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惡の華 第八回 第八回
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冷たい太陽が地平線の上を揺らめく頃、おれに課せられた烈しい苦悶は、何時しか甘美な快樂へと移り行くまこと 驚くべきことだが、あれ程までに抗い、退けて...
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惡の華 第七回 第七回
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切ないほどに苦しく真摯な告白のそのあとに即座に裏切りを果たす 我と我が身の愚かしさよ遅すぎる懺悔は、もはや永久に届くまい。何處まで行っても解放され...
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惡の華 第六回 第六回
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苦腦、恥辱、後悔、啜り泣き、おれの魂を腐蝕させてゐるすべての闇を愛し君、我が戀人よ、お前は知つているだらうか?お前がその美しく白い腕(かいな)でおれ...
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惡の華 第五回 第五回
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耀きわたるこの大空の下で剣呑さの欠片も感じさせぬ、浮かれたこの日曜の町中で今この瞬間にも、悪魔めが、おれを誑かさんと手薬煉を引ゐておるのだこの皮一...
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惡の華 第四回 第四回
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夜な夜な現れては消える、青い夢の女、我が天使あなたの其の聲、其の匂ひ、其の微笑みに、癒されてゆく我が魂 我が恐るべき情熱如何に人々が我を蔑まんとも...
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惡の華 第三回 第三回
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万物に平等に降り注ぐはずの朝日にさへも わが魂は見放された。一片の光輝(かがやき)すらも届かぬこの深淵では疑念と欺瞞が呪ひのやうに渦巻ゐて、哀しき戀...
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惡の華 第二回 第二回
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見よ、街を灼き尽くさんと 地平線にその身を横臥へる太陽がおれを嘲笑つてゐる見よ、四方八方を取り囲む山々が 凍えるやうな冷酷さをもつておれを罵つてゐ...
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惡の華 第一回 第一回
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息が詰まるやうなこの小さき町の片隅で崇高なる書物の内に響き渡る叡智の羽音だけがおれの精神(たましい)に安らぎと尊厳を与える。ああ、だが、きみよ、おれ...
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惡の華 第九回 第九回
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おれたちは 永劫不滅の報いを受けて光に満ちた樂園から追放されたアダムとイブの因果のもとに無慈悲にも行き場のない路上に打ち捨てられた崇高かつ憐れな人...
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惡の華 第十回 第十回
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『少年よ、どんな気分だ。 凡てが虚構に過ぎぬことを思い知らされた今宵、この陰惨な苦惱の瞬間は。今の今まで、己を保つために信じてきた僅かばかりのささ...
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惡の華 第十三回 第十三回
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過ぎし日の甘い悔恨 狂おしい春の暴風雨(あらし)あの地獄の季節に置いてきた 若さゆへの過ちの代償を 何時の間に清算した気になつてゐる?われら 決して...
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惡の華 第十二回 第十二回
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かつてあの女(ひと)が描いて見せた黄昏の魅惑に再び相まみえることが出来るのなら、譬(たと)へば それが天国でも地獄でも 一向構はぬ嵐を孕む鈍(にび)色(い...
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惡の華 第十一回 第十一回
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漆黑の夜に降る 鉛のやうに重たい雨が、硝子窓を激しく叩ゐて 瀕死の罪人を情け容赦なく責め立てる夏の湿り気が鬱陶しくも纏わりついて 躰の自由を奪ひと...