『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 353-356頁  ★違うよ!ルミちゃん、オットーメララ76ミリ短装速射砲だよ
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『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 353-356頁  ★違うよ!ルミちゃん、オットーメララ76ミリ短装速射砲だよ

2019-07-21 21:19
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
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    【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

    コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    彼女達のダンスパフォーマンスが投稿動画で評判に。
    これをきっかけに動画サイトの『東京音楽祭』に招待されることに!
    中学生のルミたちが東京を目指す、パフォーマンスはいかに?


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    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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    【登場人物紹介】                
                       人公の本田ルミ
    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけに
    コミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    賢者のルミのコスプレイヤー。   

    イメージイラストは、
      はじめとみかん様提供。     
     
                     
                       滝沢エリカ
    ポニーテールにティアラを着けた「エリカ姫」の

    コスプレイヤーで中学三年生。
    イジメによる背中に酷い火傷がコンプレックス。
    リストカットした過去もあるちょっとワケあり
    の美少女。
    ルミをダンス動画作りに誘う。




                       白銀(しろがね)リン
    ルミ
    がイベント会場で出会ったベレー帽が
    トレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    天使のリンをイメージしたオリジナル
    コス
    プレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

     
    イメージイラストは海冥様制作の3Dモデルより。

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     当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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       353-356です。

    エリカに勇気づけられ、衆目にさらされながらも、何とか芸を披露し終えたルミ
    ホッとしたとたん、彼女のお腹がグウグウとバイブモードのアラームのように鳴りだした。

    そう言えば、まだ、あんまし食べてなかった ……

    前菜とフライドチキンを食べただけ、芸を迫られた緊張で、すっかり忘れていた。

     ちょうど、オーダーしていたサイコロステーキが ジュウジュウと美味しそうな音を
    たてながら、テーブルに運ばれてきた。

     このサイコロステーキを熱心に勧めてくれた黒縁メガネの男性は、
    あいにくとよそのテーブルへ喋りに行ってしまっていて席に居ない。

     同じテーブルの他の人たちも、酒を飲みながらの会話に 夢中で誰も料理に手をつけようと
    しない、なので追加オーダーしてもらったメニューは、ほぼルミの独占状態だった。

    肉汁たっぷりのサイコロステーキを独りでパクつくルミ

    ふと、エリカのことが気になって、彼女の居るテーブルの方を見てみると、
    ノーコンPや他の男性陣をはべらせ、逆ハーレム状態だった。

    両腕を大きく拡げ、グラス片手にソファーの中央にどっかと座っている、
    モデルばりのスラリとした長い脚を黄金比の絶妙な角度で組み、
    ふんぞり返ったまま、アレ食べたい、ソレ取ってと周りの大人を下僕のように扱う
    ワガママなお姫様ぶりだ。

    エリカエリカだが、中学生の女の子相手にチヤホヤする周りの大人大人である。

    頭の銀色ティアラが店のライト加減のせいか、妖しく光って見える。

    今日のあたしって最高!
    などと宣い、グラスを高々と掲げて気勢を挙げている。

    想定外で夕食代も浮いちゃった~!
    奢ってくれる大人って、あたし大好きよん
    そう毒づいて、グラスを飲み干している。

    エリカさん、えらくテンション高いなあ、絶対アレはお酒を飲んじゃってるよ ……

    ルミはそんなエリカの心配をしつつ、次にリンの居るテーブルの様子を覗いた。

    リンは黒シャツを着たパンク系の人とか、長髪でピアスをしたビジュアルバンドっぽい人とかに取り囲まれ、彼女中心に賑わっていた。

    恐らく、動画でみせた彼女萌えボイスでの歌唱力に 魅かれた音楽系の人達であろう。
    カラオケも無いのに彼女はフォークをマイク代わりにアニソンを歌っている。

    そのサービス精神旺盛な振る舞いに、ルミは呆れるばかりだった。

    そして、ルミ自身のテーブルには、紳士な黒縁メガネの男性に代わって、
    淡いマリブルーのシャツを着たミリオタっぽい若い男性がやってきていた。

    そのミリオタ君は、ナントカ級の何番艦がどうのこうの、対空火器がどうのこうのと
    一方的にカルトな話題をルミに浴びせてくる。

    どうやら、軍艦のお話らしい。軍艦はよく分かんない、
    戦車の方がまだ好きなんだけどなあ、ゲームでやったことあるから ……

     そう困惑しつつ、ルミサイコロステーキ続いてテーブルに運ばれてきた
    ガーリックライ
    スに視線を泳がせる。

    食べることを優先して、ミリオタ君の話に適当に応えあしらうことにした。

    オット、メラメラ機関銃でしたっけ?
    取り皿に手を伸ばしながら、聞かされた単語をいいかげんにリピートする。

    「違うよ!ルミちゃん、オットーメララ76ミリ短装速射砲だよ」


    ミリオタ君は中学生の女の子相手に熱心に速射砲の解説をする。
    興味のないルミは黙々とガ
    ーリックライスの山をスプーンですくって取り皿に移しながら、
    愛想よく首だけの相槌を打つ。

    「砲身を水で冷やすから、撃った後に砲筒からダバーっと水が出てきてね ……」

    口から飲み物がダバーって、こぼれてるよ!汚いなあ、こっちまで『被弾』しそうだよ

    ルミはソファーに座っていた位置をお尻半分ほどズラして、ミリオタ君から距離をとった。

    動いた先には、いつの間にか別のテーブルから移ってきたポロシャツの男性が座っていた。
     やつれているのか痩せているのか、その男性は色白で細く、くたびれたシャツには
    ボーカルソフトのロゴが入っていた。

