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「黒塗りの傘」feat. 滲音かこい【残響レコードボカロ制作部】
週末の起抜け、読切り。「最悪の」「不慮の」事故にまた救われたよ。彼らの業が、戒めが、宗教たらしめる。どうせまた、横切っていく。知らない顔して守られ傷付けてまた守られていく畜生にも守られ生活に脅かされて、、、そう言えば「良い」と思うんだろう。小さな蟲の羽音に結べばいいんだろう。彼らの業が、戒めが、宗教たらしめる。どうせ、また忘れてる。ほら剥がれてきてる。粉を吸い込んでいる。海はいいな。鳥はいいな。成れるなら生りたかった。「当たり前」に成りたかった。「当たり前」を塗りたくって、あなたのことまた汚して、汚れたあなた、守られていくあなたはまたこわして、守られてこわされていくあなたはまたこわして、守られてこわされていく生活にも守られ、生活に脅かされて、、、Produce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloMusic 四月https://twitter.com/sjshujiArrangement けいやhttps://twitter.com/keiyaHNQIllustration 森 数機https://twitter.com/morikazukisanMovie Ramma Takahashi http://dengekizoo.net
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2021/05/31(月) 20:00
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ナギノエナ「キャンディー」【残響レコードボカロ制作部】
原曲 「「キャンディー」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】」https://nico.ms/so38620980歌 ナギノエナhttps://twitter.com/naginoenahttps://www.instagram.com/naginoena何度も繰り返す終わりのない罪と罰両の手に残ったもの冷え切った温もりゆらめく灯(ともしび)に誘われ飛ぶのは甘い蜜だけを求める片翼の蝶鬼さんこちらのその手拍子に釣られたのは私愛してしまったが故の切なさに心まで溺れる前に「もう一度だけ」と手を伸ばしてみる後味の悪いキャンディーに孤独を紛らわすように揺れるは心と影艶(なまめ)かしい愛の熱が身体を満たすのさ求めてない愛の形ばかりが心を埋め尽くすから乾ききったその舌に一粒の病みつきになるキャンディーを愛されてしまったが故の愉悦感を身体が忘れる前にもう一粒だけ貴方にあげるのさ後味の悪いキャンディーをProduce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloDirection ピーナツバター校長https://twitter.com/peanutsbtterMusic SHAKEhttps://twitter.com/takekou1010Illustration ぐんじょうhttps://twitter.com/nanashnojoMovie First To Fighthttps://twitter.com/FTF_CLOTHING
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2021/04/24(土) 20:00
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「ひらひら」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
あなたはいつも まっすぐな瞳で全てを 見ていた怖くなるほどに純粋な黒さを知った何を抱えているの?僕に教えてダメならそんな顔見せるのはやめて黙ったままじゃわからないよそれはどっちなの?答えはひらひら遠く消えて胸の高鳴り 響くほどに静かな夜が僕らを包み込んでいく下手くそな嘘にホッとする裏返した気持ち感じて何かを求めるその姿ずっと見ていたい最初はどうでもいいような気がしてた今では何も削れなくなっていた困ったよこんな気持ち必要無かったのにさらけ出した今見えたんだ今までと違う世界の色にきらきら眩しすぎるよ消えてしまいそうだ 僕から手を振るそんなこと考えた弱さが棘になってしまう前にひらひら舞い落ちる雫の理由はわかんないけどあなたに見せはしないよかっこ悪いからひらひら遠く消える花びらに背を向け歩き出す静かな夜が僕らを包み込んでいくProduce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloDirection ピーナツバター校長https://twitter.com/peanutsbtterMusic ドロップ https://twitter.com/dropp_33Illustration ハルイチ https://twitter.com/srimerimer718Movie 山田ななしhttps://twitter.com/774VT
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2021/04/24(土) 20:00
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「冬の魔法」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】
にぎやかな店ばかり 誰もが幸せそうだ樹が光に包まれ 君はどこかな腕時計を見ながら 待ち合わせた雪が舞い散る空 心の声を聴いて街は白く染まる ふたり出逢えた夜に幸せになれたかい?見失うことはないよ だってこの手を握ってる来年も同じ日を 過ごせるのかな涙に雪が混じる 君と話していたら辺りは白くなり 僕らが出会えた夜君はいないはずなのになぜ今日は見えたの?これが奇跡と言うのなら僕は信じてみたいよさよならの時間だね魔法が解けたのかな雪が舞い散る空 心の声を聴いて街は白く染まる ふたり出逢えた夜に君という存在が かけがえのないもので私もおなじだよ あなたと出逢えたことかけがえのないものProduce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloDirection ピーナツバター校長https://twitter.com/peanutsbtterMovie mtno
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2021/04/24(土) 20:00
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「桜雨」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
「桜雨」 終わりが、始まった。 時計の針が12時を回って、少し。「起きてる?」 そう、問いかけられた。「起きてるよ」 答えたのは、私だ。この部屋には、二人しかない。二人だけで暮らしてきた、二人だけの静かなお城だ。「ごめんね」「なんで謝るの、ヤコ」「マコのこと、追いてっちゃうから」「そんなのどうってことないよ」「だけど」「大丈夫」 私は、精一杯強がって言う。「ヤコのこと、信じているから。たくさん、綺麗な写真を撮るんでしょ。必ず、帰ってくるんでしょ。それまで、私、ここを守るから」「……ありがと」 もうすぐ、朝が来てしまう。まだ真夜中だ、と思っていても、ちくたくと針は進んでいく。 しっとりとした春独特の夜は、なんだか物悲しい。 新しい芽吹きの香りを連れてくる夜を深く吸い込むと、その冷たさが凛と肺に染みた。「もう起きたの、マコ」「ヤコこそ、まだ4時半だよ」「ふふ、なんだかそわそわしちゃって」「どうせ楽しみなんでしょ、今日からだもんね」「うん。女優さんは先に入っているから」「ヤコたちが行けば撮影始まるんだよね」「そう。マコってば、あたしよりもあたしのこと把握してない」「そんなことないよ」 そう言って、私は目をそらした。 ヤコのことを、ヤコ以上に知っているのは、当然だとも言えた。ヤコのことを、私はずっと想ってきたのだから。 ずっと、ずっと。でも、それが恋とか愛とか、そういう感情ではないような気がして。ううん、そういう感情『ではない』とはっきりわかっていて。つまりは、ヤコと私は幼馴染で同居人である以上でも以下でもないのだ。 桜の花が、はらりとベランダに舞った。 私が一番に好きな花。でも、今はなんだか憎たらしかった。 新しい春は、終わりで、始まりだ。 私たちは同じ小学校、中学校で育ち、同じ高校に通って、同じ大学を受験し、違う学部で学んで、今の道に進んだ。 だから、ヤコは写真家として。私は画家として。今から新しいスタートを切るのだ。 この部屋に住み続けるには思い出が多すぎる。最初、引き払おうとヤコに相談したのだが、ヤコは「戻ってくる家と、マコのアトリエが欲しいから」と却下した。「はい」 差し出されたのは、湯気の立つコーヒーだ。私たちが気に入るたびにおそろいで買ったマグカップ――その中でも、一番のお気に入りのもの――に、注がれている。「ありがとう、ヤコ」「あたし、絶対に有名になるからね」「……私だって」「あーあ。こんな春なんて、来なきゃよかったなぁ」「どうして?」「だって。マコと――」 そこまで言って、ヤコは口をつぐんだ。マグカップを包む手に、やりきれない気持ちが一緒に包まれていた。「ヤコと、ずっと一緒がよかった」「マコ」「私。ここで待ってるから。ヤコが帰ってくる家にするから。だから、安心して」 私はそう言って、精一杯、笑って見せた。 頬を伝った雫を、二人とも見なかったふりをした。 結局、6時の新幹線に乗っていくヤコを見送るために、私もそのまま起きていた。「忘れ物ない?」「うん、大丈夫」 ヤコはきちんとした襟のシャツと、カジュアルすぎない、けれど綺麗なシルエットの上着を着ていた。 特別なおめかしというわけではないけれど、門出に相応しい格好だと言えた。「ヤコ」「なぁに」「……ばいばい」「ふふ、違うでしょ」 そして、ヤコは笑った。「またね、だよ」 私は何も言えなくなって、ヤコのことをぎゅっと抱きしめた。最後にヤコは、また何かを言おうとして言わずに、私たちの終わりへ向かって走り出した。 桜の雨が、ヤコの姿をかき消す。私はそれを見送って、初めて気が付いた。「……喉、渇いたなぁ」 私は呟いた。応えるものはなかった。 ケトルでお湯を沸かしながら、マグカップがたくさん並ぶ棚を目指して歩く。 ずらりと並んだマグカップには、全部、ぬぐい切れない思い出がある。私は、これらを抱えてヤコを待つ。そう決めたのだ。 それなのに、涙が出る。 いつも通りのブレンドコーヒーが、今日はやけに、苦かった。原作 金森璋「桜雨」Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirection みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration & Movie 小猫まり https://twitter.com/mari_kosaji
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2021/04/24(土) 19:00
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「Microcosmos」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】
