• 安い割に高音質、改造も楽しい中華DAP

    2019-01-06 16:37

    通勤などで使いたくてポータブルDAP買いました。
    でも懐加減が微妙なのであまり高いのは買えません。

    ということで評判の高い中華DAP、Zishan Z3にしました。
    https://ja.aliexpress.com/wholesale?SearchText=zishan+z3
    https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07JPX5L8H



    内部構成は

    AK4490EQ DACから出たアナログ信号を
    OP275を使ったアクティブLPFを通して
    LM4562の非反転増幅回路でヘッドフォンを駆動する

    というもので、5~6千円台とは思えないような良い音がします。
    欲を言えば音がザラザラするし薄っぺらいけどね。
    (でもこの価格では信じられない出来栄えですよ!)

    本機の売りはヘッドフォン駆動用のオペアンプを変更できること。
    ・電源は±12V程度
    ・2倍の非反転増幅
    ・出力側に100Ωと直流カット用の100uFが直列に入っている
    この条件でヘッドフォンを駆動できる品種は多いので、しばらく取り換えて楽しめます。
    力強さならMUSES8920D、声の滑らかさに手っ取り早く効くのがOPA2604という感じでした。

    でも根本的なところに手が付いてないような気がしました。
    改造します。
    作業にあたり、ゲン様(@type_g)がTwitter上で公開なさっている下記情報を参考にさせていただきました。

    アナログ部回路の解析結果


    コンデンサ配置の解析結果


    アナログ電源電圧の下げ方


    (1)LPF側オペアンプをLME49722MAXに変更
    もともとOP275が入っていたのですが、これを手持ちのLME49722に換えました。
    そういえばLME49722っていつの間にか存在しなかったことになってるんですね…


    (2)VCML/Rコンデンサの交換
    コンデンサ配置図を見ると積層セラミックコンデンサが大多数を占めます。
    小型にまとめて性能を出すには当然そうなるよねという感想ではありますが、2個だけタンタル電解に変えました。
    AK4490のVCML,VCMR端子のパスコンとして入っているやつです。



    (3)出力直列抵抗の除去
    出力直列抵抗の100Ωが許せないので、ここを半田盛りで短絡します。
    場所は電解コンデンサの足元、101と表記された抵抗です。
    経験的なことですが、多分なくてもオペアンプの負帰還安定性を妨げません。
    電解コンデンサのESRとESLに期待してもいいんじゃないかと思いますし。


    (4)アナログ電源を少し下げる
    方法としては上のリンク(電源電圧の下げ方)そのまま。
    ただちょっと日和ったので、75kΩに変えて約±10Vとしています。


    (5)ヘッドフォンドライバ段の帰還抵抗値を変更
    10kΩが左右合計4個使われていますが、これは各々1kΩにした方が出力端子のオフセット電圧が出にくくなってよいのではないかと思います。
    私は後でAD812を入れる予定だったので680Ωと390Ωにしました。


    (6)ヘッドフォンドライバをAD812に交換
    駆動力があって高速でありながら安定させやすく音質もいい部類、という理由でAD812を入れてみたかったのです。
    帰還抵抗RF1の大小で帯域幅や安定性を積極的に制御できるというのが電流帰還型アンプの肝で、そこを押さえておけば発振したり暴れたりすることはあまりないように思います。また、電圧帰還型アンプでは安定性確保のためにRF1と並列にコンデンサを入れるのが常套手段でしたが、電流帰還型では不安定になるのでやってはいけません。
    詳細は品種ごとにデータシートを見て最適値と傾向を把握しておきましょう。



    (7)DCサーボ回路を入れて出力コンデンサを除去
    一般的な電圧帰還型オペアンプを使っている分には、(5)の改造で抵抗値を1kΩにすれば出力コンデンサを省いてしまっても実用上支障ないかもしれません。その時には数Ωくらいで直列抵抗を復活させてあげるとよいでしょう。
    でも今回積んだのはAD812。構造上何をどうやっても出力側にはオフセット電圧が出てしまうものと思わなくてはなりません。実際40mVくらい出て時間とともに増加しましたし。
    そこでDCサーボ回路を組み込むことにしました。


