VS#06台本
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VS#06台本

2016-05-11 18:02
    動画うp済み回としてはこれがラストです。
    次回以降が純粋な新展開になりますので今しばらくお待ちくださいませ。



    ◇  ◇  ◇

    ヴェローナ・ストライプスのちょっとした大冒険 #06
    『Run Verona Run』

     ケールシュタインの敷地、離れの施設。
     客間でじっと待っているタマネギの姿。そこに現れる執事のアリエス。

    アリエス:退屈そうでございますね…
    タマネギ:なんだアリエスか…ちょっとぐらい気配を醸せよ。
      お前ら極端なんだよ、存在感の有る無しが。
    アリエス:それは失礼致しましてございます。
    タマネギ:てゆーかさ、まだ終わんないの?「遺物の解析」ってやつ。
      そろそろだっつーから朝から来てやってんのに、もう昼飯時だよ。
    アリエス:ブロッサムの「そろそろ」は、「その日の内に」でございますので。
      いましばらく辛抱いただくしかございません。
    タマネギ:だったら終わってから呼び出して欲しかったね。
      つーか、本当に解析できるかどうかも怪しいけどな。
      ウエスターバーグ大学の一流の研究スタッフが、
      一流の科学力(ちから)で隅々まで調べても、
      何も特別な結果は出なかったんだろ?
      それをあんな、得体の知れない「まじない」なんかでさ…
    アリエス:ブロッサムならば可能でございます。
      彼女が起こした奇跡の数々…目にしていない訳ではございませんでしょう?
    タマネギ:まぁ、それはそうだけども…あの遺物がただの石ころってこともあるじゃん。
    アリエス:「ただの石ころ」が、遺跡の最深部に、厳重に保管されていた、
      とおっしゃるのでございますか?
    タマネギ:無い話じゃないだろ?
    アリエス:そうでない可能性も、無い話ではないのでございます。
    タマネギ:まっ、どっちでもいーよ。さっさとこのお使いが済むんなら。
      腹もペコちゃんだし。
    アリエス:かと思いまして、お食事をご用意したのでございます。
    タマネギ:おー!気が利くじゃん!って言いたいところだけど…

     その「食事」を前にゲンナリなタマネギ。キューブ状の分子料理。

    タマネギ:お前が作るのって、大体こんな感じなんだよなぁ…
    アリエス:なにぶんブロッサムの手が埋まってございますので。
    タマネギ:なにこの半透明…何かの素材だろ。
      (食べて)うん、びっくりするほど無味無臭。
    アリエス:必要なカロリーと栄養素は摂取できるのでございます。
    タマネギ:知ってるよ。でも食事ってそれでいいのかって思うワケさ。
      僕はこれ、完成品とは認めないからな。

     解析作業中のブロッサムが映る。その傍らで待つ謎の人物の姿も。

     場面変わって、リッジウェイズカフェ。
     午前中の仕事を終えたヴェローナと、交代で入るチェルシィ。

    チェルシィ:さーてヴェローナちゃーん。交代の時間だずー。
    ヴェローナ:はーい。それじゃ店長、お先に失礼しますね。
    リュウ:はいはーい、おつかれさま!
    ヴェローナ:チェルシーさん、ありがとね。
    チェルシィ:んだ、問題ね。トレーニング頑張ってなぁ。
    ヴェローナ:うんっ、頑張るずー。

     上階で着替え、帰宅するヴェローナ。

    ヴェローナ:会見から3日…アタシとカールさんはこれからについて色々話し合った。
      一日のうちで使える時間を増やすべきだと思い、
      カフェの仕事は当分のあいだ前半だけ「ランチ終了まで」にしてもらうようお願いした。
      有り難いことに、店長もチェルシィさんもシフトの変更を快諾してくれた。
      これで午後はまるっと動き回れるようになる。
      この一件が終わったら、何らかの形でお返ししなくちゃね。
      もらいっぱなしじゃ悪いからね。

      街を映しながらタイトルバック。
      家に帰り着いたヴェローナ。

    ヴェローナ:さて現在、アタシが取得を目指す資格は3つ。
      「リーダー」「ストレングス」「ID」だ。
      「リーダー」と「ID」については、先日ジゴワット教授の家に行った時に、
      書類をまとめて提出してもらってる。
      あとは委員会の審査待ちだけど、教授の話では身辺調査に一週間ほどかかるとか。
      つまり、その一週間のあいだにどう動くかが問題で、仲間探しは言わずもがな、
      残る1コ、ストレングス資格のスポーツテストに向けて、
      カラダを仕上げておかなくちゃいけない。
      というワケで、本日よりトレーニング開始なのである。

