「リジチョー、今年のハロウィンはどうするんですか」

 10月になった頃、職員に聞かれた。

「昨年みたいにするんですか?」

「いいえ」

 きっぱり。

「昨年とは比べものにならないぐらい盛大にします」

 市ヶ谷駅前にある日大本部。ここは各部署と部局が集まる大学の中枢である。昭和の古い建物で、ここで500人近い人たちが働いている。彼らを元気づけようと、ハロウィンを企画したのが昨年のこと。何人かの有志が仮装し、来てくれた人たちにドーナツを配った。しかし、たいていの人は何が行なわれているかよく理解せず、なんとなくドーナツを食べて帰っていった、という感じだ。

 その時私は、本学出身の金メダリスト、北口榛花さんに扮したのであるが、気づいてくれた人はほとんどいなかったといってもいい。私は原宿で探し求めた派手なジャージに、日の丸の旗をしょった。メイクも北口さんに似せたつもりであったが、ピンとくる人はいなかった……。 
週刊文春デジタル