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【ストーリー解析】シドニアの騎士 第九惑星戦役 第4話「激昂」
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【ストーリー解析】シドニアの騎士 第九惑星戦役 第4話「激昂」

2015-05-05 18:55
  • 6

シドニアの騎士 第九惑星戦役第4話「激昂」のストーリー解析を行う。原作未読。→前回 →次回
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■評価
★★★ ストロング


[ニコニコ本編]http://www.nicovideo.jp/watch/1430190505

■総評
第4話はガ550討伐戦。場面転換がない重苦しい雰囲気の中、ガウナとシドニアのギリギリの戦いが展開される。戦闘だけでなく、つむぎやイザナの心理的ストーリーが加わる事でストーリーの面白みは飛躍的に向上している。気迫のこもった叫び声など、演技も素晴らしかった。特に、あやっぺとあいなまちゃんはさすが(こなみかん)。

■基本情報
原作 - 弐瓶勉(講談社「月刊アフタヌーン」連載)
監督 - 瀬下寛之
シリーズ構成 - 村井さだゆき
脚本 - 山田哲弥
アニメーション制作 - ポリゴン・ピクチュアズ
→Wikipedia

■登場人物
[主人公たち]
  谷風 長道(たにかぜ ながて) - 逢坂良太
  科戸瀬 イザナ(しなとせ イザナ) - 豊崎愛生
  緑川 纈(みどりかわ ゆはた) - 金元寿子
  仄 焔/煉(ほのか えん/れん) - 喜多村英梨
  白羽衣 つむぎ(しらうい つむぎ) - 洲崎綾
[シドニア幹部]
  小林(こばやし) - 大原さやか
[岐神開発]
  岐神 海苔夫(くなと のりお) - 櫻井孝宏
[衛人操縦士]
  サマリ・イッタン - 田中敦子
  弦打 攻市(つるうち こういち) - 鳥海浩輔
  勢威 一郎(せいい いちろう) - 坪井智浩

■ドライバー分析
第4話のメインドライバーは次の3つ。

1.長道たちがガ550を撃破する(E-G)
2.つむぎが暴走するが、イザナが正気に返らせる(E-G)
3.つむぎがヘイグス粒子砲からシドニアを守り重症を負う(E-G-E)

また、サブドライバーとして

4.焔と煉が長道を助ける(P=E-G)

などがある。
第4話はガ550の討伐回。ガウナによる戦闘の誘起、ガウナとシドニアのパワーバランスによる展開はいつも通り。ただし、つむぎが瀕死の重傷を負うなど、大団円には至らない、インパクトを残す回となった。

一般に、戦闘に関するストーリーは、敵の出現に始まり、敵が倒される事によって終わる。その際、より細かなストーリー構造は、攻撃と反撃の応酬という形で現れる(E-Gの繰り返し)。この構造は、各ポイントでストーリーが終了する可能性があり、どちらに転ぶか分からないスリリングな展開だと言える。

次々と新しい手を繰り出すガウナと、次々と新しい兵器や戦術を繰り出すシドニア。このパワーバランスが、シドニアの騎士の戦闘ストーリーの基本だ。


[ガ550と交戦するシドニアの衛人隊]

ただし、第4話には、通常のガウナ対シドニアという構図とは別の要素がある。つまり、融合個体・白羽衣つむぎに関する要素だ。それが第4話のストーリーの面白さ、インパクトに繋がっていると言えるだろう。

第4話の時系列をまとめると次のようになる。

(1)つむぎが袋状のエナに捕らえられる(E)

(2)ガ550から、さらにガウナが放出される(E)

(3)衛人隊が到着し、放出されたガウナを邀撃する(G)

(4)つむぎが袋状のエナをガウナもろとも破壊。しかし、傷を負う(G、E)

(5)★つむぎが命令に背き、暴走する(E)

(6)★イザナがつむぎを助けに向かい大破。つむぎが正気を取り戻す(G)

(7)衛人隊がガ550に対する攻撃を開始(G)

(8)しかし、ガ550が変形し、ヘイグス粒子砲を放つ(E)