     ヴェローナがスポーツウェアに着替えたところで、ちょうどドアチャイムが鳴る。

    ヴェローナ:おっ、来た来た。

     玄関で合流し、準備運動をするヴェローナとカール。

    ヴェローナ:ねぇカールさん、スポーツテストって具体的には何するの?
    カール:わしの時は確か5つほど測定があったかのう。
      持久力を測るための「ランニングマシーン」、
      筋力を測るための「トレーニングマシーン」及び「懸垂器」、
      瞬発力と集中力を測るための「キックバッグ」、
      バランス感覚を測るための「ロデオマシーン」…といった感じじゃな。
    ヴェローナ:なんかスポーツらしくないのも混ざってるね。
    カール:まぁ人並みにこなせれば問題ないはずじゃ。
      よほどの運動音痴でなければ合格できるけぇの。
      合格基準はスポーツスキル2~3っちゅうところか。
    ヴェローナ:おお、それなら案外余裕かも!
     アタシ今スポーツスキル5とちょっとってトコだからね。
    カール:ほー!なかなか鍛えとるのう!
    ヴェ:まだ実家にいた頃、兄貴からいろいろ教わったもん。
      …ホント言うとさ、ストレングス資格のこと聞いた時、兄貴の顔が浮かんだんだ。
      現役スポーツ選手なんだし、ハイストレングスはカタいじゃん?
      そうなればかなり強力だなって…
      でも、それだけのために?ってのもあるし、最近はすっごく忙しそうで…
    カール:あいつにはあいつで、やるべき事があるじゃろうからのう…

     場面は競技場のレッドフォックス控え室へ。テリーがトレーニング中。
     監督がやって来る。

    監督:今日も熱心だな、テリー。
    テリー:お疲れ様です監督。
    監督:毎日毎日、朝から晩までトレーニング三昧。
      いつの間にかずいぶんと床がキレイになっているようだ。掃除屋にでもなるつもりかな?
    テリー:キツイ冗談ですね…
    監督:実際、ここに入り浸るよりもずっと、まともな暮らしができると思うが。
    テリー:監督はあの時、「今シーズン一杯」って言いました。
      それなら今でも、試合に出られる可能性はあるはずです。
    監督:…来週から一週間、ウチのチームはサンセット・バレーに遠征する。
      試合に出すかどうかはさておき、お前のふるさとなんだろ?
      荷物持ちでもやってくれるなら、同行を許可しないでもないが…不服かな?
    テリー:いえ、ぜひ行かせてください。荷物持ちでも、運転手でも、何でもやります。
    監督:何でもやる…か。その言葉、忘れるなよ。

     監督、立ち去る。

     場面は戻ってヴェローナとカール。

    ヴェローナ:やるべき事って言えばさ、
      カールさんも一応、仕事でこっち来てるんでしょ?
      アタシのトレーニングにまるまる付き合ってもらうのも、
      なんか悪いかなって思うんだけど…
    カール:まー、今のところは待機状態みたいなもんじゃからな。
      呼び出しがあったら離脱するかもしれんが、「もしも」の話じゃ。
    ヴェローナ:それなら良いんだけどね。
      なんかの応援で来たはずなのに協力を拒まれて、手持ち無沙汰になってるとかだったら、
      ことさら申し訳ないなーとか(笑)
    カール:ははは!そんなワケないじゃろー!

     前日、クロサワファミリーと合流した時のカールの回想。

    ロバート:お前の応援はいらねぇ。
    一同:えっ?
    カール:な…なんでじゃ?
      そこそこの期間滞在しとったし、この街の事はいろいろアドバイスできるはずじゃ。
      ウルフさんと一緒にみっちり鍛えてもらったけぇ、拳で闘う事もできる!
    ロバート:かもな…けど、いらねぇものはいらねぇ。
      お前を鍛えてやったのは、お前に守るべきものがあったからで、
      ファミリーが利用するためじゃねぇ。
      それと、俺が知りたいのは「現在」のウエスターバーグだ。
      「お前が滞在してた頃の」とは違う。
    ディアマンテ:言ってもほんの一年前よ?
    ロバート:ほんの一年でも変わる時は大きく変わる…その差異が認識を誤らせる事もある。
    ジョンソン:俺ァ別に良いと思うけどねぇ。足を使う人員が増えるだけでも有り難ぇんだが。
    ショコラ:ジョンジョン、楽したいのかお?
    ジェンソン:違ぇよ。
    ロバート:とにかく、「この拠点」への出入りは許可しねぇ。いいな?
    カール:そこまで言われちゃ…仕方ないのう…

