腰が痛い。100キロのバーベルを持ち上げたわけでもなければ、プロレス技のボディプレスをくらったわけでもない。まるでだれかに呪いをかけられたようだ。思い当たる相手に電話をかけた。教え子に。

「変わりはないかね?」

「はい」

「それは困ったね。いい加減変わったらどうだ? とくに食生活だ」

「変わらなくても元気です。先生はお元気ですか」

「元気と言えるのかどうか自信がない」

「たしかに、厳密には、血液検査、内視鏡検査、最終的には解剖しないと分かりません。でも常識的に『元気か』と聞くとき求めているのは、ふつうに生活ができているかです」

「常識的にも分からないんだ。 
週刊文春デジタル