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「ロックにはあってロックンロールにはないもの」といえば、ひとつは――魅力の評価に於ける――難易度というパラメータの存在ではないか。
平ったく申せば、すごい難しい曲を易々とこなしてしまうとはなんてすごい! てなことだ。ロックンロールではあまり聞かない話だろう。
ロックならではの、そうした「ワザの披露でリスナーの度肝を抜いてみせる」というのは、多分'70年デビューのエマーソン・レイク・アンド・パーマーあたりが開祖だ。一方同じ頃、ハードロックでは、のちに“超絶技巧”などと呼ばれるようになる、ギターの速弾き競争が始まった。
生まれつきの資質が大きくものをいう“センスの競い合い”と比べ、述べたような難易度に関する挑戦は、後天的な“地道な努力”でもって他を凌ぐことが出来る余地を残す分野といえる。そこでは、天才ではない、秀才/頑張ったひとも報われるのである。
そうした構造的側面が、産業としての“ロック音楽”の裾野を拡げるのに一役買ったというのも、あながちあり得ぬことでもないのでは? というのが持論ではあるが、それにしても、最近の日本のロックバンドの演奏能力の高さには、目を見張るものがある。
今週の[Alexandros]にしてもそうだ。

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最終更新日:2021-01-22 18:00
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