『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 373-376頁  ★「ついに、来ちゃったよ…… 」
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 373-376頁  ★「ついに、来ちゃったよ…… 」

2019-11-16 23:02
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。中学生三人組が東京のイベントへ!
    【今までのあらすじ】
    コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    彼女達のダンスパフォーマンスが投稿動画で評判に。
    これをきっかけに動画サイトの『東京音楽祭』に招待されることに!

    *********************************************************
    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

    *****************************************************
    *****

    【登場人物紹介】                
                         人公の本田ルミ
    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけにコミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    「賢者のルミ」のコスプレイヤー。   

    イメージイラストは ぽよん様提供。     
                      
                        滝沢エリカ
    ポニーテールにティアラを着けた
    「エリカ姫」
    コスプレイヤーで中学三年生。
    イジメによる背中に酷い火傷がコンプレックス。
    リストカットした過去もあるちょっと
    ワケありの美少女。
    ルミをダンス動画作りに誘う。



                           白銀(しろがね)リン
    ルミ
    がイベント会場で出会ったベレー帽がトレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    「天使のリン」をイメージしたオリジナルコスプレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

    イメージイラストは彩葉 様提供。

     
                            ノーコンP
                         投稿動画でカリスマ的人気を誇る楽曲制作者。
       【画像なし】            30代半ば、独身。
                         ルミたちを東京音楽祭に招待した。
                  


    *****************************************************
    *******
     当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

    ***********************************************************
       373-376です。

    ここ、秋葉原で開催される『東京音楽祭』、投稿動画サイトで人気の音楽系制作者たちが
    一堂に会し、アニソンやオリジナル曲をメドレー形式でライブを披露するビッグイベントだ。

    そして、ミリオンヒットを飛ばしてカリスマ的な人気を誇るノーコンPが、
    このイベントの実行委員長をやっている。

    ルミたちエリカ組は ダンス動画でノーコンPとコラボしたのがきっかけで、
    今回のイベントに出演者として招待されたのだ。

    東京のビッグイベントに京都のビギナー中学生がいきなり出演させてもらえる、
    何だか出来すぎた話で、ルミも最初は半信半疑だった。

    東京まで来て、ノーコンP本人に会ってからも、怪しいおっさんだと疑っていた。

    何しろ、ノーコンPが作っている作品は、エッチ衝撃的な歌詞を売りにしている、
    そんなのを作っている人は変態でアブナイ奴だと思われたからだ。

    しかし、ルミたちのそんな考えも変わった。夕べは宿無しとなってしまったルミたちを
    ーコンPは不満を漏らしつつも、自宅マンションに泊めてくれた。
    狭い部屋で一緒に寝たが何事もなく紳士な対応だった。

    むしろ、彼女たちの方がに悪態をつきちらし、リン護身用ナイフをチラつかせ、
    エリカに至ってはに目隠しをして、意地の悪い羞恥プレイでからかう始末だった。

    早朝の秋葉原をゴーゴーとキャリーバッグを引き摺る音を響かせながら、
    ルミたちはイベント会場を目指す。

    目的地のビルに辿り着いた、朝日に輝くビルを前にして、ルミはツインテールに
    ビリビリと緊張の波動を感じるような錯覚に陥る。

    コミュ障の彼女に大勢の人前に立つという重圧が今さらながら圧し掛かる。

    ついに、来ちゃったよ……
     コスプレの自己暗示であがり症を抑えていたルミであったが、その魔法も解けかかる。

    エリカノーコンPから渡されていたパス(許可証)をルミの首にかけながら。
    建物に入る前からそんなに緊張してどうすんのよ

    だってえ……
     ルミはメガネの奥の瞳を潤わせ言い訳を。

     だが、それを許す間も与えられず、ルミはエリカに手首を引っ張られ、
    ビルの裏手にある通用口へと連れられていく。

    そこで、守衛さんにパスを見せ、スタッフ用の案内パンフを手渡される。
    パンフには入り組んだ会場内の地図が載っていた。

    まずはスタッフ控え室で、挨拶と荷物を預かってもらわなくっちゃね
     そう言って、ポニーテールの年長者は、ルミリンを従え、コンクリートの通路を
    ゴロゴロとキャリーバッグを引き摺り、地図を確認しながら控え室を探す。

    『スタッフ控え室』とマジックで大書きされた貼り紙のある扉があった。

    エリカがコンコンと軽くノックしてから、扉を開けた。

    おはようございま~す
     そう挨拶の声かけをしてから中に入ると長い黒髪ストレートで前髪パッツンの女性が
    パイプ椅子に座っていて、スマホを弄るのに夢中になっている。

     半袖の白いブラウスにベージュのスカート、濃いルージュの大人の女性、
    エリカたちに気づくと、
    あっ、おはようございます。
    荷物はこの部屋の隅っこに置いといてください。 でも、貴重品は持っていってね。
     女の子の着替えは、この後ろにあるカーテンの奥側を使ってください。
     あとねえ、リハーサルとかの順番は、会場に居るスタッフを掴まえて訊いてね