     拠点を出て行こうとするカールを、ウルフが追ってくる。

    ウルフ:カール…
    カール:ウルフさん。
    ウルフ:ボスは立場上ああ言うしかないんだ。
      これはクロサワファミリーとして解決したいヤマだからな。
      特別な事情があるヤヨイ以外、堅気の手を借りるわけにはいかない。
    カール:そうなんじゃな…
    ウルフ:だが正直、今回は敵の実体がデカ過ぎる。そうも言ってられないのも確かだ。
    カール:ほいじゃったら…わしはどうすればええんじゃ?
    ウルフ:拠点として使っているのは「この部屋」だけだ。
      が…万が一に備えてこの建物は別名義で全部屋を借り切ってある。
      他の部屋を使うなら、拠点に出入りしている事にはならない。
    カール:なるほど、そりゃまた…抜け目ないのう…あの人は。
    ウルフ:来てくれて感謝する。だが、決して無茶はするなよ。家族のためにも…

     回想終わって、場面は三たびヴェローナたちへ。

    ヴェローナ:さーてと、カラダもほぐしたし、ぼちぼち行きますか。
    カール:…そうじゃの。ついでにざっくりと、街を案内していくわ。

     歩道に出る2人。

    カール:まず最初に、ウエスターバーグでは、4つのエリアを好きに組み合わせて、
      運動能力に応じたジョギングコースが作れるんじゃ。
      不慣れな内は1つのエリアをぐるぐる回るだけでもええし、
      4つ全てを回るにしても「小回り」「中回り」「大回り」のコースがある。
      スポーツスキルが5あるなら中回りでもいけそうじゃの。
    ヴェローナ:よろしくお願いしますコーチ!
    カール:んな大したもんでもないわい。ほいじゃ行くぞヴェローナ。
    ヴェローナ:はいっ!

     走りだす2人。が、その目前にジョンソンが現れる。

    ジョンソン:おーっとカールの旦那!ちょうど良い所に!
    カール:ジョンソンさん?どうしたんじゃ?
    ジョンソン:いやいや、今まさに探しに行くところだったんだわ。
      おっと失礼、そちらのレィディーは…
    カール:ああ、義妹のヴェローナじゃ。ヴェローナ。仕事仲間のジョンソンさんじゃ。
    ヴェローナ:どーもどーもです。義兄がいつもお世話になってます。
    ジョンソン:こりゃまたご丁寧に。
    ヴェローナ:お仕事ーな感じ?
    カール:どうやらそのようじゃな。スタートしたばかりなのに、すまんのう…
    ヴェローナ:だいじょぶだいじょぶ。
      大体の道は頭に入ってるし、一人で適当に回って来るよ。
    ジョンソン:なんか済まないねェ。かっさらってくみたいで。
    ヴェローナ:いえいえ。
    ジョンソン:そんじゃ行きますかい。
    カール:…じゃあの。
    ヴェローナ:じゃあの。

     カールとジョンソン、去りながら。

    カール:呼び出し、ずいぶんと早かったのう。
    ジョンソン:ほんの1日でも、「変わる時は大きく変わる」みたいでねぇ…

     2人を見送ったヴェローナ、ぽつねんとなるが。

    ヴェローナ:…うん、仕方ない仕方ない。気をとりなおしていってみよーう!

     そうして走り出す。
     数ブロック進んだあたりでヤヨイがその姿を目撃していたりする。
     同じようにジョギング中の住民とあいさつを交わしたりしながらさらに走り続け、
     エリアをまたいだあたりで虎の団のメンバーと遭遇。

    サリー&トマス:ヴェローナ。
    ヴェローナ:おっとと。
      サリーさん…と、えっと、目が良い人。
    トマス:トマスだ。トマス・ホーク。
    ヴェローナ:トマスさん。
    サリー:奇遇ね。あなたもトレーニング中なんて。
    ヴェローナ:「ストレングス」取得しないとですからね。じゃあお2人もですか?
    サリー:ええ、その通りよ。
    ヴェローナ:…ていうか、お2人ですか?
    サリー:言いたい事は分かるわ。フーでしょ?
      大丈夫。ああ見えて武術の名門「虎林寺」の最高師範だから。
    トマス:話しちまうのか?
    サリー:彼女なら問題無いわよ。我々に敵対するタイプの人間じゃない。
      むしろ仲間になるメリットの方が大きい。そうでしょ?「V.S」。
    ヴェローナ:えっ?
    サリー:教授との会話…あの夜の会見…簡単に結びつくわよ。
    トマス:あのスピーチが本気なら、キミも、俺たちも、尻に火がついてる状況だ。
    ヴェローナ:確かにそうかもですけど…
    サリー:何か引っかかる?
    ヴェローナ:仲間になるって事は「虎の団」に入るって事ですよね。
      って事は、街をパトロールしたり、その…服装も、そういう感じにしないとですよね?