(9)★退避し射線上にいたつむぎがヘイグス粒子砲をはじきシドニアを救う(G、E)

(10)ガ550がヘイグス粒子砲を再充填する(E)

(11)長道が背部推進機関を突っ込ませエナを破壊、衛人隊がガ550本体を殲滅する(G)

(12)★つむぎの重症が判明(E)

この中で、第4話のストーリーの要となっているのが★マークをつけたつむぎの「暴走」と「大破」だ。これらは必ずしも、単なるパワーバランスによる出来事ではない。

1つ目は、暴走したつむぎの問題。ストーリー序盤、状に変化したエナに閉じ込められたつむぎは、人工カビを仕込んだという爪を使い、単独で嚢状のエナと本体を破壊し脱出する。しかし、同時につむぎは消耗し、中破に近いダメージを負ってしまう。

[自力で嚢状の構造から脱出し、損傷を受けているつむぎ]

単につむぎの危機ということなら、つむぎを長道達が救うというストーリーや、つむぎが圧倒的な力でガウナを倒すというストーリーもありえただろう。しかし、実際には、そのいずれでもない、つむぎの暴走に繋がる出来事として描かれている。

[様子のおかしいつむぎと、つむぎを心配する纈]

(つむぎの態度は袋状のエナに捕らわれる前後で大きく変わっており、何かされた可能性もある。もし、そうなら伏線ということになる。)

いずれにせよ、つむぎの暴走は、ガウナ対シドニアの構図からは外れ、つむぎに関するストーリーとして展開される。分析的に言えば、つむぎが暴走するか否かは、ガウナには起因しない。(例えば、つむぎが暴走しなくとも、上に示した残りのストーリーが同じように展開できることが分かる。つむぎの暴走には別のドライバーが働いている。)

「ガウナは今私にすごく酷い事をしました。私の友人や仲間にはあんな事させない」というセリフは、その動機が戦闘ではなく、激しい情動からの行動である事を表している。これは冷静に陣形を整え作戦を遂行する衛人隊と対照的だ。

落合は融合個体に関する説明会で、「緊急時には直ちに融合個体を停止させることができる」と語っていた。しかし、落合はヘイグス粒子砲の反射も含め、つむぎのコントロールを欠いている。(停止とは、死亡を意味するのかもしれない。)

[怒りで正気を失いガウナに襲いかかるつむぎと、翻弄される落合]

つむぎには明確な人格があり、つむぎに関するストーリーは、戦闘の合理性とはかけ離れた、つむぎの内面、感情に根ざしている。この点は、イザナがつむぎを救った出来事にも言える。つむぎを救いに向かったのが長道ではなくイザナであるのは、イザナがより感情的な性格であるからだ。

[つむぎを救いに向かい大破するイザナ機]

また、これはつむぎが長道にとっての「恋人役」ではなく、長道たちの「友人役(仲間役)」であることを示している。初めは触手にドン引きだったイザナが、つむぎの友人として重要な役割を果たしている点は面白い。(長道にとっての恋人役は、あくまで星白のようだ。)

戦闘に関する攻防が、恐怖や安堵、達成感といった感情を生むのに対し、つむぎに関するストーリーは、愛情や友情、救う事への使命感といった感情を生んでいる。第4話の面白さはこの感情の幅の広さによるとも言えるだろう。つむぎに対するイザナの反応は、感情の受け答えになっている。

正体不明のガウナと、それに対抗するシドニア。そこに加わる、人間よりも人間らしい感情を持つつむぎ。この組み合わせは非常に魅力的だ。つむぎの感情には、イザナが感情で応え、それが人間と人間の付き合いと何ら変わらないことを感じさせる。

最終的に、つむぎが重症を負ったとき、それは兵器ではなく一人の生命体が、命を賭してシドニアを救ったというストーリーとして扱われる。イザナの悲しみも、周囲の悲しみも、つむぎが救われるべき存在であることを強く印象付ける。

[重症を負ったつむぎを抱きかかえるイザナ機。首の角度がイザナの気持ちと重なる]

