「もうすぐ産まれるよ!」

 琴陽(こはる)が産まれた日のことは今でも覚えています。8年前の肌寒い2月16日、僕は仕事に出ていました。親族から連絡を貰って、急いで現場から向かうけどペンキで汚れた作業着では行けない。いったん家で着替えてからでも間に合うと思いました。いざ病院に着くと僕の姉が「遅い!」。汚い格好でも立ち会えばよかった。部屋に通されると、もう産まれていて「ええ~!」という感じで。2人目も女の子が欲しいなって思っていた。抱っこしたら、小さくて、可愛くて、そして温かくて――。 
週刊文春デジタル