• 偏見プラグインレビュー: Shadow Hills Mastering Compressor Class A Limited Edition / Shadow Hills

    2020-04-01 18:50

    いいところも、わるいところもしょうじきに(なぜならお金をもらっていないので)

    Shadow Hills Mastering Compressor Class A Limited Edition / Shadow Hills



    Brainworx製(?)

    実機はバカ高のアイツ…ではなくこれは実機では存在しないバージョン。(だったはず。嘘書いてたらすまんな)
    緑ライトが実機のモデリングバージョンです。

    OptoコンプとVCAコンプの2段、シリアル接続のマスタリング向けコンプ。

    -正直寸評-

    良いところ
    ・見た目が良すぎるので音が良くなった気がする
    ・実はボーカルに使える

    悪いところ
    ・必要なものではない(普通ならOzoneでも買って、それだけでやったほうが良い音に仕上がると思います)



    -機能-

    まず最初のOptical Sectionはスレッショルドを決めるだけの、いわゆるLA-2A方式です。
    アタックリリースやレシオは変更できませんが、まあまあ良い感じの設定になってます。

    次段のDiscrete SectionはVCA方式なだけあってある程度は設定を変更できます。
    レシオは1.2, 2, 3, 4, 6, 20
    アタックは0.1, 0.5, 1, 5, 10, 30(全てms)
    リリースは0.1, 0.25, 0.5, 0.8, 1.2(全てs、つまり最速は100ms)とDualの設定があり、これはOptical Sectionのリリースと同期…おそらくOptoのリリースが −LA-2Aがそうであるように− 可変なので、それに追従するようになる機能だと思われます。

     原文:"At “Dual” the compressor mimics the two-stage recovery of the optical section."

     公式 Plugin Manualより引用

    またトランスフォーマーを3種(Nickel, Iron, Steel)から選んで少し音を変える事が出来る(大本営発表)ようですが、大して変わりません。
    一番多く倍音が付くのは真ん中のIronです。Steelではありません。(要再検証:1kHzのSine waveでの計測)
    とはいえマジで音が変わりません(誇張なし)。ブラインドチェック20回ぐらいやって全部当てられるなら、職業ミキシング/マスタリングエンジニアになるべきです。

    あとはハイパスサイドチェイン、M/S、モノラルメイカー、ステレオメイカー、パラレルミックスとPlugin Allianceのいつものやつが揃っています。



    -総評-

    これ一つでマスタリングをしようとするのは流石に時代錯誤もいいところで、むしろ −いくらラウドネスノーマライゼーションがあろうとも− 後段でリミッティングも併せて使う必要はあると思います。(目的にもよりますが)
    というのも、強めのコンプレッションをかけようとすると音像が崩れます(当たり前)。自分はOpto、Discreteあわせて最大2dBしかリダクションさせません。
    あえてわかりにくく言えば、マスタリング"コンプレッサー"であって、"マキシマイザー"でも"リミッター"でもないんですね。


    自分の使い方としては、まずこのSHMCでダイナミクスの調整をしつつピークが-1dBFSぐらいになるように音量を上げていきます。
    その段階で、-12LUFS Integratedぐらいまで上がればそこで終わりなのですが、ほぼ100%そこまでは届かないので、後ろにOzoneを入れてCeilingを-1dBFS TP有、常に元ファイルと音量を揃えて比較しつつ -13 ~ -10LUFS Integratedまでリミッティングして、いいところで終了。
    Ozoneは完全にブリックウォールリミッターとして使って、SHMCだけでゲインを上げてぶつけるみたいな使い方もアリかもしれません。(Ozoneを使う意味は…)

    余談ですが、下限を-13LUFSにしてるのは、ラウドネスノーマライゼーションを採用してる所で、それより上を基準にしている所は(自分の知る限り)ないからですね。



    -要望-
    なし
    好きだよ(なぜなら気分が上がるので)

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  • 偏見プラグインレビュー:Magnum-K / Mäag Audio

    2020-03-31 20:14

    いいところも、わるいところもしょうじきに(なぜならお金をもらっていないので)