前々回、つむぎに関するストーリーは、「存在が受け入れられるか否か(L-?)」というドライバーを持つと言った。その視点で言うなら、この出来事は必ずしもマイナスではないだろう。今回の件でシドニアの民は融合個体に対する考えを改め、つむぎに感謝と同情を抱くだろう。(予告では、岐神開発前に顕花が見られる。)

[つむぎの救助を訴え気絶したイザナ]

ストーリー展開的には、このままつむぎが退場するとは思えない。もし、つむぎが復帰する事があれば、つむぎは大きな祝福と共に迎えられるだろう。それはつむぎにとって大きな前進となる。

第4話は、ガ550というガウナの脅威を起点としたストーリーでありながら、つむぎやイザナを通じて、前後の話数と繋がる情動的で周到なストーリーになっている。今後落合がどういう行動をとっていくかなど、不安材料もあるが、大シュガフ船の問題も控えており、状況がどう変化していくのかに注目だ。

[シドニアはひとまずの危機を脱した]

■補足

①シドニアの戦力について
ガ550のヘイグス粒子砲が発射された際、射線に入っていたつむぎが介入しなければ、シドニアは致命的な被害を受けていただろう。このことは、別な見方をすると、小林や落合がそれ以上の手を持たないことを浮き彫りにしている。

[シドニアを襲うガ550の高出力ヘイグス粒子砲]

ストーリー上、小林や落合に奥の手が絶対無いとは言えない。だが、それがあるならこのギリギリの状況で行使しなかったのは不自然だ。

小林や落合は底が知れない不気味さがあったが、小林や落合はどうやら全力で戦っているようだ。特に落合の底が知れたことは重要だ。限界があることで落合もシドニアと運命共同体である事がはっきりした。

[落合も小林も、今回の危機になす術を持たなかった]

シドニアに対する脅威が続く限り、落合と小林の戦力増強の協力関係は続くだろう。今の戦力で大シュガフ船に勝つのは無理そうなので、これから何らかの新兵器の開発や、ストーリーの変化が生じてくるのかもしれない。

②焔と長道に関するストーリーについて
今回、活躍により周囲を変えたのはつむぎだけではない。ガ550のヘイグス粒子砲第2射を防ぐ際、長道は背部推進機関を突っ込ませ、大きな役割を果たした。これは、ガ550の討伐という主ドライバーだけでなく、焔に関するストーリーの力も働いている。

[背部推進機関をガ550に突っ込ませる長道]

最初に長道を救助に向かったのは煉だと思うが、焔も助けに向かっている事から長道の行動を認めた事は確かだ。「相変わらず無茶するなあ」は、長道の活躍を間近で見てきた焔ならではのセリフだ(焔と長道は共に正規操縦士に昇格した)。今回の長道の活躍により、連結型ガウナでの失敗は水に流し、仲直りできそうだ。

[推進機関を失い浮遊する長道を迎えに来る焔と煉]

まだ、連結型ガウナの尾部切断の失敗が長道のせいだという誤解は解けていないが、その誤解が解ける事はあるのだろうか?

③ガウナとの対話という可能性
今のところ戦闘中のガウナは完全に敵性生物として振る舞っており、シドニアを滅ぼそうとしているとしか思えない。つむぎも今回、ガウナを心底憎んでおり、ガウナとの対話というハードルは相変わらず高い。

しかし、一方で、ガウナのエナからエナ星白が生まれ、さらに融合個体・白羽衣つむぎが生まれたことも確かだ。ガウナは(人間とガウナに関係すると思われる)カビに引かれていると言われているが、それはなぜだろう。

カビはガウナの本体を破壊する脅威ではある。しかし、ガウナがカビを始末するために狙っているというのは若干違和感がある。600年前調査隊が見つけた人工の建造物の正体も明らかにはなっておらず、天然(?)のカビが何なのかも分からない。また、100年前に落合がカビザシを捨てた理由も不明だ。

[ガウナとは何なのか?]

