• 『コスプレ少女』ROUTE161  417-420頁  ★銃砲刀法にバリバリ引っかかってくるやつ

    2020-08-15 22:524時間前
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
    【 今までのあらすじ】

    コミュ障で友達が出来なかった京都に住む中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    リンに誘われ、サバゲ―イベントの昼食作りを手伝うバイトをすることに。
    *********************************************************
    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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    *****

    【登場人物紹介】                
                         人公の本田ルミ
    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレを
    きっかけにコミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    賢者のルミのコスプレイヤー。   

     イメージイラストは
     ぽよん様提供。     
                                  
                         白銀(しろがね)リン
    ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
    トレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    天使のリンをイメージしたオリジナル
    コス
    プレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

    イメージイラストは こんぺいとう 様の
    イラスト―メーカーより。




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     当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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       417-420です。

    白銀(しろがね)リンと元自衛官の武田とのCQC(近接格闘)模擬戦を
    間近で見ていたルミは、驚きも半分、果然の思いも半分であった。

    萌っ娘の圧勝じゃん ……
     ナイフを使ったCQC(近接戦闘)って言うから、派手なバトルを期待しちゃったけど、
    瞬きしてたら見逃すくらいあっけなかったな。
     …… まあ、よくよく考えたら、いくらレンジャー出身だって、
    あの子の異能者レベルのスピードに、ついてこれる人は、そうはいないか ……

    お鍋の灰汁取りも忘れ、感心するルミ


    勝負に負けた武田は、平然と自分の胸に背を預けて寄りかかっているリン
    少し憎らし気に頭から見下ろす。

    「また、やられたな。俺の腕を弾いて体ごと飛び込んでくるなんて、
    ちょっとでも外したら大怪我してたぞ」

    きゃははは!

    リンは武田の胸に後頭部をくっつけたまま、顔を上げ反らして高笑いする。
    そして、一呼吸おいてから静かに一言。

    …… うちが外すとでも?
     その言葉には絶対的な自信と凄みが籠っていた。

    でもでも、中尉さん。うちのことを心配してくれてたんですゥね、優し~い
    今度は甘い萌えボイスで猫のように頭を摺りつけ、大きな瞳で武田の顔を仰ぎ見る。

    いい大人の武田も、美少女のあざとい仕草に情けなく翻弄されてドギマギしている。
    照れ隠しなのか、武田は突如、勝者の肩と膝裏に手を伸ばして抱え上げた、
    お姫様抱っこの状態で、小さい子をあやす様に振り回す。

     強く握れば折れてしまいそうな華奢な体躯、まだ幼女体でお尻も小さく驚くほど軽い。

     抱き上げられたリンは、わざとらしく「きゃっ」と叫ぶも、
    武田の太い首に腕を絡めて振り回されるのを楽しんでいる。

     三十過ぎの男と十二歳の女の子、ふたりの歳の差から親子の戯れのように見える。

    うちも中尉さんのこと心配してるですゥよ、ハンデがあってよかったあ~っ

     リンの言葉を耳にしてハッとするルミ彼女の顔から血の気が引いた。

    ハンデとは体当たり禁止のルールのことだ。
    リンにとって不利な体格差を埋めるためのものだと思われたが、ルミは気づいてしまった。

    ハンデはあの子の安全のためにあるんじゃない! 
    もし、ハンデがなかったら …… 死闘になりかねない、
    あの子が本気を出したら、マジで相手の身がヤバい!
    武田さんはそのことに気づいていない ……

    ルミがそう思ったのは、今までリンがナイフを持った銀行強盗を退治したり、
    大勢の族を相手に乱闘したのを見てきたからだ。
    白銀リンは無邪気そうに振る舞いつつも、その言葉に喧嘩猛者の箔を垣間見せてくる。

    ルミがそう感じていた時、誰かが呼んでいる声が聞こえてきた。

    「武田さ~ん、武田ちゅうい―」
    農家の間口から丸川が手を振って武田を呼んでいる、どうやら炊飯の交換時間のようだ。

    「おう! 今行く!」

     武田は抱えていたリンをそっと地面に立たせてると。

    「それじゃあ、白銀、また後でな」

    いってらっしゃいですゥ~
     リンは小さく手を振ってバイバイで見送る。

     武田は脇を締めたランニングスタイルで駆け戻っていく。
    自衛隊を辞めても叩きこまれた行動様式は抜けないらしい。

    ******

     カレーの仕込みは続く、灰汁取りを終えた寸胴に市販のカレールーを砕いて放り込む、
    よく混ぜて一煮立ちさせたら、留め具付きの蓋を閉める、パッキンが付いているので
    輸送中でも零れない仕組みだ。