     ヴェローナ、虎の団っぽい服装を想像。

    サリー:できればそうして貰いたいけど、状況が状況だからね。
      ひとまずは協力関係だけでも構わないわ。
    ヴェローナ:それ聞いて安心しました。必須かなって思ってたんで。
    サリー:本当は必須なのよ?
    ヴェローナ:(ああ、渋々なんだ…)それともうひとつ気になる事があるんですけど。
    サリー:何かしら。
    ヴェローナ:資格についてです。シャガン家とケールシュタイン家の関係を考えると、
      サリーさん達が発掘に関する資格を得られるのは、ちょっと不思議に感じたんです。
      以前カフェで言ってた「条件」っていうのも、何だったんだろうなーって。
      協力関係を結ぶなら、知っておきたいなって。
    サリー:それは…
    トマス:それこそ正式に入団してもらわないと話せない事だ。
      一蓮托生の立場でなければ共有できない秘密だからな。
    ヴェローナ:やっぱりでしたか。
    トマス:どうしても知りたければ、そこにある町立図書館にヒントがある。

     トマスが指差した先に、町立図書館がある。

    トマス:「ウエスターバーグの歴史」という本だ。
      改訂される前の「オリジナル版」が唯一保管されている。一度目を通しておくといい。
    サリー:むしろ必読ね。なんなら今から行く?
    ヴェローナ:いえ、今はカラダ動かすモードですし、次の機会で…
      「ウエスターバーグの歴史」…ですね。憶えときます。

     その図書館の中で、本を読んでいるシーガルの姿。
     回想。前回ラストのレストランでの会話の続き。

    シーガル:「ウエスターバーグの歴史」?
    アルトゥール:ああ。商業エリアの図書館に一冊だけ置いてある。
      本棚に何冊も並んでる方は「改訂版」だ。
      ボリスって職員に尋ねればオリジナルを持ってきてくれる。
      彼はここの店主と同じ、シャガン家側の人間さ。
    シーガル:シャガン家…?
    アルトゥール:この街には2つの派閥があってね。
      平和なように見えて、未だに水面下で争ってるんだ。
      と言っても、実質的な支配者はもう片方の「ケールシュタイン家」で、
      シャガン家は抵抗勢力って構図だ。
      そのへんの力関係についても、件の本を読めば大体分かる。
      オリビアが迷い込んだ「アルセイドの森」は、ケールシュタイン家の私有地だった…
      ここまで話せば何となく繋がるだろ?
    シーガル:ああ…何となくな…
    アルトゥール:この店の上の階に空き部屋がある。
      当面はここをあんたのねぐらにして、事件のことを調べていってほしい。

     回想終わり、本を閉じるシーガル。

    シーガル:しかしマズいな…集中力が続かねぇ…
      この街に来て一週間以上「打ってない」からな…

     仕事中のボリスに話しかけるシーガル。

    シーガル:なぁ、ちょっと聞くが…このあたりでチェスが打てる場所、知らないか…?

     場面はリッジウェイズカフェへ。
     サトミ、マリア、トリッシュが来店する。

    リュウ:いらっしゃいませー。
    チェルシィ:いらっしゃいだすー。
    リュウ:おやおや、サトミちゃんじゃないか!
    ハンキチ:えっ…
    サトミ:店長、お久しぶりですぅ!
    チェルシィ:サトミさんってぇ、ワダす達の前に働いてたっていう、あのサトミさんかぁ?
    リュウ:そうそう。
    チェルシィ:こーりゃおったまげたぁ!どえれぇーめんこい人だなぁー!
    サトミ:(すっげぇ訛りですねぇ…)
    チェルシィ:なぁーハンキチさぁん!
    ハンキチ:わっ、わしに振るんじゃない!
    リュウ:今日はどうしたんだい?
    サトミ:午後が休講でヒマになっちゃったんで、
      サークルの後輩たちと適当に時間潰しですぅ。
    リュウ:そっかそっか。お好きな席へどうぞ。
    サトミ:天気が良いんで外に座りますね!
    リュウ:オーケーオーケー。ごゆっくり。