ガウナの模倣能力、対応能力、カビに対する反応は、ガウナとの生態と深く関わっているように見える。(融合個体を模倣することはありえないのだろうか?)だが、ガウナの生態やカビに関する事項は多くが謎に包まれている。これはシドニアの騎士の最も大きな謎だ。

■おまけ、中心の本体を狙うんだ!
あ、このガウナ、グラディウスの一面のやつだ!
<長道「うおおおおおおおおおお!」
[弱点は中心の本体!]

■残された謎

①落合とつむぎはどうやって通信しているのか?
②落合の研究室にいた小さな騎士は何か?
③落合はなぜ100年前、極端な行動に出たのか?
④ガウナとはどういう生物なのか?
⑤カビとは何か?
⑥市ヶ谷総一郎とは誰か?
⑦閑の体には秘密が?
⑧閑が衛人操縦士を目指した理由とは?
⑨有機転換炉には秘密が?

■ストーリー詳細

(ガ550戦闘)

E つむぎが袋状のエナに取り囲まれる。

E ガ550が新たなガウナを放出する。

G 衛人隊が到着し、邀撃隊形に展開する。
G 放出されたガウナを貫通弾で迎撃する。

G つむぎが袋状のガウナを全て破壊する。
E しかし、つむぎは傷を負っている。

E つむぎが撤退命令を無視し、激昂して戦闘を続行してしまう。
E つむぎはガウナの大群を破壊していくが、逆に危機に陥る。

GE イザナがつむぎを助けに向かうが、ガウナに襲われ機体が大破する。
G つむぎがイザナを見て正気に戻り、イザナ機を牽引し後退する。

G 衛人隊がガ550本体への一斉射撃を開始する。

E ガ550が構造変化を始め、ヘイグス粒子砲に変形する。

E 衛人隊が一斉射撃を再開するが、外殻が邪魔でうまく攻撃が通らない。
E ヘイグス粒子砲が発射されてしまう。

G 直線上にいたつむぎが身を挺して、粒子砲を弾く。
E しかし、つむぎとイザナの状況が不明になる。

E ガ550が次弾を準備し始める。

GE 長道が背部推進機関を本体に突っ込ませる。
G 長道機を煉と焔が助けに向かう。

G 大爆発が起こり、ガ550の本体が露出する。
G 衛人隊の一斉射撃により、ガ550を撃破する。

G 長道が煉と焔に助けられる。

E イザナと通信が取れ、つむぎが危機的状況であることが分かる。

(つづく)

→前回
→次回
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記事お疲れ様でした。

今回の話は原作で展開を知っていても非常に見ごたえのある会だったと思いました。

一期の時は4話、8話、12話が非常に力の入っていたように感じたので今期もこの後の8話、12話もすごいのがきそうでとても楽しみになってきました。
72ヶ月前
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>>1
コメントありがとうございます。今回のガウナは思ったより強敵だったなという印象です。ストーリーの強度というよりは、映像や演技が強度を支えている気がしましたね。力を入れた回であった事は確かでしょう。

つむぎと長道たちの関係を描いた上での崩しは、一期の赤井班全滅や、星白戦死の流れと似ています。こういった波のつけ方はとても上手ですね。
72ヶ月前
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>>2
ご返信ありがとうございます。

3話の解析でもお訊きしたのですが、以前のように劇場版アニメのストーリー解析をやられる予定はありますか?
72ヶ月前
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>>3
今のところありませんね。例えば、どういうものですか?
72ヶ月前
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>>4
「虐殺器官」などのノイタミナムービーや細田守監督の「バケモノの子」などですね。

以前ginjiさんが別のブログで書かれていた「風立ちぬ」や「言の葉の庭」のストーリー解析が非常に良かったので、もし余裕があるのならば劇場版アニメの方もストーリー解析もやっていただけるとありがたいなと感じたから質問しました。
72ヶ月前
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>>5
なるほど。映画は完結しているし、内容も充実しているので解析には向いています。もちろん良い映画あっての、良い記事ということではあるのですが。

参考になりました。ありがとうございます。
72ヶ月前
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