    Magnum-K / Mäag Audio



    プラグイン製作はPlugin Alliance
    実機は2017年だかそれぐらいの比較的新しきもの
    Optoコンプ+マルチバンドコンプ(3kHz以上)+パラレルコンプ(ローエンドとハイエンドの付与)+ソフトクリッパーの4段をまとめたもの

    -正直寸評-

    良いところ
    ・作業効率が上がる(1台で大体の処理ができるので)

    悪いところ
    ・中途半端(他の一般的な機材でどうにかなるレベル)




    -機能-

    アタックは5ms ~ 200ms
    リリースは100ms ~ 1.2s
    レシオは1.3:1 ~ 13:1

    リダクション量にリミット(4, 8, 12, 16dB)をかけられるので、かけすぎないようにコントロールできる初心者も安心設計
    個人的に3kHzにフォーカスしたK-compが凄く助かる
    ボーカルにおいては口を横に開く母音で集まりやすい帯域なので、EQオートメーションを描く手間が省ける(100%ではない)
    とはいえカーブはシェルフなので3kHz以上からAir帯(個人見解:6320Hz以上)もあわせてリダクションされます(最大で-6dB程度)
    その分を取り戻すため、後段にパラレル・エアーEQがあるのではないかと勝手に思っていますが…

    また最終段のソフトクリッパーをオンにすると、クリップランプが点灯していなくても倍音が付きます。逆に、クリッパーを入れない場合はほぼ倍音が付かないクリーンなコンプです

    -総評-

    味を求めるコンプではない(ソフトクリッパー以外にTHD無し)
    しかし、ボーカルに限らず3kHzが目立ちやすいトラック下準備のコンプとして他にない働きをする(ドラムのバスコンプにも使えそう)
    また、下準備としてハイ、ローを伸長し、フルレンジに出来るのも良さ
    現場のエンジニアが考えた最強の時短ツールの趣(褒めすぎ)

    公式動画ではマスタリングにも使っているので今後試してみたい



    でもこれLogic Xの付属EQ、コンプ、マルチバンドコンプ(もしくはディエッサー)、エキサイターの組み合わせでほぼ同じ事出来るよな…


    -要望-

    K-Comp付けるならM-Compもあわせて欲しい(Muddiness Comp / 250~300Hzをターゲットにしたパラレルコンプでダンゴ感を解消できるように)
    最終段のメイクアップゲインはアウトプットレベルにしてほしい(+15dBだけじゃなくて-12dBもほしい)
    リダクションリミッターの設定をもっと増やしてほしい(2dBとか、3dB刻みのバージョンもあればなお良)


  • [DynamicRangeDay!]MetricABを使ったマスタリングごっこ

    2020-03-27 22:03

    本日はDynamic Range Dayです。
    というわけで(?)自分がやってるマスタリングごっこワークフローの紹介です。

    *注意*
    この記事は素人が書いた、素人向けの学習用ワークフローの話です。
    「プロはこんな事やらないよ」というのは百も承知の話ですのでお間違えのないようお願いします。

    *用意するもの
    ・ADPTR MetricAB
    ・ミックス済み2mixファイル
    ・マスタリング用リファレンス(比較参考用)楽曲(記事内では使用していませんが、必要があれば)


    *そもそも
    この記事で伝えたい事はバイパスチェックしろよの一言です。
    ハイハイ知ってるよって上級者の方はあまり役に立ちませんが、そもそもMetricABを持ってる人はほぼ中上級者なのでは...
    それでもMetricABは陳腐化しないのでおすすめです。

    ----------------------------------------

    まずは新規プロジェクトを立ち上げまして、2mixを読み込みましょう。
    その際、あらかじめチャンネルのフェーダーを-10~18dBFSに設定しておきましょう。
    (この作業、飛ばせる方は飛ばしてもらって構いません。自分の環境だとDAの際に音が割れるので必須なだけです/Antelope Discrete 4を使用しています)


    次にマスターチャンネルにMetricABを立ち上げ、同一の2mixファイルと、(使用する場合は)リファレンス楽曲を読み込みましょう。
    この際、ゲインマッチの所で-18dBにしておくと作業行程で大音量から耳を守れます。(こちらは必須だと思っています)







