ポケットに物語を(琴葉姉妹の〇〇な方。の話)
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ポケットに物語を(琴葉姉妹の〇〇な方。の話)

2019-10-06 02:37
    「合同誌に参加しませんか」

    そんなお話を頂いたのは、まだ桜の名残も溶けきらぬ頃。
    とても丁寧な人柄のよくわかるDMが私の手元に届いたのがそもそもの発端で。
    対する遠野は(参加したいけど自分が参加してもいいのか……名だたる有名人の中に我が混ざってもいいのか。ていうか冷静に考えてダメじゃね?あかんて……せめて丁重にお返事を書かせていただこう……)とあれこれ思案した末に。




    遠野「やる!!(軽率)」



    一つ返事でした。



    はい。そんなわけで2019年10月5日のイベント、
    「コトノハーズフェスタ3」にて頒布された琴葉姉妹アンソロジー。
    「琴葉姉妹の〇〇な方」 参加させていただきました。


    以下、主催のいたるさんから説明を引用

    「琴葉姉妹の」から始まる、総勢22名によって描かれた様々な琴葉姉妹。
    日常・恋愛・仄暗・ファンタジー・VOICEROIDの5つの章から成り、
    「琴葉姉妹の〇〇な方」という、あの構文を文庫本形式にしてまとめた本。
    「〇〇な方」のその先を読者にゆだね、沢山の琴葉姉妹の可能性を楽しめる
    琴葉姉妹アンソロジー、「琴葉姉妹の〇〇な方」!

    うーんこの神企画……。
    あ、私はこの内の「日常」パートの一部分を担当しました。

    ちなみに名だたる絵師様による口絵も挿絵もある。
    沢山ある。豪華(小学生並みの感想)

    そんな琴葉聖書みたいな書物に関する感想。
    1.読者としての感想
    2.1筆者としてのあとがきの続きみたいなもの
    3.色々

    で語りたいと思う。

    1.読者としての感想

    ポケットに物語を。
    「琴葉姉妹の〇〇な方」という構文は、つまるところ物語の1欠片であり、物語の種でもある。
    ここに書かれている全ての1文は「どこかの世界の琴葉姉妹の、たった一瞬を切り取ったうちの、どちらか」だけで、この本にはその前後の「物語」は書かれていない。
    けれどその1文からは、「いつかどこかの琴葉姉妹の物語」を夢想できる。
    人によっては1つの文から複数の物語を思い描くことも出来るだろう。
    ただでさえ300Pというラノベ換算でも割と厚めの方だが、実際には1Pにつき一つの物語が書かれているようなものだ。(特にSF/ファンタジー系はほんとそう思う。世界観まで含めて匂わせてくるからね!)

    つまり300P×300Pで実質90,000Pの文庫本である。お得だ!!!!!


    さて真面目な感想である。
    自分は(自分が書いた文はともかく)内容をしっかり読み込んだのも、絵を見たのも実は本を手に取ってからが初めてだった。
    最初にいたるさんに説明されたイメージは、「一行怪談」だったのだが、読む側に回った私の感想だとこれは「詩集」だった。

    それは別に単文が連続で続くからというだけではなく、そもそも「詩」というのは言葉で人の感情だとか情動だとか、憧憬だとかを揺さぶるものだと思うから。

    ところで皆さんは詩集というものを読んだことがあるだろうか?
    中也でも谷川でもいい。萩原でも構わない。
    (今回の恋愛の章が好きなら海外だけどハイネ詩集とか読んでほしい)

    割と心に染みる詩もあれば、何を言ってるかわからない詩もあるだろう。
    これは文章が堅苦しいとかもあるけど、何よりも現代の常識・言葉に生きる私達には、古い詩を読む時にどうしても解読というステップが入るから。
    そして認識の土台が違う分、どうしても現代の身近なものに置き換えて例えないといけない。だから普遍的なものはまだしも、時代的なものの直接理解は難しい。

    でも、この本は分かる人には分かりやすい。
    琴葉姉妹が好きな人なら古い詩集のように自分の中で置き換えをしなくても、ダイレクトに伝わってくる。
    「琴葉姉妹の〇〇な方」という構文であるだけで、琴葉愛に溢れる人なら脳裏に情景が浮かび上がる。
    そしてこの本は間違いなく「それ」を目的に書かれた本だ。
    読んだものに1文から伝わる情景を思い描かせ、それだけで感情だとか情動だとか、憧憬だとかを揺さぶらせるための詩が詰まっている。
    頭琴葉の方々が言葉に詰めて、或いは絵に詰め込んで書きだした詩集だ。

    だからこれは、「琴葉姉妹構文」で書かれた「琴葉詩集」に相違ない。
    現代詩の1形態だ。知らんけど。私はマジでそう思った。君もそう思うだろ?(同調圧力)


    2.1筆者としてのあとがきの続きみたいなもの

    どちらかというと言いわけに近い。

    これだけ素晴らしい本に私が混ざるだけで「ふえぇ…」な事態なのだが、加えて自分はこうした「1文で魅せる力」というか、ポエム力が皆無なのだった。

    また私のスキルは「孤独」「寂しさ」といった方面に特化しているため、普通に「姉妹」「双子」という「2人」の要素を際立たせるのが辛い。
    これがまた「自分の内に生じる孤独」であるせいで、「2人から1人へという孤独・寂しさ」みたいなのも描きがたい。
    しかし、今回のテーマは「琴葉姉妹の〇〇な方」、つまり2人を「区別すること」にも重点がある。よって上手くすれば自分の得意も生かせるのでは。また他との差別化もできるかなと思って割とそこからくみ上げた。
    「2人」ではなく「1人」と「1人」として書こう。そうしよう。
    割と石を投げられそうな発想だったのでずっと黙っていた。これは罪の告白かもしれぬ。