     外へ出て行く3人。を見送るハンキチ。を楽しそうに眺めるチェルシィ。

    マリア:いたね、例のおまわりさん。
    サトミ:性懲りもなくまだ通ってたんですねぇ…
    トリッシュ:だからこっちの席に来たのかしら。
    サトミ:あの人ぶっちゃけ苦手なんですよぉ…
    マリア:サトミさんの理想と完全に真逆だもんね。
    トリッシュ:理想って、どんなだったかしら。
    マリア:確か、色白で?細身で?鼻がスッと尖ってて?
    サトミ:目は切れ長でぇ、銀髪でぇ、
      無口でクールで何かのプロフェッショナルだと最高ですね!
    マリア:(ちょっと増えてる…)
    トリッシュ:そんな人、そうそう現れるわけないのかしら。
    サトミ:いますよぉ!たぶん絶対!
    マリア:まぁまぁ落ち着いて。それよりもローラさんとキキさんは?
      サトミさんと同じく休講だったんでしょ?なんでこっち来なかったんだろ。
    サトミ:美容と健康のためにジョギング中らしいですぅ。
    マリア:へぇー、そりゃまた。
    サトミ:そっちも、オルガちゃんはどうしたんですかぁ?
    マリア:メールも電話も反応ナシ。
    トリッシュ:ヘッドホンつけっ放しで気付いてない時あるのかしら。
    サトミ:あのヘッドホン、いつも何聴いてるんですかねぇ?
    マリア:なにげに謎だよね。今度訊ねてみようっと。

     場面はジョギング中のローラとキキへ。途中、ヴェローナたちとすれ違う。

    ローラ:ねぇキキ、あれってこの前、学生会館で会った子じゃなぁい?
    キキ:そうなのだわ。ロレンス教授と話してたあの子なのだわ。
    ローラ:彼女とはまた会える気がしてたのよねぇ。ちょっと追いかけてみたいわぁ。
    キキ:構わないのだわ。

     その反対側のブロックを走っていたトム・クロスハート、立ち止まって。

    トム:むむっ!8時の方角に女子の気配!
      来てる!クロスハートあんてなにビンビン来てるぞ!きっと上玉だ!

     トムもまたその方向へ向かう。
     ヴェローナたちに追いついたローラとキキ、道向こうから話しかける。

    ローラ:アロハー!またお会いできたわね。
    ヴェローナ:あ、えっと確か、デルタ&ラマ…?
    キキ:デルタ&ラムダなのだわ。
    ヴェローナ:そうでした。どもです。

     サリーとトマス、一歩引いて。

    サリー:ウエスターバーグ大学の学生ね。
    トマス:しかもあのサークルのメンバーか。
      彼女(ヴェローナ)はつくづく、この街の真実と縁があるらしいな…

     さらにそこにトムが追い付き、ローラとキキに話しかけ始める。

    トム:左から失礼ー。やぁやぁ、いい天気だね。調子どう?(キラメキ!)
    ローラ&キキ:トトト、トムクロスハートぉ!?
    トム:まいったな~、バレちゃったか~。
    ローラ:お会いできて光栄だわぁ。
    キキ:思ってたより背が高いのだわ。
    トム:アハハ、ありがとう。実は新作の撮影でこの街に滞在してるんだけど、
      さる事情でポッカリ空き日ができちゃってね。
    ローラ:猿?
    トム:地元の人と親交を深めようと思い、こうして走ってるのさ。
    ヴェローナ:(なんか騒がしいジョギングになってきたなぁ…)
      (撮影って、ミカさんが関わってるやつか)
      (ミカさんも一昨日からお休みもらってるんだよね)
      (画商の仕事は別であるみたいだけど)
    トム:ねぇショートカットのキミ!キミも学生さんかい?
    ヴェローナ:えっ?いえ、違いますけど…
    トム:「このあとお茶でも」って話になってるんだけど、一緒にどうかな?
    ヴェローナ:(この短時間でそこまで!?)すいません、そういうのはちょっと…
    トム:彼氏に悪いかな?
    ヴェローナ:彼氏とかいないですしおすし。
    サリー:…私には目もくれないのねアイツ。
    トマス:俺とペアなのが一目瞭然だからな。ルックス的に考えて。
    ヴェローナ:(お茶と言えば、このままこのコース回っていったら、
      職場の前を通過する事になるなぁ…)

     場面はその職場であるリッジウェイズカフェに。おもむろにシーガルが現れる。

    シーガル:確かに台は置いてあるが、対戦相手は望めそうにないな…
      この際一人打ちでも仕方ないか…とにかく駒を握らないと…

     チェス台に向かうシーガル。その姿を目にしてしまったマリア。

    マリア:サトミさん。緊急事態。
    サトミ:どーしたんですかぁ?
    マリア:心を落ち着かせて、チェス台に注目。
    サトミ:なんでしょう?

     チェス台の方を見るサトミ。
     前シーンで挙げた条件と完全に一致するシーガルに完璧に一目惚れ。

    マリア:電流走ったね。
    トリッシュ:走ったのかしら。
    サトミ:どどどどどどーしたらいいですかね?
    マリア:なにか話しかけてみたら?
    トリッシュ:ひとりでチェスしてるのかしら。お相手してあげるといいのかしら。
    サトミ:そそそそっそそーですね!それならここで働いてた時もやってた事ですし…
    マリア:サトミさん、ファイト!
    サトミ:がっ、頑張ってみるですぅ!