    さて、ここからはいつものようにマスタリングをしていきましょう。もちろん道具は自身のお好きなものを使って頂いて構いません。

    OzoneだろうがDAW付属だろうが好きなの使いましょう。

    *注意

    チャンネルのフェーダーは動かしてはいけません!
    音量が小さいと思うなら必ずオーディオインターフェースのモニター/ヘッドホンアウトプットを上げましょう。

    以下は筆者のワークフローですので読み飛ばして頂いても問題ありません。

    最近はShadow Hills Mastering CompのclassAとbx_2098+Ozone8 elementのダイナミクスセクションで仕上げます。自分の曲ならミックス段階で帯域バランスを整えているので、マルチバンドのコンプとかは必要ないですね。(むしろ問題があればミックスに戻れるのでそっちで直します)

    リファレンスと比較して、特にハイエンドローエンドの足りない所、多すぎる所を軽く直します。bx_2098だけで修正できないならミックスへ戻るというフローです。




    ここで問題になるのが所謂音圧。
    どれだけダイナミックレンジを狭くするかという言い方もできますが、とりあえずは好きなだけ上げてもらって構いません。
    今回はDRDの記事という事で、ピークは-1dBFS、RMS-11dBFSあたりを狙ってダイナミックレンジ(ピーク/RMS比)を10dB取るようにしました。
    Ozoneでのリダクション量が5dBを超えていないのが確認できるでしょうか。

    一通り仕上がったと思った段階でMetricABに移りましょう。

    まずは設定をsyncにして、2曲を切り替えても同じ部分が再生されるようにします。
    使用するプラグインによっては加工した側が遅れることがありますので微調整...
    終わりましたら一番音量の大きいセクションでのチェックから始めましょう。

    ここでMetricABのゲインマッチング機能を使って音量を揃えてみましょう。

    ...

    どうでしょうか。
    2つのトラックの違いはわかりますか?
    良い変化を感じますか?悪い変化を感じますか?

    ブラインドチェックもやってみましょう。A/Bボタンの上にカーソルを置いて目を閉じてください。そしてボタンを連打、どちらかわからなくなったら目を閉じたままどちらがA/Bか当ててみましょう。
    もっと踏み込めば、どちらが自分の好みかで決めましょう。もしそれがBであれば、このマスタリング行程で無駄なことをしています。

    もしくはどちらがA/Bか全くわからないぞという人もいるかもしれませんが、問題はありません。

    次は他のセクションに移りましょう。音量の大きい所でのチェックだけではなく、小さい所でも聴いてみましょう。
    どうでしょうか、もしあなたが音圧を上げていればAとBで音量差が生じていると思いますが、どう思いますか?
    それは好ましい変化ですか?それとも否定すべき変化ですか?

    これは他人が良いだの悪いだのどうこう言う話ではありません。
    あなたが自身の作品に自分で泥を塗っていないかをチェックしているんです。

    あとは全ての加工が"改良"となるように調整してください。
    「"道具を使いこなす"という事は"使わない"という選択が出来るようになることだ」という名言もあります。

    さて、ここまで読めた方は最終的な音量をどうすればいいかはわかりますね?

    そう、自分が満足するまで上げればいいんです。
    必ず元の2mixと比較しながらですが。
    この際、言っておきたいのですが「ラウドネスノーマライゼーション対策」というものを誤解されていませんか?
    ターゲットラウドネスに合わせなくてはいけないのは放送業界の話です。音楽配信はラウドネスノーマライゼーションで自動で音量を合わせてくれるので、例えば丁度-15LUFS Integratedに合わせる必要はないんです。それはただぴったりにしたぞという自己満足です。

    それではどこまでやったらわからないよ~って人は音量が大きいセクションでダイナミックレンジが10dBぐらいになるようにやればいいんじゃないでしょうか。
    そうすればおおよその配信基準である-13~15LUFS Integratedを超えられるのと併せて、A/B比較しても違いがわからないラインに出来るのでは、と思っています。

    以上で終わりですが、必ずリスニングボリュームを落とし、チャンネルのフェーダーを0に戻してから書き出しましょう。

    あ、あとピークは最低でも-1~2dBFSにしときましょう。-0.1でいいよとは責任を持って言えないので...(どの媒体、形式であれエンコードの時に0dBFS超過で歪みます。自分の作品は自分で守ろう!)