    IC1A、R1、R2、R3はZ3本体に載っているコンポーネント、破線より右下が追加した回路です。IC2はJFET入力で高精度なものを選びますが、OPA2134が無難でよいと思います。
    バイポーラ入力オペアンプでも低オフセットを謳った高精度品種があり温度ドリフトの点では見るべきものがありますが、信号源インピーダンスが高いので雑音の面では不利になります。

    SOP8-DIP8変換基板に作り込むと、Z3本体に組み込めそうな大きさになります。
    コンデンサはマルツで売っていて入手容易なPILKORのPCMT367を選択。
    ここ1年で急に視力が落ちたせいもあり、はんだ付けがぐちゃぐちゃになりました。



    電源はコンデンサ配置図を基にアナログ±電源とパスコン戻し用GNDを取り、信号はオペアンプの脚やコンデンサ除去跡から引けばいいと思います。信号用GNDはヘッドフォン端子の脚から取るのが手っ取り早そうです。

    音量を上げたときのうるささがなくなり、艶が乗り、声の荒れが取れたように思います。
    改造前にKZ AS10と組み合わせて聞いたときにはどちらを窓から投げ捨てようか悩んだものですが、これなら気持ちよく聴けそうです。


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  • ぴーちゃんを思い出して書く

    2018-05-01 00:01

    ちょうど1年前、コザクラインコのぴーちゃんが旅立ちました。

    もともと職場で保護した迷子で、警察に届け出たりしたものの結局飼い主が現れず私が引き取って一緒に暮らし始めた子でした。うちに来て12年半、引き取ったときには成鳥らしい姿になっていたので、実際の年齢はもう少し上なのだと思います。
    ぴーちゃん、というありふれた名前は「そのうち飼い主のひとが名乗り出るだろう。本当の名前は別にあるのだと思う。私が凝った名前をつけるのは何か違うよね」と思い、仮の呼び名としてつけたものです。

    本当に人懐っこい、賢くて温和な子でした。
    会社から私が帰ってくる時間になると自転車の音を聞き分けて待ち構えたり、「当然来るべきものが期待通りに来た、それを早くちょうだい」と「期待以上、うれしい、ありがとう」の微妙なニュアンスの違いを使い分けていたり。


    目を開いているときは正面を向き、いつも通りまっすぐ飛べるのに、眠るとじわじわと首が真上を向く。
    なんか変だよね、予約をとってお医者さんに連れて行こうということになりました。
    予約を入れた日の午前、ぴーちゃんは激しい痙攣に襲われました。
    病院に連絡したら、急遽予約より早い時間に診てもらえることになりました。
    来院してすぐ、先生の見事な手さばきで鎮静剤を打たれ、痙攣は収まりました。
    痙攣している子をレントゲンにかけるわけにはいかないので問診から推定するんだけど、腎臓や肝臓が原因じゃなくて脳に原因がある可能性が高いですね、とのこと。

    家に帰ってきたぴーちゃんは力なくべったりと平べったくなって眠り続けました。
    目を覚ますとちょっとだけシード食を食べ、私の手に乗りたいと要求してきたり、次は妻の手に乗りたいと身振りで伝えてきたり。

    あるとき、私の手に乗せていたら突然手の上で這い始め、手から飛び立とうとして落ちました。
    ごめん、痛くなかった?何がしたかったの?…と言いながら手に載せ直したとき、ふと思いました。
    ああ、この子は飛びたいんだ。
    両手に載せて、家の中を一周しました。リビングを、キッチンを、寝室を。
    ぴーちゃんは目を輝かせて前を向き、家を一周したところで満足したのか、再び眠りにつきました。

    5月1日の朝。この日は診察予約が入っています。
    私は出勤し、妻が朝9時の予約に合わせてぴーちゃんを連れて行くことになっていました。
    出勤前、ぴーちゃんは好物だった小粒ひまわりを一粒食べました。
    ちゃんと殻も割れるんだね。上手い上手い。
    …それがぴーちゃんの最後の食事になりました。

    結局病院には生きてたどり着くことはできませんでした。
    キャリーケースに入れ、妻が運転する車で病院に向かっていました。
    運転中にわき見するわけにはいかないけれど、せめて自分がそばにいることをぴーちゃんに伝えたい。そこで日頃キッチンでぴーちゃんに聞かせていた歌を全部ひと通り歌っていたそうです。


