荻上チキの αシノドス
“α-Synodos” vol.295(2022/1/15)
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“α-Synodos”
vol.295(2022/1/15)
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〇はじめに
01.渡邉雅子「各国の「論理」の成り立ちを小論文から探る――『「論理的思考」の社会的構築』を読む」
「論理的」という言葉は、いまやビジネスでも教育でも必須のキーワードです。「ロジカルシンキング」「論理的な道筋を示して説明する」といった表現は幅広く用いられ、わたしたちが今後獲得していくべき能力として理解されています。しかし実は、こうした「論理」がどの国でも通用する、普遍的なものというわけではありません。2021年11月6日に行われたシノドス・トークラウンジでは、文化と論理、そして教育について掘り下げた話題作『「論理的思考」の社会的構築』著者、渡邉雅子氏に登壇いただき、フランスの小論文教育の実際とそこで構築されるフランスの「論理」、そして日本における「論理」のあり方等、文化と論理をめぐってお話しいただきました。
02.穂鷹知美「顔を覆うイスラム教徒の服装について――スイスの国民投票を例に」
昨年の3月、スイスで、イスラム教徒の女性が身に着ける「ブルカ」や「ニカブ」を念頭に、公共の場で顔を隠す衣装の着用を禁止すべきか否か、国民投票が行われ、賛成約51%、反対約49%の僅差で可決されています。スイスでは、一定の署名数を期限内に集めることで、憲法改正を問う国民投票にかけることができる制度がありますが、本件は右派の与党・国民党などが主導したものでした。そこでどのような議論が行われたのか、国民党とフェミストたちの議論を中心に、穂鷹知美さんにレポートしていただきました。
03.山本健介「パレスチナ人の現在地――分断と団結のあいだ」
昨年の春、中東エルサレムにてパレスチナ人とイスラエル警察との衝突がつづき、多数の負傷者が出ていると報道されました。記事を読みながら、ここでいう「パレスチナ人」というのはどのような存在なのか、という素朴な疑問が生じました。そこで山本健介さんにご解説をお願いしました。山本さんは、2021年は「長年にわたり窮地に追い込まれてきたパレスチナ人のあいだに、結束という新たな希望が垣間見られた年」でもあったと振り返っています。それは、パレスチナ各地に住む若者たちの活動家グループたちが中心となって団結することができたからです。ではなぜ、このような団結自体が貴重なのか? 山本さんの解説をお読みください。
04.浅野幸治「T. ポッゲの世界正義論とD. ミラーの国際正義論(1)」
豊かな先進国に住む裕福な人たちは、貧しい途上国で食料や住居や医療がないために生命の危機に瀕している人たちを援助して救う義務があるのかという問題をめぐって、T.ポッゲの世界正義論とD.ミラーの国際正義論を比較検討する浅野幸治さんの論考です。第一回目は、現代におけるコスモポリタニズムを提唱する代表的な政治理論家であると同時に、ロールズの国際正議論の批判者でもあるポッゲの世界正義論が検討されます。先進国による保護主義的関税および保護主義的補助金の撤廃、途上国の正当でない支配者における資源特権と借入れ特権の否定、地球資源の配当、そして健康回復基金の設立といった4つの具体的提案とともに、ポッゲの議論の骨格が素描されています。
05.芹沢一也「今月の1冊――『リベラルとは何か』田中拓道+『リベラリズムとは何か』マイケル・フリーデン」
毀誉褒貶が激しいリベラル、というよりもディスられる一方のリベラルといった趣ですが、最近は、リベラル、あるいはリベラリズムとは何かを問う良書が、立て続けに出版されています。そのうち、田中拓道さんの『リベラルとは何か』とマイケル・フリーデンの『リベラリズムとは何か』をご紹介させていただきます。
次号は2月15日配信です。お楽しみに!
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