僕は宇宙の欠片で出来ている全てのことを知ったつもりで脆くて小さな世界を泳いでいるだけ君も宇宙の欠片で出来ている善いも悪いも最初から無くてその命がここに在っただけただそれだけ 不完全なまま足りないまま僕らが生まれてしまったのはそう神様に求められたから 怖いものばかりなんだそれでもここにいたいよと心は叫ぶ 不完全なまま足りないまま僕らが生まれてしまったのはまだ誰かを探しているから 寂しい引力同士惹かれ合い一つになっては何度も離れて引き剥がされる重力に手を振るそうして繰り返し生きてきたんだ 不完全なまま足りないまま僕らが生まれてしまったのはそう神様に求められたから無くていい命なんか無くてこの当たり前が創りものならば目の前にある今だけを生きさせてProduce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloDirection ピーナツバター校長https://twitter.com/peanutsbtterMusic & Illustration 水都https://twitter.com/_3710o
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2021/04/24(土) 00:00
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「キャンディー」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】
何度も繰り返す終わりのない罪と罰両の手に残ったもの冷え切った温もり ゆらめく灯(ともしび)に誘われ飛ぶのは 甘い蜜だけを求める片翼の蝶鬼さんこちらのその手拍子に釣られたのは私愛してしまったが故の切なさに心まで溺れる前に「もう一度だけ」と手を伸ばしてみる後味の悪いキャンディーに孤独を紛らわすように揺れるは心と影艶(なまめ)かしい愛の熱が身体を満たすのさ求めてない愛の形ばかりが 心を埋め尽くすから乾ききったその舌に一粒の病みつきになるキャンディーを 愛されてしまったが故の愉悦感を身体が忘れる前にもう一粒だけ貴方にあげるのさ後味の悪いキャンディーをProduce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloDirection ピーナツバター校長https://twitter.com/peanutsbtterMusic SHAKEhttps://twitter.com/takekou1010Illustration ぐんじょうhttps://twitter.com/nanashnojoMovie First To Fighthttps://twitter.com/FTF_CLOTHING
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2021/04/24(土) 00:00
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「瞼」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】
去り行き残された現実にピリオドを打ち損ね悪夢と化す次こそは次こそと願いながらもう何年経っているのだろうか焦燥が廻りくるものか否か沈んでく夕陽に背を向け眺めて行く最後に書いた手紙は捨て去ったまだ炎の色は強く燃えつきず闇に消える息も絶えない絶望の淵で雲の隙間に降る雨に打たれ此処で待つ貴女を見て幻想に駆られ続けている待ってて広がる霧は自分の様で喧騒に紛れて悲痛を叫ぶ冷めない温度と深い海の抜け出せない魔の手が追ってきたか光閉ざされて鍵がかかるこの瞬間にも罪を重ね陰は何処にいても差す息も絶えない絶望の淵で雲の隙間に降る雨に打たれ此処で待つ貴女を見て幻想に駆られ続けてる待ってて希望が見え始めたと思った先へ向かう代償はもう戻れないとわかっているに此処で待つ貴女を見て想いが溢れていくからさ待っててProduce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloDirection ピーナツバター校長https://twitter.com/peanutsbtterMovie mtno
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2021/04/24(土) 00:00
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「ソロシンガー」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
自分らしくいられないなんて、それは人生じゃない。 アタシはそんなポリシーを持って生きている。 自分が素敵だと思ったものを集めて、宝物をたくさん集めて。 それを歌にして生きている。「あなたの歌、よくわからないわね」 持ち込みに行った先の事務所でそんなことを言われて突っ返されたこともある。「あーあ。アタシのことなんも知らないくせに」 そのくせ、動画投稿サイトにおいては「神ってる」「いい」「素敵」なんて、ありきたりな言葉が並んでいて、アタシのことを知ったかぶりする。「……。アタシのこと、なんも知らないくせに」 こうやって、動画サイトやなんかをブラウジングしていると、過去のことをなんとなく思い出して思い出に浸ることもある。 そんなときは、じっとりとした思い出を振り払うためにシャワーを浴びたりなんかするのだけれど――なんだか、今日は少し疲れた。「いーやいーや。明日から」 そう、明日から始めればいいのだ。それが許されている。 なぜなら、アタシの人生はアタシのもので、アタシの自由なのだから。 ソファーに身を沈めながら、アタシは自分の曲を歌う。それが子守歌になって、ゆっくりとアタシは眠りに落ちた。「あの子」「なんかね」「でも」「ひとりってね」「だってさぁ」「ハブる?」「えー」「めんど」 ぼそぼそと教室の端から、声が聞こえてくる。 高校の頃からこんな感じだったなぁ、なんて、どこかアタシは思っていた。 まあ、その原因には髪の色にもあったのかもしれないけれど。 そのときアタシは、白銀に脱色した髪に淡い虹色をまだらに入れるという髪色をしていた。 そんなだから、アタシに寄り付く人ってのはすごく珍しかったし、寄り付いてきたと思ったらただの興味本位だったりした。 これくらいでへこたれるアタシなんかじゃない。こんなことくらいで壊れるくらいなら、壊れたってかまわない。この髪の色だって、これができるからこの学校を選んだくらいなんだから。 弾きものにされたって、見ないフリされたって上等よ。 独りきりでも、独りだけで生きていく。悠々と楽しく、生きていく。それもアタシの信条のひとつだ。 先生たちは心配したりなんかもする。結構、結構。でもアタシのことを考えるくらいなら、そこで仲間外れにされて泣いている子の方を見てあげてよね。 そう思いながら、泣きそうな顔をしている隣の席の生徒のことをちらっと見る。アタシに睨まれたと感じたのか、そそくさと顔を本に埋めてしまった。「ふん」 アタシはすぐに五線譜に顔を戻して、このあとどんなコード進行にしようか、ここにどんな音を当てはめようかと考え出した。 ここにひとつ、音符を置くべきか否か。音楽は大得意なんだけれども国語やリズム体操なんかは苦手の部類に入る。 あー、どうやって言い換えたものかしら。アタシは銀色の髪をシャーペンのおしりでがしがしと掻きながら考える。 悩んでいるアタシの視界に、一枚のメモ用紙が滑り込んだ。『アタシがいなきゃ始まんない』 そう書いてあった。 アタシはメモ用紙が滑り込んできた方向を見る。しかし、そこには難しそうな本に顔を埋めるいじめられっ子しかなかった。「アンタ、この歌詞のことわかってくれるの?」 唐突に出てしまった問いかけに、いじめっ子はこくりと、本越しにうなずいた。 どうやって目を覚ましたかは覚えていない。 でも、たくさん、いろんな夢を見た気がする。夢で見た明日とか、聞いたことある音や、アタシの歌声とか。 アタシはあの子のことを思い出して、にっこりと笑った。 まだ午前6時か。 なら、お昼ごろになったらスパゲッティでもすすりつつあの子にメッセージを送ろう。 あの日の夢を見て、たまには独りが寂しくなったよ、なんてね。原作 金森璋「ソロシンガー」Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirection みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration & Movie 粉蜜めま https://twitter.com/in_dreams127
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2021/04/24(土) 00:00
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「痛いんだ。」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
失恋を、した。 あまりにも悲しい恋だった。 もう二度と、こんな思いはしたくないと願うほどに痛い。 胸の痛みは、一生消えないんじゃないかな。 なんとなくだけれど、そう思った。 『見えないもの』とか、『愛』とか、なんとか。 そんなものにすがって生きるのが、馬鹿らしくなった。 私くらいの年頃なら、きっとこの先も恋とか愛とかより取り見取りだろう。 けれど今はそんなものに興味がわかないどころか、ちょっと、嫌気さえもさしてる。 それくらい、好きだった。 あの日、入学式に君と出会ってから、毎日がドキドキして、ふわふわして、ちょっとしたことが幸せだった。 登校するのが楽しみだった。となりの席にならないか、席替えのたびに期待した。学級委員になった君は、とっても魅力的だった。 ――卒業式だから。 だから、告白したんだ。 それなのに、な。 ああ、痛い。「痛いよ……」 ずきずきと心が痛む。 『見えないもの』に価値があるなんて言った人は、何を思ってそんなことを言ったんだろう。 ないものなんて、『ない』って言ってしまった方が楽じゃないか。 恋心なんていう見えない、なんだかよくわからないものだって、『ないもの』にしてしまえばよかったんだ。 だったら、きっと。 こんな思いをしなくてすんだ。 もうそんなものに価値なんてつけたくない。 胸が痛む、だけ、だから。 ~♪ 携帯電話が震えて、着信音が鳴る。 メッセージアプリを開いてみると、それは私の失恋相手からだった。「今、ちょっとだけ時間いい?」 私は返信に困った。 既読をつけてしまった以上、無視することはできない。少なくとも、したくない。 なんとなくでいいんだ。 私が思うだけの言葉を、書き込めばいい。「大丈夫。どうしたの?」「いや、酷いことしちゃったな、って思って」「やだ、そんなこと思ってたの?」「だって、俺、女の子フッちゃうとか初めてだったし」「そう、だったんだ」「そうだよ。そんな酷いこと、したくないもん。だから、謝りたいって思って」「なんで? 何も悪いことしていないよ」「嫌だ。謝らせて」「ダメ!」 そこまで打って、私は携帯を放り投げた。 これ以上、傷を広げたくなかったから。 次の日、私は家族の前でにこにこと笑って過ごした。 ちくり、ちくり、と胸は痛むけれど。 君はそんなこと知らないままでいるんだろうな、と思うと、その度に絶望が襲ってきた。 お風呂に入っても、ベッドに入っても、君のことを思う気持ちが消えない。もう、傷つきたくはないのに。 恐る恐る、携帯のメッセージアプリを開く。 どうしても――君を思う気持ちが消えなかったから。 そうしたら、君との部屋に未読の文字がついていて、やっぱり怖くなった。 けれど、『ないもの』にするのが嫌だった。 そっと開いてみる。「お前のこと、嫌いだなんて嘘なんだ。あのとき……みんな、俺のこと見張っていて。好きだって言ったら馬鹿にされると思って、言えなかった。裏切ったって、思われるのが怖かった。本当にごめん。許して、なんて言えないし、言いたくない。でも、俺も」 そこで、一行区切ってあった。 数分、時間をおいて。「俺も、好きだよ」 と、書かれていた。 私の瞳から、涙があふれた。どうしてかはわからないけれど、ぼろぼろと、まるで子供のように泣いてしまった。 そうなんだ。私は、ただ、君のとなりにいることだけが望みだったんだ。 傷つきたくはないけれど、それでも、君のとなりにいるのが幸せだったんだ。 それなら、伝えなくちゃ。「私もね、好きだよ。君のこと」 見えないふりなんて、していちゃいけない。 君のこと、ずっと見ていたから。 それでも見えないものはたくさんあるけれど。 そんなものに価値があるって、どこかのエライ人は言っていたじゃない。「君が、好きなんだ」 ぼろぼろ、涙が零れる。 あんまりにも涙が零れるから、最後には画面がうまく見えなくなった。 でも、どうしても言いたかったから。 無理やり打った。――あいしてる。Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirection とわいらいとLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration & Movie ひなかわ https://twitter.com/hinakawasann
