この数か月、本連載は小池一夫、梶原一騎、カラテ映画といった具合に、一九七〇年代に作られたバイオレンス映画ばかり扱ってきた。さすがにそれではマンネリかもしれない。そこで今回は全く異なる雰囲気の作品を取り上げたい。

 それが『プーサン』。若手時代の市川崑監督による、軽妙なタッチの風刺喜劇だ。 
週刊文春デジタル