『コスプレ少女』ROUTE161  429-432頁  ★「ハ~イ、おまちどうさまなのですゥ~」
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『コスプレ少女』ROUTE161  429-432頁  ★「ハ~イ、おまちどうさまなのですゥ~」

2020-11-03 18:07
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
    【 今までのあらすじ】

    コミュ障で友達が出来なかった京都に住む中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    ルミリンの誘いでサバゲ―イベントのお手伝いをする、そこでリンの過去に触れることに。
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    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

    *****************************************************
    *****

    【登場人物紹介】                
                         人公の本田ルミ
    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレを
    きっかけにコミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    賢者のルミのコスプレイヤー。   

     イメージイラストは
       ぽよん様 提供。     
                      
                     

                           白銀(しろがね)リン
    ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
    トレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    天使のリンをイメージしたオリジナル
    コス
    プレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

    イメージイラストは なみぞー 様提供


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     当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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       429 432です。

    巷の不良少年たちの間で伝説のように語られている『血の七日間抗争』、
    暴走族どうしの勢力争いから始まった乱闘事件だ。
    総勢三百人にも上る族たちが、互いにエモノを持って殴り合い 辺りをに染めた。

    また、深夜にバイクのデッドレースを繰り広げ、パトカーも巻き込んで
    リタイアした車両が炎上した、次第にエスカレートしていった争いは、
    相手のたまり場を焼き討ちするまでに及び、
    襲撃された店は、まるで爆撃でもされたように黒焦げなった。

    この争いで逮捕者多数、半殺しの目に遭い病院送りになった者も少なくなかった。

    そんな大規模な抗争を仕組んだのが白銀リンの幼馴染で 姉貴分でもあった近藤マリ
    彼女は中学生ながら女暴走族レディ―スの幹部だった。

    父親不明、薬中の母親からは放任、幼い時から借金取りに虐待を受け、
    不幸を絵に描いたような生い立ちの近藤マリは、反社の用心棒から
    フィリピンの古武道エスクリマを教授され、男の族からも一目置かれる存在だった。

    そして、一週間にも及んだこの凄惨な抗争を終わらせたのが当時、
    まだ小学生だった坂本サキ白銀リンの本名)だと言うのだ。

    そんな話を聞かされ、ルミの細い膝が、がくがくと震えた。
    いくらリンちゃんが喧嘩に強いといっても、まだ小学生だった頃に、
    そんな凄い抗争を終わらせただなんて ……

     にわかに信じられず、口を開けて呆然としているルミの腕を
    リンがせわしく引っ張りながら。
    さあさ、ルミちゃん、そろそろ、お仕事のお時間ですゥよ。遅れたらダメなのですゥ。
     それじゃあ 影山さん、サバゲ―をお楽しみくださいませですゥ~

     さっきまで 影山のことを呼び捨てにしていたリンが、急に『さん付け』して呼び、
    愛想笑いまでして この場を離脱しようとする。

    リ、リンちゃん、モヒカンの人の話って、本当なの?

    もう、信じちゃダメですゥよ! ウソですから
     リンは顔を引きつらせながら、そう否定しつつルミの腕を掴む力を強めた。

    リンちゃんが妙に慌ててる、様子が怪しい、
    やっぱり『血の七日間抗争』を終わらせたって言うのは本当なのかも?

     本部のテントに戻ったルミリン、ふたりが朝に仕込んだカレーの寸胴鍋は、
    既に運びこまれていた、折り畳みの会議テーブルの上に、寸胴鍋と
    ご飯も保温用の青いプラスチックケースに入れて置かれていた。

     ふたりはまず、ポリ製の給水タンクの前で石鹸を使って手を洗い、
    ペーパータオルで手を拭いて、さらにアルコールスプレーで消毒した。

    使い捨てマスクを着け、ようやく準備が整う、
    給仕作業だけとは言え、衛生管理は大事なのだ。

     リンが青いご飯ケースの蓋を開け、深い紙皿にご飯をよそいテーブルの脇へ並べていく。
    ルミは それにカレーをかけていくのを任された。

    具が偏らないようにお玉ですくうのが、なかなか難しく、
    五十人分をこなすとなると悠長にはやってられない。

    既にサバゲ―の午前の部の何組かが、ゲームを終えて本部テント前で
    配給待ちの行列を作り始めていた。

    リンがカレーの盛られた皿をお盆に載せて、配っていく。
    ご飯をよそいつつ、配給を手際よくこなす、ルミの方はカレーを盛りつけるだけで精一杯だ。

    ハ~イ、おまちどうさまなのですゥ~
     にっこり微笑みながら、順番待ちの者にカレーとプラスチックスプーンを渡していく。

    マスクをしていても、甘いアニメ声は健在で、長いまつ毛、ベレー帽から
    なびく柔らかな髪の美少女は、ミリオタたちを惹きつける。

    「リンちゃん、今日も可愛いよ」

    ありがっと でっすゥ~

     愛想を振り撒くリン。コスプレイベントでもカメラ小僧達を相手しているだけあって、
    あざとい営業スマイルに抜かりない。

    「ねえねえ、うちのチームにも掛け持ちでいいから入ってくれない?」
     リンにチーム入りを勧誘する者がいた。

    リンは所属サバゲ―チームのマスコットガール、他にマスコットガールを有しているチームはおらず、むさ苦しいミリオタたちからは羨望の的なのだ。

    それはちょっとゴメンナサイなのですゥ
     リンは申し訳なさそうな顔をして、やんわりと勧誘を断る。

     リンが今のチームに入ったきっかけは、同人誌即売会だった。
    たまたま 今のサバゲ―チームが出展していたサバイバルナイフのハウツー本が目に入り、
    手に取ったところを黒田に声をかけられた。