    今回私が自分に課したのは
    1.納期厳守(最重要・大前提)
    2.日常の「1人」を切り取る
    3.言葉の美しさ
    4.春夏秋冬(梅雨)という単語を使わず季節を描写する

    であった。

    2については、自分の担当が「日常」章だったこともあって、自分は「日常の刹那」を切り取りたいと思ったのだ。

    与えられた余裕は1Pで、1文で、書けても1シーンが限度。

    けど、自分はそれをもっと短縮し、ほんの一瞬――時間が止まったように見惚れてしまう一枚。
    片割れの手元にカメラがあるなら、思わずシャッターを切ってしまうような風景を書きたかった。
    だから、私の文でカメラに捉えるのは(文に書くのは)片方だけにしたかった。
    (全部が出来たかどうかはわからない……したかっただけである)

    また、3.日本語の美しさ については、自分の特性の一つである「原作有りでの現代化」をやった。

    自分の処女作は「宮沢賢治の童話集」を現代風にコトノハライズしたという体である。
    今回も同じで、自分の書いた全文は「若山牧水詩集」を琴葉姉妹に当てはめたものだ。
    自分の特性や今回書きたいことに一致していたとか、そもそも好きだからとかも牧水を選んだ理由だが。

    有名な詩の一つに

    白鳥はかなしからずや空の青 海のあをにも染まずただよふ

    というものがあって、これを琴葉●に当てはめたかった(私が彼女にイメージするカラーは「白」なので)
    そこから「じゃ、牧水統一パにしよっか」となったのである。
    結果的に、「牧水で統一しつつ」「春夏秋冬を書かず季節の流れを描写し」「日常の一瞬を切り取った」「独りを想う詩」というキメラが生まれた。

    この辺は誰にも説明しておらず、出たら話そうと思っていたので。

    以下に、元ネタにした詩を記載しておく。
    もし手元に本がある人は「これがこれかな?」くらいに見てくれると嬉しい。
    後乗せサクサクで卑怯だけど、深みとか出るかもしれない。
    出ないかもしれないけど牧水の良さに気付いてくれるだけでもそれはそれで嬉しい。

    01,白鳥は かなしからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
    02,髪の毛に ちりし桜の かかるあり 木のかげ去らぬ ゆふぐれの人
    03,額に触るる 楢葉のもみぢ 摘み取りつ 唇にふくみて いふ言葉無し
    04,春寒き みそらの星の しめらへる この東明を 風吹き立ちぬ
    05,君すてて われただひとり 木の間より 岡にいづれば 春の雲みゆ
    06,木の芽摘みて豆腐の料理 君のしぬ わびしかりにし 山の宿かな
    07,東京の 七つ八つなる 小娘の 眼の小利口 さわれと遊ばず
    08,蒼ざめし 額つめたく 濡れわたり 月夜の夏の 街を我が行く
    09,わが屋根に 俄かに降れる 夜の雨の 音のたぬしも 寝ざめてをれば
    10,樹々の間に 白雲見ゆる 梅雨晴の 照る日の庭に 妻は花植う
    11,けふもまた こころの鉦を 打ち鳴らし 打ち鳴らしつつ あくがれて行く
    12,秋の日かげ 濡れし小石に 散り渡り 寄せ引く浪を 見つつ悲しも
    13,この国の 寒さを強み 家のうちに 馬引き入れて 共に寝起す
    14,岩山の いただきかけて あらはなる 冬のすがたぞ 親しかりける
    15,われ寂し 火を噴く山に 一瞬の けむり耐えにし 秋の夕暮れ
    16,岩山の ふもとの野辺の 枯草の 色あざやけし 冬の浅きに
    17,蛍のごと わが感情の ふわふわと 移るすがたが ふつと眼に見ゆ
    18,われ歌を うたへりけふも 故わかぬ かなしみどもに うち追はれつつ
    19,いつまでも 子供めきたる わがこころ わが行ひの はづかしきかな
    20,幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく

    これだけ話したかった。長くなった。
    あ、それと文の長さも大体統一しています。これは元が短歌なのと、癖……。
    ここまで差別化したのは、一重に「これだけやれば被りを気にしないですむだろ……」みたいな気持ちもあったのだけれど……。

    正直やっぱり浮いて感じるよね!!ごめんね!!!


    3.色々
    誘ってくださったいたるさん。共に姉妹の物語を広げてくれたアンソロジー参加者の皆様。
    また、本を手に取ってくださった方々に感謝を。
    本当に自分が誘われるとは思っておらず、また参加経験もない故に色々と迷惑かけたりもしましたが本当に楽しかったです。
    内容もめちゃくちゃよかった……。

    それでは、乱文になってしまいましたが、これにて感想は終了とします。
    また、星の巡りが合うときにでも。

    2019/10/06 遠野静


    PS.何気ない部分だけど、丁装がめっっっちゃ好き!!

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