    ルミちゃん、うちらのお仕事は、お昼の時まで一旦終わりなのですゥ。
     熱々の重たい鍋は、中尉さんらが運んでくれるですゥ。
    量が多いから冷めないし、そのままで具にじっくりと味が染み込んでいくですゥよ

    ふ~ん、そうなんだあ

    フィールドまで、うちらは先に行くですゥよ

    あれ? 鍋は置いていくの?

    後で炊飯と一緒に取りに戻るそうですゥ

     ふたりは再びピックアップトラックの荷台に乗り込み、農家を出発した。

     国道に出て暫く走り、未舗装の脇道に入った、乾いた野っ原をゴンゴン進んでいくと、
    運動会で見るような白い集会用テントが見えてきた。
     そこがサバゲ―イベントの開催本部で、既にたくさんの人が集まっていた。

    皆、様々なミリタリックコスだ、この辺鄙な開催地へは車で来たであろうから、
    恐らく道中もまんまの恰好だったに違いない。

    車はテントの近くで停車した。ルミリンは荷台から降りる。

    うわー、すごいいっぱい

     周りは大人だらけに見えた、女性も居たが小中学生は見当たらない、
    中学生で、しかもジャージ姿なのはルミだけだった。

     ルミリンは、チームの代表である黒田に連れられ開催本部の天幕の裏に入った。

     中にはパイプ椅子と長テーブルが置かれていて、ここがふたりの待機所になるとのこと。

     ルミ達が椅子に座って一息つく間もなく、ドヤドヤとサバゲ―雑誌の編集者が
    カメラマンとモデルガンメーカーの社員を従えてやってきた。

    「おはようございます、白銀(しろがね)さん。
    早速ですがスポンサー分の撮りをお願いしたいのですが?」

    開口一番、アーミーシャツ姿の編集者が撮影の依頼をする。

    いいですゥよ。確かニューモデルはステアーAUGでしたっけ?
     編集者の申し出を快諾するリン。事前に撮影内容も知らされているようだった。

     これを聞いて気を良くしたメーカーの社員が揉み手をしながらリンに話しかける。

    「そうです、そうです、よくご存じで。
    3.4kgとリアルな重量感、弾数も八十発とゲームでの実用性も高い新製品なんですよ」
    大きなパッケージを開けてモデルガンを取り出し、そのスペックを喋りながら
    マガジンや電源装備を喜々として組み立てていく。

    ルミはその様子を見て思った。
    まるで小学生が心躍らせてプラモを作るように、この人、楽しそうに仕事をしているなあ

     自慢の新製品を構えるメーカーの社員。
    「見てください、トリガーの引き切りが軽いんですよ」
     そのまま商品のプレゼンが始まりそうな勢いだったが、
    一眼レフを首からぶら提げたカメラマンが 彼の肩をトントンと叩いてそれを制した。

    「メーカーさん、続きは後でお願いしますよ。
    外で背景のセッティングをしてますんで、皆
    さん、よろしくお願いします」

    サバゲ―雑誌の関係者らは、天幕の外へ出ていった。

    リンちゃんは、どんな銃を使ってるの?

    うちは、トイガンは持ってないですゥよ

    ええっ、サバゲ―チームに入ってるのに?

    うちはチームのマスコットガールなのですゥ。
    それとルミちゃんにも教えておきましょう。
    サバゲ―で使うトイガンには、条例という県ごとの法律で
    発射する弾の威力が強いモデルは有害玩具として規制がかかるのですゥよ。
    今日のイベントで使われるトイガンは、みな十八歳以上でないと使っては
    いけないやつなのですゥ

    そうか、それでここへ来てる人たちって、大人の人ばっかりだったのか

    中学生は買えないし、借りて撃ってもダメなのですゥよ。
    だから、うちはゲームには参加出来ないのですゥよ

    でも、銃持っての撮影はOKなの?

    多分、OKなのですゥ、撃ってないから

    多分 …… なの?

    グレイゾーンらしいのですゥ

    グレイなのかよっ!

