秋のお彼岸も過ぎて、ようやく「秋ですね」と大っぴらに口にしてもよさそうな気候になりました。

 お彼岸といえば、先日、街を歩いていたときのこと。急につんのめってしまい、足が痛くて動かなくなりました。「かなわんなぁ、年いったなぁ……」と落ち込みながら、ふと顔をあげた私の目に飛び込んできたのは、「天津甘栗」の売り場。それを見て「あぁ」と納得しました。なぜなら天津甘栗は亡き母の大好物だったからです。買って帰ろうと思った瞬間、足が動き出しました。 
週刊文春デジタル