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荻上チキ責任編集 “α-Synodos” vol.127 みんな居場所が必要だ
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荻上チキ責任編集 “α-Synodos” vol.127 みんな居場所が必要だ

2013-07-01 21:00
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    荻上チキ責任編集
    “α-Synodos”

    vol.127(2013/07/01)

    みんな居場所が必要だ

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    ★今号のトピックス

    1.プラスマイナス岩橋良昌インタビュー
    「クセ」のドキュメントを届けたい

    2.荻上チキ
    読書、時々、映画日記

    3.鼎談/大西連×中村あずさ×藤田孝典
    「仮面ライダー」だけじゃやってけない!?
    ――これからの生活困窮者支援

    4.片岡剛士
    経済ニュースの基礎知識TOP5

    5.人類みな、いつかは困ってるズ?
    ――困ってるズ!一周年を記念して

    ○編集後記

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    chapter 1
    プラスマイナス岩橋良昌インタビュー
    「クセ」のドキュメントを届けたい

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    「やってはいけないことをやってしまう」というクセをもち、それを武器にテレビ大人気のお笑い芸人・岩橋良昌さん。
    「クセの市民権を得ていきたい」という彼に、クセと笑いの関係についてお話を伺った。
    (聞き手/荻上チキ 構成/山本菜々子)

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    (写真1:岩橋氏)
    http://synodos.jp/wp/wp-content/uploads/2013/06/d1338e8644b13945dee1f11692212829.bmp

    ◇クセの市民権を

    ――本日はよろしくお願いします。

    岩橋です! よろしくお願いします!

    ――岩橋さんは「やってはいけないことをしてしまう」クセがある芸人として、一気にブレイクされていますね。ぼくもテレビで見て、一気に心を鷲掴みにされました。今日はずばり、「クセとお笑い」について伺いたいとおもうのですが、クセが原因で、困ったことはありますか。

    いっぱいありますね。人生の勝負の時に、クセが出て駄目になってしまうんです。たとえば受験の時も、塾の先生に「問題を全部見て、簡単な問題から解きなさい」と言われたんですが、そう言われると難しい問題から解いてしまうんです(笑)。試験中に鉛筆を全部折ってしまって、最後芯をつまんで書いて、字が薄過ぎて採点できないとか。マークシートも「悪い例」と書いてある通りにマークしてしまったり。その瞬間はすっきりしてるんですけど、ぼくの人生的にはすっきりしていないですね(笑)。

    ――ぐちゃぐちゃになりますね(笑)。

    受験では苦労することが多かったです。英単語がなかなか覚えられなかったんですよ。アップルがりんごとか、ステーションが駅とか、それに対して疑問をもつんです。それ、誰が決めたんやって。誰かが決めたことのいいなりになっているだけやんって。べつに、アップルが「くさい」でも、みんながそうおもっていたら成立するんじゃないかと考えだしたら、頭がごちゃごちゃになって。

    本に書いている通り覚えないと、受験はうからないなという気はしていたんですけど、でも、わざと500個くらいぜんぜん違う意味で覚えて。英語のテストの時は、ぼくだけまったく違うストーリーが出来あがっていましたね(笑)。でも、ぼくからしたら合ってる(笑)。もうわけがわからなくなってきて。なにが正解かわからない、むっちゃ深い感覚に陥りました。

    ――別世界ですね(笑)。芸歴は決して浅くはないとおもいますが、いつごろから、テレビでクセを出すようになったのでしょう。

    皮切りは2011年の「アメトーーク!」(日本テレビ)の「大阪便り」というコーナーです。東野(幸冶)さんが、ぼくのことを「こんなやつがいる」って紹介してくれたんです。その後に「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(日本テレビ)の「ハイテンション・ザ・ベストテン」に呼んでもらって、それくらいから、クセを解放するようになりました。

    ――テレビでやることに不安はありましたか。

    ファンだった人達は理解して笑ってくれましたが、東京に出てきたら、引いてしまう人もいるんじゃないかと不安がありました。

    たとえば、関西のある番組で、寿司を正しいマナーで食べるというロケをしました。何回も失敗してたんですが、なかなか正解を教えてくれないんで、最後いらいらして全部わーっとマナー無視で食べて皿を投げるといったことをしました。その場はすごくウケたのですが、マネージャーには「関西ではウケても、東京ではできないかもしれませんね」と言われてしまって。

    東京では、ぼくの「説明書」をもっている方と一緒に出させてもらう時には、ええ感じになります。東野さんとか、ダウンタウン浜田さんのように、「こんなヤツやねんで」と言ってくれる先輩ですね。

    でも、誰もぼくの「説明書」をもっていない場では、作り手と演者とぼくとの思惑が上手く重ならなかったりして、難しいです。これからは、ぼくのことをめっちゃ知ってくれる先輩がいてこそはじめて成立するというところからは卒業して、やっぱり独り立ちして、クセの市民権を得ていきたいですね。

    とはいえ、色んな目で見られているとは感じます。たとえばネットでぼくのことを調べると、「岩橋 病気」「岩橋 障害」とかばっかり(サジェストとして)出てくるんです。「岩橋 トゥレット症候群」という言葉も出て来ます。でも、ぼく自身はそんな診断をされたこともないし、その時にはじめて聞いたほどです。

    ――むしろ戸惑っている、と。

    ブログで弁解しようかと考えた時期もあったんですが、今はありのままでいいやとおもっています。ぼくが今懸念していることは、そうやって「病気」とかが独り歩きして、あいつはヤバいからテレビでは使えないとおもわれてしまうことです。

    でも、このまま関西だけでは終わりたくない。全国に風を吹かしたいというおもいがありますね。実際、このクセがあってギャグが生まれたりもしているんです。

    ――クセでギャグが生まれる瞬間は、どういう時ですか。

    言うことですっきりできるという言葉が、ぼくにはあるんです。たとえば「オーシャンビュー」「ヘミングウェイ」は、すっきりする呪文の言葉です(笑)。単に叫べばいいというわけではありません。すっきりするやつと、すっきりしないやつがあります。普段から、スッキリする言葉を探していて、自分でノートに向かって書いていて。けど、時にはぼくが常に捜しているのを知っている先輩方が、「こんなんどう?」と考えてくださることもあります。
     
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