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ぼくの母ちゃんは、とても子供を育てるのが上手な母親だった、と今になって思う。
たとえば子供の頃、ぼくが学校から通知表をもらって帰ると、必ず「褒めるところ」を探してくれてね。十段階評価でオール五の成績を見せたときには、こう言って喜んでくれた。
「まあ、なんて数字がそろっていて綺麗なんでしょう!」
高校時代のある時もそうだった。
ぼくは二百五十人の中の二百十番という成績をとってしまってね。その通知表を見た母ちゃんは、「あらまあ」と甲高い声を上げ、しばらく紙を「うーん、うーん」と見続けてから言ったんだ。
「わー、後ろに四十人もいるじゃないの!」

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最終更新日:2023-06-09 18:00
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