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2021/04/24(土) 00:00
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「白波」feat.vflower【残響レコードボカロ制作部】
「白波」 私はある日、青い青い海を見下ろす。その海の底に、誰か優しい人影を見た。「ああ、素敵な人だなぁ」 そう思った時には、もう遅かった。空の精霊は、紺碧の溟海に堕ちてしまったのだった。 海に沈んでいく身体を、止めることができない。どうしようもなく、堕ちていく。 果ての空、自分が帰るべき場所は遠く、青く、澄んでいる。どこまでも綺麗で、青い。どうして堕ちてしまったのか、何故こんな場所にいるのか。わからない。ひとつわかるのは、私の心の中に、不思議な気持ちがひとつ、産まれてしまったということだけだ。 足元の波。足元の波は、寄せては反し波を折っている。奇麗だけれど、青空と白雲に似ているけれど、どちらとも違う。やはり、海原と白波なのだ。 海月というものには骨がない。もしもあったとしても、こんな風にゆらゆらと気ままに水の流れに浮いている生き物の骨など、在って無いようなものだ。こんな、曖昧なものでさえ確認したくなる。 在っても無くても同じなら、確認なんかしなくてもいいじゃないか。 なのに、れに惹かれてしまう。 そう、私の気持ちにも。 ああ、疾れ! その人と相見えるその場所まで。あの人の心など、知ったことではない。私の、この気持ちが何なのか知りたいのだ。 あの人がどんな顔をしていようとも、私の気持ちを知っているはずに違いない。 だが……私の心を、代弁してはくれなかった。 ありとあらゆる言葉が頭の中で、まるで足元に拡がる海のように広がっている。この言葉の海の中から、私の心を、探す。 海の上でも、青嵐は立つ。懐かしい心地に、少し考え事をしてしまう。あの空の向こうには、私が望んだ暮らしがあったのだろうか。本当に、空の上にいることだけが幸せだったのだろうか。 もしも、あの人と永遠を暮らせるのであれば? それはきっと、幸せなことなのではないだろうか。 わからない。わからない。わからない。 海の底には、鳥なんていない。当然だ。私がこんな気持ちを持つことさえも、それくらいにありえないことだ。私は、乙女でなければならない。身も、心も空に捧げなくてはならないのだから。 それなのに、そんな「ありえない」感情に、惹かれ合っていく。 いや――疾れ! あの人に巡り合ってしまった運命に、意味なんて要らない。必要ない。何故なら、私のこの気持ちにも意味なんてないからだ。 意味がないものに、振り回されてたまるものか。だから、あの人を追い立てて名前を教えてもらおうじゃないか。 雷の落ちるようなこの気持ちには、まだ、名前などない。 その日、あの人に会うことはできなかった。 それだけですごく、すごく苦しい。息ができない。空の上のような、軽やかな呼吸ができない。海の中だということを差し引いても、ひどく胸が痛い。 生と死の狭間の海を漂えば、泡沫のように消えてしまえるだろうか。どうせなら、消えてしまいたい。だって、この気持ちはとても苦しい。こんな気持ちなど、どこかへやってしまえばいい。そうだ。どこか、知らない場所へ、仕舞ってしまえ。 滄海の、遺珠になってしまえ――――いいや、そんなのは嫌だ、疾れ! 巡り合ったんだ、こんな運命に意味など要らない、ならば、意味があっても良いじゃないか。 この、雷のように降ってきた気持ちに名前を付けよう。この人ならば、名付けてくれるに違いない。――疾れ! あの人のもとまで。再び相見えれば、あの人の顔はすっかり笑顔になっていた。私も、つられて笑う。 この人の心の中なんて、知らなくてもいい。きっと同じ感情を持っているはずだから。「この気持ちは何ていうの」「それはね、〈あい〉という気持ちだよ」 ああ、そうか。私はそんなの、とっくに知っていた。 この不思議な心の色は――藍の色、だ。Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirection みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration & Movie ササオカ https://www.instagram.com/kakiko_kakikakiko/
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2021/04/24(土) 00:00
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「RESTLOID」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】
その途切れた想い 僕が繋ぎなおすよそれがRESTLOID 何度だってやり直そう目を閉じてみたら 思い描いてみよう君だけの色を 君だけの未来を浮かんできたその色が 僕らを導くのさ今日より輝く 明日のイメージ砕けた夢へのビジョンでも構わないさカケラ集めてまた新しいカタチ作ろうI'm a RESTLOID 何度だってやり直そうその想いは誰にも消せやしない途切れたその糸を もう一度結び直して前よりも強く 僕らを手繰り寄せるよ望んでた未来のカタチじゃなくてもいいさ君の好きにさ作り変えよう砕けた夢へのビジョンでも構わないさカケラ集めてまた新しいカタチ作ろうI'm a RESTLOID 何度だってやり直そうその想いは誰にも消せやしない数え切れないほどつまずいてきたけどその光はまだ輝いていたよ今感じた音 芽生えた想い 忘れないでいてねもう一度 作り上げてゆく目を閉じてみたら 思い描いてみよう君だけの色を 君だけの未来を望んでた未来のカタチじゃなくてもいいさ未来を変えるのは君自身だほらもう 見た事ない世界になる砕けた夢へのビジョンでも構わないさカケラ集めてまた新しい夢を描こうI'm a RESTLOID 何度だってやり直そうその想いは誰にも消せやしないさWe're RESTLOID 何度だってやり直そうこの想いは永遠に消えやしないProduce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloDirection ピーナツバター校長https://twitter.com/peanutsbtterMusic SHAKE https://twitter.com/takekou1010Illustration おにぎりまんhttps://twitter.com/onigiriman1998Movie Ramma Takahashi http://dengekizoo.net
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2021/04/23(金) 20:00
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Riai「六弦」【残響レコードボカロ制作部】
原曲 「六弦」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】https://nico.ms/so38529351歌唱 Riaihttps://instagram.com/vo__riai過去も未来も、大嫌いだ。 見捨てたくせにと嘆かれたり、救ってくれと泣きわめいたり。どちらにせよ、僕はそんなものたちに興味は無い。 否――関心くらいは、あった。 かつて僕はミュージシャンになりたい子供であったし、未来には本当にミュージシャンになりたいと思っている。 けれど、過去にも未来にも嫌われているし、嫌っている。 現在を見ろ。現在を見てみろ。こんな、くだらない日常に、毎日に浸って。 朝起きて、学校に行って、帰ってきて、食事と睡眠をとって、の繰り返し。 こんなんじゃ、夢なんて叶いっこない。叶える努力ができていないんだから、当たり前だ。 たったひとつの夢さえも、小さな光さえも、掴めない。 それでも、僕は六弦を抱くことをやめなかった。 六弦だけが、僕を認めてくれるのだ。問いかければ、正しい音で返してくれるのだ。 それに合わせてデタラメに歌ってみると、それだけで心が軽くなるような気がした。 夢を叶えるなんて、後でいい。 今は、独りでこいつと一緒にいられればいい。 今日もまた、起きる。 ほんの少し先で僕を手招いてる未来を睨みつけ、ベッドから起き上がる。 朝の六時だ。僕は枕元のアナログ時計を見てそう思う。 朝食替わりにゼリー飲料を飲みながら、テレビのチャンネルを8に合わせる。 いつもなら朝の挨拶をするはずの番組がやっているはずだったのだが、夕方のニュースを放映していた。 どうやら、僕は昨晩、泥酔して眠ったせいか時計を二回りして20時間以上、昏睡していたらしい。明日が何もない、完全に予定が空白の日でよかった。 擦り減ら去られた過去たちが、僕をあざ笑っているような気がした。少なくとも、僕が眠り潰した過去20時間ほどは、この馬鹿め、と大笑いしているに違いない。 さて、どうしようかと考えた。 僕はマトモな食事を摂ることをなんとなく嫌がった。その代わり、冷蔵庫から出したのはラガーの小瓶だ。緑色をしていて、きんと冷えた中身が透けて見える。 金属製の栓抜きを使い、王冠を外す。こんなものにもコレクターがいるんだな、なんて手で弄びながら、僕はソファーの前のテーブルに置いた。 次に手に取ったのは、もちろんギターだ。しかし、いくら防音設備がそれなりのアパートだと言えども、さすがにこの時間からギターを弾いていては周りに迷惑になる。なので、高校生のときに使っていたおもちゃみたいなポータブルアンプを出してきて、ヘッドホンに繋げた。 懐かしいな、と、素直に思う。 斬、と刻めばどこの弦がどうなっているのか、すぐにわかる。調律をして、ひとつ、ふたつ、刻んで――僕が一番最初に、作った曲を歌ってみる。 荒々しいコード進行。世間にむかっ腹を立てた歌詞。粗暴な旋律。 ああ、若いあのときの心が思い出される。 明日も見えないような深夜に、歌声は部屋に響く。 昔もこうして、部屋で必死に譜面に文字や記号を書き込んでは消し、あの子に笑われたっけ。 過去も未来も嫌いな僕のことを、好きだった彼女。 僕の過去を、未来を、受け入れてひとつになろうと言ってくれた彼女。 懐かしいついでに、彼女と一回だけ交換したアドレスにメールを出してみる。もう取得することのできない、ドメインの化石のようなアドレスだ。 返事なんか返ってこないだろう。そうは思ったが、今の電話番号を併記して、メールを送信した。 今時、プライベートでメールなんて。 そう思いながらラガーを一口あおる。それを飲み込む前に、携帯電話が震えた。 え、と口から零れた。メールではない。まさかの、電話だ。 ラガーのものとは違う泡を喰って電話に出ると、それは例の彼女からのものだった。 変わらない声。変わらない口調。 見捨てたくせにと嘆かれたり、救ってくれと泣きわめいたり。あの日々と同じだ。未来と過去を信じていた、栄光の道を歩んでいた頃。 歌って、と彼女は言った。わかったよ、と僕は言った。 アンプが無いから音は小さいが、スピーカー受話にすれば電話口に届くだろう。 歌い終わった後、彼女はそっと言った。 あなたと会えてよかった。 僕はその意味がよくわからなかった。けれど、僕も同じ感想を持った。 ああ、そうか。 未来も過去も、嫌いでいいんじゃないか。 君という、小さな光があれば。 不甲斐ないこの僕、たった一人だけでは、こんなに小さな光でも見つからなかった。「ねえ、好きだよ」 僕は言った。 返事は、要らない。 もう――結果は、知っているから。原作 金森璋「六弦」https://twitter.com/akillernovelsoffvocal→https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyrics 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 前バ! https://twitter.com/maeba865
