「人生の経験で無駄なものなんてない。
 どんなに無駄だと感じることでも後で絶対に生きてくる。」


思い返せば20代から30代半ばくらいまでは口癖のように言っていた。
他人に言うことも多かったし、自分自身に言い聞かせることも多かった。

しかし今、同じことを確信を持って言えるかというと、かなり怪しい。



先月5月28日でスプラトゥーンは発売10周年を迎えた。

10年前、出演オファーを戴いて出演したステージ
《ニコニコ超会議:超Splatoonゾーン》で何もわからないまま
ひさs…イカ研究所所長さんの隣で1試合プレイした時のことは鮮明に覚えているが、
さすがに昨日のことだと言うには無理があるほどにあれから長い時間が経ったように感じる。

初代の製品版がWiiUで発売されたその日からプレイし続け、
ハードがSwitchに替わったスプラ2、スプラ3も発売日からプレイし続け、
シリーズ累計10年間で約14,000時間プレイしてきた。
1日あたり3.8時間必ずプレイする計算と考えると、それなりにやってきたほうではあると思う。

しかしどうだろう。

自分はこの10年間で14,000時間に値する成果を残すことができたのか?
14,000時間かけた分の成長を自分は遂げることができたのか?

いまだXP2500を超えることすらできておらず、
動画や生放送の視聴数も年を追うごとに減っているわけだから、
言うまでもなく答えはNOである。



初代の頃はS+99カンストを達成した人たちで開催する大会などを見て
あとどのくらい練習すれば彼らのレベルに追いつけるのか、
早く追いついて俺も彼らとプレイできるような人間にならなければと考えながら、
毎日毎日明けても暮れてもスプラトゥーンをプレイし続けていた。

しかし前提となるS+99にいっこうにたどり着ける気配がない。
S+80からが2点刻みでここが鬼門と言われながら、
そもそもS+60台よりも上に行けていないから鬼門に差し掛かってすらいない。

そうこうしているうちに彼らはもっとレベルを上げている様子で、
一方の自分は彼らと同じくらい努力をしているはずなのに
どういうわけか前提条件をクリアすることすらできない。

そして2年が経ち、終盤まで怯むことなくガチマッチで戦い続けたものの
結局S+99カンストを達成することはできず。

スプラ2がリリースされてしばらく経ってわかったことは、
自分はトッププレイヤーたちに及ばないどころか
世界ランク10000位20000位も怪しいようなレベルであるということ

文字通り明けても暮れてもプレイし続け、
いろいろと試行錯誤を繰り返した初代の2年間とスプラ2の1年間を経て眼前にある現実が
20000位すら怪しい状態というのはいったいどういうことだと、頭を抱えて相当悩んだ。
自分以上にこのゲームをプレイしてこのゲームのことについて考えている人間が
他に20000人以上も本当にいるというのか?



言っちゃアレだけど、特に初代の頃は本当に狂ったようにプレイしていた。
イカ研究所? ドワンゴ? から認められて
甲子園のMCとしてステージに立てることが嬉しくて嬉しくて、
だからこのゲームのことを1つでも多く知っておきたい、
1つでも多く視聴者と共感できる体験を積んでおきたい、
そう思ってひたすらやり続けていた。

思うところあって、2015年~16年当時の俺は
「ゲームの生放送」の現場には必ずどこかしらの顔を隠して出演していたが、
それを無しにしてもいいなと、マイルールを変えてでもフルフェイスで出ていいなと
自分の中で素直に思えたのも甲子園のステージだった。

自分が好きなゲームで、これだけの価値のある大会のステージならば、
逆戻りできないステップを踏んでしまうその現場になってもよいと。
スプラトゥーンというのはそれほどに、俺が時間と魂を賭けているゲームだった。

だから、こんな狂った人間が他に万単位でいるというのは、にわかには信じがたいことだった。



そしてスプラ2のウデマエXのガチマッチである。

世界的なプレイヤーの誰それがXP3000達成した!
XP2800あれば上位と言える? いやXP2900から?
などと言われる中、自分はXP2300台でひーこら言っている。

目標と決めて取り組んだXP2400はかろうじて達成したが、
そこからあといくつ越えねばならないハードルがあるのだろうと考えると途方に暮れてしまう。



「それでも動画が観られていればそれでいいじゃん!」
確かにスプラ1の頃や、スプラ2の最初数か月の頃はそうだったと言えるかもしれない。
でもそれ以降はてんで駄目。お前の動画はつまらんと。

プレイヤーとしても価値がない、動画投稿者としても価値がない。

そんな現実がまもなくやって来たのである。



実際のところ、スプラ2の後半、いつくらいからだろう、
2019年の夏に『勇者配信中』の舞台に出演した後くらいからかもしれない、
累計プレイ時間が7000時間、8000時間となるにつれて、
自分の中でスプラトゥーンをプレイする理由が
これまでにかけた時間に見合った成果を出すまでやめるわけにはいかない
というところに収束していったように思う。

早くXP2800なりXP2900なりを達成して一流プレイヤーと認められて
一流の人たちと交流しながら動画もあげて生放送もして、
また俺もネット配信者として前線で活躍できる人間にならなければ
これまでやってきた意味がない、これまでにやってきたことが嘘になる、
そう思って意地でプレイし続けていた。

つい最近もスプラトゥーンの生放送で
「セピアさん、つらくないんですか?」とコメントしてくれた方がいたけれど、
スプラトゥーンでつらい思いをするのはもはや日常だから
「そりゃつらいですよ」という答えにしかならなかった。



時は経ち、スプラ3になって、
日本でXP5000達成者が出た! 海外ではXP5600達成?
アプデ後上位2000位マッチでXP4000超えるのも難しい中XP4800? 4900?
あと1試合でXP5000達成なのに部屋落ちで強制マイナスとか、ありえねえだろ任天堂!

