『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 361-364頁  ★ドキリとするくらい大人びて見えた。
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『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 361-364頁  ★ドキリとするくらい大人びて見えた。

2019-08-25 23:19
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。中学生三人組が東京のイベントへ!
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    【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

    コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    彼女達のダンスパフォーマンスが投稿動画で評判に。
    これをきっかけに動画サイトの『東京音楽祭』に招待されることに!
    東京までやってきたのはいいが、泊まる所がない! 
    ルミたち中学生三人組は、初めて会った男性のマンションに押しかけた、いかに?


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    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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    【登場人物紹介】                
                         人公の本田ルミ
    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけにコミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    賢者のルミのコスプレイヤー。   

    イメージイラストは ぽよん様提供。     
                      
                              滝沢エリカ
    ポニーテールにティアラを着けた
    エリカ姫」の
    コスプレイヤーで
    中学三年生。
    イジメによる背中に酷い火傷が
    コンプレックス。
    リストカットした過去もあるちょっとワケありの美少女。
    ルミをダンス動画作りに誘う。



                           白銀(しろがね)リン
    ルミ
    がイベント会場で出会ったベレー帽がトレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    天使のリンをイメージしたオリジナルコスプレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

    イメージイラストはゆりぺっこ 様提供。

     
                            ノーコンP
                         投稿動画でカリスマ的人気を誇る楽曲制作者。
       【画像なし】            30代半ば、独身。
                         ルミたちを東京音楽祭に招待した。
                  


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     当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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       361-364です。

    部屋の主(ノーコンP)は、怒って出て行ってしまった。
    ルミたちはバッグから着替えを引っ張り出してシャワーの用意を始める。

    男の一人住まい、そんな他人ん家のお風呂に入るのは何だか気持ちが悪い、
    バスタブに今からお湯を貯めるのも面倒なので、彼女たちはシャワーだけを
    さっさと浴びることにした。

    バスルームが狭いので一人づつ順番に入る。
    エリカが最初に入り、その間にルミはリンと
    一緒にノーコンPが戻ってこないか
    玄関ドアをじっと見張った。

    ルミの隣で体育座りするリン、まだナイフを抜き身のまま、ペタリペタリと
    手のひらに当てて、もて遊んでいる。

    ねえ、リンちゃん。危ないから、いいかげん、その物騒なモノを仕舞ってよ

    そ、そうですゥねえ
    注意を受けたリンは、素直にナイフをホルダ
    ーに納めると、それを膝頭の間に挟んだ。

     それを見てルミは、ふうと安心のため息をつき、玄関ドアを眺めながら
    今晩のことを考えた。

    ノーコンPのおっさんは、そんな悪い人には見えない。
    第一、ここに押しかけてきたのは、わたしたちの方だ。
    それにリンちゃんも居るし、ナイフを持った
    銀行強盗だって
    秒殺しちゃう萌っ娘なら、おっさんの一人や二人相手でも 全然大丈夫だろう

    ルミの気持ちも徐々に落ち着きを取り戻す。

    辺りが静かなので、エリカがシャワーを浴びる音が部屋に丸聞こえだった。
    音が止み、バリバリとバスルームの安っぽい折り畳みドアを開ける音が聞こえてきた。

    あがったわよ。次はどっちが入んの?

    下ろした長い黒髪をタオルで揉みながら、エリカが 順番待ちしている ふたりに声をかけ、
    バスルームから出て来た。

    湯上りの彼女は裸だった。さすがに下は履いていたが上半身の白い膨らみは無防備。
    それと、背中が丸見えだった。  

    彼女の肩から下には、初めて見る者は思わず息を飲むほどの酷い火傷の痕がある。
    縮れた皮膚はドス黒く、少女の白い背中に大きなの文字をしたケロイド痕。
    これはエリカが小学生の時に受けたイジメ、教室で背中を火炙りにされるという
    壮絶な集団リンチの跡なのだ。

    彼女はこの身体的な大火傷以上に、心にも深い傷を負っていた。

     集団リンチの時、唯一エリカを庇おうとした子が居たのだが、
    その行動が逆に火炙りの点火役を強いられるハメになる。

    その子は火を点けてしまったことをエリカに恨まれていると思い込み、
    飛び降り自殺してしまう。

    エリカ自分が自殺に追い込んでしまったと自責の念にかられリストカット、
    左手首にそんな傷まで持っているのだ。

    ルミエリカの肢体を目で追いつつ想った。

    スラりと伸びた長い脚、フィギュアモデル並みの恵まれた体形、
    高飛車な物言いする我が儘なお姫様キャラに扮する美少女コスプレイヤー。

    だが、そのコス衣装の下は、体も心も深い傷を持つ悲しい女の子なのだと。


    ルミちゃんが先に入ってくださいですゥ

    リンの舌っ足らずな萌えボイスに促され、ルミは 立ち上がると
    ツインテールの結元を解いて髪を下ろす。

    用意していた透明のビニールバッグに入ったシャンプーセットを持ってバスルームに入る。

    壁の白い目地にポツポツと黒いカビが見えた。高所にはシャンプーの泡が残っている、
    エリ
    が相当慌ててシャワーを済ませたことが窺えた、ここに長居したくなかったのだろう。

    ルミはシャワーを肩から流しにかかる、貧相で子供体形だが、
    無垢な肌に大きな傷など一つもない、お湯を浴びながら自問する。

    裸のわたしはコミュ障の女の子でしかない。
    エリカさんと比べるとわたしの抱えてる悩み
    なんて、ちっぽけなもんだ ……

     ルミの次にリンが入り、三人ともシャワーを済ませ、寝間着替わりのジャージに着替える。元々、ネットカフェに泊まるつもりでいたから、パジャマでなくてジャージなのだ。

     寝仕度を整えたが、部屋の主は一向に帰ってくる様子がない。

    部屋の窓から外を見ていたエリカが。
    あれ、ノーコンPさんじゃない?

