年を越すのは、度を越すのと同じぐらい簡単だ。だがいつ死んでもおかしくなかったと思えば奇跡的なことだ。それを祝うために、正月の食事は特別なものにしよう。そう思ったわたしは元日に雑煮を作った。

 雑煮は栄養的には理想的な食事だ。わたしの家では、すまし汁にゆでた餅、ほうれん草、千切りの大根、かまぼこを加え、さらに甘辛く煮詰めたブリを入れる。おいしい上に栄養的にもバランスがよく、消化もいいので、一時期、ブリの旬が過ぎて脂が落ちても食べ続け、一年の大半を雑煮の朝食で通したことがある。そのとき健康の秘訣を聞かれたら、雑煮と答えていただろう。実際には不健康だったため、雑煮は不健康の秘訣になってしまった。 
週刊文春デジタル