    必要な事だけを言うだけ言うと、前髪パッツン嬢は、またスマホに目を戻した。
    どうやら、控え室で来訪者に説明する当番のスタッフらしい。

    ルミたちは言われた通り荷物を置いて、リハーサルの予定を確かめに行くことにした。

    案内パンフの地図をたよりに狭い通路を抜けて、広く明るい通路に出た。
    大きな扉の並んだ通路、ホールの入場口のようだ。重厚な防音扉を引き開けると、
    そこは観覧側の入場口だった。

    照明が落とされた暗い観覧側に対し、正面のステージは明るく浮かび上がって見える。

    会場は学校の体育館よりは小さく見えたが、それでも五百人くらいは入れそうだった。

    ルミたちは壁伝いの通路を通ってステージ側へと進む。ステージ上ではバンド演奏の
    音合わせが行われていた。

    おおっ、凄い迫力!
    楽器の大音響がルミのお腹の中にまで伝わってきた。

    女の子三人、ステージ前にかぶりつく。 
    エレキギターやドラムの演奏をこんな近くで聞いたのは、皆、生まれて初めてだった。

    ステージはまだ準備中で、スタッフ達が次々と機材を運び込んでいた。
     ルミはその中に見知った顔を見つけた、ノーコンPだ。

    この音楽祭の実行委員長であるノーコンPは、音楽統括ディレクターという大層な役職で、
    機材の搬入やら、セッティングやら、音合わせやら、進行打ち合わせやら……

    要するに雑用全般もこなす何でも屋だ。

     はステージ下に居るルミたちに気付いてくれない、気づいてくれそうな素振りもない。

    何だか忙しそうね
     エリカがぼやいた。声が掛けづらい。

     ひょっとして、出がけに目隠しさせたまま放置してきたから、怒ってシカトを
    決め込んでいるのか?

     エリカノーコンPの側まで行くことにした。
     ステージの際の階段を上がり、照明が眩いフロアに登る。

     ノーコンPはピアノを前に出場者と真剣な表情でプログラムの確認作業をしている。

    ……
     エリカの仕事ぶりを黙って眺めた。

     ノーコンPは時折、ピアノで軽やかな音色を弾いてみせる。

    やるなあ、ノーコンPのおっさん!
     ルミは彼の意外な一面をみたようで驚いた。
    でも、これは失礼な話で、アマチュアとは言
    え、は人気の作曲家である。
     旋律を奏でるその指は、華麗に鍵盤を操り、袖捲りしたワイシャツ姿も眩しい。

     エリカがピアノに近寄り。
    へえ、ピアノ上手いんだあ
     そう生意気に呟いた彼女だが、内心では奏でノーコンPがちょっと素敵に見えていた。

     見とれているエリカの背後から。

    そりゃそうよ。何てたって、この人、元々ジャズマンなんですもの。アマチュアだけど

     そう教えてくれる女性の声に、エリカたちはびっくりした。
    聞き覚えのある声だ、振り返る
    とそこには、栗色の巻き毛にサングラス、
    投稿
    動画界の人気ボーカリスト明菜が居た。

    お早うございます!
     エリカは不意に現れた動画界の大先輩の彼女にペコリとお辞儀をした。

     ルミ彼女を間近に見て思った。
    夕べ、あんなとろけるくらい泥酔されていたのに、今朝はちゃんと
    復活されているんですね。
     まだまだ、お酒の臭いがプンプンしますけど

     明菜はピアノに寄りかかってノーコンPを見下ろして笑みを浮かべる。

    「コラ、明菜! 元々って何だよ! 
    俺は今もジャズが本命のジャズマンだぞ!」

    ノーコンPは聞き捨てならないという感じで
    明菜を睨みつけて憤る。
     同時にエリカの顔もチラ見した。どうやら彼女達が居るのには気づいていたようだ。

    ジャズマン?
     エリカは気づいた、ピアノの上には楽譜が見当たらない。

    今日やる全曲、暗譜している?
     ノーコンPはピアノを弾いて、明菜の声と音調加減の調整を始めた。

     明菜は時々、口に手をあて生あくびを繰り返す。

    明菜、おまえ、昨日かなり酔っぱらっていたけど、大丈夫なんだろうな?

    今朝、起きた時は頭がひどく痛かったわ。
     でも大丈夫、心配しないで。 出がけに冷たい焼酎ひっかけてきたから

    ……

     ルミは心の中で密かに突っ込みを入れた。
    迎え酒ですか、明菜さん! この人、アル中じゃないのか?

     そんな豪傑ぶりの大人の女性とは対照的に、エリカの方は胸の前で手を合わせ、
    まるで無垢
    な少女が音の調べに心を奪われたかのような表情で、
    ノーコンPの演奏にうっとりしている。

    楽譜なしでも弾けちゃうんだあ
     エリカの漏らした一言に応えてか、ノーコンは馴染みのあるアニソンで
    そのアレンジを
    次々と変えて弾き始めた。
     もちろん、譜面などない。即興で弾いている。

     エリカの瞳が丸く大きくなり驚いている。 ノーコンPも得意げな表情だ。

    ねえ、ジャズマンがどうして投稿動画なんかに熱を入れてるの?
     にド直球な質問をぶつける。

     鍵盤を叩く手が止め、
    ジャズの仲間が身近に居なくてね ……
     ノーコンPはしんみりと語り始めた。

    (つづく)
    *****************************************************
    ********
    ★初めて読まれた方は、1頁目からどうぞ
    http://ch.nicovideo.jp/sonicvoice/blomaga/ar858417

    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。