    あっ忘れてた! それとっ
    急にリンルミの首に腕をまわすと強引に引き寄せ、頬どうしをくっ付けた。

     突然のことにルミは驚いた、マシュマロのように軟らかなリンの頬の感触を感じながら、
    視線を彼女に向けたが、頬をくっつけた体勢なので、長いまつ毛しか見えない。

     リンは小声で。
    いいですかルミちゃん、うちがサバイバルナイフを持ってることは、
    他の人には喋っちゃダメですゥよ

    えっ、何で?

    うちのチームの人には黙認してもらってますけど、他の人には絶対内緒なのですゥ。
    うちのナイフは有害玩具どころか、銃砲刀法にバリバリ引っかかってくるやつなので、
    持ってるだけでも逮捕されちゃうのですゥ

    違法の認識はあったのね。んじゃ、何で持ってくんのよう

    御守りですゥ きっぱりと言い放つリン

    うそー、御守りでジャガイモ切ってたじゃん

    調理器具として使っていい御守りなのですゥ

    強引やな

    とにかく、内緒ですからね

    わ、わかりました 返答を聞いて、リンは首から腕を解いた。

    (つづく)
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  • 『コスプレ少女』ROUTE161 413-416頁     ★彼女の小さな手に武骨なナイフは

    2020-07-19 19:45
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
    【 今までのあらすじ】

    コミュ障で友達が出来なかった京都に住む中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    リンに誘われ、サバゲ―イベントの昼食作りを手伝うバイトをすることに。
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    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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    【登場人物紹介】                
                         人公の本田ルミ

    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレを
    きっかけにコミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    賢者のルミのコスプレイヤー。   

     イメージイラストは
     ぽよん様 提供。     
                      

                           白銀(しろがね)リン

    ルミ
    がイベント会場で出会ったベレー帽が
    トレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    天使のリンをイメージしたオリジナル
    コス
    プレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

    イメージイラストは ゆりぺっこ 様提供。



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     当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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       413-416です。

     ルミは ピーラーでジャガイモの皮を剥きにかかる、濡れたイモは滑りやすく持ちにくく、
    見るも危なっかしい手つきでイモの表面を削る。  

    削っても削ってもバケツのイモはなかなか減っていかない、
    指がイモの灰汁で薄黒く染まるわ、おまけにまだ次の人参が控えている。

    ところでリンちゃん、今日のカレーは何人前を作る気なの?

    百人前くらいですゥ、参加者は五十人ほどですゥけど、みなさんお替りするでしょうし、
    倍は容易しておかないといけないのですゥ~
     舌っ足らずなアニメ声でシレっと答えるリン

     百人前と聞いて、ルミは ふうと深い息をつく。
    まあ、それだから、自分にバイトの声がかかったんだと思う……

     外皮を剥き終わった玉ねぎの方は、リンがクシ切りの作業に取り掛かっていた。
    彼女は玉ねぎが放つ催涙ガス対策にサバゲ―用のゴーグルをちゃっかりと着用している。

    フォー、これは意外といいかもですゥ

    そして、包丁ではなく、例のサバイバルナイフを使って、玉ねぎの頭とお尻を切り捨て、
    二つ割りにし、クシ切りにしていく。
    彼女の小さな手に武骨なナイフは持て余されるように思えたが、器用に使いこなしている。

    ルミリンに訊いたところ、ナイフを使いこなす訓練の一環だそうだ。
    何故、リンがそんな訓練まで必要と考えているのか? 
    ルミには さっぱり理解出来なかった。

    以前、リンの大邸宅の庭でキャンプをした時も彼女の変な拘りをみせられた。
    このお嬢様は大がかりなキャンプセットであろうとネットで豪快にお取り寄せする、
    そんな性分の子なのだ。

     下ごしらえをしている彼女たちの後ろでは、武田と丸川が、
    カマドの設営準備をしているところだった。

    肩に小型のプロパンガスボンベを担いで運び込むふたり、迷彩服を着た男が
    灰色のガスボンベを担いでいる様は、まるで爆弾を運んでいるように見えた。

     ふたりはコンクリートブロックが置いてある場所にガスボンベを降ろすと、
    次は錆びた鋳物のコンロにガスゴム栓を繋ぎにかかる。

    ブロックを組んだカマドが出来上がった、続いて、寸胴と呼ばれる給食でスープを
    運ぶような縦長の大きな鍋が運ばれてきた。

    リンがカットした玉ねぎをそこへ放り込んでいく。

     ルミが剥いたジャガイモや人参も、リンがたちどころにカットして放り込んでいき、
    時間がかかったが寸胴三つ分を何とか切り終えた。

    水を加えて火にかける、リンがお玉を持って、ルミに仕込みの説明をする。

    あとは時々、こうして鍋の表面に浮いてくる灰汁をすくってやるのですゥよ
     そう言ってリンは、沸々と表面に細かい泡となって塊る灰汁を
    お玉で丁寧にすくってみせる。

