランド」の、明るい雰囲気の一方で所々に見える不穏な要素。脅かされ始める日常と"敵"の存在、そして戦いまでの流れは子供でも分かるくらいシンプルで分かりやすく、様々な作品を見慣れた大人でもグイグイと引き込まれていく巧みな進行。

一方で私が何度も述べているクレヨンしんちゃんの魅力、「真面目にやってるのに面白い」要素にも満ちており、しんのすけはもちろん、本作でパートナーとなるトッペマも、裸のしんのすけを見かねて魔法で服を着せたり、紙芝居で状況説明をするなど、所々のコミカルな描写で親しみを持たせてくれます。
中盤、緊迫した場面の後の「あんた、いつも裸ね」という台詞は、脅威が去った安心感と気の抜けるような面白さが混ざり合って、地味ながら印象に残っていたり。

しかし、やはり本作の"面白い"部分と言ったら、敵のボスであるマカオとジョマとの戦いでしょう。
オカマの魔女」なんて、その時点でインパクト抜群の設定と外見をしていながら、「トッペマの国を既に滅ぼしており、これから世界征服を企てている」と結構ガチ目の脅威度も誇ります。実際オープニングでは、巨大なドラゴンを難なく倒せるほど強いトッペマの国の王子を、全く寄せ付けずに倒してるし。
ですが驚くべきことは、このマカオとジョマ、実際に野原一家と対峙してから決着がつくまでの時間は10分ちょっとしかないんですよ。
じゃあ描写不足や消化不良があるのかと言ったら全くそんな事はなく、その10分余りの時間に胃もたれしそうなくらいに濃密を極めた展開が詰まっています。
ラストの、野原一家との追いかけっこのシーンは頻繁に語り草になるのですが、本当に一瞬たりとも目を離せないくらいにテンポ良く、おバカで、なのに緊迫した奇怪な魅力の結集体
このシーンだけで、クレヨンしんちゃんという作品の魅力は全て分かると言っても過言ではないくらいでしょう。

細かな台詞が実は伏線になっていたり、序盤の展開に対してエンディングがちょっと皮肉を効かせていたりと気の利いた演出も欠かしておらず、とにかく「クレヨンしんちゃんの映画」として全てが完璧と言える大傑作です。


2位 嵐を呼ぶ 夕陽のカスカベボーイズ

映画館「カスカベ座」で遊んでいたかすかべ防衛隊だが、トイレに行ったしんのすけを残して、みんな忽然と姿を消してしまう。夜になり行方不明になったみんなを心配した野原一家。映画館を探しに来たが、延々と上映されている西部劇の映像に目を奪われているうちに、気が付けば一家は映画と同じ西部劇の街に立っていた・・・。  春日部に戻ろうと街をさまようしんのすけたちの前に、変わり果てたかすかべ防衛隊のみんなが!風間くんは乱暴な保安官に、マサオくんとネネちゃんは・・・なんと夫婦になっていた。みんなは春日部の記憶を失っており、それぞれ新しい生活を送っていたのだ。唯一記憶が残っていたボーちゃんと帰る約束をするが、この世界での生活が長引くにつれ、徐々に春日部の記憶を失い、この世界の生活に馴染んでゆくしんのすけたち。
「個人的な好み」という点だけで言うと、実質この作品が1位です。
ただ、クレヨンしんちゃんの映画として見ると異質な点も多くて……まあ、それだけ語れる部分も多いのですが。

本作の特徴は何と言っても、その舞台設定でしょう。
野原一家・かすかべ防衛隊を含む春日部の人々が西部劇の映画の中に取り込まれ、その世界が舞台となるわけですが。
西部劇と言えばみんな銃持ってて、すぐ「決闘」とか何とか言って撃ち合いを始めるアレですよ。そんなシビアな世界観を本作はしっかりと作り上げていて、身も蓋もない言い方をすれば話がものすごく重苦しいんです。

