はじめに 荻上チキ

■まずは告知から。2/17日(日曜日)阿佐ヶ谷ロフトAで「うちゅうじんの集いvol.3」開催。藍原寛子、赤木智弘、荒井裕樹、大野更紗、大西連、開沼博、川村遼平、熊谷晋一郎、佐藤滋、古屋将太、柳本文貴  http://t.co/qIrmdbF9 が開かれます。シノドスの常連メンバーが軒並み勢ぞろいするイベントになりそう。よろしければ、是非ご参加下さい。

■今号は言葉と他者についての論考、対談、鼎談、インタビューが集まりました。まず、北田暁大氏との対話。昨年末刊行した『彼女たちの売春(ワリキリ)』、『社会運動の戸惑い』について、学問的にどうなのか、率直に意見を伺いました。

■北田氏は僕の大学院時代の副指導教官で、院生時代は先生の研究室にばかり入り浸っておりました(って前にどこかで喋ったことを誰かがWikipediaに書いたら、[要出典]とかになってて笑えました)。久しぶりの対話が、自著についての議論というのも恥ずかしいものですが、社会学に誠実な氏の指摘は、どれも頷くものばかり。後編も楽しみにしてください。

■続いては、前号に続き、財政の専門家である土居丈朗氏と、生活困窮者サポートの現場で働く大西連氏、作家の大野更紗氏による鼎談の後編です。他のメディアではなかなか聞けない議論が展開されています。

■その次は、飯田泰之による「アベノミクスの最良のものと、そうでないもの」。総花的な安倍経済政策批判ではなく、僕たちの生活や給与がどうなるのか、データに基づきながら率直に語ってくれます。

■芹沢一也による上原隆氏へのインタビュー「思想の科学」の思想は、先人の知恵と経験に学ぶ上で、とても貴重な証言です。天下国家を語る大きな物語ではなく自分に出来ることからやっていこうという姿勢はシノドスにも通じるものがあるかもしれません。

■水無田気流氏の『「浮遊することば」を超えて』は震災以後、ナィーブに語られすぎた感のある文学的な言葉を反省的に捉えなおす力の入った論考です。水無田さんの普段の議論を追っているだけでは、もしかしたら、なかなか見えてこない感受性が分かっていただけると思います。

■今号の  synodos journal reprinted は、岩永理恵氏の『生活保護基準引き下げについての「解説」』です。生保をめぐる議論の、何が、どうおかしいのかを丁寧にときほぐします。

■次号は vol.119、3月1日配信予定です。お楽しみに!

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★今号のトピックス

1. 対談/北田暁大×荻上チキ
他人の話を聞く(前編)

2.鼎談/土居丈朗×大野更紗×大西連
社会を構成する―医療・介護・財政(後編)

3.アベノミクスの最良のものと、そうでないもの
………………………飯田泰之

4.インタビュー/上原隆(聞き手:芹沢一也)
「思想の科学」の思想

5.「浮遊することば」を超えて
―「3.11」後の現代詩を考える―
………………………水無田気流

6. synodos journal reprinted
生活保護基準引き下げについての「解説」 
………………………岩永理恵

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