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2021/04/22(木) 20:00
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「夜桜」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
「夜桜」 春、疾風が吹く。黄昏から宵に至る風は強い。空を見ても月はなく、辺りは暗い。星明りと、家々から洩れるほんの少しの明りだけが、頼りだ。 そんな中、涙とともに桜を散らす。 どれだけ泣いたって変わりはしない。だからいっそ、嘆く声を殺し、彼の人を思う。 彼の人は、英雄になるはずだった。先の大乱で、「素晴らしい成績」を残したにもかかわらず、「多くの人を殺した鬼」として幽閉されてしまった。 幽閉されてしまった彼の運命には、ただの良家のお嬢様である私には抗うことすらできない。 暗い暗い、闇の中は静かで、そこに咲く桜は美しい。 思い切り声を出してみたいと思った。しかし、この声は届かないと、もう、識っている。 霞の中で桜が舞っている。温い空気と花の香りが混じる春荒れの中、私は立ち尽くした侭、独りきりで貴方のことを待った。 桜の花に色めく夜。遠いところで花の宴の音も聞こえる。けれど、私は独りだ。 泡沫のように時間は刻々と過ぎていく。薄紅は狂ったように舞い踊る。待てども待てども、此処に貴方が来ることは無い。 丹色が、あの人の頭の中にこびりついていることだろう。どれだけ、人を殺めたのだろうか。私には想像もつかない。けれど、永遠に幽閉されるだけのことを犯したのだろう。ならばきっと、私のあげた紺碧の守り石さえも色あせてしまっただろう。 夜明けが遠ざかっていく夜に、私は彼の人が幽閉されているという建物の入口に立ってみた。門番がいる。私の気配には気が付いていないらしい。 たったこれだけの扉のせいで。恨んでも、開かぬことに変わりはない。 春の夜中に、ひとことだけ問うた。「ねえ、どうして」それに応えなどなく、顔を臥せることしかできない。 想いはまだ伝えきれていない。実るどころか、花すらも咲いていない。 ――もう、泣くことはやめよう。 涙を呑み、暗い空を見上げた。 さあ、全てを灰燼に帰そう。 薄暗い、まだ明けさえもしていない夜の中。桜の花が三月の終わりを染め上げる。 幾星霜、貴方を想わない日は無かった。それでもまだ、逢えない。逢えないけれど、それでも。 想い続け、行動すれば、変わる。 それも、識っている。 春疾風が吹き終わる。夜は逆巻き、夜明けを呼び起こす。 月のない夜に、桜の花を血で濡らす。 悲鳴に色めく夜。泡沫の刻に私は、狂う。 この狂った世の中を変えるために、私が狂おう。そうして、貴方に逢えるというのなら。 この塀の向こうに、あなたはいるのだろう。「もうすぐ逢える」 そのときには、まだ、夜は明けていないはずだ。 雲の隙間から、春の薄い月が照らし、辺りの惨劇を明るくする。 その中に――Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirection みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 粉蜜めま https://twitter.com/in_dreams127
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2021/04/22(木) 20:00
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「幽庵」feat.vflower【残響レコードボカロ制作部】
これは、どんな悪夢だ。 どうかこれは、夢であってほしい。そう、願うことしかできない。 何故、私の胸の中で愛する人が命を失っているのか。 何故、私の腕の中であたたかな光が失われていくのか。 理解ができない。理解したくない。理解できない。 あまりの惨劇に、私は空を見る。 空には弧月が輝いている。しかし、それ以上に恐ろしいものが舞い散り、輝いている。――火花 木片や水滴を弾き燻らせる音を立てながら、私達の周りの花畑を囲いこんで浸食している。 私もこの中で、と。嫌な想像が頭に巡る。「ねえ、起きてよ」 私は脱力した恋人の身体をゆする。恋人の胸には深々と短刀が刺さっている。これを抜かない限り、心臓は動きを始められないが、抜いた瞬間に赤が飛び散るだろう。 ああ、私は大切なものを喪ったのだ。 やっと理解し始めた。それでもまだ信じられない。 これは迷夢なんじゃないのか。 まだそんなことを思っている。 どんどんと炎は浸食していく。 それなのに私は動けない。この人を置いていくわけにはいかない。 この人を置いていくくらいなら、私は、いっそ。 轟―― 音が大きくなって、一層、火の粉が空を舞う。 もう助けを乞うだけの気持ちは残っていない。 でも、恋人は言ったのだ。 私に「生きろ」と。 どうして、と問うても、あなたは笑うだけだった。きっと、この終わりをわかっていたのだ。 私は、あなたを喪った世界で生きていけるだろうか。 そんな運命を、受け入れられるだろうか。 泣き疲れてしまった。私は、もう、泣くのをやめたくなってきた。けれど、心の奥から涙が溢れて止まらないのだ。 子供のようだ、と、自分でも思う。まるで、己の楽園を壊された子供のようだと。 俯けば、あなたの顔が目に入る。 仰向けば、紅い夜空が目に入る。 どちらを見ても、地獄だった。 何も見たくない。 そう思って、目を閉じた。 とくん。 心音が響く。私は、生きているのだ。まだ生きているのだ。 生きるというのは残酷だ。嫌な運命を背負っていかなくてはならないから。 どうせ、生きなければならないのなら、こんな記憶たちをここに棄てていってしまえたら。 そう思っても、実行なんてできるはずがない。 あなたとの思い出は、この脳髄に染み渡り、抜けようものなら私はからっぽになってしまうから。「ねえ、起きてよ」 涙が枯れかけ、声もしゃがれて。それでも、私は諦めることができなかった。 どんどんと、恋人は冷たくなっていく。甲冑の隙間から、命が零れ落ちていく。 また私の瞳から、涙が零れ落ちていく。どれだけ、私が涙を流しても、恋人の命を埋めることはできない。 どれくらい、時間が経っただろうか。 私がふと、上を向いたとき。 一滴の雫が私の顔に落ちた。 朝つゆが、私の肌を濡らしたのだ。 気が付けば、朝が来ていた。 一晩中、泣き明かして。それなのにまだ、未練がましく恋人を抱きしめている。 桜が、そばにあることに気が付いた。紅い花ばかりだと思っていたが、それは炎のせいで、実際は薄紅の花も舞っていたらしい。 幹は少し焦げている。枝も、じりりと傷んでいる。 けれど、凛と立つことをやめていない。「私も――」 そっと、恋人のことを腕から下ろした。桜の樹の下に、寝かせる。 短刀を抜き捨てても、もう赤色は流れださなかった。私が着けていたペンダントを握らせて、少しの間、祈る。 どうか、この人にも安寧を。 私は歩き出す。 弱々しい足取り。だが、一歩ずつ、歩く。 兎角、歩き出さなければならない。 私はここに――二度と、帰れない。原作 金森璋「幽庵」Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirection みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124Movie Rerere
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2021/04/21(水) 20:00
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平田勇也「砂礫」【シアーミュージック×残響レコードボカロ制作部】
原曲 「砂礫 feat.vflower【残響レコードボカロ制作部】」https://nico.ms/so38534831歌 平田勇也https://twitter.com/hirata_mivhttps://www.youtube.com/channel/UCN3eEyhclIZLe6nTl4fPSmwhttps://www.youtube.com/channel/UCFUuEDnQ62eHXBCP7MXBcsQ「冷えますね、夜は」 その人はいつの間にか、そこにいた。 驚いて声も出せずにいると、その人はにっこりと笑った。「ああ、いえ、驚かすつもりはありませんでした。本当ですよ、信じてください」 そう言って、その人は僕のことをなだめた。 ハスキーな声は女性のように思えるし、透き通った声は男性のようにも思えた。 顔に時折、刻まれる笑みでできるしわは年齢を感じさせるし、張りのある肌と艶のある髪は若々しさを感じさせた。 しかし、ぼくはそんなところに対して驚いたのではない。 ここは、〈砂漠〉なのだ。 何もかもを飲み込む砂の濁流。それも、夜になれば酷く狂暴な翼竜族や大型歩行獣などが現れるような砂漠だ。 乗り越えることは困難で、ときに咎人がこの砂漠の端に捨てられるようなことさえあるくらいだ。 それなのに、何故?「ははは、すみません。言えないんですよ。私には〈名前が無い〉ので」 名前がない……。 そんな人物がいるのだろうか。僕はさらに疑わしくなって、いぶかしげな表情でその人のことを見る。 その人は、旅人にしては装飾の多い服を着ているが、それらが薄汚れているのを見るとここまで旅してきたというのも本当なのだろう。「あなたは、どうしてここに?」 僕は、この場所にとある少女を探しに来たのだと言った。 罪も咎も犯したことのない、無垢な少女――僕の妹。 彼女を探すために、ここまで、幾度となく危険にさらされようとも旅を続けている。 そう説明した。「それは、文字通り砂漠の中から一本の針を見つけるようなものなのではないでしょうか」 そうかもしれない。けれど探さないという選択はないのだ。「なるほど。――では、この砂時計はあなたに相応しいものかと」 言って、その人はひとつの砂時計を出してきた。 砂は、紅い。錆のような色。濁った鉄のような色。 綺麗という印象は持たなかった。粒も大きく、さらさらとはしていない。けれど何故か目を離せなくなった。「素敵でしょう。とある少女のものです」 とある、とは。「少しお話をしなくてはなりませんかね――――この場所に、数年前。もっと昔かもしれません。ある少女が贄として捧げられました。 その少女に名前を問うと『そんなものは要らない』とそっけなく言いました。 どうしてそんなことを言うの、と問うと『そんなことは知らない』と突っぱねるように言いました。 少女は私に心を開いてくれなかったのです。どうしてか、心を歪めてしまっていたのです。 どうしてそんなに歪んでいるの、と聞いたらば。『ヒズンデイルのはアナタのほうでしょ?』 と、異国の訛りが混じった言葉を口にしました。それが最初で最後の〈意思の疎通〉でした。 その日から少女は徐々に壊れていきました。 何もさせないことが苦痛のようでした。 何もされないことが悲劇のようでした。 食べられないことが不思議なようでした。 呑まれないことが不可思議なようでした。 それも、そうでしょうね。何故なら――私が、こんな姿だから」 そこまで言うと、その人は大きく姿を変えた。 とかげのような尻尾が長く伸び、刺々しい四肢が生え、口が狼の口のように割れる。 見る間に、その人はこの砂漠の中で何よりも危険な翼竜に姿を変えた。「――――――……!」 大きな、咆哮を上げる。 ああ、そうか。さっきの少女が誰か、なんて。うすうす感づいていた。 見覚えがあったはずだ。あの色は、確実に彼女の身体の中に流れていたはずじゃないか。 僕の、妹の中に。 翼竜は翼を羽撃かせ、僕を睨む。 剣を構えた。構えただけだった。次の瞬間、に、は、もう…… ごめんね、××× 翼竜の腹に呑まれるその瞬間。 最後に喧嘩をしたあの日の涙とは違う滴を、瞳から流した。金森璋「砂礫」 https://twitter.com/akillernovelsoffvocal→https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124Movie Rerere