映画の中の世界にいると、元の世界のことを忘れてゆく」設定だけでも結構キツいし、実際かすかべ防衛隊にしんのすけが顔も名前も忘れられたり、ぶりぶりざえもんの顔も思い出せなくなってゆくシーンは恐ろしくも切ない。
そして舞台が舞台だけにバイオレンス描写が多数かつ全くオブラートに包まない表現をされていて、序盤から酒場での乱闘騒ぎ、罪人へのリンチじみた殴る蹴るの暴行、鞭打ち、馬に繋いでの市中引き回しの刑といった描写が当たり前のように存在します。
特に凄まじいのは、みさえが大勢の前で笑い者にされた挙句、そこに怒って割り込んだしんのすけもろとも昏倒するまで鞭で打たれ、川に捨てられるシーン。こんなもん見せられたら子供泣くぞ

そんな調子なのでギャグ要素は極端に少なく、所々にコミカルな描写はあるものの、あまり笑えない内容になっています。
例えば映画の中の世界でマサオくんがネネちゃんと結婚するけど尻に敷かれているとか、みさえが必死に若作りして酒場の歌姫になろうとするが、周囲にはドン引きされているなんてシーンも滑稽と言えば滑稽なんですが、舞台を考えるとそうでもしなきゃ生きていけないわけだし、元の世界に帰ることよりも映画の中の世界での生活に執着、適応していく様子はホラーじみた恐ろしさすらあります。

と、これだけでは本当にただの暗い作品にしか見えないと思うのですが、それだけの暗さ、重苦しさを重厚かつ丁寧に描いているだけあって映画の世界に引き込まれるような、視聴中の没入感は恐ろしく高く、同時に映画の世界から脱出しようとするしんのすけに対する感情移入や、「頑張れ!」と応援したくなる気持ちは随一
「ドラクエ7のダーマ編みたいな感覚」と言えば、伝わる人には伝わるでしょうか。

そして物語の中盤が過ぎ、映画の世界から脱出する手がかりを掴んだ人々が希望を持つ瞬間のシーンは演出と併せて最高に盛り上がり、その後終盤のド派手なアクションシーンは今までの重苦しさを吹っ飛ばすような激しい戦いの連続で、最後まで目が離せません。




何よりも本作において語らずにいられないのは「つばき」という少女について。
彼女は野原一家が映画の世界で最初に出会う友好的な人物なのですが、自分でも「臆病だから」と言う通り、当初は事なかれ主義な所があります。
ですが、しんのすけと出会い、彼の行動を見ているうちに少しずつ勇気を持ち、助ければ自分も同罪と見なされかねないのを承知で拷問に遭った人を助けたり、映画の世界を脱出するためにしんのすけたちと供に戦う決心をしてゆく……と、ちょっと昔の正統派ヒロインといった感じの人物なのですが。
なんと、本作ではしんのすけが彼女に対して本気で恋をします

「オラの花嫁」のレビューの際に書きましたが、しんのすけは頻繁にナンパこそするものの、本気で惚れる事は滅多になく、本編において本気で惚れたのは「ななこお姉さん」一人だけだったはずです。
そのしんのすけが、それも作中で言っている通り高校生以上のお姉さんでもない、セクシーでもない相手に対して本気で惚れるのは結構な出来事なわけですが、本作ではそれまでの過程がキッチリと描かれているし、つばきの魅力もしっかりと伝わってくるのが「オラの花嫁」との大きな違いです。
個人的に嬉しかったのは、しんのすけがつばきに惚れたきっかけとも言えるシーンが「ケガの手当てをしてもらった」であること。
確か原作においてしんのすけがななこお姉さんに惚れたのは「目に入ったゴミを取ってもらった」場面であり、ちょっとシチュエーションが似ています。これを考えると、しんのすけは母性的で優しい人が好きで、特に不意に優しくされるのに弱いという好みが見えてくるんですよ。まあ実際製作側がそんなところまで考えてたかどうかは知りませんが
いずれにせよ、ただ何となくひろしとの共通点を付けるためにヒロインをみさえに似た方向性にした「オラの花嫁」とは違って、こちらは「しんのすけが選びそうな女性」を描けているし、実際に彼女の魅力もそれだけ描けているので、あらゆる点で雲泥の差です。

