昂牙さん のコメント
このコメントは以下の記事についています
芸人で怪談家の ありがとうぁみ です。
これは、2013年2月28日に体験した話です。 2010年ごろ都内の某所で警備員のアルバイトをしていた事があるのですが、 その時のアルバイト仲間のおじさん柏田さん(仮名)にものすごい久しぶりに偶然お会いしました。
「久しぶりだな。どうだ?芸人は儲かってるか?」
「お久しぶりです。いえいえ、ボチボチですよ。のんびり楽しくやってます。」
そんな話をしていると、
そのうち倉木さん(仮名)の話題になりました。
倉木さんというのは、僕より少し年上の、同じくそのアルバイト先に当時いた先輩の男性警備員です。 明るくて気さくで福島弁なまりの効いた軽快な喋りの、とても面白い方でした。
そのアルバイト先は、初めて行く現場ということで十数人いた先輩警備員の方々ももちろん初対面の方ばかり。 加えて僕はいつもアルバイト先ではわりと口数少なくおとなしくするタイプなので、そこに楽しみを求めるような事は無く、ここでもそういった感じになると思っていたのです。
ですがそんな初日から、この倉木さんがその気さくさでグイグイ話し掛けてくださったんですね。
お仕事内容を丁寧に教えてくれたり、ここはこーゆー風にサボれるみたいな事を教えてくださったり、あのおっちゃんは厳しいあのおっちゃんはこんなクセがある、みたいな事とか色々話してくれていました。
そんな中で、
「ねぇ、あみもっちゃん!」
僕は本名が網本(あみもと)というので、倉木さんはこう呼んでくださっていたのですが、
「ねぇ、あみもっちゃん!おれ思ってたんだけど、やっぱどっかで会ったことある気がするんだよなぁ。見た覚えあるんだよ。」
「え、どうですかね。そうですか?どーだろ。」
「なんか見た事ある気がするんだよなぁ。。」
そんな会話もあったりしつつ、仕事に入りました。
すると、そのあとの休憩時間にすぐにまた僕の所に飛んできてくださって、
「ねぇ、あみもっちゃん!テレビ出てない!?」
僕はアルバイト先では特に自分から芸人やってますみたいな事は言わないのですが、別に隠している訳ではなく聞かれたら全然答えているので、これにも普通に
「出た事はありますね。」 と答えると、
「だよね!そうだよね!怖い話だよね!おれ見てたよー!おれテレビで何回も見たよ!うわ。やっぱそうだ!!」
話を聞いていくと、わりと怪談なんかもとても好きだとのことで、
「あの話してたの、あみもっちゃんだよね!嬉しいなぁ!」
なんて言ってもらえたりしたんですが、
それはこちらこそなわけで、
そうは言っても全然知名度もないまだまだ若手なのに、 話すのうまいから凄い覚えてたとかって言葉は、こちらこそ凄い嬉しかったわけです。
それもあって、どんどんこちらも打ち解けていたのですが、
すると倉木さんは、すかさず他の警備員さん達に大声で僕の事を紹介して回ってくださったり、 警備員だけじゃなく現場作業員さんや取引先相手の方々にまですぐに僕の話をするので、 おかげでみんなにすごい話かけられるようになり、すぐに芸人扱いされるようになり、 色々質問されるようになったりといったとこから交流も増え、 もちろん口数少なくなんてできず、結果、ここのアルバイト先がとても楽しい現場になったんですね。
楽しい人である倉木さんが楽しく紹介してくれたからこその、 みんなも楽しく僕と接してくれるようになり、倉木さんにはすごい感謝でしたね。
倉木さん自身も前にも増して親身にすごい話し掛けてくれるようになりました。
それに、さすが「怪談好き」らしく、聞いてよ聞いてよとご自身の不思議体験の話なんかも幾つか聞かせてもらいました。 これがね、面白い体験なさっていましたねー。
「あみもっちゃん!がんばってよ!おれ本当に応援してっからね!本当に応援してっからね!」