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2021/04/21(水) 20:00
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小林優奈「灰になる」【残響レコードボカロ制作部】
原曲 「灰になる」 feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】https://nico.ms/so38587612歌唱 小林優奈https://nana-music.com/users/623023https://www.youtube.com/channel/UCirvC7c2KRXF_x3MoShBrow「灰になる」 君の欠けらはちっぽけだ。 僕は納棺された彼を見送った。 納骨は家族だけで、と言われてしまい、僕は締め出されて葬儀場の外にいる。 あとほんの少しだけ早く見つかっていたら、助かっていたかもしれないと。そう聞いた。それほどに病気の進行状態は微妙で、手術も難しいものだと聞いた。 結果、開けてみたら中は大惨事。無事なものを見つけるほうが難しいくらいだったらしい。 彼は、僕の大好きな友人であり戦友であり好敵手であり――恋人だ。 結婚ができない二人を果たして恋人というくくりで結んでいいのかという問いかけは今でも老人たちの害ある論争としてあるけれど、僕と彼は、いつでも手をつないで笑い合う仲だった。 僕たちの結びつきを切り離したのは論争でも思想でもない。病魔だった。 家族だけで、と言われたとき、僕はあまりの悲しさに自分が崩れ落ちてしまうかと思った。 いつもそうだ。 入院の時も。 絶命の時も。 退院の時も。 納骨の時も。 僕はいつだって彼から引きはがされる。 絶命の瞬間に、立ち会えないことが一番、辛かった。彼の中の21gのことを、見送ることすらできないのだ。 雲ひとつない、五月晴れの空に煙が昇っていく。見上げると、陽光が僕の視界を遮った。 太陽でさえも僕のことを嘲笑い、彼との思い出を奪っていく。 桜を見れたら素敵なことだね、と話したのはもう一か月以上前のことなのか、と。絶望に似た感情を抱く。 最後に意識を持って話したのは、そのときじゃないだろうか。 彼は、言った。「俺を、海に還してほしい」 そう、言った。 この街は海が近い。切り立った山に囲まれ、少ない平地に人々が暮らし、そのすぐ東側は海の岸壁や砂浜が広がっている。そんな街だ。 海に辿り着くことに不自由はしない。 どうして、と問いかけた。僕は、ずっと彼を手元に置いておきたい。可能ならば、彼の遺骨を僕の棺に入れてほしいくらいだ、と考えていた。 けれど、彼は。「俺はもっと、いろんな場所を見たかったから。お前と、一緒に見たかったから。海や風になったら、叶うかもしれないだろ。だから」 にこりと笑った顔は細くやつれていたが、確かに彼のものだった。 だから、僕は決意した。 手に渡されたのは、小さなカプセル状の遺骨入れだ。本来であれば身に着けておくのを前提として作られているのか、酷く小さい。 ありがとうございます、と伝えたが、彼の親類である老婆は気味悪そうな顔をして去っていった。 僕にとっては、それくらいが好都合だ。 暑苦しいスーツを脱いで右肩にひっかけ、黒いネクタイをゆるめる。 このまま東にぶらりと歩けば、彼の望んだ海に着く。 嫌だな、と。素直に思った。なるだけゆっくり歩いた。 死人に口なし、と言うくらいなのだから、彼の言うことなど聞かずこのままこの遺骨入れを、肌身離さず持っていようかとも考えた。 でも、そんなことを、彼は望まないから。 よく、ここに釣りに来ていた。革靴と靴下を脱いで、スーツとともに置き去りにする。スラックスの裾を無理やりまくって、岸壁を降りる。テトラポッドをいくつか渡れば、海面にごくごく近い場所までたどり着ける。 僕は、そっと遺骨入れから『彼』を取り出した。 手に乗せて、香りを嗅ぐ。 君がよく着けていた香水の香りが、したような気がした。きっとそれは幻覚だろう。 ちょっと焦げた香りが、風に溶けていく。 手に乗せていた『彼』を、風と、波の間にさらりと落とした。 ああ、言わなくちゃならないな。 君に会いに行くのは、まだもう少し先だから。 だから、今は――――さよなら。原作 金森璋「灰になる」Produce 残響レコードボカロ制作部Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 前バ! https://twitter.com/maeba865Movie ササオカ https://www.instagram.com/kakiko_kakikakiko/
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2021/04/20(火) 20:00
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「灰になる」feat.vflower【残響レコードボカロ制作部】
「小林優奈」さん歌唱版→https://nico.ms/so38609246「灰になる」 君の欠けらはちっぽけだ。 僕は納棺された彼を見送った。 納骨は家族だけで、と言われてしまい、僕は締め出されて葬儀場の外にいる。 あとほんの少しだけ早く見つかっていたら、助かっていたかもしれないと。そう聞いた。それほどに病気の進行状態は微妙で、手術も難しいものだと聞いた。 結果、開けてみたら中は大惨事。無事なものを見つけるほうが難しいくらいだったらしい。 彼は、僕の大好きな友人であり戦友であり好敵手であり――恋人だ。 結婚ができない二人を果たして恋人というくくりで結んでいいのかという問いかけは今でも老人たちの害ある論争としてあるけれど、僕と彼は、いつでも手をつないで笑い合う仲だった。 僕たちの結びつきを切り離したのは論争でも思想でもない。病魔だった。 家族だけで、と言われたとき、僕はあまりの悲しさに自分が崩れ落ちてしまうかと思った。 いつもそうだ。 入院の時も。 絶命の時も。 退院の時も。 納骨の時も。 僕はいつだって彼から引きはがされる。 絶命の瞬間に、立ち会えないことが一番、辛かった。彼の中の21gのことを、見送ることすらできないのだ。 雲ひとつない、五月晴れの空に煙が昇っていく。見上げると、陽光が僕の視界を遮った。 太陽でさえも僕のことを嘲笑い、彼との思い出を奪っていく。 桜を見れたら素敵なことだね、と話したのはもう一か月以上前のことなのか、と。絶望に似た感情を抱く。 最後に意識を持って話したのは、そのときじゃないだろうか。 彼は、言った。「俺を、海に還してほしい」 そう、言った。 この街は海が近い。切り立った山に囲まれ、少ない平地に人々が暮らし、そのすぐ東側は海の岸壁や砂浜が広がっている。そんな街だ。 海に辿り着くことに不自由はしない。 どうして、と問いかけた。僕は、ずっと彼を手元に置いておきたい。可能ならば、彼の遺骨を僕の棺に入れてほしいくらいだ、と考えていた。 けれど、彼は。「俺はもっと、いろんな場所を見たかったから。お前と、一緒に見たかったから。海や風になったら、叶うかもしれないだろ。だから」 にこりと笑った顔は細くやつれていたが、確かに彼のものだった。 だから、僕は決意した。 手に渡されたのは、小さなカプセル状の遺骨入れだ。本来であれば身に着けておくのを前提として作られているのか、酷く小さい。 ありがとうございます、と伝えたが、彼の親類である老婆は気味悪そうな顔をして去っていった。 僕にとっては、それくらいが好都合だ。 暑苦しいスーツを脱いで右肩にひっかけ、黒いネクタイをゆるめる。 このまま東にぶらりと歩けば、彼の望んだ海に着く。 嫌だな、と。素直に思った。なるだけゆっくり歩いた。 死人に口なし、と言うくらいなのだから、彼の言うことなど聞かずこのままこの遺骨入れを、肌身離さず持っていようかとも考えた。 でも、そんなことを、彼は望まないから。 よく、ここに釣りに来ていた。革靴と靴下を脱いで、スーツとともに置き去りにする。スラックスの裾を無理やりまくって、岸壁を降りる。テトラポッドをいくつか渡れば、海面にごくごく近い場所までたどり着ける。 僕は、そっと遺骨入れから『彼』を取り出した。 手に乗せて、香りを嗅ぐ。 君がよく着けていた香水の香りが、したような気がした。きっとそれは幻覚だろう。 ちょっと焦げた香りが、風に溶けていく。 手に乗せていた『彼』を、風と、波の間にさらりと落とした。 ああ、言わなくちゃならないな。 君に会いに行くのは、まだもう少し先だから。 だから、今は――――さよなら。原作 金森璋「灰になる」Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirection みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 前バ! https://twitter.com/maeba865Movie ササオカ https://www.instagram.com/kakiko_kakikakiko/
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2021/04/20(火) 20:00
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平田勇也「六弦」【シアーミュージック×残響レコードボカロ制作部】
原曲 六弦 feat.vflower【残響レコードボカロ制作部】歌 平田勇也https://twitter.com/hirata_mivhttps://www.youtube.com/channel/UCN3eEyhclIZLe6nTl4fPSmwhttps://www.youtube.com/channel/UCFUuEDnQ62eHXBCP7MXBcsQ過去も未来も、大嫌いだ。 見捨てたくせにと嘆かれたり、救ってくれと泣きわめいたり。どちらにせよ、僕はそんなものたちに興味は無い。 否――関心くらいは、あった。 かつて僕はミュージシャンになりたい子供であったし、未来には本当にミュージシャンになりたいと思っている。 けれど、過去にも未来にも嫌われているし、嫌っている。 現在を見ろ。現在を見てみろ。こんな、くだらない日常に、毎日に浸って。 朝起きて、学校に行って、帰ってきて、食事と睡眠をとって、の繰り返し。 こんなんじゃ、夢なんて叶いっこない。叶える努力ができていないんだから、当たり前だ。 たったひとつの夢さえも、小さな光さえも、掴めない。 それでも、僕は六弦を抱くことをやめなかった。 六弦だけが、僕を認めてくれるのだ。問いかければ、正しい音で返してくれるのだ。 それに合わせてデタラメに歌ってみると、それだけで心が軽くなるような気がした。 夢を叶えるなんて、後でいい。 今は、独りでこいつと一緒にいられればいい。 今日もまた、起きる。 ほんの少し先で僕を手招いてる未来を睨みつけ、ベッドから起き上がる。 朝の六時だ。僕は枕元のアナログ時計を見てそう思う。 朝食替わりにゼリー飲料を飲みながら、テレビのチャンネルを8に合わせる。 いつもなら朝の挨拶をするはずの番組がやっているはずだったのだが、夕方のニュースを放映していた。 どうやら、僕は昨晩、泥酔して眠ったせいか時計を二回りして20時間以上、昏睡していたらしい。明日が何もない、完全に予定が空白の日でよかった。 擦り減ら去られた過去たちが、僕をあざ笑っているような気がした。少なくとも、僕が眠り潰した過去20時間ほどは、この馬鹿め、と大笑いしているに違いない。 さて、どうしようかと考えた。 僕はマトモな食事を摂ることをなんとなく嫌がった。その代わり、冷蔵庫から出したのはラガーの小瓶だ。緑色をしていて、きんと冷えた中身が透けて見える。 金属製の栓抜きを使い、王冠を外す。こんなものにもコレクターがいるんだな、なんて手で弄びながら、僕はソファーの前のテーブルに置いた。 