     店内、窓にへばりついているハンキチ。

    チェルシィ:ハンキチさん、なぁーにやってんだぁ?
    ハンキチ:うまくいかない念を送ってるんだよ!

     店外。

    サトミ:あのぉ、もし良かったら…
    シーガル:ん?
    サトミ:一局…いかがですかぁ?
    シーガル:ククク…構わないが…俺は女子供相手でも容赦しないからな…
    サトミ:(あぁもーこの感じ!すんげぇどストライクですよ!)
      (ふたりともグッジョブですぅ…って意外に無関心ー!)

     マリアとトリッシュは食事に夢中。

     場面変わって、パタパタと走り続けるジョギング組。

    トム:なるほど。それじゃあキミは学生さんじゃないんだね。
    ヴェローナ:えっとあの、それ最初にお話ししたんですケド。
    トム:ハハハ、すまない。台本以外の事は憶えが悪くてね。

     そこにシャーロットチームのハイラムがものすごいスピードで追いついてくる。

    ハイラム:トムトムトーム!!
      お前もウエスターバーグに来てたのかー!!みんなアレか!?映画の共演者か何かか!?
    トム:い…いや、さっき偶然合流した人たちさ。
      そうか。あなたもこっちに来てたんだったな…
    ローラ:トムさん、その人だぁれ?
    トム:冒険家のベルツォーニ氏さ…
      以前ボクが主演した冒険映画にアドバイザーとして参加して貰った。
      それ以来の付き合いだ。いや、正確には「それきり」なんだが…
    ハイラム:悲しいこと言うなよー!!同じ釜のメシ食ったらもう親友だろぉ!?
    トム:実を言うと、こうして空き日ができたのは、彼の所属する調査チームが、
      ロケ地に予定していた遺跡を完全攻略してしまったからなんだ。
    ハイラム:ええっ!?そーなのか!?
    トム:仕掛けは全て作動済み、隠し扉も開けっ放し…
      すっかり緊張感が無くなってしまった。
      特殊効果班を呼び寄せて復元させる事にしたが、
      人数制限や資格の制約があって、非常に時間がかかるのさ。
    ハイラム:そりゃー済まなかったな…でもこっちも仕事だからよぉ。
    トム:つまりあなたは商売敵だ!

     トム、逃げるようにダッシュ。

    ハイラム:あっ!!
    トム:商売敵と話す事なんて何も無いからなぁぁぁ!!
    ハイラム:おー!!やるじゃねえか!!競争だったら負けねーぞおおお!!

     ハイラム、それを追う。

    サリー:あんなにペースアップしたら、すぐにバテると思うんだけど。
    トマス:ああ。普通はそうだな。

     バテてへたり込んでいるトムと、何ともない様子のハイラム。
     一行、それを追い越していく。

    ハイラム:なんか、その…アレだ。ごめんな。そんじゃ先いっとくぞ?

     ハイラムは何事も無かったかのように再び走り出す。

    サリー:案の定だったわね。
    トマス:だがもう一人の方は汗ひとつかいていない。
      彼の身体能力は極めて高水準だな…
      ちょっとやそっとのトレーニングで身に付くものじゃない。
      過酷な環境で長時間動き続ける事に慣れている、まさに冒険家の肉体だ。
    ヴェローナ:「ケールシュタイン家直属」はダテじゃないって事ですね。
    サリー:私たちも同じフィールドに立つのよ。覚悟を決めなさい。
    ヴェローナ:押ッ忍!