しかしながら悲しいかな、これは映画なわけで。
しんのすけと彼女が結ばれて、この先ずっと暮らすことになり、今後の『クレヨンしんちゃん』において彼女がずっと出演する」なんて展開で終わらないのは最初から分かっちゃってるんわけですよ。最終的に別れるのは分かりきってるわけです。そして、オチも結構予想がつく内容です。
なのに、その別れ。そして、別れた後のしんのすけの様子が本当に辛くて、切ないんですよ。
そしてエンディング映像の演出は悲しいようで嬉しいようで、とにかく胸が締め付けられるようで涙を誘います。

ギャグらしい要素はほとんど無し、ストーリーはやたら重苦しく、加えて「しんのすけの本気の恋」を取り扱った内容……と、クレヨンしんちゃんの映画としては類を見ないほど異色な作品ですが、それでいて「クレしんらしくない」という感想は不思議と出てきません。
正直クレしんの映画の中でも特に人を選ぶ内容だと思いますが、刺さる人にはとことん刺さる物語なので是非とも一度見てもらいたい作品です。



Sランク
映画史に名を刻むレベルの超傑作。これを見ないのは人生の損

1位 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲

ある日、春日部で突然「20世紀博」というテーマパークが開催された。昔のテレビ番組や映画、暮らしなどを再現し、懐かしい世界にひたれる遊園地に大人たちは大喜び。でも、しんのすけをはじめとする子供たちには、ちっとも面白くない。毎日のように夢中になって遊びに行く大人たち…。  そのうちにひろしは会社に行かなくなり、みさえは家事をやめ、しんのすけがひまわりの面倒をみる始末。実はこれは、“ケンちゃんチャコちゃん”をリーダーとするグループの、大人だけの楽しい世界を作って時間を止めてしまう、恐るべき“オトナ”帝国化計画だった!
何と言うか、もう、この作品に関してはあらゆる場所で語り尽くされているので今更俺が何か書く意味があるんだろうかと思わなくもないのですが。
1位に挙げておいて何も書かないのはさすがに気が引けるのでちゃんと書きましょう。

言わずと知れたクレヨンしんちゃん映画の、一般的に言われる最高傑作。「クレヨンしんちゃん映画は大人が見ても感動できる」みたいな風潮を作り出した張本人です。
で、自分で言うのもなんですが私は結構ひねくれ者なので、世間で評価の高い作品をその通りに1位に持ってくるのは抵抗があるというか、なんか癪だなと思わなくもないのですが、本作に関してはどう頑張っても1位以外に置くのは無理でした。
まあ1位にするかどうかはともかく、これを最高クラスの傑作として評価しない奴がいるとしたらよっぽど感性がねじ曲がっているか、あるいは典型的な天の邪鬼だと断言しても良いでしょう。


そもそものところ、本作は物語の構成の時点で恐ろしい完成度をしています。
本作の全体の構図は「過去VS現在・未来」であり、序盤のうちはそれをもっと縮小した、「大人VS子供」の構図で物語が展開します。
幼い子供とは、「過去」を持たない存在です。懐かしむほど昔の出来事がない。そんな昔には、まだ自分は存在していません。
ゆえに大人が昔へ帰りたがる、つまり「現在・未来」よりも「過去」を求めると、必然的に「子供」という存在そのものも否定されます。過去に戻るために、その頃には存在しなかった「子供」なんてものは存在してはいけないためです。
この「必然的な対立構造」が本作の肝であり、善悪の戦いではないどころか、敵意や悪意自体が存在しなくても、大人にとって子供は相容れない存在と化すわけです。
「アクション仮面なんかより絶対面白いぞ!」と言って、しんのすけに昔のヒーロー作品を見せるひろしの様子は、その構図を端的に描いていると言えるでしょう。

一方で、じゃあ子供は大人を否定するのかと言えば、そうではない
子供から見た大人は「過去の人」ではなくて、「これから自分がなる、未来の姿」の象徴だからです。
だからしんのすけたち子供は、大人たちとの戦いの中でもバーで大人の真似をして遊んだり、大人の真似をして車を運転して逃げたりする。
大人VS子供の構図でも安易に互いを否定させるのではなく、子供側は「未来」としての大人を肯定しながら戦っている、というポイントを考えて彼らの行動を見てみると、どれだけ本作が考え抜かれて作られているかが分かると思います。

