VS#03台本
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VS#03台本

2013-12-30 14:07
    シムズの挙動がおかしくなったり、PCの挙動がおかしくなったり、
    とにかく完成にこぎつけるまでが大変だった記憶がよみがえりました。



    ◇  ◇  ◇

    ヴェローナ・ストライプスのちょっとした大冒険 #03

    『To Be Or Not To Be』

     とある大豪邸。
     鏡の前に立つタマネギ頭の青年。おもむろに発声練習。

    タマネギ:ん、んー…あー、あー。
      ばっ、バイ、バイア。バイアズー、ゴホッゴホッ。
      マ、マ、マー…
      武器を持とうか?靴を磨こうか?肩でも揉んであげ、ゲホッゲホッ。
      うーん… ちょっと喉の調子が悪めかな?
      えーっと、あの人の本日のスケジュールは…
      おっ、一日オフになってるじゃないか!
      これはなかなかのチャンスだぞ!
      この街に滞在してる間に、絶対お近づきになってやるからな!

     場面変わって、テリーとミカの家。
     所在なく座っているテリー。

    ミカ:それじゃテリー、先に出るから、戸締りよろしくね。
    テリー:ああ。行ってらっしゃい。
    ミカ:行ってきます。行ってらっしゃい。
    テリー:…行ってきます。

     ドアが閉まる音。

    テリー:って、どこに行きゃいいんだか…

     テリーのケータイが鳴る。

    テリー:あれっ。なんだなんだ?(出て)はい、もしもし。

     かけてきた相手はセシル。

    セシル:おはようテリー。
    テリー:セシルさん!?
      どっ… どうしたんですかこんな早くに。
    セシル:どうしたもこうしたも無いだろjk。
      昨日の試合、ベンチにすら姿を見せなかったのは、どこのどいつだ?
    テリー:あっ。えっと、それは…
    セシル:思わず監督さんに聞いちまったじゃねーか。
      なにやらツラい状況みてぇだな。
      俺、今日、オフ日なんだけど、こっちに顔出せるか?
    テリー:いやそんな。せっかくのオフ日にお邪魔するなんて。
    セシル:それじゃあ言い方を変えよう。
      ちょっとツラ貸せ。詳しい話を聞かせろ。今から別荘の住所教えるから。
    テリー:はい…分かりました。

     電話を切るセシル。3夫人もその会話を聞いていた。

    アルマ:ほんと、おせっかい焼きなんだから。
    セシル:ルーニーに「弟をよろしく」って言われてるからな。仕方ねーだろjk。
    メグ:またまたそんなコト言ってー。
      同郷のよしみでずっと気にかけてあげてるくせに。
    アルマ:彼の出場する試合、ぜんぶ録画してチェックして。
    メグ:直接ダメ出しの電話までしたりして。
    アルマ:「よろしく」の範疇超えてるわよね。
    メグ:ねー、プークスクス。
    セシル:お前ら…
    デイジー:それで~、テリー君を呼び出して~、どういう話をするの~?
    セシル:そこまでは考えてねーよ。
      レッドフォックスの監督は「チャンスを与えるのは今シーズン一杯」っつってたけどな。
      あとはあいつがどう出るかって話だ。
    アルマ:まぁ、どうしてもそうなっちゃうけどね…

     セシルたちの住む別荘を映しながら溶暗。タイトルバック。
     そのまま場面は映画の撮影所へ。
     俳優のトムとリズ、スタッフのスチュアートが待機中。

    リズ:ねぇちょっと、曲変えてくれる?
      キャストスタッフ合流日に「Bad Day」なんて、
      縁起が悪いったらありゃしないわ。
    スチュアート:りょーかいっす。