次に手に取ったのは、もちろんギターだ。しかし、いくら防音設備がそれなりのアパートだと言えども、さすがにこの時間からギターを弾いていては周りに迷惑になる。なので、高校生のときに使っていたおもちゃみたいなポータブルアンプを出してきて、ヘッドホンに繋げた。 懐かしいな、と、素直に思う。 斬、と刻めばどこの弦がどうなっているのか、すぐにわかる。調律をして、ひとつ、ふたつ、刻んで――僕が一番最初に、作った曲を歌ってみる。 荒々しいコード進行。世間にむかっ腹を立てた歌詞。粗暴な旋律。 ああ、若いあのときの心が思い出される。 明日も見えないような深夜に、歌声は部屋に響く。 昔もこうして、部屋で必死に譜面に文字や記号を書き込んでは消し、あの子に笑われたっけ。 過去も未来も嫌いな僕のことを、好きだった彼女。 僕の過去を、未来を、受け入れてひとつになろうと言ってくれた彼女。 懐かしいついでに、彼女と一回だけ交換したアドレスにメールを出してみる。もう取得することのできない、ドメインの化石のようなアドレスだ。 返事なんか返ってこないだろう。そうは思ったが、今の電話番号を併記して、メールを送信した。 今時、プライベートでメールなんて。 そう思いながらラガーを一口あおる。それを飲み込む前に、携帯電話が震えた。 え、と口から零れた。メールではない。まさかの、電話だ。 ラガーのものとは違う泡を喰って電話に出ると、それは例の彼女からのものだった。 変わらない声。変わらない口調。 見捨てたくせにと嘆かれたり、救ってくれと泣きわめいたり。あの日々と同じだ。未来と過去を信じていた、栄光の道を歩んでいた頃。 歌って、と彼女は言った。わかったよ、と僕は言った。 アンプが無いから音は小さいが、スピーカー受話にすれば電話口に届くだろう。 歌い終わった後、彼女はそっと言った。 あなたと会えてよかった。 僕はその意味がよくわからなかった。けれど、僕も同じ感想を持った。 ああ、そうか。 未来も過去も、嫌いでいいんじゃないか。 君という、小さな光があれば。 不甲斐ないこの僕、たった一人だけでは、こんなに小さな光でも見つからなかった。「ねえ、好きだよ」 僕は言った。 返事は、要らない。 もう――結果は、知っているから。原作 金森璋「六弦」https://twitter.com/akillernovelsoffvocal→https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyrics 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 前バ! https://twitter.com/maeba865
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2021/04/19(月) 20:10
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「Playback」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】
たった今アップロードされた誰かの想い詰まった歌を世界最速で届けようあなただけの音が響くそう三角のマーク一つでいつでも会える奇跡キミが望んだ世界が今ここに480の壁を越えて僕らの世界は急接近だねどんなに近づいても変わらないキミにちょっとだけ驚いてみたり5Mbps通じてるかい?キミだけのシグナルをキャッチ1フレームだって見逃して欲しくはないからたった三角のマーク1つでボクらはまたキミに会えるんだ忘れもしないあの歌は今でもキミを待っている何十年前のボクも1秒前のボクもPlayBackそこにいるからいつでも呼んで1080の壁すら越えて僕らのビジョンにフォーカスオンどんなに近づいても変わらないキミにどこまで近づけるのかな?4.2G最速でみんなの想いをキャッチ1000フレーム越えたってこの曲はまだ続くのさたった三角のマーク1つでボクらはまたキミに会えるんだ忘れもしないあの歌は今でもキミを待っている何十年前のボクも1秒前のボクもPlayBackそこにいるからいつでも呼んでどれだけ月日が流れたとしても変わらない想いはそこにある楽しくなってしまうその歌も涙溢れてくるあの歌もその音全部ぜんぶあなたに届けたいんだよだから ほら Let's TAP!たった三角のマーク1つでボクらはまたキミに会えるんだ忘れてもあの歌は今でもキミを待っている何百年経ったって一つも変わらない想いPlayBackそこにいるからいつでもそばにいるから僕らを呼んで▼offvocalhttps://www.dropbox.com/sh/5o4vtovf92qr2vy/AAC3kOU4DvWfnw8nRk75upRPa?dl=0Produce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloDirection ピーナツバター校長https://twitter.com/peanutsbtterMusic SHAKE https://twitter.com/takekou1010Illustration あるてら https://twitter.com/TeraAru6262Movie Ramma Takahashi http://dengekizoo.net
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2021/04/19(月) 20:00
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無料 2:48
Riai「形骸」【残響レコードボカロ制作部】
原曲 「形骸」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】https://nico.ms/so38524511歌唱 Riaihttps://instagram.com/vo__riai「形骸」僕はどこにいるんだろう。 空っぽの空間の中で、そう思う。 実際には、空っぽなんかではない。駅前の雑踏の中を僕は歩いているし、頭の上では電子公告がうるさく鳴り響いている。 巨大な広告板では「はばたけ、未来」とかなんとか謳って、清涼飲料がPRされている。 僕の手にはその清涼飲料があった。なんだかそれを持っているのも馬鹿らしくなって、ぐいとあおって中身を空にして、駅構内のゴミ箱に叩き込んだ。 こんな、いつもの日常。『僕』の全てはこの中にあると言っていい。 だが、『僕』は『日常』の中にあるだろうか。例えば、僕が僕でなくなって、『存在X』なんかになったとする。そうしたら、『日常』ってやつは崩壊するのだろうか、それとも、そんなのお構いなしにありつづけるのだろうか。 駅のホームに立つと、電源の入っていないホームドアが虚しく並んでいた。まだ運用を始めていないようだ。もちろんだがドアは開けっ放しで、飛び込もうと思えば簡単に身を投げることができる。 通過電車が走り抜けるというアナウンスが流れ、僕たち人間は一歩、下がる。 その中で、たった一人だけ逆方向に動く人間がいた。 電車は容赦なく通り過ぎる。その人は『人』から『存在X』になり、生きることをやめる。 ひそひそとそれを非難する声や迷惑そうに苛立つ声があちこちから聞こえて、そのうち駅員の大声がそれらを切り裂く。 僕は、あーあ、とだけ呟いて。 何もしなかった。 教室に入ると、男子の集まりが雑誌を持ってぎゃあぎゃあと騒いでいた。 どうやら、めくったページに載っている娘の誰が好みなのか、という話で盛り上がっているらしい。 僕は遠巻きにそのページを見てみたが、どれもこれも同じ顔、同じような体型、同じような化粧――全く同一とは言えずとも、ほとんど同じと言って差し支えない。 その集まりに合流することなく、僕は自席に座る。 窓の外を見ると、何かの光が反射した。女子の持っているスマートフォンの画面のようだった。 反射している女子の姿をよく見ると、スマートフォンを指し、にやにやと笑っている。0と1で出来た電気信号はそんなに楽しいのだろうか。 そんな奴らにボーダーを引く。 僕はあんな奴らとは違うんだ。じっとりと横線は僕を見つめる。 間違った認知が、僕の中でまっすぐに立つ。 毎日、毎日、こんなことの繰り返しだ。何があっても、時計は進む。 どこでだって同じようなことが起こっているし、どこかでは起こっていないのだろう。 ああ、授業中だというのにうるさいなあ。 後ろを振り向くと、にやついた男子たちが僕を見ていた。 僕はすぐに右手を挙げて、講師に保健室に行きたいという旨を伝えた。またか、と言われたがすぐに許可された。 あんな奴らと同じ人間だと思われたくない。そう思いながら、保健室の鏡を覗く。 くたびれた制服に包まれた男子生徒がそこには立っていた。「お前は、誰だ」 口に出してみるが、応えることはない。虚像なのだから当たり前だ。「正解って、なんだろうな」 鏡から目を離して、自分の右手を見つめる。握って、開いて。また握る。 きちんと動作しているのだから、僕は『存在X』なんかではないのだろう。 つまり――僕は、僕だ。 僕は、ここにいるじゃないか。現実感を持って、事実を受け入れて、生きていけばいいじゃないか。「なあ、僕はここにいるだろう?」 鏡に映った僕は、何も答えなかった。原作 金森璋「形骸」オケ→ https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...Produce 残響レコードボカロ制作部Director みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124Movie Rerere
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2021/04/18(日) 20:00
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「ハートディストーション」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】
自分守るため 得意の愛想笑い沈黙貫いて「人見知り」それでいいの?たったワンステージ それだけで何が分かる?一人の人生だ 一瞬で語れるの?ほら まだ まだ まだ 死んでやしないだろ?その弦が錆びる前に 鳴らせ 君の音12インチを震わせろ 歪んだその心君がしたい事って何だ 問えよその心に見失ったら大混乱 明日はどっちだMy life is produce by me脚本なんてない自分のイメージを 他人に任せるな正しさなんてもの 誰一人持ってやしない人にすがるなよ 教科書なんてない想像する 未来の自分そこではもう人気者創造する 明日の自分取り戻せよ 理想をその弦が錆びる前に 鳴らせ 君の音12インチを震わせろ 歪んだその音で君がしたい事って何だ 問えよその心に見失ったら大混乱 明日はどっちだ迷うな永遠に▼offvocalhttps://www.dropbox.com/sh/nyt212h381drq90/AADaf1lSEmB83beIiU9QE8I7a?dl=0Produce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloDirection ピーナツバター校長https://twitter.com/peanutsbtterMusic SHAKE https://twitter.com/takekou1010Illustration ぐんじょう https://twitter.com/nanashnojoMovie First To Fighthttps://twitter.com/FTF_CLOTHINGhttps://firsttofight.jp/
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2021/04/18(日) 20:00
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小林優奈「銀雪」【残響レコードボカロ制作部】