     少ない食数ならば、野菜は炒めたりともっと手間をかけるらしいのだが、
    さすがに量が多いと無理なので、今回は直接煮ているとのこと。

    中尉さんらは農家さんの大きなお釜を借りて百人前のご飯を炊きにかかっているのですゥ。大きなお釜でも百人分となると、三回炊かなきゃならないので、メチャ大仕事なのですゥ。
    でも、うちらは灰汁取りの番だけだから、一息つけるですゥよ

    ルミは今、教えてもらった灰汁取り作業をおぼつかない手つきで真似をする。

    日頃、親の手伝いなど一切していないルミは、皮剥き作業だけでヘトヘトなので、
    灰汁取りも直ぐにリンに任せて地べたに座りこんでしまう。

    嗚呼、しんど~い、リンちゃんこんなお手伝い何回もやってるの?

    いや、二回目ですゥよ、前は二十人足らずでBBQでしたから、
    チョロっと野菜の下ごしらえくらい。
    でも、今日は合同イベントで雑誌の取材も来るのですゥ

    えっ、そうなの?

     リンは かけていたゴーグルを額の上にあげ、ルミとのお喋りに本腰になる。

    ルミちゃんも一緒に撮ってもらいたいですゥか?

    ダメえ、わたし、顔出しNGだから
     ルミは 顔を左右にブルブルと震わせて断る。

     話し込んでいるふたりの前に、武田がふらりとやってきた。

    おふたりともご苦労さん

    あら、中尉さん、炊飯サボってて、いいんですゥか?

    丸川君に火の番をさせるから大丈夫だよ。炊きあがって、交換する時が忙しいんだよ

    はは~ん、ひょっとして、ルミちゃんを見に来たですゥか? 
    中尉の趣味はメガネっ娘?

     口の端をあげて、目上の男性をからかうリン

     ルミは 体育座りになり、下を向いて赤面する。

    違う違う! 白銀(しろがね)が友達連れて来たっていうから、
    どんな子なのか気になって。
     見たところ普通の子っぽいけど?

    そうですゥよ。ルミちゃんは普通……って言うか、ネトゲーマーで、
    ただ今、コミュ障のリハビリ中なのですゥ

    コミュ障? 丸川君みたいなもんか? 
    あいつは引籠りだったのを黒田さんが親に頼まれて、何とか外に出られるようにまで
    面倒見てきたからな。十九歳でプーだけど、社会復帰出来そうだし

     じっと聞いていたルミは、丸川というあの若い人もそうなんだあと妙に共感を覚えた。

    白銀の友達っていうから、俺はまたCQC(近接格闘)の達人でも連れてきたのかと
    想像してたんだよ。
    なにせ、白銀は模擬戦と言えども、レンジャー徽章を持つ俺を負かす恐ろしい子だからな

     聞き耳を立てていたルミは、思わず顔をあげて声を出してしまう。

    マジっすか!

    おおっ、この子、今の話に喰いついてきたぞ

    ルミちゃんは、ネトゲーマーさんですから、シューティングゲームで
    毎晩、派手に撃ち殺しまくってるみたいなのですゥよ

    リ、リンちゃん、人前でそんなデタラメ言わないでよ! 
    撃ち殺しまくったりしてないよ。
     それより、自衛官相手にCQCで勝っちゃうの?

    キャハハハ、ラバーナイフを使った模擬戦で体当たりなしのハンデ付きなのですゥ

    でも、相手はプロじゃん

     ルミ武田の容姿をマジマジと見直す。

     身長は百七十センチほど、決して大男ではないが、首回りも太く、
    袖捲りした腕も逞しい、格闘向きの体格だ。

    ちょっと、お見せしますですゥかあ

    えっ、今ここで?

