この原稿を書いている時点では、まだ自民党の総裁選の真っ只中である。なので結果は知らない。最初に5人の候補者の顔ぶれを見た時は、今回は誰がなっても良さそうだなと思った。それぞれすれ違う程度にはお会いしたこともあり好印象だ。若返りもいいし、初の女性総理もいいし、実力派でもいい。
ところがである。最初に違和感を抱いたのは、外国人政策をめぐる各候補の主張を聞いた時だ。この問題は目下、炎上中と言って過言ではない論点で、触れれば火傷しそうなだけに、槍玉に上がるような発言を避けたい気持ちは分かる。それにしても、全員が揃って外国人受け入れの厳格化や規制強化を主張したのにはがっかりした。差別や人権侵害を許さないという強い意思を示すより、外国人の姿が増えたことに漠然とした不安を抱く人々に迎合したように見えた。高市早苗さんに至っては外国人観光客について「(鹿を)足で蹴り上げるとんでもない人がいる」とまで発言してしまっていた。