『コスプレ少女』ROUTE161  421-424頁  ★中学生の女の子はカレン族なんて知らないか
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『コスプレ少女』ROUTE161  421-424頁  ★中学生の女の子はカレン族なんて知らないか

2020-09-13 01:35
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
    【 今までのあらすじ】

    コミュ障で友達が出来なかった京都に住む中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    リンに誘われ、サバゲ―イベントの昼食作りを手伝うバイトをすることに。
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    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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    *****

    【登場人物紹介】                
                         人公の本田ルミ
    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレを
    きっかけにコミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    賢者のルミのコスプレイヤー。   

     イメージイラストは
     ぽよん様提供。     

                                           白銀(しろがね)リン
    ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
    トレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    天使のリンをイメージしたオリジナル
    コス
    プレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

    イメージイラストは なみぞう 様提供。






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     当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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       421-424です。

     サバイバルゲームの合同イベント、その会場は山を切り拓いて出来た野っ原に
    ドラム缶が 数個置かれただけの自然の起伏やブッシュがメインの野戦フィールドだ。

    取材にきた雑誌社の記者たちが、スポンサーメーカーの新製品を紹介するための
    撮影場所を物色していた。

     あまりにも殺風景な屋外フィールドなので、カメラマンは思案の果て、
    撮影背景として適当な木立にカモフラージュネットを張り、
    それらしい雰囲気を出すことにした。
    メーカーの人も手伝わせて設営に取り掛かる。

    撮影モデルを務めるのは、白銀(しろがね)リンである。

    何しろ、むさ苦しいミリオタの集まりの中で、美少女レイヤーである彼女の存在は、
    戦場に舞い降りた天使のごとく際立っていた。

     雑誌社にとっては格好の人材だ、おまけに金銭的には無報酬で、
    ちょっとしたノベルティグ
    ッズが提供されただけだ。

    もっとも、セレブな天使は、そんな小物には関心なぞなく、チームの内輪にみな配っていた。彼女にとっては、お金よりも商業誌の紙面にモデルとして載ることこそが魅力なのだ。


     一方の本田ルミは、お昼にカレーの配膳をするまで、何もすることが無い。

     次々とやってくるサバゲ―マー達、迷彩ジャケットに弾倉をいっぱい詰め込んだ
    タクティカ
    ルベストを纏う者やハーネスに何丁もガンを吊るしている者、
    全身黒づくめで鎧武者のような
    フェイスゴーグルを装着したSWAT隊員などなど、
    完全武装した集まりの中で、ルミひとり
    だけが着古したジャージの上下に
    普通の運動靴
    と、まるで運動会の学外参加者のような浮いた格好をしていた、
    さらにツインテールに赤いメ
    ガネが悪目立ちしていた。

    歩き回るのも憚れたので、リンが撮影される様子でも見物して時間をつぶすことにした。
    撮影場所から少し離れた場所に、ちょうど転がっていた丸太を見つけ、
    ベンチ代わりに腰かけた。

    ルミの視線の先では、新製品のモデルガンを構えたリンが、
    カメラマンから顔の向きや腕の位置をアレコレと指示されていた。

    ロリコスのイメージが強い萌っ娘だけど、戦闘服姿もカッコよくて似合ってるなあ
    感想を漏らすルミ

    以前、族との乱闘でリンの戦闘服姿を見ていたが、マジな殴り合いの時と違って、
    今回はミリタリックながらも、よりファッショナブルに見えた。

     サファリジャケット風で襟の大きな迷彩服にエンブレムの入ったミリタリーベレー、
    もちろんエンブレムはリンのトレードマークである矢で射抜かれたハートマークと
    天使のウイングがあしらわれたオリジナルデザインで、コーデセンスに隙はない。

     白い頬にウエーブした髪が軽くかかり、吸い込まれそうな鳶色の瞳、
    凛々しいその顔立ちは、
    ファンタジックなネトゲーのヒロインみたいだ。

    本当に萌っ娘は、いくつも顔を持ってるなあ
     ルミリンのモデルっぷりを眺めながら。

    フィギュアケースに飾っておきたいぐらい可愛いレイヤーさん ……
    小数点の計算が苦手なクセに、料理とか、お裁縫は、やたら上手くて女子力が高い、
    おまけに大邸宅にお住いのセレブなお嬢様ときている。
    そんでもって、族を相手に鉄パイプを振り回す裏の顔もあるし ……

     そんな思いにふけっていると、聞き覚えのあるしわがれ声が。
    「隣に座っても、いいかね?」声の主は黒田だった。

    あっ、ああ ……
     不意に声をかけられたルミは、言葉がうまく返せず、丸太ベンチの端に
    慌ててお尻をずらす
    と、せわしい手ぶりで横の席を勧めた。

    「やあ、すまないね」
    黒田はルミの横にゆっくりと腰を降ろした。

    ルミは本日のバイトの雇い主でもある黒田の顔をあらためて間近で見た。
     アーミーベレーに大きく色の濃いサングラスをかけ、映画で観た米軍将校みたいだ。 

    もみあげから連なるワイルドな顎髭には、所々白いものが混じっていて、
    老練な風格が感じられた。

     凝視されているのに気付いたのか、黒田がルミの方を向いて話しかけてきた。
    「君もあの子と同じようにコスプレをやっているんだってね?」

    あっ、ハイ ……リンちゃんほど可愛くないですけど、そのう……自己満足の世界で …

    「その赤いメガネも、ゲームキャラの真似ですね、良く似合っていますよ」

    あ、ありがとうございます

     ルミには分かった、黒田が年齢のかけ離れた自分に話を合わせようと
    気を使っていることに。

    「ところで、あの子は平和にやってるのかね?」

    はあ?