     曲は明るい雰囲気のものに変わる。

    リズ:まったく。気が利かないのは相変わらずねアンタ。
    スチュアート:ラジオの選曲はどうしようもないですって。
    リズ:なによ!口答えする気?馬鹿なの?死ぬの?
    スチュアート:そこまで言われるような事?
    トム:彼を責めちゃいけないよリズ。視野は広く持たないと。
      責めるなら、そんな音楽を流したラジオ局を責めようじゃないか。
    スチュアート:(それ視野が広いって言うのか…?)
    リズ:まぁ、一理あるわね。
    スチュアート:(あるのか!?)
    トム:スチュアート君、さっきの局に抗議の電話を。
    スチュアート:もう俺の気が利かなかったって事でいいですよ。

     監督・アンドリューがやって来る。

    アンドリュー:いやぁ、困った困った。困った事になったぞみんな。
    リズ:どうかしたのアンディー。また予算でも減らされた?
    アンドリュー:その逆だよ。また新しいスポンサーが見つかった。
      トム。きみのネームバリューはやはり凄いな。
      前作の倍近い製作費になりそうだ。
    トム:当然だろう… 何しろボクは… スーパースター俳優だからね!(キラメキ!)
    スチュアート:でもなんでそれで困るんですか?むしろいい報せじゃないですか。
    アンドリュー:今回の作品は撮影方式があれだからなぁ。
      あまり大きな予算を渡されても使い切れないんだよ。
    スチュアート:主演のお2人のギャラにでも回しますか?
    リズ:アンタなに言ってんの?馬鹿なの?死ぬの?
    スチュアート:うーわ俺めっちゃ怒られてる…
    アンドリュー:映画俳優のギャラは、一度上げてしまうと、
      なかなか下げられないからね。
      以降の作品への出演契約が難しくなってしまうんだ。
      それを是とするか非とするかは俳優しだいだけど…
    トム:リズは過去に何度か揉めてるからね。
      そのあたりはデリケートになってるのさ。
      ボクはギャラが上がるのは問題無いと考えている。
      だってそれは、スターの輝きに、比例する数字だからねっ!(キラメキ!)
    アンドリュー:とりあえずのところは、
      細かいカットでのVFXを増やして、
      技術部の方に割り振るのがベターかな…おっと、来たみたいだぞ。
      今回の作品のキーパーソンが。

     撮影所に現れるミカ。

    ミカ:おはようございます。皆さんもうお揃いだったんですね。
    アンドリュー:やあやあゴジョウさん。今日もよろしくお願いします。
      トム、アドバイザーを務めてくれるゴジョウさんだ。
    トム:ごきげんようミス・ゴジョウ。ファーストネームは?
    ミカ:ミカです。
    トム:ミカ・ゴジョウか。オリエンタルないい名前だ。
      僕はトム・クロスハート。よろしく。
    ミカ:「M:Y」シリーズ見てました。お仕事ご一緒できて光栄です。
    トム:想像していたよりもずっとずっとキュートな人じゃないか。
      どういうツテなんだい?アンディー。
    アンドリュー:「フェイクギャラリー」一作目の功労者からの推薦でね。
      くれぐれも手を出したりするんじゃないぞ?
    トム:ハハハ。分かってるさ。
    アンドリュー:リズとスチュアートについては、昨日も顔を合わせてるね。
      さっそくだが、今回の作品について具体的な話をしていこうか。
    ミカ:あれ?キャストとスタッフってこれだけなんですか?
    アンドリュー:ま、そのあたりの話も含めて、色々とね。

     場面はセシルの別荘へ。到着したテリー。

    テリー:ここがセシルさんの別荘か…さすが、デカいな。
      奥さんが3人もいて、いちいちホテルを取るのが面倒だから、
      国内の主なスタジアムの近くに一軒ずつ所有してるらしいけど。
      それはそれで何かと大変そうだよなぁ… ん?