     場面はカフェへ。シーガルとサトミがチェスを打っている。

    シーガル:チェックメイトだ…
    サトミ:えっ、もうですかぁ?お強いんですねぇ、参りましたですぅ。

     シーガル、サトミをじっと見る。
     サトミは頬(っていうか全身)を赤らめて。

    サトミ:なっ、ちょっ…何か顔についてますかぁ?
    シーガル:あんたにチェスを教えた「じいさん」は、何者だ?
    サトミ:えっ?
    シーガル:ただの素人にはできない打ち筋だった…
      だがあんた自身の実力じゃあない。教えられた事をなぞってるって感じだ。
    サトミ:たっ、確かにそうですけど。
      それでなんで「おじいちゃん」って事まで分かるんですかぁ?
    シーガル:あんたはここで働いてたんだろ?
      この空間で過ごす事にカラダが馴染んでる…
      椅子に座る動作も、駒の握り方も、ごく自然だった…扱い慣れてるからだ。
      でないと、材質や重さを確認する仕草が、無意識に表れるもんだ。
    サトミ:でっ…でも、それだけなら、
      「よくここでチェスを打ってる常連さん」かもしれねーですよ!?
    シーガル:それなら相応の実力を持ってるはずだ。
      だけどそうじゃない事はいま話したろ?
      加えてあんたは時々、店内にも注意を払っていた…
      客の流れを気にする、従業員特有の仕草だ。それがまさに、無意識で表れてた…
      現役ならもっと意識的なはずだから、今は違う。「働いてた」…だ。
    サトミ:かかか、肝心の「おじいちゃん」の謎が解けてねーですぅ!
      「おばあちゃん」かもしれないですし、「お兄さん」かもしれないですし、
      性別と世代を限定できる根拠は何なんですかぁ!?
    マリア:(すっごいムキになってるな…)
    シーガル:それもこいつ(チェスの駒)の扱いで分かった。
      あんたは駒を置く時のタッチが、必要以上に優しいんだ。
      性格もあるんだろうが、おそらく、年寄りを相手にする事が多かったんだろう。
      それにあんたは若い女性だ…
      「手ほどきをしてやろう」って気を起こすなら、ばあさんよりも、じいさんの方だ…
      ここまでで何か間違いが?
    サトミ:えーそうですよ!私が犯人ですぅ!
    マリア:サトミさん落ち着こうか。

     たまたまそこにリュウが出てくる。

    リュウ:みなさん、コーヒーのおかわりいかがですか?
    トリッシュ:いただきたいのかしら。
    シーガル:店長…チェスの巧いじいさんってのは、よく来るのか?
    リュウ:ええ、いらっしゃいますよ。でも今週はまだ姿を見てないなぁ。
      いつもは週に1~2度、必ず顔を出してくれるんですけどね。
    シーガル:そのじいさんってのは、どんな風体だ?

     場面はケールシュタイン家、エドモンのいる部屋へ。
     報告に戻ってきたタマネギがいる。
     2人の前には巨大な宝石のようなものが置かれている。

    エドモン:これが、「ネレイドの涙」の真の姿か…
    タマネギ:いやホント驚いたよ。あっちに運ばれた段階ではただの石の塊だったのに、
      ブロッサムのまじないでこうなっちゃったんだ。
      ただ、あいつ、例によって何言ってるか全然分かんないから、
      通訳つきで直接説明してもらう事にしたよ。

     タマネギの用意したモニターにブロッサムとアリエスの姿。

    タマネギ:そんじゃ、話してもらえるかな。
    ブロッサム:女神パドラ=ヌス・ユールはかくのごとく語れり。
      子羊共の理《ことわり》、イェドモスン閣下。
    アリエス:「ごきげんよう、エドモン様」と申してございます。
    エドモン:ごきげんよう、ブロッサム。アリエス。今回も驚くべき仕事ぶりだ。
      この「ネレイドの涙」について、分かった事を教えてくれ。
      見た目が変わったというだけではないのだろう?
    ブロッサム:神が定めた法則に従って。
      対象は虚ヒルベルト空間に至るカ・ナリス、大いなる神の恵みでした。
    アリエス:「もちろん。これはかなりの収穫でした」と申してございます。
    タマネギ:(こっちの言葉は分かるクセになぜそれで話さないんだ…)
    ブロッサム:伝説に謳われし遺物には、インク・ツァカ=ストライフの…
      解ノロス=イン零型の大いなる遺産が備わっており、
      其れは唯一<ウヌム>のみではシステムしない…すなわち不可能である『存在』です。
    アリエス:「その遺物には、いくつかの解呪の力が備わっていて」、
      「それは一つだけでは機能しないものです」と申してございます。
    エドモン:というと?
    ブロッサム:謹製の開錠装置の機構に同調(に)ています。
      開錠装置には、キーディメンション、キーヤメィ、キー暗黒回路といった、
      精妙なる役割<コッペリア>があり、
      かの魂に込められた解ノロス=イン零型の大いなる遺産は、
      怜悧なる核<コア>のクリスタルのかけらに過ぎません。
    アリエス:「鍵の仕組みに似ています」。
      「鍵には鍵幅、鍵山、キー溝といった細かな役割があり」、
      「遺物に込められた解呪の力は、その一部に過ぎません」と申してございます。

     注釈テロップ。
     「いろんな意味で厳しい感じなので、ここからは自動翻訳状態でお送りします」

    エドモン:…つまり、他にも解呪の力を持った遺物が有り、
      それらが揃うことで初めて「鍵」になる。
      そして、「鍵」が存在するのならば、それで開く「鍵穴」も存在する…
      という事じゃな。
    ブロッサム:その通りです。
      しかしそれだけなら、これまでに見つかった文献でも示唆されていた事。
      それがようやく形を帯びたというだけの話で。
      今回は、さらに重要な事が解りました。
    エドモン:聞こうではないか。