     突然の質問にルミは戸惑った、聞き間違いかと一瞬思ったが、
    確かに『平和に』と訊かれた。
    この人はリンちゃんについて、一体どこまで知っているんだろう?
     族相手に暴れてたこととかも知ってるのかな?
    そう疑問に思いつつルミは答えた。

    ちょっと平和じゃない時もあったりしましたけど、今は大丈夫みたいです

    「ふむ、あの子が無茶をせんように、これからも仲良くしてやってくれ」

     まるでリンの保護者のような黒田の口ぶり、髭をたくわえたそのワイルドな風貌から、
    怖そうに見えたが、その紳士的で優しい話し方にルミの思っていた印象が変わった。

    も、もちろん、わたしの方が仲良くしてもらってる方なんです。
     わたし…人と話すのが苦手で……って言うか会話するのが下手で ……
    直ぐに嫌われてしまうんじゃないかと思って怖くなるんです。

     今でも学校ではボッチで、同じ学校じゃないけど
    初めて友達になってくれたのがリンちゃんなんです

     ルミ自分のコミュ障ぶりを初対面の黒田に吐露した。
    黒田が医者だと聞いたせいもあって、どこか安心感があったからだ。

    「あの子も、君みたいな同年代の友達が居ないと、心のバランスが保てない、
    おふたりは良い関係にあると思いますよ」

    黒田さんはお医者さんだそうですが、精神科医なんですか?

    「いや、私は外科です。心じゃなくって、体の方を切ったり縫ったりする方ね。
     若い頃は、実銃撃ちたさに医者の身分を利用して海外の紛争地へ行ったりもしていました」

    紛争地って、戦争してる所へ?

    「ああ、医者なのに不純な動機でしょ。
     もちろん、救命活動もしていましたよ、
    銃創治療じゃ銃弾よりも砲弾片の摘出の方が多かったですねえ。

     東南アジアのカレン族 ……って言っても、中学生の女の子は カレン族なんて知らないか。
    自分達の国を作ろうと政府軍と戦っていた民族がいたのですよ。
    その紛争地域で中立的なボランティアとして参加していてね、
    非政府側へも医療活動をしていたのです。

    そこで仲良くなった兵士に頼んで、銃を撃たさせてもらってました。
    西側の銃だけでなく、共産圏のものや、大戦時に使われた骨董品級のものまで
    色んな銃があって実に貴重な体験でしたよ」

    そんな危ない外国まで行って、凄いガンマニアなんですね

    「そうですね、この歳になっても、トイガン持って遊んでいるんですからね」
     そう言って黒田は破顔する。

     ルミは黒田が結構、話好きだと思い、リンとの関係をもっと深く
    訊き出せるのではと考えた。

    リンちゃんとも、良く話をされるんですか?

    「あー、あの子は少し変わった子だからねえ」
     やや言い方を選んでいる様子の黒田。

    ウサギを捕って食べたりしてるし。
     わたし、目の前で生きてるウサギを首ギッチョンするのを見せられたことがあるんです。
    ナイフでスパっと、血がぼたぼたーって

    「ハハハ。あの子はナイフを使うのが上手だからねえ」

    リンちゃんは御守りとして、いつも本物のナイフを持ち歩いているんですけど、
    なぜだと思いますか?

    「君の目は、その理由を知っているようだね」

     返された言葉にルミは息を止められた。
    この人、喋りながらもわたしのことを探ってた! 
    わたしもこの人のことを探ってたんだからお相子か ……

     黒田は一呼吸おいてから、視線をモデル撮影しているリンの方に向けて。

    「母親を刺し殺されたトラウマ、君もそう考えているんじゃないのかね?」

    ハイ……

    「犯人は十九歳の少年で犯行に使っていたのは、アーミーナイフだったと聞いてます」

    犯人は十九歳の少年! 知らなかった情報だ。
     この人はわたしよりリンちゃんの過去に詳しいのかも知れない

    「犯人の少年は、いつか少年刑務所から出てくるでしょう。
    あの子は心の奥底で、それに怯えてるんじゃないかと思います」

    今のリンちゃんだったら、返り討ちにしそうですね

    「それはそれで怖いことです……」
     そう言うと黒田は、お尻を手でパンパンと払いながら丸太から腰をあげた。


    (つづく)
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