そんな話題が世を賑わせている傍らで、自分はというと、
1年前に立てた目標である世界ランク10000位をいまだ達成できていない。

それどころか昨シーズン、昨々シーズンは
終盤には何だかんだでXP2300~2400戦線には乗って
12000位、11000位というところまでは行っていたけれど、
今シーズンはXP2000、2100で戦うのが精一杯で
ヤグラに至っては1900台に落ちて上がれないまま終わってしまった。
唯一XP2200近くあって希望を持っていたガチエリアでも
最終日の深夜に6連敗して-150されてゲームセットとなってしまった。

最後、意地で2100台に戻して50000位以内には捻じ込んだけれど、
最後の試合でやっと勝った瞬間に全身で喜んでいる自分の姿を認識して
ああ2100で喜んでしまう程度のレベルにまで落ちてしまっているのだなあと、
悲しいというより、乾いた笑いが出てしまった。



あの乾いた笑いが何だったのか、一日経って少しわかった気がするんだよね。



よく巷では
「スプラトゥーンは歳をとるとプレイが衰える」
というようなことを言われる。

なるほど、俺も歳をとって衰えたということなんだな、
と納得できればまだ気持ちが良いというもので。

スプラトゥーンをプレイしていて、
歳をとって衰えた能力があると自分ではこの10年間で一度も感じたことがない
というところに、自分自身の本当のヤバさを感じる。

俺はまだ大丈夫だーと息巻く、絶対に運転免許返納したほうが良いおじさんに
自分がなっている可能性もある。
でも客観的な指標や、身近で見てくれる人、放送を観てくれる人などの反応からしても
歳をとって衰えたということはあまり考えにくい。
それは自分の感覚と一致しているところだ。

ここから導き出せる結論は、至ってシンプルなものでしょう。

培った能力が衰えたのではなく、そもそも何の能力も培っていない、だから衰えようもない。

そのことは頭のどこかでは薄々感づいていたけれど、体が拒否し続けていたように思う。
だから10000位を達成できないとは言っても
12000位まで来た、11000位まで来たと、何でもない「実績」を盾にかざしていた。

今まで触ってこなかったブキを新しく始めたら
こんなことができるようになった、あんなことが見えるようになった、
今で自分ができていないことができるようになったと、
何でもよいから「実績」を作り上げて前進しているような気になっていた。
そうでもしないと納得ができない、やっていけなかったから。



でも昨日わかってしまったんだな、自分は全く前進していないと。

あれだけ拒否し続けていた体が先に反応して「納得した」と。
あんな笑い声を出すのは、そういう時だ。





実は俺は今、インターネットお喋りマン(?)の発信活動17年目にして
また1つ新しい挑戦に取り組んでいるところだ。
昨年末くらいから水面下で徐々に進めていたものだが、
それが何なのか、皆さんにもまもなくお知らせできる予定だ。

そこではスプラトゥーンと同じように苦悩の日々が続き、
うんうん唸りながら1つずつ積み重ねていって。
でも確かに積み重なっていく喜びがある

講義チャンネルもそうなんだ。
動画を作るために自分が歴史や社会のことを学んで、知らなかったことを知ってって、
そもそもそのこと自体が自分にとってプラスになる。
そして動画がヒットすればなおハッピー。
動画がヒットしなくても勉強できたからまあOK、自分の糧にはなる。
だから俺にとってやり得なんだ、講義チャンネルの活動は。



んで、
「じゃあなんで今もスプラトゥーンやってんの? バカなの? しぬの?」
と言われるところでさあ。

俺は思ったんだ。

スプラトゥーンを友人とやる、視聴者の皆と放送でやる、
そんな中で勝敗に一喜一憂したり、今の試合で重要だと思ったところを出し合ったり、
晩飯は何食べただとか、昨日のサッカーの試合が面白かっただとか、
どうでもいいけどお前まだ今月の同窓会の出欠表出してないのかよとか、
ブタちゃんがいないのよく気づくなとか、
延長で逆転勝ちして飛び上がって喜ぶとか、
マヒマヒで受賞しないなんて期待外れだとか、
勝ち確宣言をした試合の勝率は20%を下回るだとか、
ワイプが小さくて怒られるのはどう考えてもおかしいだろとか、
そういう時間の中で感じる充実感のようなものは絶対に嘘じゃないなって。







まあいわゆる1つの敗北宣言です。

そんなに高いわけでもない目標すら一向に達成できないで
楽しいからいい、充実してるからいい、そんなのは堕落した人間の吐くセリフでさあ。

そんな姿、自分で許すのはありえねぇと思ってる。

でもそこから見ていってもいいんじゃね?
って自分の体がビンビンに脳内に伝えてきてるんだ、これが。

鬱陶しいと思いつつ、しばらくちょっとつきあってみようかなと思う。





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スプラトゥーン対戦会のお知らせです。

放送は基本的に21時頃から24時頃とします。
ルールやレギュレーションはその日によって異なりますので、
放送説明文の記載内容を都度ご確認ください。



(ご注意事項)
私のフレンドIDは放送内でお伝えします。

対戦をご希望にもかかわらず
以前のフレンドが解除されてしまっている方は、
お手数をお掛けして申し訳ございませんが
放送時間中に再度ご申請いただけますでしょうか。

よろしくお願いいたします。



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