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青年よ、エロ漫画のレビューを書け
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青年よ、エロ漫画のレビューを書け

2015-11-27 00:12
    ほんの少し前、私は初めてアダルトコミックのレビューを書きました。
    それは何のことはない単なる気まぐれだったのですが、実際に書いてみると、これが意外と面白いのです。と言うよりも、自分にとって「身になる」行動だと思ったのです。
    どんなレビューでも、ただ単に「面白かった」「良かった」と言うだけならば簡単です。
    しかし、当然それだけでは他者に対して何も伝わりません。どこが面白くて、何が良かったのか。それを具体的に、客観的な表現で書かなくてはなりません。
    その点、アダルトコミックというものは強敵です。
    大抵の作品において真っ先に思い浮かぶのは「絵が上手だった」とか「エロかった」とか、そんな程度のものですが、上記の通り、そんな表現では何も伝わりません。
    レビューを書く人間は、漫画の内容を全く知らない相手に対し、文章だけでその漫画の内容を想像させ、そこで自分の感じたことを、感情豊かに伝えなくてはならないのです。

    他者とのコミュニケーションが苦手、という人は珍しくありませんが、そうした人の多くは、自身の感情を上手に相手に伝えるための表現力が足りないことが多いように感じます。
    それこそ、上記のように「面白かった」とか「良かった」と言うだけで、それ以上の細かい感情を上手く伝えることができない。その結果、淡白な受け答えをしがちになり、それを聞いた相手も大した反応ができず、会話が盛り上がらなくなる。
    そうした事態を解決するためには、やはり表現力が必要です。自分の感じたことを明確かつ詳細に、他者に伝わりやすく、さらには共感を呼ぶように伝える。そうした能力を付ける練習が必要です。
    その練習として、エロ漫画のレビューを書くという行為は非常に有意義であると思うのです。
    「エロかった」と思ったのなら、まず第一に「なぜエロいと思ったのか?」「どういった部分をエロいと感じたのか?」と、自身の感情を分析する。そこから自身の趣向を見つめ直し、自分がどんなものを好きで、どんなものを嫌いなのかを明確にしてゆく。
    さらには、「エロ部分だけではなく、単純に漫画として楽しめたか?」「内容のボリュームは値段に釣り合っていたか?」など、多角的な視点から作品を評価し、総合した判断を下す。
    それは他者への感情の伝達として必要な機能の全てを使用する、非常に有効な感情表現のトレーニングになると思うのです。



    本日、amazonで注文していた「好きになったら一直線!」という本が届きました。
    この作品、レビューを見てみると「絵はすごく上手いが、話が壊滅的につまらない」という内容で埋め尽くされており、一体どんなに酷いのだろうと、好奇心で購入しました。
    というわけで、今回私はこの作品についてのレビューを書いてみようと思います。

    まず、上記のように多くのamazonレビューで指摘されている通り、絵は本当に上手いです。
    抜きどころの女体以外は割と雑に描く漫画もそこそこ多い中、日常風景の背景やモブなどもしっかり丁寧に描き込まれているのは高評価。角度の付いた構図における遠近感などにも違和感はありません。本当に「絵」としては非の打ち所がないくらいの作品と言えるでしょう。
    しかし、これが「漫画として」の視点となると評価は一転します。
    まず第一に、演出が非常に弱いこと。
    大ゴマを使わないわけではないのですが、大ゴマでも毎回キャラクターの全身を収めようとするため、とにかく描写に迫力が無い。胸や性器の強調は全くと言っていいほどに無く、「絵」としての上手さに反して全くエロくない。これはエロ漫画として致命的です。
    さらに、酷評されていたシナリオですが、本当に面白くないです。
    内容としては「セックスをスポーツとして行う部活動に入った主人公が色々やる話」なのですが、全体的に話に起伏がありません。
    競技としてセックスが行われている設定なのに競技の描写はほとんど無く、主人公が頑張ってセックスの腕を磨いていくような描写も、他校のライバルと競うような展開も、「競技」というテーマならば付き物のような展開はさっぱり存在しません。
    シナリオの展開はおおよそ「主人公は巨根でセックスも上手い、すごい」みたいな話ばかり。
    ここで一つ考えていただきたいのですが、「エロ漫画」が「一枚のエッチなイラスト」に勝っている点は何でしょうか。
    それはキャラクター性、ストーリー性があるところです。
    登場するヒロインに背景設定や性格を付け、物語の中で行動している姿を描くことで、「そのキャラクターのエッチな姿」を見たときの興奮が増すのです。言ってみれば、「誰だか知らない女より、クラスメイトの女子をおかずにした方が興奮するよね」というのと同じです。
    それなのに、ヒロインをそっちのけで「主人公が巨根」みたいな話を何度も主張されても全く嬉しくありません。とにかくこの漫画、主人公の出番が必要以上に多すぎるのです。
    普通の漫画ならともかく、エロ漫画で主人公の男が絶賛される姿を見て喜ぶ読者が存在するでしょうか?少なくとも私は居るとは思えません。
    さらに、シナリオについてもう一つ言うと、この作品、タイトルといまいち矛盾しています。
    「好きになったら一直線!」というタイトルですが、中盤以降ヒロインが二人になるのです。
    さらには他の部員や、教師などとのセックスシーンも存在。
    一応、主人公の恋愛対象は一人なのですが、全然一直線ではありません。
    何と言うか、「競技としてセックスを行う」という世界観と「恋愛」という要素がものすごく相性が悪いように感じます。これなら最初から素直に純愛だけの話を描くか、もしくは恋愛なんてクソ喰らえでスポーツとしてヤリまくるお話の方が良かったのでは?
    好きになっても一直線じゃないし、スポーツらしいセックスも全然しない。
    「絵」だけは上手いけれど、漫画としては全然ダメ。
    結局、数あるレビューの通りの評価でした。絵だけが綺麗なら良い漫画になるわけではないと教えてくれる、ある意味では反面教師のような作品と言えるかもしれません。
    この作品に興味を持った方は、絵さえ上手ければ後はどうでもいい、という覚悟の上で買うか、もしくは「どれだけ酷いのか見てみよう」という程度の気持ちで購入することをお勧めします。実用性は全く保障しません。

    と、今回は以上のようなレビューになりましたが、いかがでしたか?
    文章を書き、推敲を重ねるだけでも表現の練習としては十分だと思いますが、そこに作品や自己の分析を加えることで、さらに効果的なトレーニングを行うことができます。
    表現力に自信のある方も無い方も、もしも興味を持たれましたら、エロ漫画のレビューを書いてみてはいかがでしょうか?
    きっと、あなたにとって価値のある経験ができるはずですよ。
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