     そこに一人の白服が割って入る。

    白服:エドモン様…
    エドモン:何じゃ。いま大事な話をしておる。
    白服:いえ、それが…

     白服、エドモンに耳打ち。

    エドモン:ほう…それはいかんな。
      ブロッサム。話の途中ですまんが、ここしばらく晴れ続きで、
      「あの花」が予想以上に活性化しておるようじゃ。
      また暫くの間、洗い流してくれんか。話はその後で改めて聞こう。
    ブロッサム:かしこまりました。

     ブロッサム、席を立って外へ。
     光合成中の植物シム、グリートに話しかける。

    ブロッサム:グリート。光合成中悪いのですが、少し降らせます。
    グリート:雨?いいよ、打たれるの好きだし。花は太陽と雨によって生かされてる。
    ブロッサム:では遠慮なく…

     ブロッサムの詠唱が始まる。

    ブロッサム:風と水の精霊達よ 空に集い給え…
      災いの業火を鎮め 乾きの大地に潤いの恵みを齎せ…
      <ジャノメ・デオム・カーエ>

     魔法の力によって、雨が降り始める。
     突然の雨に驚くジョギング組へ場面は移る。

    ヴェローナ:あちゃ~、今日は一日、晴れって予報だったのになぁ…
    ローラ:たまにあるのよねぇ。こういう突然の雨。
    キキ:雲の動きからはありえない降り方をするのだわ。
    ヴェローナ:魔法使いが住んでて、魔法で雨を降らせてるとかかな(笑)
    ハイラム:面白いこと言うなぁ、嬢ちゃん!!

     へたり込んでいたトムが再び追いついてくる。

    トム:追いついたぞぉー!ゼェッ、ゼェッ…
    ハイラム:なんだよトムぅ、結局俺んとこ戻って来てんじゃねーか。
    トム:あなたがどうこうじゃないっ!
      彼女たちとお茶の約束があるんだ!
      ボクはたとえ何があっても…約束を守る男なのさ!(キラメ…)

     トム、キラメキきれず気を失う。

    キキ:力尽きたのだわ。
    ローラ:まぁでも、ここまで頑張ったんだから、付き合ってあげないとねぇ。
    ヴェローナ:(スーパースターが情けをかけられてる…)
      あの。もうちょっと進んだトコに、アタシの働いてるカフェがあるんですけど、
      そこで雨宿りしませんか?
    ハイラム:おお、気が利くな嬢ちゃん!!
    ローラ:それってリッジウェイズカフェの事?
    ヴェローナ:そーですそーです。
    キキ:サトミが前いた所なのだわ。
    ヴェローナ:えっ、サトミさんって、お知り合いなんですか?
    ローラ:知り合いも何も、彼女はデルタ&ラムダのメンバーよぉ。
    ヴェローナ:おー!ミラクル!
    キキ:確か今、休講の暇潰しで、他のメンバーと一緒に来店してるはずなのだわ。
    ヴェローナ:おやおや、なんか賑やかになりそうですね。
    トマス:こうして立ち話してるのも難だし、行こうか。
    サリー:せっかくのご縁だから、色々と親睦を深めようじゃない?
    ヴェローナ:ですね。それじゃあ行きましょうか。

     カフェへ移動する一行。

    リュウ:いらっしゃいませー。
    チェルシィ:いらっしゃいだすー。

     雨のため店内に移動していたサトミ、マリア、トリッシュ。

    マリア:あれ?ローラさんにキキさん。
    ローラ:みんなお揃いねぇ。
    キキ:雨宿りに来たのだわ。
    トリッシュ:突然すぎる雨なのかしら…
    リュウ:皆さん、良かったらタオルお使いください。
    ハイラム:おお、気が利くじゃねーか大将!!
    リュウ:サトミちゃん、配ってあげて。
    サトミ:私もう従業員じゃねーですよ!
    チェルシィ:とが言ってぇー配ってあげんだなぁー。勉強になるだぁ。

     などと賑わう店内。
     しかしヴェローナは、雨の中チェス台に向かうシーガルに目が向く。
     モノローグ。

    ヴェローナ:ウチの近くでしばらく野宿してた人…
      彼に対する印象はそんなもんだった。
      けど、チェス台に向かう背中が、その印象を打ち破った。
      この人も「嵐」の中心に来る…そんな予感がした。
      アタシのこういう予感はいつも当たってしまうんだ。
      それも、あまりよくない形で…

    シーガル:…なに見てるんだ?一局打つか?
    ヴェローナ:いえ、雨が酷いんで、またの機会に…中に入らないんですか?
    シーガル:ここが一番落ち着くんだよ…

     おわり。


    <各回リンク>
    #01『Greetings To You』
    #02『Encounter And Encounter』
    #03『To Be Or Not To Be』
    #04『Flux Of Time』
    #05『Calm Before The Storm』
    #06『Run Verona Run』(この記事)
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