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  • 理想の歯科衛生士像【DHブログ - Vol.20】『歯科衛生士を育てたいけど時間もお金もかけられないと悩む院長先生』

    2020-03-09 20:00

    理想の歯科衛生士像【DHブログ - Vol.20
    『歯科衛生士を育てたいけど時間もお金もかけられないと悩む院長先生』

     ここ数年、院長先生から依頼される内容は「歯科衛生士教育」が多くなりました。とくに「直ぐに戦力になる歯科衛生士に育てて欲しい」、「新卒で4月から採用した歯科衛生士を、出来るだけ早い期間でSPTの患者を任せられるようにして欲しい」という要望なのです。歯科衛生士不足に悩む院長先生も多くいらっしゃるので、お気持ちはわかります。しかし、「院長のおっしゃる早い期間とはいつ頃ですか?」や「具体的にいつまでとお考えですか?」と尋ねると、「7月くらいには…」「3ヵ月は厳しいですかね…?」と現実的ではなく、厳しいことだととはわかっているのですが、神頼みであるかのように切願されます。

     昭和38年生まれの私たち世代は、何事も”先ずは石の上にも3年”という考えを持つ人が多く、最低でも3年間は同じ歯科医院に勤務することが必須で、歯周治療に携わる者としては5年間の修行が必要。さらに、一人前の歯科衛生士に育つには10年必要と言われていました。この年数にどんな根拠があるのか、私にはわかりませんが、社会人として働く事の意味や人間関係を学び理解させていくのには2~3年かかり、一人の患者の治癒形態をみていくには、最低5年はかかるという事だったと思います。

     そのような環境で働いてきた私には、数ヶ月で一人前に育成するには、当人のやる気と覚悟がないと成立しないと思ってしまいます。そして、育成に適切な環境も必要になると。
     大手企業のような3ヶ月間の新人研修を行うことができれば、受付業務や助手業務などの基礎業務までは定着させられますが、「SPTの患者を任せる」といった経験値による判断と責任が伴う業務については厳しいものがあります。さらに、それを「月に3日で3ヶ月」や「週1回のペース」では、基礎業務の定着すら難しくなります。

     確かに今は20年前に比べ、”ローリスクの患者をマニュアルに従って、歯科衛生士が時間内に検査やバイオフィルム除去が出来る”ように育てていくための期間は短くなったと思います。時代と共に万能な機器も導入され、また患者自体の口腔に関する健康意識も高まってきたため、ツールからの説明で理解され易くなったからです。このような現状から、歯科医院が設備投資をした上で新卒を3カ月間でSPT患者を時間内に診れるように育てて欲しいという気持ちはわからない訳ではないのです。

     新卒歯科衛生士は自分が一人で患者を診ていく不安を抱えながらも、1つ1つの業務を覚え、時間内に出来るようになる事に喜びを感じます。しかし、数年経つと「これでいいのかな…外科やインプラントオペを学びたいな」と次の成長を求めて、そのスキルを学べる場を探しはじめます。場合によっては他の歯科医院へ魅力感じ、退職を考える歯科衛生士もいます。ここまでは、向上心のある歯科衛生士としては自然な流れです。しかし、多くの医院側が過ちを犯してしまうのは、「とにかく30分で回せれば良い」というようにコマ扱いし、医院の売り上げのために歯科衛生士を使ってしまう事です。「人財」として適切な評価をしなくなってしまのです。

     さらにもう一つ。歯科衛生士が、医院の売上アップのキーパーソンと分かっていながら、「慢性疾患の予防対策は、毎日の規則正しい生活習慣の中にあり、それを指導していくのが歯科衛生士の役割である」というミッションを教えない、もしくはそもそも新卒歯科衛生士の人格形成に関わる教育を蔑ろかにしている院長先生もいるのです。(もちろん、全ての院長先生がそのような考えではなく、歯科衛生士を尊重している院長先生もいらっしゃいます。)

     多くの歯科医院が、歯科衛生士に慢性疾患を予防していくための患者教育が出来るようになる育成とマネジメント能力を身につけさせる教育を行い、「人財育成」に力をいれることで将来有望な歯科衛生士が育っていくと思います。また、そのような育成システムがある事を募集要項に記載することで、歯科衛生士からの求人問合せも増え人材不足の解消にも繋がるのではないでしょうか。

     知識と経験を身につけ、どんどん活躍したいと思いっている歯科衛生士はたくさんいます。そのような歯科衛生士を受け入れる環境(歯科医院)つくりが必要だと私は考えています。

    ~素敵な私たちでありますように~
    長岐 祐子

  • 理想の歯科衛生士像【DHブログ - Vol.19】『オンラインセミナー開講の理由と今後のセミナーの変化』

    2020-03-06 20:00

    理想の歯科衛生士像【DHブログ - Vol.19
    『オンラインセミナー開講の理由と今後のセミナーの変化』

     コロナウィルスの影響で、弊社も3月に企画していたセミナーはすべて中止しました。ますます猛威を奮うコロナウィルス感染に、4月のイベントやセミナーも中止になる可能性が出てきました。

     弊社は昨年7月にニコニコ動画に歯科衛生士,デンタルスタッフ向けの学習用チャンネル『学校では教わらない「患者教育」と「行動変容」』を開設しました。今までは毎日の隙間時間での学習用にと、動画投稿がメインでしたが、この状況を受け、急遽無料オンラインセミナーを開講しました。元々予定していたセミナーが前日に中止となり、すぐにオンラインセミナーを企画し、SNSで告知しました。
     SNSでしか告知ができなかったので、少ない人脈にしかお知らせができませんでした。そのため、オンラインセミナーに参加する方は5人前後と予想、10人いれば嬉しいと考えていました。そしていざスタートしてみると、なんと30人以上の方に視聴していただけました。SNSやインターネットに関することはあまり得意ではないですが、予想以上の反響に「これからはオンラインセミナーが主流だ」と確信しました。