     リンはお玉をルミに手渡すと、武田に目で合図を送った。

     ふたりはカマドから離れて互いに距離をとって向き合う。

     武田はホルダーからナイフを取り出し、アーミーベストをその場に脱ぎ捨てた。
     ナイフのブレードを指で曲げて見せる、模擬専用のラバーナイフだ。

     腰を落とした騎馬立ちの構え、おそらく、リンが素早い動きで重心を崩しにかかることを
    承知しているのだろう、体重差から言えば、子供相手に負けるわけがないはずだ。

    一方のリンは、何も持たず、構えもとらずにふらりと半身に立つ。

    リンちゃんはどうやって闘うつもりなんだろう? 
    てっきり同じナイフかエスクリマの棒でも持つのかなと思ったんだけど……

    ルミはそう疑問に思った。
    リンの近接戦スタイルはフィリピンの古武道であるエスクリマだからだ。

    両者は距離をとったまま動かない。

     素人のルミから見ても、大人である武田の表情の方が真剣だ。
    ギラギラとした眼光、射抜くような視線で対戦相手を見ている。

     リンはその大きな鳶色の瞳を妖しく輝かせている、
    うっすらと浮げる笑みとともに、好物を前にしたヤンチャな子供のような……
    否、どちらかたと言えば狂人に近い、端整な美少女だけにホラーチックな
    恐ろしさを感じる表情だ。

    武田が間合いは詰めずに、ナイフを前後にフェイントっぽい動きをするも、
    完全に読まれているのかリンは微々とも動じない。

    くそお、こちらから出たら、前みたいにやられる!

     すると、リンの方が静かに歩を進めて来た。

     武田は相手の動きを読み切れずにいた。

    横っ飛びか? カウンタ―狙いか?

     リンは構わずゆっくりと間合いを詰めてくる。

    武田の考えは、歩を進める相手の足が地面から離れようする瞬間が、
    地面を蹴るタイミングに最も不利、そこを突く。

    右手でナイフを突き出すので、相手は避けるとすれば さらに右側に動くのが定石だ、
    相手が右側に飛んだ場合も想定していた。

    リンの左足が浮き上がろうとした瞬間、ヒュっと甲高い呼吸音とともに、
    武田の突き出した右ひじが、下方向から弾き上げられた。

    リンがひじで突きあげたのだ。
    気が付けば、武田の胸にリンが背中をくっ付けるような体勢で居た。

    は、速い ……」 あまりの速さに武田は硬直。

    リンは下から 武田の喉を細い人差し指でなぞってみせる、ナイフで切り裂いたという意味だ。

    うふふ、中尉さん。今回、うちはワザとゆっくりと歩いてタイミングを誘ったのですゥよ。大きな呼吸音で反射的に動いたでしょ

    なんと、最初からリンは計算づくだったと言うのだ、元自衛官の武田は絶句した。

    (つづく)

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    ★初めて読まれた方は、1頁目からどうぞ
    http://ch.nicovideo.jp/sonicvoice/blomaga/ar858417

  • 『コスプレ少女』ROUTE161 409-412頁   ★サバゲ―の月刊誌に

    2020-06-26 22:57
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
    【 今までのあらすじ】

    コミュ障で友達が出来なかった京都に住む中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    リンに誘われ、サバゲ―イベントの昼食作りを手伝うバイトをすることに。
    *********************************************************
    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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    【登場人物紹介】                
                     人公の本田ルミ
    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレを
    きっかけにコミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    賢者のルミのコスプレイヤー。   

     イメージイラストは
     はじめとみかん様提供。     
                      
                     
                    白銀(しろがね)リン

    ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
    トレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    天使のリンをイメージしたオリジナル
    コス
    プレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

    イメージイラストは 海冥 様作製の3Ðモデルから。


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       409-412です。

    日本で一番大きな湖と言えば琵琶湖、近畿地方の真ん中に位置する滋賀県にある。
    滋賀県事体が琵琶湖を囲んでいるのだが、見方を変えれば南北に伸びた大きな湖が
    県を縦に割っていて、湖の東側を湖東、西側を湖西と呼んでいる。

    夜明け前、暗い空には、まだ星が瞬いている時間、湖西側にある国道を一台の
    ピックアップトラックが 京都から北へ向かっていた。

     車の前部には太いパイプのバンパーガードが付いたランドクルーザータイプ、
    後ろの荷台はダークグリーンの幌で覆ってあり、
    悪路に強い太いタイヤが
    アスファルトの路面をゴーゴーとグリップ音を響かせ爆走している。