いや、まあ、俺が勝手にそう考察してるだけで、実際に製作側がそう考えて作ってたかどうかなんて知らねえんだけどさ。俺にはそう見えたんだよ。

で、まあ、この先になると野原一家が中心となって、明確に「過去VS現在・未来」の構図に変わってゆくわけですが。
もう、この先を書こうとしたら「この演出が素晴らしい!」「このセリフが後で効いてくる!」みたいなことを一つ一つ挙げていかなきゃいけないし、ネタバレまみれになる予感がするので書けそうにないです。書くのが面倒になったんじゃないぞ、マジで。

それで話は変わりますが本作、シリアスな方面でのストーリーが素晴らしいだけでなく、ギャグの質・量すらクレしん映画全体で見てもトップレベルなのが驚異的です。
子供を捕らえに来た敵組織とかすかべ防衛隊たちの戦いは、もう私が何度も書いている「真面目にやってるのに面白い」展開が息をつく間もなく押し寄せてきて、ひたすらに笑って、気が付いたら後半のシリアス部分に入っている。完成度が高すぎて恐ろしいくらいです。

出来の悪い所がないどころか、素晴らしくない部分が一つもない。全ステータス最大値の怪物みたいな存在の映画です。良い意味で「本当に地球の人間が作ったのか?」と驚愕するほど。
クレヨンしんちゃんの映画どころか、私が知る、あらゆる映画の中でも最高峰の完成度を誇る作品です。
広告
他4件のコメントを表示
×
6位には雲黒斎を推したい
1ヶ月前
×
カスカベボーイズはラストの忘れてる描写すき
1ヶ月前
×
親を人質に取られても絶対にロボとーちゃんは評価しないよね…
1ヶ月前
×
ブタのヒヅメ大作戦が入ってない、やり直し!
1ヶ月前
×
第1作のアクション仮面vsハイグレ魔王も名作だと思います。
今でこそ当たり前のパラレルワールド物を一足先にやっているというところがすごくやばいです。

クレしん映画は中学まで何となく見ていましたが、このレビューのおかげで改めてクレしんワールドの理解が深まりました。
1ヶ月前
×
暗黒タマタマと嵐を呼ぶジャングルが好き・・大人帝国とアッパレは殿堂入り。
1ヶ月前
×
自分はかなり好きなんだよな、引っ越し物語
クレしん映画でモンスターパニック物をしっかりやってて面白い
恐怖演出をしながらも最後に雨を降らせてしっかり後味を良くしてるし、キレーに収まってて好き

あと個人的にアクション仮面vsハイグレ魔王は名作であり英断だと思う
1作目で「野原一家がパラレルワールドにいって宇宙から侵略してきたハイグレ魔王と戦う」という非常に頭の狂った(褒め言葉)展開をやった事で後の映画が「割となんでもOK」という土壌を作ったのは大きい
まぁ「割となんでもOK」だからこそ見る人によって評価がかなりばらけるのがクレしん映画の面白い所
自分はB級グルメよりヤキニクの方が好きだしな
まぁ大人と戦国がメチャ面白いのは共通するんだが
1ヶ月前
×
自分の中で良いと思える順位があるなら、他の誰かの定めた順位なんて気にするな。
好きってのは、そういうことだろう。
1ヶ月前
×
 こうしてみると本当のトップを決めるのは無理だろ~ってぐらい名作多いですね。
 『夕陽のカスカベボーイズ』はラスト20分を何度も見直すぐらいとにかくアニメ史上残るレベルのバトルシーンで本当に凄すぎます!(ホントにクレしんか?って位) 内容が子供向けじゃなくかなり辛い内容なのですが、自分もベスト5に入る名作中の名作だと思います。
1ヶ月前
×
感動系が多い印象ですね(あと意外性もないし,みんな見たことあるんじゃないかな?)
個人的には,暗黒タマタマ大追跡や雲国斎の野望あたりが好きなんですけどねw
特に,暗黒タマタマは一時期定番となった劇画タッチの起源となっていて,作品全体で見てもギャグレベルが高かった印象です.
1ヶ月前
コメントを書く
コメントをするには、
ログインして下さい。