原曲 「銀雪」 feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】https://nico.ms/so38587706歌唱 小林優奈https://nana-music.com/users/623023https://www.youtube.com/channel/UCirvC7c2KRXF_x3MoShBrow「銀雪」――凍った湖。 覗き込んだ僕の顔が、冷たい表情を映している。 朧月に照らされた、白い肌をしている、僕の表情。 霜が降り、雪が舞う。時折、月が隠される。 新しく降った雪をかき集め、手にすくって穴倉へ戻る。 ステンレスのカップに雪を詰め込んで、固形燃料を燃やしたスタンドにかけた。 こうでもしないと、飲み水すら手に入れられない。けれど僕にこの山を降るという選択はない。 もう残りがほんの少しになったチョコレートの欠けらを、一欠けだけアルミから取り出す。いくつ欠けらがあるのかをアルミの上から数え、ため息をついた。 果ての月――十二月。 その最後の日。 様々な思い出が駆け巡る。これは、走馬灯とも呼べるのではないか。 手がかじかんで、うまく字が書けない。これが人生の終結になるかもしれないのに。 僕が見つかるのは、もっともっと先、春が訪れ雪が溶ける頃だろうに。 それでもなんとか、彼女への最後の言葉を手帳へ書き込む。 ああ、助けは来ないだろうか。 湯が沸くまでの間に、また一歩、外へ身を出す。 足元に、凍った花が雪に沈んでいる。そっと、その花を手に取ろうと思った。 ――轟―― 風が吹く。僕の視界は六花に埋もれ、真っ白になってしまった。 白魔が、全てを攫っていく。こうして、せっかく小さく咲いた花でさえ、まっさらにしてしまうのだ。 あまりにも憎たらしくて、空を見上げる。紫黒。漆黒。ただひたすらに黒い空に、雪の花は咲く。 長い、長い夜。まだ、終わりそうにない。 もう、僕には明日すらもわからない。唯、独りこの場所で刻々と時を過ごすのだ。「なあ、どうして今なんだよ」 雪夜に問いかける。 どうして、こんなときに限って天候が荒れたのか。否、こんなときだから荒れたのか? わからない。明日すらわからないのに、そんなことがわかるもんか。 嫌気がさし、僕は穴倉の壁に背中を預けた。あまり、そういうことはすべきじゃない。体温を奪われるからだ。 こんなにも人間は弱い。 ああ、僕はここでゆっくりと命を削るのだ。何回も自覚を繰り返すたびに、悲しみが襲い、それに慄く。 愚かなことだと自分でも思う。 嘆き、慄くくらいなら来なければよかったじゃないか。 空の上には、北極星が光っているのだろう。夜の間は、頭上、真上にその星は現れる。 その輝きを思い出し、導かれ、また過去をなぞる。 穹窿は、ひたと黒く染まる。そこに、白妙の雪が舞う。 ふ、と。 暴風の音が止んだ。穴倉から顔を出してみる。――凛。 深更に、上月が覗いていた。 まだ雲は多いものの、しんと静まり返る雪の中に、琥珀に光る月が、覗いていた。「よかった」 これで、帰ることができる。 しかし、まだもう少しここにいることにしよう。どうせなら、あいつに会ってから帰る方がよさそうだ。 徐々に、明るくなっていく。暁闇が忍び寄ってくる。 東雲が雪嶺を侵していく。遠くに、日の出の気配がした。この時間を〈黄昏時〉の対義語として〈彼は誰時〉と呼ぶそうだ。 僕はバックパックに全ての荷物を包み込み、朝の分と思い取っておいたチョコレートをまた一欠け、口に放り込んだ。 美味い。素直に美味いと思えるのは、いつぶりのことだろうか。 一歩踏み出すと、掘り起こした雪が霜となり、ざく、と音を立てた。 ゴーグルをする前に、遠い空を見る。 一月一日。 ――初日の出が、僕を照らしていた。原作 金森璋「銀雪」Produce 残響レコードボカロ制作部Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyrics 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 前バ! https://twitter.com/maeba865
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2021/04/17(土) 20:00
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「Line of sight」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】
どこか遠く連れてってこの世じゃないとこへ今日のさよならは 二人だけの秘密ね生命(せいめい)が生きたいと叫ぶように火花散らす硝煙の香りが夜を彩る響かないメーデーと灯るネオンライトが見た誰かの大切がここでなくなる震えた 街の音が輝いた 流星のように傾いた 視界の中夢を見せてどこか遠く連れてってこの世じゃないとこへ今日のさよならは 二人だけの秘密ね君へめがけた最後を走馬灯がかける君がみた景色をわかりたくないのさ火を吹いた銃口がハートに火をつけた血を吹いた朦朧な感覚から来るレッドのサイン波インベーダー 簡単に見つけた君がいないからずっと静まった喧騒が時間を彷徨ったこれまでの詰め込んだ小さな荷物が極彩色ならさよならに少しも愛なんて無くていいの覗くレンズはまるでカレイドスコープで狙うあなたの笑みに少し似てる君の素敵な過去を 覗き見れたなら少し戸惑うわ 引き金を引くこと震えた 指先が力込めた いつものように幕を閉じた 君の未来 夢を見せて火花散らした最後に煙が曇らせるこれからは無いの明日の差し押さえどこか遠く連れてってこの世じゃないとこへ今日のさよならは 二人だけの秘密ね▼offvocalhttps://www.dropbox.com/sh/irm41ohve4n6jmk/AADDA2VsnYSHOwZvROnI0NGVa?dl=0Produce 残響レコードボカロ制作部https://twitter.com/zankyovocaloDirection ピーナツバター校長https://twitter.com/peanutsbtterIllustration がーこ https://twitter.com/Gaako_illusthttp://instagram.com/gaako_illustMovie 山田ななしhttps://twitter.com/774VT
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2021/04/17(土) 17:00
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「海中」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
ぽっかりと虚ろな記憶の空白。僕は、いつの間にか〈誰か〉のことを忘れてしまったらしい。否。忘れたかったからこんな場所にいるのではないだろうか。どうしても、なんとしても忘れたかった〈何か〉があるから、閉じ込めたい〈何か〉があるから――海の底に沈んだのではなかったか。ああ、それなのに〈誰か〉の顔が脳裏にこびりついて取れない。思い出そうとして〈誰か〉のことを考えると、それだけで頭痛がして息すらできなくなってしまう。苦しい。こんなに苦しいのだから、きっと思い出さない方がよいものなのだ。そう決め込んで、身体を丸める。海の底は、暗く、寒い。冷たい水がしんと身に染みて、骨のずいまで凍らせる。何故、僕がこんなところにいるのかは、なんとか思い出せる。〈誰か〉を追いかけてこの海に飛び込んだのだ。つまり、追いかけているものは〈誰か〉なのだが、同時に〈誰か〉に苦しめられているという二律背反にさいなまれているという体たらくなのだ。ふわり、と。羽が宙を舞うように泡沫が踊った。その中に、〈誰か〉の姿を見た気がした。――見たくない!そう思い、目をつぶった。けれど少しずつ、頭の中を浸食していく。もしも、君のことを。〈誰か〉である君のことを思い出せたのなら。この苦しみを溶かすことができるだろうか。ある日、僕は何か思い出せないだろうかと気分の悪さを噛み殺しながら、波の弾け散る白い水面を見ていた。真っ白な記憶の中を、探してみる。やはり何も思い出せない。君という存在は、僕の何だったのだろうか。暗い海の底は相変わらず寒い。泡の中に浮かぶ君の姿を、その瞳を見ていると、何か思い出せそうな気がする。それなのに、何も思い出せない。蘇ってくれ、こんなに苦しいのはもう嫌だ。大きな、音空に。花火が上がった。きらびやかな、花火。あまりに綺麗すぎて、言葉と思考を奪われた。その刹那の輝きに、どこかで君を感じた。ああ、そうだ。君ともこんな花火を見たっけ。ほんの少しの悪夢。悪夢だ。これは、悪夢なのだ。君は、もう。いないんじゃないか。酷く悲しかった。思い出したくなかった。また息が苦しくなる。涙が胸を締め付ける。深海の水よりも冷たい滴が溢れてくる。思い出しても、思い出さなくてもこんなに苦しいのであれば、思い出さなければよかった。君はどこにいってしまったんだろう。この、海の中にいるはずだ。どこに、どこにいるんだ。「ここだよ」そっと僕の頬に、あたたかい手が触れた。後ろから、まるで子供が自分が誰かを当てさせる遊びをするかのように触れられた。確信した――思い出した、君は。「やっと会えたね」にっこり笑った君は、僕とともにいたときと同じ顔をしていた。健康的だが、白い肌。長くのばされた美しい烏の濡れ羽の髪。淡い色なのに、印象がはっきりとした瞳。すべてが、君だ。僕の思い出にあるそのままの君が、そこにいた。「いっしょにいようね、ずっと」そうだね、と。僕は喜びのあまりに滲んだ視界の中で頷いた。徐々に、暗いばかりだと思っていた海の中が色付いていく。明るい、彩色に溢れた海の中は、まるで君と僕の楽園だ。ここで、君と僕はずっとずっといっしょにいるのだ。君と僕は、たとえまたこの海の中が暗くなっても、ずっといっしょにいるのだろう。二人で、思い出を重ね続けていくんだ。原作 金森璋「海中」offvocal→https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1ddpmidc/AAAdesTIBIqEktnkXdtCFOzra?dl=0Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirection みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124Movie Rerere
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2021/04/09(金) 17:36
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「砂礫」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