いつも言ってくださる福島弁なまりの「応援してっからね!」
何話してても二言目には福島弁なまりの「応援してっからね!」
すごい嬉しかったですね。
話すたびに本当に応援してっからね!と言ってくださる気持ちがとても嬉しかった。
しかし、そのうち、そこの現場に入ってわりと早い段階で僕がアルバイトには行かなくなったんですよね。
僕、その倉木さんのいる現場には結局数日しかいなかったんです。
それでも、アルバイトに行かなくなってお会いすることがなくなってからもたまに
「あみもっちゃん!!どう?元気!?」
と電話をくださったりしていました。
「どう?忙しくしてる?本当に応援してっからね!なんか飯とかいつでも奢るからいつでも連絡しておいでよ!」
すごい気にかけてくださっていました。
お気持ちが、すごいありがたかったですね。
こんな仕事が増えましたよ。あんな仕事しましたよ。なんて話をすると自分の事のようにすごく喜んでくれて、ずっと気にかけてくださっていた。 そんな方でした。
そうは言ってもアルバイトに行かなくなってからというもの、 それから何年も会っていませんでしたし、最後に電話もらったのはもう半年くらい前だなぁと。
それと、先月、夢に初めて倉木さんが出てきた事があったんですよね。
笑顔で、やっぱり「応援してっからね!」と言ってくれていました。
疎遠になっていても僕はそこまで倉木さんの事を覚えているんだなぁと。
でも、ま、そんな夢を見たことも、実は忘れてたんですけどね。
今日、柏田さんに偶然会って話しているうちにそんな夢見たなぁと思い出したんですよね。
そういう思いもあったので、もちろん柏田さんに
「倉木さんは元気ですか??」
と、今も倉木さんと同じ現場で働いてるであろう柏田さんに僕が聞いた事から、 倉木さんの話になったんですよね。
すると柏田さんは言いにくそうに、
「倉木な。うん。
倒れたんだよ。」
「・・え、
まじですか?怪我ですか?病気ですか?」
「それがな、去年の年末なんだけどさ。寮の風呂場で倒れてたんだ。俺が発見したんだよな。病気だよ。・・脳梗塞だってさ。僕が発見した時には結構時間経ってたな。」
「脳梗塞・・重病じゃないですか! ・・え、どうなりました?」
恐る恐る聞きました。
「急いで病院に運ばれたよ。それから入院だ。」
「そうですか!え!今は!?今はどうなりましたか!?お見舞いとか行けるんですか。」
「ずっと意識が戻らないままだったな。
それで、
俺が先月病院に行った時には、 もう
ベッドも綺麗に片付けられた後だったな。」
柏田さんは言いにくそうに、そう教えてくれました。
あれだけ応援してくれていた人に、
あれだけ気にかけてくれていた人に、
もう二度と会えない。
お礼言いたい事もいっぱいあるし、
報告したい話も沢山あるんだよ。
喜んでくれそうな報告だって沢山あるよ。
大好きだと言ってくれた僕の怪談も、あれから新しい話も沢山あるんだよ。
聞いて欲しかったなぁ。
話したかったなぁ。
なぜか初めて見た先月の夢の中でも、
「あみもっちゃん!」
って、
「応援してっからね!」
って、
ただの夢だと思ってたけど、
そうじゃなくて、
もしかしたら、本当に倉木さんが言ってくれたんですかね。
もしかしたら、今もずっと気にかけてくれていたんですかね。
今もこれからもずっとどこかで応援してくれているのかな。
見ていてくれているのかな。
活躍できたら喜んでくれるかな。
応援してもらえて本当に嬉しかったです。
応援してもらえる幸せを教えてくれてありがたかったです。
あなたに出会えてよかったです。
あの福島弁なまりの
「応援してっからね!」
を胸に、
僕は今日も明日も喋っていきたい。
そんなお話です。 ありがとうぁみさんの怪談生放送は 8月25日21:00~
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