Newman68kさん のコメント
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先日、和太鼓の公演のため次の目的地へ移動している時のこと。 太鼓が積載された窮屈な車に乗り、もう間もなく目的地に到着する、というあたりで、 車窓から何やらおかしなものが見えました。 緑色の生き物が逆立ちしているような――何か。 一体何だったのか、一瞬のことだったのでよく分からず。 ドライバーに打ち明けようかとも思いましたが、 「この人、いよいよおかしくなった」 と思われるのが関の山。 「いよいよおかしくなった。いや、前々からおかしい奴だとは思ってた。思考回路は捻くれ曲がっているし、社会不適合者だし、友達いないし。まてよ、ひょっとして自分は友達だとか思われているのか? 友達とドライブしているとでも? やめてくれ! これはドライブじゃなくて運搬作業だから。たまたま人選が自分とこいつになってしまっただけだ! 運が悪すぎた! 最悪だ!」 などと思われるのが関の山だ。 ただ一緒に車に乗ることがそんなに最悪なのか……そうか……。 だから、 (自分は疲れているのかもしれない) (疲れすぎておかしくなっているのかもしれない) と、一人悶々とした想いを抱えながら目的地へ到着。 着いたは良いものの、少し時間が余っている雰囲気だったので、 折角だからと周囲を散策することに。 場所は、東京は台東区にある合羽橋。 へんてこな町の名前です。 妖怪の「河童」と同じだなあなどと考えながら商店街を歩いていると、 至る所に、このような形の看板が掲げられていました。 これは何だろう? 写真だとちょっと見難いですが、背中にオレンジ色の何かを付けていて、 頭頂部にはくぼみがあります。 一見すると、オレンジ色のマントを羽織った空飛ぶ不思議な金太郎に見えますが、 (まさかこれ、河童かな?) 合羽橋、という地名から、そんな想像をしてしまいます。 河童。 河童と言えば、緑色の体、黄色い嘴、背中に甲羅を背負い、頭に皿を載せた姿を思い浮かべます。 僕は河童についてはあまり詳しくありませんが、 我々が良く知る、いわゆる「河童」のイメージが定着したのは、江戸時代後期の画家である鳥山石燕の絵が影響していると言われているとかなんとか。 そして河童の造詣には諸説あり、上記の河童であるだとか、年老いた川獺であるだとか、あるいは猿であるだとか、 色々と言われている難しい妖怪だそうで、 だから、白い肌をした河童というのも、ひょっとしたら居たのかもしれないなあ、 などと思いながら、その看板を眺めていました。 そうして再び街を歩いていると、商店街の道脇に見慣れた姿の像を発見。 河童だ! これは紛れも無く河童だ! 甲羅を背負わず、肌の色が茶色いのは、これが木製だからなのか、それとも「猿」あるいは「川獺」の影響下に置かれているからか。 ともあれこれは河童です。 座禅を組んでお祈りをしている河童というのもなんだか不思議ですが、 とても愛らしい造詣をしていました。 こうなってくると、先ほど僕が車中で見た 「緑色の生き物が逆立ちしているような何か」も河童の可能性が出てきます。 見てみるしかない。 じぶんはおかしくなんかなっていないと証明するしかない。 今日は最悪の日なんかじゃないんだ――と急いで先ほど目撃した場所へ。 すると、いました。緑色の物体。 これがさっき見たやつ……かな? 場所的には間違いなくそうだと思います。 確かに緑色をしているけれど、逆立ちはしていませんでした。 そういう意味では、ちょっと目がおかしくなってしまっていたかもしれません。 人間の視覚なんて当てにならないものです。 なるほど……自分は河童を見たのか。 それは奇異に映ってしまったのも頷けます。 しかしこの河童、なんで四つんばいなんでしょうか。 なんかちょっと色っぽさすら感じます。 しかも、「火災予防運動実施中」のたすき。河童は水妖だから? こうなってくると、他にも河童がいるんじゃないか、という予感を感じさせます。 どうせなら全ての河童を見たい、そんな欲求に駆られ、 僕はもう少しこの合羽橋の町を歩いてみることにしました。 すると、いるわいるわ。 そこかしこに河童が。 こちらは、一般的な造詣の河童。さっきの河童に似ていますが、よりデフォルメされていますね。 どうやら作者が違うのではないか? という感じがします。 これも……河童かな? 火災予防のたすきが掛かっているから、河童なのでしょう。 右側はリアル路線を意識した河童でしょうし、 左側は……色的に河童。多分河童。 なんか胴体の部分とかはキノコの精にも見えるけど、河童でしょう。 目が怖い! こんなものもありました。 街灯にくっついた、空飛ぶ金太郎河童の集合体。 なんでしょう。ちょっと狂気を覚えます。 これは完全に河童ですね。 ただ、首に下げられた札にもあるように、思い切り縛られてます。 何があったんだ……この河童、何をやらかしたのか……。 こちらは黄金に輝く河童像。 「かっぱ河太郎像」と書かれています。 どうやら地名である「合羽橋」の由来のひとつとして、 合羽川太郎(本名合羽屋喜八)という人物が、水はけが悪く洪水になってしまうこの土地を見かね、私財を投げ出して掘割工事を始めたは良いものの、 なかなか捗らない工事の様子を見ていた隅田川の河童達が夜な夜な工事を手伝った―― というものがあるそうです。 なるほどなるほど。 しかし、河童いっぱいいるなあ! まだいるかな! と思いながら歩いていると、 再び像が出現。 しかし、その像を見て僕は戦慄を覚えました。 これは……なんだこれは!? 頭から生えている部分だけを見れば、なるほど河童に違いありません。 しかし、それ以外の部分が怖すぎます。 一体どういう状況なのか。何を訴えようとしているのか。 河童の呪いでしょうか。 あの縛られた河童が人間に取り憑いているのでしょうか。 見れば見るほど、恐ろしい。 確かに河童は、愛らしい部分だけではなく、 恐ろしい一面を持っていたようではありますが、 しかし、それにしても怖すぎる。 河童は可愛いだけじゃないんだ。 いや、河童だけじゃない。 人もそうだ。ありとあらゆる生き物に、そういう側面はある――。 そういうことを教えてくれているのかもしれません。 もし合羽橋に立ち寄る事がありましたら、 ちょっと足を伸ばして、色々と眺めてみるのも良いかもしれませんよ。
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