    病院にたどり着いて、妻はぴーちゃんを先生に見せました。

    いまちょっと動きましたが、これは死後硬直が始まった段階なんです。
    (目を軽く撫でて閉じさせ)この子を今から少し預からせてもらえませんか?
    拭き清めてあげたいと思うのですが。

    ぴーちゃんは美しく毛並みを整えられて戻ってきました。
    今日は診察をしなかったので、診療費はいただきません、と。

    会社から帰ってきたら、ぴーちゃんはテーブルの上に敷かれたハンカチの上に横たわっていました。

    その周りは、小さくて可愛い花が飾られていました。
    きっとこの子は、こんな可愛い花がいっぱい咲く美しい安らかな場所に行けるのだろう、そう願い信じました。


    ぴーちゃんは、このたわいもない日常を心底愛し、喜んでいたのでしょう。
    いつもなんだか嬉しそうにしている姿が心に残っています。
    そして最後の3日間、ひとつひとつ噛みしめるように、この世の思い出を作るように、不自由なりに自分が好きだった習慣を繰り返そうとしていました。
    この日常生活は大切にする価値があるよ、そう教えてくれたような気がします。


    今でも思います。
    あの子はどこに行ってしまったのだろう、って。
    物理的制約から解き放たれて自由自在な夢をみているのでしょうか、それとも夢さえ見ないほどの深い熟睡に身をゆだねているのでしょうか。どちらにしても、ぴーちゃんが安らかな境地にあるようにと、今でも案じています。


  • オムロンの温度調節器を使ってみた

    2018-01-21 23:49
    こんな動画を投稿しました。


    この動画ではコザクラインコのおうちを保温する用途に使いましたが、制御対象が発酵器でも燻製器でもオーブントースターリフロー炉でも、温度調節器はいろいろ応用が効く機器だと思います。

    今回はリニア出力タイプの温度調節器を購入したので、電流伝送→PWM変換回路→ゼロクロスSSR駆動なんて基板を追加制作していますが、最初からSSR駆動用電圧出力を備えた温度調節器を買えば基板まるごと1枚不要になります。
    オムロンで言えば、品番に「Q」のつく奴がSSRを駆動できるタイプになります。
    (リレー出力は「R」、リニア電流出力は「C」)

    本製作で採用したサイクル制御は、熱しにくく冷めにくい制御対象をニクロムヒータで加熱する用途に適します。しかし熱応答が速い対象物では温度が小刻みに震えるという問題が発生するかもしれませんし、ハロゲンヒーターなど冷えた状態で抵抗値が極端に小さくなる負荷では突入電流が繰り返し襲ってくる状況に陥るためサイクル制御が使えないことがあります。
    そんなときは位相制御を検討した方がよく、それならリニア電流出力の方が使いやすいとは思います。

    筐体内部の結線はこうなっています。



    自作基板の回路図は下記の通りです。



    1個のLM358でPWM変換(三角波発生と入力信号との比較)、フォトトライアックの駆動を賄うことができます。キャリアの発振周波数を2~3Hzくらいの低周波にしておくと、ゼロクロスSSRを駆動したときにサイクル制御としてふるまいます。
    センサとしてLM35を使うことも視野に入れていたので、シャントレギュレータで+5Vを生成する回路も入れておきました。

    温度調節器に接続するセンサですが、熱電対は筐体にコネクタを設けようとすると専用コネクタと補償導線で引き回さなくてはならず、その点では大変気難しいセンサであるといえます。
    白金測温体(Pt100)は幾分その点が改善されますし高精度ですが、それでもやっぱり配線抵抗を意識して引き回す必要があり、センサ自体も安価なものは今ひとつ信用しかねるという問題があります。
    温度調節器が電圧入力に対応している、温度範囲0~100℃程度で浸水しない、特に室温付近で精度を出したいという条件で使うなら、LM35がコストパフォーマンスに優れた選択になると思います。Dグレードでよければ秋月で安く買えますし、Cグレードもマルツで売ってます。

    PID制御と出力連続制御の組み合わせだとヒーター表面温度が極端に上がらないので、長時間接触しても低温やけどの原因にはなりにくく、そこは作ってよかったかなと思います。

    ペット用としては、センサーをかじられても破損しない、もし破損しても強い毒性を有しないということも大切。でも厳重に保護し過ぎるとセンサーの温度応答が悪くなるので結構悩ましいところです。でもやっぱりセンサーかじって健康を害するようなことは絶対防がないといけませんよね。