「冷えますね、夜は」 その人はいつの間にか、そこにいた。 驚いて声も出せずにいると、その人はにっこりと笑った。「ああ、いえ、驚かすつもりはありませんでした。本当ですよ、信じてください」 そう言って、その人は僕のことをなだめた。 ハスキーな声は女性のように思えるし、透き通った声は男性のようにも思えた。 顔に時折、刻まれる笑みでできるしわは年齢を感じさせるし、張りのある肌と艶のある髪は若々しさを感じさせた。 しかし、ぼくはそんなところに対して驚いたのではない。 ここは、〈砂漠〉なのだ。 何もかもを飲み込む砂の濁流。それも、夜になれば酷く狂暴な翼竜族や大型歩行獣などが現れるような砂漠だ。 乗り越えることは困難で、ときに咎人がこの砂漠の端に捨てられるようなことさえあるくらいだ。 それなのに、何故?「ははは、すみません。言えないんですよ。私には〈名前が無い〉ので」 名前がない……。 そんな人物がいるのだろうか。僕はさらに疑わしくなって、いぶかしげな表情でその人のことを見る。 その人は、旅人にしては装飾の多い服を着ているが、それらが薄汚れているのを見るとここまで旅してきたというのも本当なのだろう。「あなたは、どうしてここに?」 僕は、この場所にとある少女を探しに来たのだと言った。 罪も咎も犯したことのない、無垢な少女――僕の妹。 彼女を探すために、ここまで、幾度となく危険にさらされようとも旅を続けている。 そう説明した。「それは、文字通り砂漠の中から一本の針を見つけるようなものなのではないでしょうか」 そうかもしれない。けれど探さないという選択はないのだ。「なるほど。――では、この砂時計はあなたに相応しいものかと」 言って、その人はひとつの砂時計を出してきた。 砂は、紅い。錆のような色。濁った鉄のような色。 綺麗という印象は持たなかった。粒も大きく、さらさらとはしていない。けれど何故か目を離せなくなった。「素敵でしょう。とある少女のものです」 とある、とは。「少しお話をしなくてはなりませんかね――――この場所に、数年前。もっと昔かもしれません。ある少女が贄として捧げられました。 その少女に名前を問うと『そんなものは要らない』とそっけなく言いました。 どうしてそんなことを言うの、と問うと『そんなことは知らない』と突っぱねるように言いました。 少女は私に心を開いてくれなかったのです。どうしてか、心を歪めてしまっていたのです。 どうしてそんなに歪んでいるの、と聞いたらば。『ヒズンデイルのはアナタのほうでしょ?』 と、異国の訛りが混じった言葉を口にしました。それが最初で最後の〈意思の疎通〉でした。 その日から少女は徐々に壊れていきました。 何もさせないことが苦痛のようでした。 何もされないことが悲劇のようでした。 食べられないことが不思議なようでした。 呑まれないことが不可思議なようでした。 それも、そうでしょうね。何故なら――私が、こんな姿だから」 そこまで言うと、その人は大きく姿を変えた。 とかげのような尻尾が長く伸び、刺々しい四肢が生え、口が狼の口のように割れる。 見る間に、その人はこの砂漠の中で何よりも危険な翼竜に姿を変えた。「――――――……!」 大きな、咆哮を上げる。 ああ、そうか。さっきの少女が誰か、なんて。うすうす感づいていた。 見覚えがあったはずだ。あの色は、確実に彼女の身体の中に流れていたはずじゃないか。 僕の、妹の中に。 翼竜は翼を羽撃かせ、僕を睨む。 剣を構えた。構えただけだった。次の瞬間、に、は、もう…… ごめんね、××× 翼竜の腹に呑まれるその瞬間。 最後に喧嘩をしたあの日の涙とは違う滴を、瞳から流した。金森璋「砂礫」 https://twitter.com/akillernovelsoffvocal→https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124Movie RerereProduce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocalo
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2021/04/04(日) 18:25
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「六弦」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
過去も未来も、大嫌いだ。 見捨てたくせにと嘆かれたり、救ってくれと泣きわめいたり。どちらにせよ、僕はそんなものたちに興味は無い。 否――関心くらいは、あった。 かつて僕はミュージシャンになりたい子供であったし、未来には本当にミュージシャンになりたいと思っている。 けれど、過去にも未来にも嫌われているし、嫌っている。 現在を見ろ。現在を見てみろ。こんな、くだらない日常に、毎日に浸って。 朝起きて、学校に行って、帰ってきて、食事と睡眠をとって、の繰り返し。 こんなんじゃ、夢なんて叶いっこない。叶える努力ができていないんだから、当たり前だ。 たったひとつの夢さえも、小さな光さえも、掴めない。 それでも、僕は六弦を抱くことをやめなかった。 六弦だけが、僕を認めてくれるのだ。問いかければ、正しい音で返してくれるのだ。 それに合わせてデタラメに歌ってみると、それだけで心が軽くなるような気がした。 夢を叶えるなんて、後でいい。 今は、独りでこいつと一緒にいられればいい。 今日もまた、起きる。 ほんの少し先で僕を手招いてる未来を睨みつけ、ベッドから起き上がる。 朝の六時だ。僕は枕元のアナログ時計を見てそう思う。 朝食替わりにゼリー飲料を飲みながら、テレビのチャンネルを8に合わせる。 いつもなら朝の挨拶をするはずの番組がやっているはずだったのだが、夕方のニュースを放映していた。 どうやら、僕は昨晩、泥酔して眠ったせいか時計を二回りして20時間以上、昏睡していたらしい。明日が何もない、完全に予定が空白の日でよかった。 擦り減ら去られた過去たちが、僕をあざ笑っているような気がした。少なくとも、僕が眠り潰した過去20時間ほどは、この馬鹿め、と大笑いしているに違いない。 さて、どうしようかと考えた。 僕はマトモな食事を摂ることをなんとなく嫌がった。その代わり、冷蔵庫から出したのはラガーの小瓶だ。緑色をしていて、きんと冷えた中身が透けて見える。 金属製の栓抜きを使い、王冠を外す。こんなものにもコレクターがいるんだな、なんて手で弄びながら、僕はソファーの前のテーブルに置いた。 次に手に取ったのは、もちろんギターだ。しかし、いくら防音設備がそれなりのアパートだと言えども、さすがにこの時間からギターを弾いていては周りに迷惑になる。なので、高校生のときに使っていたおもちゃみたいなポータブルアンプを出してきて、ヘッドホンに繋げた。 懐かしいな、と、素直に思う。 斬、と刻めばどこの弦がどうなっているのか、すぐにわかる。調律をして、ひとつ、ふたつ、刻んで――僕が一番最初に、作った曲を歌ってみる。 荒々しいコード進行。世間にむかっ腹を立てた歌詞。粗暴な旋律。 ああ、若いあのときの心が思い出される。 明日も見えないような深夜に、歌声は部屋に響く。 昔もこうして、部屋で必死に譜面に文字や記号を書き込んでは消し、あの子に笑われたっけ。 過去も未来も嫌いな僕のことを、好きだった彼女。 僕の過去を、未来を、受け入れてひとつになろうと言ってくれた彼女。 懐かしいついでに、彼女と一回だけ交換したアドレスにメールを出してみる。もう取得することのできない、ドメインの化石のようなアドレスだ。 返事なんか返ってこないだろう。そうは思ったが、今の電話番号を併記して、メールを送信した。 今時、プライベートでメールなんて。 そう思いながらラガーを一口あおる。それを飲み込む前に、携帯電話が震えた。 え、と口から零れた。メールではない。まさかの、電話だ。 ラガーのものとは違う泡を喰って電話に出ると、それは例の彼女からのものだった。 変わらない声。変わらない口調。 見捨てたくせにと嘆かれたり、救ってくれと泣きわめいたり。あの日々と同じだ。未来と過去を信じていた、栄光の道を歩んでいた頃。 歌って、と彼女は言った。わかったよ、と僕は言った。 アンプが無いから音は小さいが、スピーカー受話にすれば電話口に届くだろう。 歌い終わった後、彼女はそっと言った。 あなたと会えてよかった。 僕はその意味がよくわからなかった。けれど、僕も同じ感想を持った。 ああ、そうか。 未来も過去も、嫌いでいいんじゃないか。 君という、小さな光があれば。 不甲斐ないこの僕、たった一人だけでは、こんなに小さな光でも見つからなかった。「ねえ、好きだよ」 僕は言った。 返事は、要らない。 もう――結果は、知っているから。原作 金森璋「六弦」https://twitter.com/akillernovelsoffvocal→https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirection みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyrics 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 前バ! https://twitter.com/maeba865
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2021/04/03(土) 17:40
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「形骸」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
僕はどこにいるんだろう。 空っぽの空間の中で、そう思う。 実際には、空っぽなんかではない。駅前の雑踏の中を僕は歩いているし、頭の上では電子公告がうるさく鳴り響いている。 巨大な広告板では「はばたけ、未来」とかなんとか謳って、清涼飲料がPRされている。 僕の手にはその清涼飲料があった。なんだかそれを持っているのも馬鹿らしくなって、ぐいとあおって中身を空にして、駅構内のゴミ箱に叩き込んだ。 こんな、いつもの日常。『僕』の全てはこの中にあると言っていい。 だが、『僕』は『日常』の中にあるだろうか。例えば、僕が僕でなくなって、『存在X』なんかになったとする。そうしたら、『日常』ってやつは崩壊するのだろうか、それとも、そんなのお構いなしにありつづけるのだろうか。 駅のホームに立つと、電源の入っていないホームドアが虚しく並んでいた。まだ運用を始めていないようだ。もちろんだがドアは開けっ放しで、飛び込もうと思えば簡単に身を投げることができる。 通過電車が走り抜けるというアナウンスが流れ、僕たち人間は一歩、下がる。 その中で、たった一人だけ逆方向に動く人間がいた。 電車は容赦なく通り過ぎる。その人は『人』から『存在X』になり、生きることをやめる。 ひそひそとそれを非難する声や迷惑そうに苛立つ声があちこちから聞こえて、そのうち駅員の大声がそれらを切り裂く。 僕は、あーあ、とだけ呟いて。 何もしなかった。 教室に入ると、男子の集まりが雑誌を持ってぎゃあぎゃあと騒いでいた。 どうやら、めくったページに載っている娘の誰が好みなのか、という話で盛り上がっているらしい。 僕は遠巻きにそのページを見てみたが、どれもこれも同じ顔、同じような体型、同じような化粧――全く同一とは言えずとも、ほとんど同じと言って差し支えない。 その集まりに合流することなく、僕は自席に座る。 窓の外を見ると、何かの光が反射した。女子の持っているスマートフォンの画面のようだった。 反射している女子の姿をよく見ると、スマートフォンを指し、にやにやと笑っている。0と1で出来た電気信号はそんなに楽しいのだろうか。 そんな奴らにボーダーを引く。 僕はあんな奴らとは違うんだ。じっとりと横線は僕を見つめる。 間違った認知が、僕の中でまっすぐに立つ。 毎日、毎日、こんなことの繰り返しだ。何があっても、時計は進む。 どこでだって同じようなことが起こっているし、どこかでは起こっていないのだろう。 ああ、授業中だというのにうるさいなあ。 後ろを振り向くと、にやついた男子たちが僕を見ていた。 僕はすぐに右手を挙げて、講師に保健室に行きたいという旨を伝えた。またか、と言われたがすぐに許可された。 あんな奴らと同じ人間だと思われたくない。そう思いながら、保健室の鏡を覗く。 くたびれた制服に包まれた男子生徒がそこには立っていた。「お前は、誰だ」 口に出してみるが、応えることはない。虚像なのだから当たり前だ。「正解って、なんだろうな」 鏡から目を離して、自分の右手を見つめる。握って、開いて。また握る。 きちんと動作しているのだから、僕は『存在X』なんかではないのだろう。 つまり――僕は、僕だ。 僕は、ここにいるじゃないか。現実感を持って、事実を受け入れて、生きていけばいいじゃないか。「なあ、僕はここにいるだろう?」 鏡に映った僕は、何も答えなかった。原作 金森璋「形骸」オケ→ https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocaloDirector みっどないと https://twitter.com/Midnight_DirLyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovelsIllustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124Movie Rerere
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2021/04/02(金) 18:08