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「本当に何もしない日にどこで何をするのかについて」
コメ0 草の根広告社 35ヶ月前
何もしないことを実践するにおいて海ほど適した場所はあるだろうか。あるいは山もそうなのかもしれないけれどそれを語れるほど僕は山を知らない。だから海についてだけ語りたいと思う。何もしないことを実践する場としての海を。 ここで言う「何もしない」というのは「社会との接続を断つこと」だ。二〇二〇年代に生...
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「正義の味方が大嫌いな理由」
コメ0 草の根広告社 37ヶ月前
ウルトラマンが町を踏み潰しながら、怪獣と戦う姿に納得が行かなかった。怪獣に押し倒されたウルトラマンの巨体がビルを薙ぎ倒す。その下を逃げ惑う人々の姿を複雑な気持ちで見つめていた。セットを派手に壊すことで戦闘の壮絶さを描こうとしていたのだろうか。あるいは「絶対的な正義など存在しないんだよ」という真...
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「しがらみってなんだろう」
コメ0 草の根広告社 37ヶ月前
しがらみってなんだろう。その言葉を聞くたびに「しらさぎ」とか「からすみ」なんかのビジュアルが頭に浮かぶ。あと「しがらき」とか。しがらみで板挟みにされたり苦しんだりした経験がないからかもしれない。経験があれば「しがらみ」と聞いて実在する誰かの顔が浮かんだりするのかもしれないけど。幸か不幸か経験が...
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「2021年9月5日」
コメ0 草の根広告社 39ヶ月前
4日振りに屋外へ出た。妻と娘といつもの小径を下って浜辺に出る。登園自粛と雨で家に閉じこもっていた娘が波打ち際でうれしそうに跳ねている。僕と妻はトング片手にビーチクリーンを始める。漂着ゴミは相変わらずだけど、放置ゴミはご丁寧に砂に刺した煙草の吸い殻が数本程度。入り口に「近隣の方を除き海岸への立ち入...
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「ディストピア・リゾート」
コメ0 草の根広告社 39ヶ月前
市内の感染者数が連日100人を越え、ついに秋谷海岸への立ち入りも「近隣の方以外立ち入りをお控え下さい」という注意書きとロープで規制された。厳しい残暑と体調を整えなければならない理由もあり、週末は家の中で過ごす。トレッドミルで軽く汗を流し、午後はベランダで冷えたノンアルコールビールを飲みながら、仕事...
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「自然か、不自然か」
コメ0 草の根広告社 39ヶ月前
海沿いの国道を山側に折れると、長いトンネルを抜けたところに子安の里という昔ながらの農村がある。山の麓に広がるこの人里で菜園を始めて10年になる。耕作放棄地を分譲した貸し農園の一画。作業の手を休めて空を仰げば、雲の流れがあり、耳を澄ませば鳥の囀りだけが聞こえてくる。
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「今日という一日を」
コメ0 草の根広告社 40ヶ月前
2021年8月11日水曜 晴れ 娘を保育園に送った帰りに134号線沿いの鮮魚店で魳(かます)を買う。細身で淡泊な白身だが、素早い泳ぎで鰯などを捕らえ、鋭い歯で喰らう獰猛な魚だ。なので良質なタンパク質を魚で摂りたいときはこの魳か太刀魚を選ぶ。 少し前までは2本しか注文しなかったけれど、最近は3本。娘のことを知っ...
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「誰かこの現象に名前をつけて下さい」
コメ0 草の根広告社 40ヶ月前
休みの日に限っていつもより早く起きる4歳の娘。僕がトイレに入っているときに限ってトイレに行きたがる4歳の娘。 誰かこの現象に名前をつけて下さい。 三つ編みをしてとせがむ4歳の娘。まごついていると「こうやるんだよ」と説明してくれる4歳の娘。でも、自分ではできない4歳の娘。言われてもうまくできない...
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「オバケキュウリって、なんて辛辣なネーミングなんだろう」
コメ0 草の根広告社 41ヶ月前
菜園のキュウリが見たこともない大きさに成長していた。連日の雨で畑に入れない日が一週間以上続いたせいだろう。長さ40センチ。直径8センチ。重量は500gを越えていた。ある自治体のキュウリの出荷規格を見ると、長さ25センチ以下、直径重さは140g未満というから2倍近くあるのだろう。もちろんマーケットなどではお目...
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「この夏に溶けていく」
コメ0 草の根広告社 41ヶ月前
蝉時雨で目覚めた。そこに太陽があった。いや、太陽はいつもそこにあった。厚い雲に閉ざされていただけだ。雨を降らせる雲の厚さはおよそ3000メートル。夏の夕立を降らせる積乱雲になると10000メートルにも及ぶそうだ。10000メートルの壁なんて想像もつかない。ベルリンの壁だって20センチしかなかったのだ。
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「世界から遠く離れて」
コメ0 草の根広告社 43ヶ月前
町の防災無線が不要不急の外出を控えるよう繰り返し警告していた週末の朝だった。渋滞の始まった下り線を横目に海沿いの国道を山側に右折する。隧道を抜けるとそこには海の眩しさまでたった五分なんて信じられない光景が広がる。新緑の里山。山頂から流れていく穏やかな川の両脇には尾根伝いに畑が続いている。 車を...