     テリー、茂みに隠れているタマネギと目が合ってしまう。

    テリー:…。
    タマネギ:…。

     タマネギ逃亡。

    テリー:あっ… なんだったんだ?今の。

     ドアが開き、メグが出てくる。

    メグ:あらいらっしゃいテリー君、待ってたわよ。
    テリー:メグさん、どうもお久しぶりです。
    メグ:ごめんね突然。セシルったら急なんだから…
    テリー:いやそんな。呼んでいただけて光栄です。
    メグ:ささ、入って入って。
    テリー:おじゃまします。

     それを陰から窺うタマネギ。

    タマネギ:あれは確か、地元チームのテリー・ラビットフットじゃないか?
     なんであんな目立たないプレーヤーがセシルさんの別荘に?

     家の中。セシルとテリーとメグとデイジー。

    セシル:急に呼び出したりしてすまねえな。
      昨日の今日って事もあるし、どうしても話が聞きたくてさ。
    テリー:こちらこそわざわざすみません。
      俺なんかのためにせっかくのオフを…
    セシル:こういう事に使わなくて何のためのオフだよ。
      一日中ボーッとして過ごすなんてもったいねぇだろjk。

     アルマが2階から降りてくる。

    アルマ:あらテリー君。来てたのね。
    テリ:おじゃましてます、アルマさん。
    デイジー:ジンジャーは~?
    アルマ:ぐっすり眠ってるわ。
    テリー:あ、そういえばセシルさん。昨日の試合どうだったんですか?
    メグ:あれ?結果知らないの?
    テリー:ウチでスポーツチャンネル見るの恐ろしくて…
    メグ:なるほど、察した。
    セシル:昨日は1対0でグリーンラクーンズの辛勝だ。
    テリー:そっか。さすがセシルさんの…サンセット・バレーのチームですね。
    セシル:お前が出てたら分からなかったぞ。
    テリー:俺にはそんな…
      試合に影響するような実力なんてないですよ。
      実力どころか、資格も。
    セシル:本当にそう思ってるのか?
    テリー:えっ?

     その声にミカの声が重なる。

    ミカ:えっ?遺跡ロケ?

     場面は撮影所の控え室へ。

    アンドリュー:その通り。
      聞くところによるとここウエスターバーグでは、
      この1~2年で多くの遺跡が見つかったらしいね。
      あれは…えっと、なに文明だっけ?
    スチュアート:シムリア文明ですね。
    アンドリュー:そうシムリア文明!
      その遺跡をロケ地として使わせてもらうのさ。
      何しろ、今この街は世界じゅうの注目を集めているからね。
    トム:この作品のオファーを受けた時にボクから提案したんだよ。
      昨年公開した「M:Y」シリーズの最新作でも、
      建設を終えたばかりの世界一高い超高層ビルで撮影させてもらったからね。
      今回も多くの人が興味をそそられるはずさ。
    ミカ:それって、許可は取れてるんでしょうか?
    アンドリュー:取れてる取れてる。意外に簡単だったよ。
      ただし、朝から晩まで自由に使えるわけじゃない。
      他の発掘チームと同じ条件でないとダメとの事だ。
    ミカ:条件…ですか。
    スチュアート:遺跡に入れるのは「5人」まで。
      一度の進入につき、使える時間は「12時間」。
      事前に「専門的な手続き」をしなければいけないというのも、
      他の発掘チームと同じ扱いです。
    アンドリュー:本当に専門的なものについてはこちら側で対応済みだ。
      古代文明に関するナントカは僕が勉強してるし、
      運動能力がどうとかいうのはトム1人でクリアできる。
    トム:なんてったって僕のスポーツスキルは9もあるからね!(キラメキ!)
    ミカ:(どうしてかしら、謎の親近感が…)
    アンドリュー:「医療資格」も必要らしいが、これはリズの起用で解決した。
    リズ:昔、女医の役をやった事があってね。
      ついでに資格取っちゃってたの。
    アンドリュー:記録係を含め裏方作業は全てスチュアートに任せる。
      長年一緒にやってる、優秀なスタッフだからね。
      ゴジョウさんは遺跡の進入許可書みたいな書類にサインをしてもらうだけさ。
    ミカ:あの、えっと、ひとつ確認なんですけど。
    アンドリュー:どうぞ。
    ミカ:もしかして私もその、遺跡に入る「5人」に含まれてます?
    アンドリュー:うん。含まれてる含まれてる。
    ミカ:…えーっと、昨日のお話では、作中に出てくる絵画の調達と、
      主人公の、画商の仕事に関するアドバイス。
      それが、私の役割でしたよね?
    アンドリュー:うん。その通りだね。
    ミカ:私、ロケに同行する必要はあるんでしょうか?
      5人しか入れないんだったら、私よりももっと、
      現場でちゃんと動けるスタッフさんを同行させた方が…
    スチュアート:監督。ひょっとしたら肝心な部分、まだ伝えてないんじゃないですか?
    アンドリュー:ああ、そうか。そうかもしれない。
    ミカ:肝心な部分?
    スチュアート:たぶん、映画のシナリオから先に説明した方がいいですよ。
    アンドリュー:そうだね、そうだ。そうしよう。
    ミカ:肝心な部分って何ですか?

