夜ふけのなわとび 第1773回 林真理子「サッカーとビジネス」

　この号が出る頃には、とっくに結果が出ているサッカーワールドカップ。

　今回のことで、私はつくづく自分がイヤになった。サッカーにふりまわされた何日間。ドイツに勝って何日かは、そりゃあもう狂喜乱舞していた。

「これで日本も変わる。今までの暗い空気がパーッと明るくなる」

　と本気で思っていた。

　そしてあのだらだらした、コスタリカ戦前半にかなりイラつき、後半にがっかりした。いや、がっかりした、なんてもんじゃない。なんだか気力がなくなって、二日間ぐらい何も手につかなかったのだ。そして挙句の果てに、

「調子こいてた自分が本当に恥ずかしい」

　と自責の念にかられた。

　にわかファンの私でさえ、これほどサッカーにふりまわされたのである。長年見続けた方は、どれほど一喜一憂したことであろう。