     ルミリンも窓にへばりついた。
    マンションの前には外灯が建っていて、ベンチで毛布に包まっている人を照らしていた。

    だ、本当に外で寝ている。
    悪い事したかな ……幾分か心苦しさを感じるルミ

    意外と紳士じゃない。まあ、いくら何でも、このままじゃあ、ちょっと気の毒ね
     自己中なエリカも気にかけ始める。

    仕方ないわね。連れ戻しに行きましょう」 
    一晩くらい放っておいても今の季節、死にはしないですゥよ
    異議を唱えるリン、いつになく辛辣だ。

    よく知りもしない男を簡単に信用してはいけないと言うのだ。
    彼女はコスプレイベントで優勝するほどの人気レイヤー、カメラファンも多い。
    熱心で真面目そうに見えるファンでも、人目のない所に誘われ、
    よからぬ事をしようとする輩がいるとのこと。

    萌っ娘の経験談なのね、なるほど。その輩がその後どうなったか気になるけど……
     ルミはその輩の末路を心配した。

    でも、あのままじゃマズいでしょう。
    あの人が公園で職務質問でも受けてごらんなさい、女子中学生に部屋を乗っ取られましたあ、な~んて白状されたら、あたしたちの立場の方が危うくなっちゃうんだから

    ウグゥ、確かにそうなったらマズいですゥ

    やっぱり部屋に戻ってきてもらうのが正解でしょ、リンはお留守番しててよ

    エリカはそう言うと、下ろしたままの髪に律義にティアラだけは着けて外に出る支度をする。

    ティアラはゲームキャラ『エリカ姫』のコスプレアイテム、ジャージ姿でも
    譲れないエリカの拘りなのだ。

     ルミも一緒に行くことになり、ふたり連れ立ってエレベーターに乗り込む。
    一階で降りてエンタランスまで来るとセンサーが感知してガラスの自動ドアが開いた。

    ルミ、あんたはここで待ってなさいよ。オートロックだから二人とも出ちゃったら、
    外から開けられ、なっ!

    エリカが言い終わらぬ内に、慌てていたルミが 前につんのめり、
    ふたりしてドアの境目を越えてしまう。
    自動ドアがガシャンと冷たい音を立ててふたりの目の前で閉まった。

    あああ…… ごめん
     メガネがズリ落ち、項垂れるルミ

    ドジねえ
     エリカは やれやれといった感じで手のひらを上にあげて首を少しすくねた。

    まあ、いいわ。ノーコンPさんを連れ戻せればいいことなんだし。
    それにいざとなったら、部屋番号のインターホンでリンに開けさせるって手もあるしね

    ルミとエリカはマンションの外へ出た。
    冷んやりとした空気、建物の周りの植え込みで、リーリーとコオロギが鳴いている。

    ノーコンPは公園と言ったが、遊歩道にベンチが置いてある程度で、
    建築規制上の緑地スペースといったところだ。

    外灯がベンチで寝ているノーコンPを寂しく照らしていた。

    は硬そうなスチールベンチにルミたちから背を向けた格好で毛布に包まっていた。

    エリカがベンチへ静かに近づいていく。
    ゴメンナサイ ……
    つぶやくような声で彼女は言った。

    しかし、ノーコンPは黙ったまま、振り向きもせず もぞもぞと少し動いただけだった。

    エリカはベンチの傍らに立ち続ける。
    怒ってる? そうよね、泊めてもらっているのに、失礼な事ばっかり言っちゃって。
    …… 本当にゴメンナサイ

    ルミは我が耳を疑った、エリカがさっきまでの傍若無人な物言いと違い、
    まるで別人のようにしおらしく振る舞っているからだ。

    あのね、あたしたち初めて東京に来て、とても不安だったの。
    それでね。パニックになっちゃって……

    切々と話すエリカ、言葉の最後の方ではヒクヒクと声を震わせている。

    さすがにノーコンPも気になったのか、寝たまま振り向いて、傍らに立つエリカを見上げた。

    ディアラを冠し、下ろした長い髪を夜風になびかせたエリカ
    いつものポニーテールと違い髪を下ろした少女は、ドキリとするくらい大人びて見えた。
    彼女の頬には外灯に照らされた涙の粒が白く光っていた。

     それを見たノーコンPは、慌てて起き上がるとエリカの両肩に手を添えて、

    わかったよ。泣かないでよ。別に怒ってなんかいないからさあ

     そう言って必死になだめにかかった。

     エリカは彼の胸におでこを押し当て、クスンクスンと泣き続ける。

    オロオロするノーコンP、幼い子をなだめるようにエリカの頭を何度も撫でながら、
    はどうすればいいんだというような情けない顔をして、
    傍観しているルミに視線を向けて訴えた。

    だが、ルミは それを冷たく無視するのだった。


    (つづく)
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