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「子どもに『みんなもやっているからいいでしょ?』と言われたらなんて答えますか?」
コメ0 草の根広告社 44ヶ月前
子どもって無責任だよな、とつくづく思う。 特に思うのは「え? でもみんなもやってるよ?」「だってみんな持ってるし」「みんなもやってるからいいでしょ?」と「みんな」を引き合いに出してくるとき。
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「命を育てることは自分自身を育てること」
コメ0 草の根広告社 44ヶ月前
東京の知人から郊外に家庭菜園ができる小さな畑を借りたと連絡があったのは冬の終わり頃だった。この春から子どもと一緒に棚田を手伝い始めることにしたという知人もいる。
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「おいしいね、が消えたこの世界で」
コメ0 草の根広告社 51ヶ月前
おいしいね、が世界から忽然と消えた。 学校からも、レストランからも、酒場からも消えた。公共の場で食べたり飲んだりするときに言葉を発することが禁じられたせいだ。誰かと食事を共にしていても互いに言葉を発することなく黙々と食べる。かつては当たり前のように存在していた「おいしいね」と笑い合う光景はもう...
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「東京のためにできること」
コメ0 草の根広告社 53ヶ月前
緊張感は想像以上だった。百何日ぶりかの東京。行く先々で数十メートル置きに消毒液が並んでいた。誰もが手が乾く間もないくらい消毒していた。感染しない、させないことに敏感になっていない人なんて誰ひとりとしていないと思う。なのにどうして感染が拡大し続けてているのだろうという問い掛けとともに東京の街を走...
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「逢いたかった人に逢えましたか?」
コメ0 草の根広告社 54ヶ月前
政府も経済界もそして大手メディアも入国制限とロックダウンで疲弊した旅行業界を性急に元に戻そうと必死になっているように見える。ぼくにも小さな宿泊施設を営んでいる友達がいるから気持ちは分かる。分からないではないけれど、感染防止か経済再生か。大切なことがこの二択しかないみたいで、そういう考え方はよく...
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「種は誰のものなのか」
コメ0 草の根広告社 55ヶ月前
微々たるものだけれど、毎月著作権料なるものが振り込まれる。額はまちまちだ。レストランで贅沢な食事ができるくらいの時もあれば、家族をちょっとした海外旅行に連れて行けるくらいの時もある。それだけで暮らし行けるというほどではないけれど、二十代、三十代の自分自身からの時を超えたギフトとして有り難く頂戴...
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「変わらない愚かさは強さでもあるのかもしれない」
コメ1 草の根広告社 55ヶ月前
三月二十一日に執り行うはずだった父の一周忌法要はいつになったらしてあげられるのだろう。正直、緊急事態宣言が出てすぐの週末は絶望した。海沿いの国道がゴールデンウイーク並みに渋滞していたからだ。一周忌法要もオリンピック同様一年後に延期せざるを得ないくらい長期化するだろうと思った。
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「誰かの自由を奪おうとすることは自らの自由も差し出すということにならないだろうか」
コメ0 草の根広告社 55ヶ月前
それでもやっぱり人は連日海を訪れている。公共駐車場が閉鎖されて減ったとはいえ、コンビニの駐車場や路地裏の小径に違法駐車して浜辺で犬の散歩などをする人の姿が途絶えることはない。この海から人の姿が完全に消えたのはちょうど九年前。ぼくがここで暮らし始めて丸一年が経った二〇一一年の春のことだ。
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「すべては今このときの為に」
コメ1 草の根広告社 55ヶ月前
週末、里山の麓にある菜園にぼくらはいた。地元の若い農家さんにお願いしてあるピミエント・パドロンの苗を五月初旬には定植しなければならないのに肝心の土が天地返ししたまま放ったらかしになっていた。週末に大挙して押し寄せていた観光客に不安を感じて、ここ半月ほどは有用でも外出するのを躊躇っていた。
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「たとえどんなときでも土を耕し、種を蒔き続けること」
コメ0 草の根広告社 56ヶ月前
娘と一緒に自家菜園に行った。海沿いの自宅から五分。大きなトンネルを二つ抜けたところにある里山の麓だ。鳥の囀りだけがやけに大きく響き渡っていた。何枚かの畑に黙々と汗を流す人の姿が見えた。赤いバケツを手にした娘は黄色い長靴でスキップしていた。ぼくらの畑ではたわわに実ったスナップエンドウの房たちが収...
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「ロックンロールキャベツフェス」
コメ0 草の根広告社 58ヶ月前
行きつけの精肉店では今年も買い物のたびにキャベツと大根を頂く。娘の通う保育園では廊下に給食用のキャベツと大根が溢れている。ありがたい反面、とても心苦しい。
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「育てるってなんだろう」
コメ0 草の根広告社 59ヶ月前
かつてダイナマイトで破壊し、造成した里山をバブル崩壊で開発が頓挫したことにより再び豊かな里山に戻そうと取り組んでいる県有地が地元にある。樹木を育てているグループもあれば、外から腐葉土を大量に入れて有機栽培で作物を育てている人たちもいる。
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「ぼくらは海に試されている」
コメ0 草の根広告社 63ヶ月前
海洋放出という言葉を耳にするたびに胸がざわめくのは、毎日海を見て暮らしているせいなのだろうか。毎日のように海に触れて生きているからだろうか。海の存在など少しも感じない内陸の都市に人生のすべてがあれば、海洋放出なんて関係のない話だと聞き流していただろうか。