    その時はまだ、コスプレをやり始めたばかりの無名レイヤー、カメラ小僧に取り囲まれることもなく、むしろ自分を認めてくれる人がいたことが嬉しくて、二つ返事でOKしたのだ。

    配給待ちのゲーマー達に囲まれながらも、可憐に立ち振る舞いテキパキと仕事をこなすリンカレーの盛り付けだけをしているルミは、ご飯の盛り付けと配給までやってのけるリン
    比べ、少ない仕事量にもたついている情けない自分が分かっていた。

    ウッウッウ、ダメなわたし ……

     ボヤいてる暇もなく、盛り付けに追われる。
    深い寸胴は 量が少なくなってくるとすくいあげるストロークも長くなり、
    繰り出す腕が辛い。

    カレーの味は上々だった。
    「凄くおいしかったです! お、お替りをお願いします!」

    そう言って、平らげた紙皿をリンに突き出してみせる若いサバゲ―マー、
    日頃、女性と喋り慣れていないのか、中学生の女の子相手に妙に緊張した面持ちだ。

    ハイハイ、お替りの方は、自分の紙皿持ってこっちに並んでくださいなのですゥ

     紙皿に限りがあるので、お替りに新しい紙皿は出せず、各自の皿に追い足す方式なのだ。

     カレーの入った一つ目の寸胴鍋が、瞬く間に空になった。
     ルミは空になった寸胴に替えて、二つ目を自分の前に据えようと
    腕をプルプルさせながら鍋を持ち上げる。

    重っ

     カレーが満杯に入っているのだから重い。
     おまけにこの寸胴は、学校給食で使う運搬が目的の薄いアルミ製と違い、
    火にかけて調理もする厚いステンレス製なので余計に重い。

     寸胴の蓋を開けた瞬間、カレーの香気とともに立ち昇った湯気でメガネが曇った、
    ルミはしばし視界を奪われ、お替り待ちしている者たちから笑われる。

    ルミちゃん、お約束みたいなネタで、えらくウケてるですゥよ

     別にウケ狙いだったわけではない、からかってくるリンに、
    ボケて返す心の余裕すらなく、ルミは黙々とカレーの盛り付けを再開する。

     午後の部の者たちも本部テント前にカレーを食べにやってきている。
    次から次へとカレーの盛り付けを持つ紙皿に追われる、
    ルミはひたすらお玉でカレーをすくう、脳から出るホルモンで
    何とかハイにでもなったのか、腕の痛みも感じなくなった。

    鍋の底が見えだした時、ようやく辺りを見渡す余裕が出来た。

    ルミちゃん、大丈夫ですゥか? ずっと黙りっぱなしだったけど

    いや、集中してたから。 テスト勉強よりも集中したよ

    ふ~ん

    あ、リンちゃんはテスト勉強なんてしないか

    うちをバカにした言い方するですゥね。
     でも、いつものように皮肉交じりの返しが出来るなら、大丈夫そうですゥね

    テスト前の勉強してるんだあ

    し、しつこいですゥね。この前、三人でやったから いいのですゥ

    この前って、エリカさんにやらされたやつ!
     中間試験の出来が酷過ぎて、無理矢理やらされたやつだよね。
    あきれた、あれから全然やってないんだ。
    まさかとは思ったけど、マジでびっくりだよ。
    さすが、小学生の時に宿題をほとんどやって
    いかなかった武勇者だね

     小学生時代のリンは、素行が悪く荒れていたせいもあって、出された宿題も無視していた。

    う、うるさいですゥね! 今は勉強の話は関係ないのですゥ。

     早く鍋をさらえるですゥよ!

     リンに命じられてカレーをさらえる。最後の二皿は自分達用だ。 
    リンとふたり本部のパイプ椅子に座って食べる。

    おふたりさん、お疲れ様本部に戻ってきた武田から労われる。

    は午後一のゲームを終えたばかりでチェストリグにガシャガシャとアイテムをぶら提げ、
    自衛隊の89式モデルの電動ガンを携えていた。

    ゲームの方はどうだったですゥか?

    ふふふ、モヒカン野郎を狙い撃ちしてやった、あいつはまだ素人だな、ガハハハ
    自慢げに話す元自衛官の武田

    男の人って大人になっても、ほんと子供ですゥねえ。
    張り合った相手に大人気ないのですゥ
     リンが冷めた目線で武田を見る。

    ゲームとは言えフイールドは戦場、世の中の厳しさをと言うものをだなあ、
    大人の俺が教えてやったのさ

     三十過ぎの大人が恍惚と偉そうに語っている。

    トイガンで戦争ごっこしてる時点で あんたも子供だろ
    ルミはそう突っ込みたいところだっ
    たが、喉に押し留めた。


    (つづく)
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