     場面はまたまたセシルの別荘へ。
     ビデオで試合の映像を見ていた一同。

    セシル:いま見せたのは、この3年間のお前のプレーのダイジェストだ。
      何か気付くことはないか?
    テリー:ちょっと自分では…
      ていうかここまでガッツリまとめられてるなんて、
      ビックリしたというか、恥ずかしいというか…
    セシル:もっと自分を客観的に見るクセをつけた方がいいぞ。
    テリー:そもそも、なんでこんな映像があるんですか?
    セシル:お前に分かってもらおうと思ってな。嫁たちに急遽作らせたのさ。
    3夫人:(一人でコツコツ作ってたクセに…)
    テリー:分かってもらうって…何を?
    セシル:確かに「点が取れるプレー」はできてない。
      俺からも「もっと攻めろって」アドバイスをしてたと思う。
      だが本質はそこじゃなかった。
    テリー:本質?
    セシル:お前のプレーには…

     外から覗き込んでいるタマネギの姿。

    タマネギ:なんだなんだ、今なんの話をしてるんだ?
    マリア:なんなんだろうね。

     いつの間にか背後にマリア、オルガ、トリッシュがいる。

    タマネギ:げぇっ!デルタ&ラムダ!
    マリア:人んちを覗き込むなんて良くない事だぞ、タマネギ。
    タマネギ:お、お前らこそどうしてこんな所に?
    マリア:どうしてもこうしても、キミの姿があっちの道路から丸見えだったからさ。
    オルガ:頭隠してお尻隠さず状態だったの~。
    トリッシュ:それよりもここは誰のお家なのかしら。有名人なのかしら。
    タマネギ:だだ誰でもないよ!
    3人:あっ。

     逃げ出すタマネギ。が、いったん戻ってきて。

    タマネギ:いいかお前ら、迷惑かかるから覗くんじゃないぞ!
      セシルさんに迷惑かかるからな!
      絶対に覗くんじゃないぞ!

     言うだけ言って走り去るタマネギ。

    マリア:山ほど突っ込みたいトコロあるんだけど…
      まぁいいか、行っちゃったし。
      トリッシュ、オルガ、僕たちも行こうか。
    トリッシュ:ちょっと待つのかしらマリアちゃん。
      あそこまで言われると、逆に興味が湧くのかしら。
    オルガ:うにゅ~。
    マリア:まーね。それも一理あるよね。さてさて、どれどれ?