    座を寄せて来たルミと目が合うと。

    「君がエリカ組の動画演出をしているんだよね」

    はあ、一応 ……

    ルミはまた、見知らぬ大人の聞き役を強いられるはめに。
    ただ、この人、動画での自分の仕事ぶりに関心を持ってくれていると感じた。

    聞けば、このポロシャツの男性は、3Dソフトを使って音楽PV動画を作っているんだとか。
    例のボーカルソフトのキャラクターモデルを楽曲と組み合わせて踊らせるもので、
    ルミもその手の動画は見たことがあった。

    男性は今、バーチャルアイドルがコンサートデビューするシチュエーションを制作中で、
    臨場感のある演出に行き詰っているとのこと。

    そのことを中学生のルミに相談するために、わざわざ、このテーブルまでやってきたらしい。

    自分の仕事ぶりを認めてくれている、頼られている、
    ルミは心の隅をくすぐられる気持ちよさに顔も綻んで、相手に接する態度を変えた。

    指でツインテールの根本の赤いリボンをクリクリと弄りながら、
    バーチャルアイドルの演出を懸命考え。絞り出した。

    う~ん、初めてのコンサートかあ …… アイドルが やっと辿り着いた晴れ舞台。

    だったらさぁ、歌の後半部分は感激して泣きながら歌わせてみるってのは、どう?
    難しいけどお兄さんなら出来るでしょう

    ルミがそうアドバイスすると、ポロシャツの男性は、フムフムとえらく納得して、
    彼の表情にも精気が戻った。
    そして、ルミに丁寧に礼を言うと元居た自分のテーブルへと戻って行った。

    マジでわたしのアイデアを試してくれるのかな? 
    今度、あの人の動画もチェックしとかなくっちゃ

    宴もたけなわ、場がだいぶ乱れてきた。
    音無明菜は焼酎グラス片手に隣の男性をヘッドロックしてからんでいる。
    どうやら、ネットアイドル様は酒癖が悪いようだ。

    ルミはトイレに行こうと立ち上がった。なぜか、足元が変な感じでふらつく。

    アレ? 上手く歩けない、おかしいな ……
    えっ? もしかして、わたし酔ってるの?

    彼女がさっきカルピスだと思って飲んだのは、カルピスフィズというカクテルらしいのだ。

    ルミは運動会でやった『三半規管異常無し』という競技(野球のバットを地面に突き立てて、グリップエンドに自分のおでこをくっつけた姿勢で三回グルグル廻ってから走るアレ)
    を思い出した。

    エリカさんの心配ばかりしていたけど、
    自分が酔ってしまうなんて、なんたる不覚!

     ふらつきながらもトイレを済ませる。

    ここへ来て、だいぶ時間も経っている、そろそろ引き上げなきゃ

     ソファーの肘掛を伝いながら、エリカの居るテーブルまでヨロヨロと進んだ。
    そして、宴の喧騒の中、まだまだハイテンションなエリカの耳元へ声を張りあげ告げる。

    そろそろ帰りましょう

    それを聞いて傍にいたノーコンPが、ルミたちに尋ねた。

    今夜は、どこのホテルに泊まるんだい?

    このおっさん、わたしらの宿泊先を訊き出してどうする気だよ!

     ルミは顔をしかめてノーコンPを睨む。

    ハーイ! あたしたち、今夜はネットカフェに泊まりまーすっ!
     ポニーテールを揺らしてエリカが答えた。

    えっ? ネットカフェって、君たち中学生だろ、深夜利用なんて出来ないぜ

    えーっ、泊まれないの!

     少女ふたりは酔いが一気に覚めた。

    泊まれない、泊・ま・れ・な・い …… ルミの頭の回路がシステムダウンする。

    なんで? ここへ来る時も、新幹線は正々堂々と大人料金を支払ってきたって言うのに。
    中学生になって学校の科目だって『算数』が『数学』に呼び方が変わっちゃったし。自分たちは、もう子供じゃない、大人になったんだと、すっかり錯覚しちゃってたよ。
    まだ大人じゃないんだ、未成年。

    シクシク……どうしよう、泊まるとこ ……

    その時、ルミの頭に閃きが!


    そうだ! 明菜さんがいた!
    同性の明菜さんの所に、今夜一晩だけ泊めてもらおう。
    ネットアイドル様に、どうか助けて下さいと、そう頼んでみよう。
    まだ帰ってはいないハズ


    ルミエリカは、明菜の姿を捜した。

    居た! 明菜さーん

    少女ふたりは、慌てて明菜のテーブルに駆け寄るも、ネットアイドル様は、
    とろけたチーズのような状態でテーブルに被っていた。

    どっひぇーっ、酔いつぶれておられるるるーっ!

     少女ふたりは、万歳した体勢でソファーの空席にズッこけた。

     気が付けば、少なからず居たはずの他の女性たちは、もうみんな帰ってしまっていた。

    後は ……ノーコンPのおっさんに救いを求めるしかない。
    わたしたちを招待したのはノーコンPさんだ、未成年の女の子を東京まで誘ったんだから
    責任があるはずだ

    ルミエリカは、拾われるのを待っている捨て猫みたいな眼差しをノーコンPに向けた。



    (つづく)
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