     トラックが道路の窪みを通過したためか、ガタンと弾むように大きく揺れた。

    アウッ

     そのショックでトラックの荷台に居たルミは目が覚めた、正確には眠りから覚めただけで、まだ覚醒しきっていない状態だ。
    ルミは中学一年生、ゲームオタクな少女なのでネトゲ―をオールすることはあっても、
    トラックの荷台で過ごすなんてことは普通ない。
     古いパソコン並みに目覚めの立ち上がりが遅い彼女は、まだ自分の状況が分からなかった。

     幌で覆われた薄暗いトラックの荷台、道路を照らす照明灯からの間接的な光が、
    ぼんやりと辺りを浮かび上がらせていた。

    さっきの弾みで鼻の上からズレ落ちたメガネをかけ直す、
    次第に寝ぼけていた目の焦点が合ってくる。

     ルミはギョっとした、対面に銃を持った男座っていたからだ。

     迷彩服に身を包み、ゴツいコンバットブーツ、立てた自動小銃を抱きかかえるように
    して大きな箱に腰かけている、短髪の若い兵隊だ。

    自分はまだ夢を見ているのだろうか? シューティングゲームの残夢?
     ルミの隣からシャコシャコと金属が擦れる音がする、
    振り向くとそこには見知った顔がいた。

     白銀(しろがね)リンだ、ゲームのイベント会場で知り合った
    コミュ障のルミの数少ない(二名)友達で同い歳の美少女コスプレヤー。

     ゆるふわヘアにベレー帽を被ったリンが、サバイバルナイフを棒状の砥石で
    シャコシャコと熱心に研いでいた。

    あら、ルミちゃん、起こしちゃったですゥか? 到着まで、もうちょっとかるですゥよ

     ルミの視線に気づいたリンが舌っ足らずなアニメボイスで謝りつつ、
    ナイフをかざして研ぎ具合を見ている。
    薄暗い車内にナイフの刃先とそれを見る彼女の大きな瞳が白く光って見えた。

     リンは対面の兵隊と同じく迷彩服を着ている、彼女がトレードマークにしているベレー帽もお洒落なペインターベレーではなくエンブレムの入ったアーミーベレーだ。

     ルミはようやく自分がなぜトラックに乗っているのかを思い出した。
    そうだった、これからリンちゃんとバイトをしに行くんだった……

     話は一週間前に遡る。白銀リンからアルバイトに誘われたのだ。
    オタクなルミの趣味は、何かと物入りである。ゲームソフトであったり、
    アニメ雑誌であっ
    たり、その手の薄い本だったりと……

    一般庶民層の彼女のお小遣いは、やはり一般庶民級なので、それほど多くない。
     まだ中学生なので、バイトは校則で禁止されており、おおっぴらに応募も出来きない。

    もとより、コミュ障のルミが、見ず知らずの大人相手に応募する度胸などあるわけがない。
    でも お金はほしい。そんな時、リンから。

    ルミちゃん、今度の土曜日、イベントの食事作りのお手伝いをやらないですゥか?
     食事作りと言っても、メニューはカレーなので簡単なのですゥ。
    玉ねぎとか、じゃがいもの皮を剥いたり、下ごしらえのお手伝いですゥ。
    もちろん、うちも一緒ですゥし、アルバイト代として五千円もらえるですゥよ

    リンも一緒にやってくれるなら、こんな心強いことはない、ルミは直ぐに承諾した。

    白銀リンは、その萌え可愛い容姿から、数々のコスプレコンテストに出まくっている
    人気コスプレイヤーである。

    と同時にサバイバルゲ―ムチームのマスコットガールもやっていて、サバゲ―の月刊誌に
    ミリタリールックで載っているのをルミも見せてもらったことがある。

    サバゲ―雑誌と言えども、商業誌にモデルとして紙面を飾ったことをリン
    読者モデルだと言い張り、結構自慢げだった。

    リン自身は 両親と血が繋がっていない複雑な家庭ではあるが、義父はアメリカで賞を
    もらうほどの音楽家で裕福なお嬢様、だからお小遣いに不自由しているわけではない。

    今回のアルバイトと言うのは、サバゲ―の合同イベントで振舞う昼食のお手伝い。
    セレブ家庭のリンは、バイト代目当てではなくチームのマスコットとしての使命感から、
    イベントに参加している。
    ただ、今回は合同イベントなので参加人数が多く、助っ人としてルミは声をかけられたのだ。