     結局3人して覗き込む。
     場面はまたまた撮影所控え室へ。
     フェイクギャラリーあらすじ解説。

    アンドリュー:「フェイクギャラリー」あらすじ!
      キャメロン・グッドスピードは売れないイラストレーター生活を送っていた。
      ある日、彼の前に謎の老紳士が現れ、
      とある小さなアートギャラリーのオーナーをやってみないかという話に。
      高額の報酬に惹かれ、その話を快諾したキャメロンだったが、
      勤め先となるアートギャラリー「トロイ」はなんと、
      国際的スーパースパイたちの隠れた拠点だった!
      危険な世界に深入りすべきではないと思い、
      表向きの経営のみに集中しようとするキャメロン。
      しかしそこで出会うことになる美人スパイ、マギーとの恋。
      さらに、予想だにしなかったトラブルが、2人の身に襲い掛かる!
    ミカ:(まさか一作目から説明されるなんて…きちんと全部追いかけてるんだけどなぁ…)
    アンドリュー:「フェイクギャラリー2」あらすじ!
      色々あってマギーと別れ、傷心のままギャラリートロイを去ったキャメロン。
      その後任についた男、ビンセント・アーチャーは、
      実は某国から送り込まれた二重スパイだった!
      顔なじみだったスパイたちが一人また一人と葬り去られて行き、
      やがて、マギーにもその魔の手が伸びようとしていた!
      ふとしたきっかけでその事を知っしまったキャメロンは、
      ビンセントを止めるための勝負に出る!
      果たして彼は、マギーを救うことができるのか?
    スチュアート:監督、今作のあらすじだけで良かったんじゃ…
    アンドリュー:ここまで来たんだから最後までいかせてくれよー!
      というわけで「フェイクギャラリー3」あらすじ!
      ビンセントとの戦いに勝利し、
      ギャラリートロイにまつわるトラブルもすっかり解決したキャメロンは、
      一人前のスパイとしての実力を身につけ、
      なんやかやでマギーとも元サヤにおさまっていた。
      そんな時、彼をこの世界に誘いこんだ謎の老紳士が再び姿を現し、
      キャメロンの出生について語り始める。
      そう、実はこの老紳士こそキャメロンの実の父親であり、
      スパイ組織のボスだったのである!
      老紳士はさらに、近く開催される世界最高峰のオークション会場に、
      ある盗賊団が潜り込もうとしていると話し、キャメロンに調査を依頼する!
      人類の宝とも呼べる数々の美術品を救うために、
      マギーとの幸せな生活を守るために、
      これが「最後の戦い」と心に決め、キャメロンは三たび立ち上がる!
      …と、ここまでが旧三部作の流れだね。
      そしてこの三作目のラストでキャメロンは命を落としてしまうわけなんだけど、
      マギーとの間に出来ていた子供ジョエルが、大人に成長して活躍するのが今作、
      「新フェイクギャラリー」ってわけさ。
    トム:ジョエル役を演じるのはもちろんこのボク。
    リズ:私は特殊メイクで歳をとったマギーを演じるの。
     本当は一作目でやるはずだった役なんだけどね。
    スチュアート:その節はどうも失礼致しましたね。
    ミカ:とりあえず、設定は把握できました。
      それで、私がロケに同行する理由については…
    アンドリュー:ゴジョウさんにはね、
      ジョエルの仕事の先輩として少しだけ「出て」もらうんだ。
    ミカ:…えっとその、出る、っていうのは。
    アンドリュー:「出演してもらう」って事さ。
      他にどんな意味があるっていうんだい?
    ミカ:えええええーーーーーーーーーー!!!