     そもそも弊社がニコニコ動画でチャンネルを開設したのは、iPhoneやスマホ1台あれば、いつでもどこでも視聴でき、自分のライフスタイルに合わせて学習することができると考えたからです。
     弊社もセミナーを主催する立場で、地震や台風などの自然災害、交通機関の遅れ、突然の家族の怪我や病気などから、やむなくセミナーへの参加をキャンセルされるケースを多々経験してきました。私自身も、10年前に”イエテボリ大学10日間研修”という長年の夢であった海外研修を、夫の突然の下血で緊急手術で参加をキャンセルした経験があります。何より夫の命が大事ですから、海外研修に行けなかったことへの悔しさはないのですが、前日のキャンセルだったため返金は認められず、研修参加費100万が全額戻らなかったことは大きな痛手でした。オンラインセミナーは自宅で参加できるので、交通費や宿泊費の手配が必要ありません。キャンセル費などのリスク回避が出来るのです。

     YouTubeと違ってニコニコ動画はアカウント登録をしなければ視聴できません。さらに無料枠と有料枠があり、有料枠を視聴するにはチャンネルの会員登録が必要になります。YouTubeより少し敷居が高いです。そのため、手続きを経て会員になっていただいた方は、”意識の高い勉強家”だと思います。このような意識の高い人達が集まったコミュニティでは、たくさんの刺激をもらうことができます。そしてただ切磋琢磨し合うだけでなく、一緒に新しいチャレンジが出来るコミュニティになっていくと考えています。
     まだまだ不慣れでわかりにくい動画もありますが、今月のオンラインセミナーは無料ですので、ぜひオンラインセミナーを体感してみてください。私自身もわかりやすく伝えられるように精進します。一緒に学び成長していきましょう。

    ~素敵な私たちでありますように~
    長岐 祐子

  • 理想の歯科衛生士像【DHブログ - Vol.18】『時代と共に変わる歯科衛生士に求められる能力』

    2020-03-02 20:00

    理想の歯科衛生士像【DHブログ - Vol.18
    『時代と共に変わる歯科衛生士に求められる能力』

     時代と共に歯科衛生士の業務も、私の仕事内容も変化してきています。今回は、その変化を少し振り返ります。

     2000年、インプラントオペの介助が花形になりつつある中で、私は歯周治療に携われる歯科衛生士になりたくて、秋田市から千葉市まで歯周病専門医のクリニックに月数回通始めました。当時は歯周治療を得意とする歯科衛生士が少ないことから、「スタッフにSRPを教えて欲しい」とうニーズがありました。また、ハンドスケーラーでの手技が主流でしたが、私はハンドスケーラーへの苦手意識から、超音波スケーラー発売と同時にその使い方について独学で学びはじめました。

     2005年以降はヘルスケア研究会に所属していた先生ヘルスケア認定歯科衛生士を頂いた経緯もあり、初診時のサリバテスト導入からメインテナンスに移行していくシステム構築を求められる事が多くなりました。

     2008年には、念願の歯周病認定歯科衛生士を修得しました。同時にインプラント認定も修得していたので、「うちの歯科衛生士にも認定を取らせたい」と認定修得のサポート依頼もくるようになりました。この頃から超音波スケーラーの有効性が認められるようなり、私の指導も「超音波スケーラーの活用方法」へと変わっていきました。

     2011年、会社を設立してからは歯科衛生士としてのスキルよりも、「スタッフのモチベーションを上げて欲しい」というような、スタッフ教育全般に関わるニーズが多くなってきました。今までは、スタッフのことを「うちの女の子たち」と呼ぶ院長先生がいたのですが、この頃からはそのような言い方をする院長先生は少なくなってきました。そして、今まで歯科医師の指示の元で動いてきた歯科衛生士に主体性を持たせたい、意欲的に働いてもらいたい、なんとかスタッフのモチベーションアップのサポートして欲しいというようなニーズに変わってきたのです。

     この頃でしょうか、コンサルタントの方々が歯科界にも介入しはじめたのは。その影響からか、売上目標の具体的な数字を考えたり、診療報酬や自費補綴契約も増やしていくことを考える歯科医院が増えてきました。スタッフの役割分担が明確になり、トリートメントコーディネーターの育成にも関わるようになりました。

     2018年は保険改定に伴いSPT算定が導入され、「歯周治療の構築」と「SPT/メインテナンスの指導をして欲しい」と依頼内容が変わってきました。歯科医院はかかりつけ歯科医院として長期的に患者と関わっていくスタンスとなり、医院に歯科衛生士がいなければならない成り立たないくらい重要なポジションになってきたのです。

     そして2020年4月以降の保険改定で歯周病重度化予防治療が導入されたのであれば、医院に来院する半分以上の患者は、歯科衛生士が携わる歯周治療と予防処置(施術)を求めてくるでしょう。今後どのような歯科衛生士が必要で、どのように育成していけば良いのか、歯科医院経営者は考えはじめていると思います。

     歯科衛生士として30年以上、そして今は会社経営者としての経験を得てきた私には、今後どのような歯科衛生士が必要なのか、どのような育成が必要になるのか、その答えが見えてきています。まず1つに、歯科衛生士の質の高い施術トレーニングとマネジメント教育は必須。

     私自身もまだまだ学びが必要なので、1人でも多くの歯科衛生士と共に学びを共有していければと願っています。

    ~素敵な私たちでありますように~
    長岐 祐子