理想の歯科衛生士像【DHブログ - Vol.5】
『本来の歯科衛生士業務の1つである「予防処置」』
歯科衛生士には、昭和23年に定められた、歯科疾患の予防及び口腔衛生の向上を図ることを目的とした歯科衛生士法業務があります。1つ目は予防処置、2つ目は診療補助業務、3つ目が保健指導業務です。一般歯科で歯科衛生士が日々行っている業務は、診療補助業務が中心です。最近は歯周治療を終えた方が、SPT(病状安定期)治療で歯科受診されるようになりまたが、この業務も診療補助業務の一つです。
SPT治療も大切な治療ですが、私は本来、歯科衛生士は予防処置業務で活躍できていなければならないと考えています。
しかしながら、予防処置には健康保険、国民保険等が適応にならないため、予防で歯科医院を受診される方は極わずかです。様々なメディアから、口腔と全身疾患の関連性についての情報を発信されています。また、国は8020運動や厄年歯科検診など、口腔ケアの重要性と歯科検診を促してはいますが、定期的に歯科検診されている方は限られています。実際、私の周囲にも歯科検診を何年も受けていない方は多くいます。
この現状を変えたい、何よりも歯科衛生士の本業である予防処置で世の中の方々に良い影響をもたらせたい、と思うのは私だけでしょうか・・・。
義父母の事、歯科診療所での苦い経験から、一人でも多くの方に口腔ケアから健康に興味関心を持って欲しく、昨年秋から『美腔®︎ケア習慣』を提唱しはじめました。美腔®︎とは、単にムシ歯や歯周病が無い、歯の揃った状態を指すのではありません。自分の口で食事ができる、仲間と会話ができる、笑顔が生まれる口腔を指します。これらを作り出す口腔ケアが美腔®︎ケアであり、そのケアを誰もが毎日行う歯磨き習慣のように習慣化していく事を、私は提唱し全国の方々に周知させたいのです。そして、誰もが朝の歯磨き習慣のように、毎朝美腔®︎ケア習慣の一つである、タントレーニング(舌回し運動)をする文化を作っていきたいのです。
タントレーニングでは、[話す], [食べる]に必要不可欠な舌を、舌骨を支えている筋肉が満遍なく動くように、様々な動きで舌を回していきます。既に咽せるなどの症状が出ている方が1週間、2週間とタントレーニングを継続していただくと、舌骨筋群が鍛えらてきて症状が緩和してくるのがよくわかります。同時に、歯科衛生士が行う口腔内から表情筋や舌骨筋群をストレッチしていく美腔®︎ケアを定期的に受けていただく事で、筋肉の強張りがほぐされ表情が豊かになるばかりか、口腔機能低下予防に繋がるのです。
歯科衛生士法の予防処置業務に、正常な口腔機能を維持させる口腔ケア及び口腔内からの舌骨筋群、表情筋ストレッチが義務付けられ、口腔ケアから健康を作り出す人々が増えていって欲しいと切望しています。
~素敵な私たちでありますように~
長岐 祐子
臨床に役立つ「患者教育」と「行動変容」
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