     急転直下、場面は夜の自宅へ。

    ミカ:…ってことになっちゃったのよ。
    ヴェローナ:ひゃあー、それじゃあミカさんも調査チームの一員ってワケですね。
    ミカ:調査って言っても、撮影で場所をお借りするだけなんだけどね。
    ヴェローナ:それにしてもよく請けましたね。
      そんな…なんていうか、ムチャ振り?
    ミカ:今回の作品には、ドキュメンタリータッチを交えるらしいのよ。
      だから、私は役を演じるというより、
      一人の画商として、美術の知識をカメラの前で解説するだけ。
      「主人公の先輩」っていう設定があるくらいで、あとは素でいいんだって。
      そのならまぁ、なんとかなるかもなって。
    ヴェローナ:ふむふむ。
    ミカ:あとは、やっぱりギャラの部分も大きいわね。
      普通に働くより何倍も、ひょっとしたら何十倍も稼げるんだから。
      この先の事をよ~く考えたら、お金は大事だもんね。
      ね、テリー。
    テリー:えっ…
    ヴェローナ:だよね。
      そろそろそういう事も考えなくっちゃだもんね、お2人は。フヒヒ。
    ミカ:もおー、ベローナちゃんたら。
    ヴェローナ:サーセン。

     テリー回想に入る。セシルの別荘にて。

    セシル:彼女とは長いんだろ?
    テリー:はい…
    セシル:これはお前ひとりの問題じゃなく、彼女の問題でもあるんだからな。
      選択をミスったら、取り返しがつかなくなるぞ。
    テリー:…はい。

     コーヒーを入れるメグ。

    セシル:3週間後、グリーンラクーンズのホーム。
      つまり俺たちのふるさとサンセット・バレーで、対レッドフォックス戦がある。
      それが俺の引退試合になる。その場所で、また会えるといいな。
    テリー:…がんばります。
    セシル:言ったな。忘れねぇぞ。
      とにかく明日から、いや、今からでもいいから、チームに合流してやれ。
      まだ名簿には名前が残ってるんだ。お前ができる事は必ずある。
      諦めたらそこで試合終了だぞ。
    テリー:…ありがとうございます。

     別荘を出るテリー。

    テリー:コーヒーごちそうさまでした。

     デイジーが追って来る。

    デイジー:テリー君。
    テリー:デイジーさん。どうしました?
    デイジー:セシルの引退試合、
      ほんとは来週のゴールデンエッグス戦だったって、知ってるわよね?
    テリー:…はい。
    デイジー:昨日の試合のあと、無理言って、延ばしてもらったの。
      その意味、ちゃんと、分かってあげてね…
    テリー:はい…

     回想おわり。

    ヴェローナ:さてと、そいじゃぼちぼちお風呂いただいてきますね。
    ミカ:はいはい。どうぞ、ごゆっくり。

     ヴェローナ、バスルームへ。

    ミカ:…ねぇテリー。私に隠してること、あったりする?
    テリー:…。
    ミカ:やっぱりちょっと、昨日から様子がおかしいよ?
    テリー:ある…
    ミカ:えっ?
    テリー:あるよ、隠し事…
      でも、俺の中で、俺の力で、何とかしなくちゃいけない事だから、
      話せるのはもう少し先になると思う。
      それまでの間… 少しの間だけ、待っててほしい。
    ミカ:…大丈夫だと思ってていい?
    テリー:そうなるように、なんとかする。
    ミカ:…わかった。
     話せるようになったら、遠慮なんかしないで、何でも話してね…
    テリー:…ありがとう。

     場面はタマネギの住む大豪邸へ。

    タマネギ:ちくしょう!デルタ&ラムダの雌豚どもめ!
      結局セシルさんに近付けなかったじゃないか!
      それからテリー・ラビットフット!あいつもだよ全く!
      せっかくのチャンスを台無しにしやがって!