    バイトの内容をあまり深く考えずにOKした、
    まあ、大人でも『誰にでも出来る簡単なお仕
    事です』の募集文句だけで応募するのだから、
    バイト未経験の中学生なら無理もないことだ。

    でも、まさか午前三時に出発して、滋賀県の北部まで拉致されるとは思っていなかったよ出発が早いということで、ルミリンの家に前泊までするハメになった。
    早めに就寝したのだが、午前二時過ぎには叩き起こされて、夢うつつのままジャージに着替えさせられ、リンに腕を引っ張られながら 迎えに来たピックアップトラックに連れ込まれたことを思い出した。 

     ルミたちを載せたピックアップトラックが国道を離れ、田んぼに挟まれた道を抜けた後、
    一軒の大きな農家の敷地に入って停まった。
     トラックがエンジンを切るやいなや、リンは荷台から、外にポンと飛び降りた。

    さあさ、ルミちゃん、一旦降りるのですゥよ

     リンに促されて、ルミもトラックの荷台から足場に気を付けながらおずおずと降りた。

     日はまだ昇っていないが、空は白んで明るい。
    地面に降りたルミは、体を反らして腰を伸ば
    した。大きな農家の邸宅前、未舗装の敷地に
    トラや耕運機が停めてあり、隅では茶色い鶏が何かをついばんでいた。

     トラックから一緒に載って来た若い兵隊も降りて来た。
    リンがその男の二の腕を掴んで引っ
    張りながら、
    ルミちゃん、あらためて紹介するですゥよ。 丸川兵長さんですゥ

    「ま、丸川のぼるです! よ、よろしく」

    短髪で、ずんぐりとした大柄な容姿に似合わず、丸川は声をうわずらせてルミに挨拶をした。

    お、おはようございます、本田ルミです
     ルミも緊張した挨拶を返した。

     トラックの乗車席側からもふたりの大人が降りて来た。
     ひとりは山賊のように髭をたくわえ、リン同じデザインのベレー帽を被り、
    サンブラスを
    かけた初老の男性。

    もうひとりは、太い眉に大きな目、顔は浅黒く日焼けしており、腕まくりした腕も逞しい、
    ルミの父親よりは若く見え、三十歳くらいと思われた、
    モスグリーンのキャップを被っている。 

    ルミちゃ~ん、こちらのふたりも紹介するですゥよ。この髭のおじさんが黒田大佐、うちらのチームの代表でお医者さんなのですゥ

     紹介された黒田がルミに近寄り手を差し出し、
    「黒田です。今朝早くから申し訳ないね」
     少ししゃがれた声で、握手を求めた。

    ど、どうも、今日はよろしくお願いします
     ルミは黒田の手をとり、握手しつつ頭を下げてお辞儀した。

    そしてぇ、こっちが武田中尉さんですゥ。
     中尉さんは元自衛官でレンジャー部隊にいたですゥよ

    「正確にはレンジャー部隊にいたんじゃなくって、レンジャー訓練課程の履修だ、よろしくな」
     武田は敬礼で挨拶した。

     ルミリンの耳そばで。
    みんな軍隊の階級つけてるんだね

    うん、うちも一応、看護曹長って肩書なのですゥよ

    ふうん、曹長さんかあ……


    さあ、ここの農家さんで下ごしらえに取りかかりますですゥよ

    ここで?

     リンルミを連れて農家の裏手にまわる。

    おはようございますでっすゥ~

     元気いっぱい、手を挙げて、野良着を着た農家のおじいさんに挨拶する。

    「おー早いな、頼まれてた芋と人参と玉ねぎは水場に置いといたからな」

    ありがとでっすゥ!

     家から少し離れた場所に公園の水飲み場のようなセメント台の水道栓があり、
    排水はそのまま傍にある田んぼの用水路に直結してある。
     水場に大きなバケツに入った野菜が六つ置いてあった。まず、水洗いから始める。

     井戸水なのか、水が冷たい、ルミたちはジャガ芋と人参の泥を落とし、
    玉ねぎの外皮を剥く。

    さあ、次、ルミちゃんはピーラーで皮を剥いてくださいですゥ、
    うちはカットをしますから。
     玉ねぎの外皮はまとめて捨てるけど、他の剥いた皮は
    こちらにポイしてくれたらいいですゥよ、後で鳥さんたちが食べてくれますから

    なるほど、エコだね


    (つづく)
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