     前回登場したチェス老人がそこに現れる。

    老人:どうしたんじゃアドル。窓に向かって大きな声で。
    タマネギ:じいちゃん!お帰り!
      実はかくかくしかじかでさ、あれやこれやってワケなんだよ!
    老人:そいつはもったいない事をしたな。
      セシル・ウィルキンソンという選手は確か、もうすぐ引退のはずじゃったが。
    タマネギ:そうなんだよ!
      だからあの人がウエスターバーグを訪れるのは、これが最後かもしれないんだ!
    老人:テリー・ラビットフットのほうは、どの道この先はないじゃろう。
      「戦力外通告」を言い渡すよう、チームの方に伝えておいたからの。
    タマネギ:それホント?あいつクビなの?
    老人:あの男は肝心な時に攻めることができん。
      そんな選手などレッドフォックスには必要ない。
    タマネギ:なーんだそうなのか。ざまあみろだな。
      じゃあさじゃあさ、デルタ&ラムダの奴らは?
      退学とかにはできないの?
      あいつらいっつも僕にちょっかいかけて来るから大嫌いなんだよー。
    老人:学生のほうは無理じゃな。学ぶ権利だけは奪えん。
      いくらかわいい孫の頼みでもな。
    タマネギ:ちぇっ。
    老人:アドル。悔しかったら相手を見返せるくらいの男になれ。
     ケールシュタイン家の人間じゃろ?
    タマネギ:うん… 分かったよ。
    老人:ウィルキンソン氏の滞在はいつまでかな?
    タマネギ:確か今週いっぱいのはずだよ。
    老人:それまでに我が家のディナーに招待できないか、頼んでみようかの…
    タマネギ:ホントに?ありがとうじいちゃん!

     不穏な空気の中、場面はクロサワファミリー拠点へ。
     ヤヨイ以外は全員いる。

    ロバート:さて、今日は一日使って、
      それぞれの方法でこの街のことを調べてもらったワケだが、
      その成果を1人ずつ報告してもらおうか。
      どんなに細かいことでも教えてくれ。まずはジョンソンから。
    ジョンソン:おっといきなり俺からかい。
      えーとだな、俺は昨日に引き続き、
      街の地理を把握するために車を飛ばしてきた。
      昨日だけじゃ回りきれなかった細かい道までな。
      結論から言うと、ここまで犯罪行為に向いてねぇ造りも珍しい。
    ロバート:犯罪行為に向いてない?
    ジョンソン:俺自身が運び屋なんてモンをやってたからな。
      そっからの見方になるが…
      街の地理がホントによくできてやがる。ポイントは3点。
      まずは橋だ。4つのエリアがほぼ正方形の位置関係で並んでて、
      それぞれを繋ぐ橋同士の見通しがやたら良い。
      つまり、エリア間の移動は、最小限の見張りで把握できちまうってワケだ。
    ロバート:橋以外のルートは?
    ジョンソン:「泳いで渡る」ぐらいだな。
      2点めわ、各エリアの道路が実に分かりやすい碁盤目ってところ。
      どこ通るにしても直角にしか曲がれねーってのは、
      カーチェイス泣かせな作りだぜ。
      ま、そんなことするつもりはねーけどよ。
    ロバート:3点めわ。
    ジョンソン:警察署が街のほぼド真ん中に置かれてる。
      どこで何が起きても最短ルートで駆け付けられるような位置だ。
      加えて、どうも各エリアに均等にお巡りを散らしてるクセェんだよな。
      それらしい顔つきのヤツをところどころで確認できた。
      要するにだな、逃げにくく、追いやすいんだ。この街は。
      橋を押さえちまえばどのエリアでも袋小路にできちまう。
      自信満々に刑務所を構えてるのも頷けるぜ。
    ロバート:たとえ脱獄しても逃げ場がねぇって事か。
    ジョンソン:そんな感じだ。
    ディアマンテ:刑務所の話が出たから、私イイかしら?
    ロバート:んじゃ次はディアマンテ。
    ディアマンテ:ちょうど街の施設について調べてたの。
      ウエスターバーグ刑務所ができたのは、今から40年前。
      国内では比較的新しいほうね。
      もともと「治安が良い」とされる街に建設したのだから、
      反対運動の1つや2つ起きてるかと思ったけど、記録には無し。
      もっと調べてみたら、どうやらケールシュタイン家の息がかかってるみたい。
    ロバート:ケールシュタイン家ってのは?
    ディアマンテ:この街の事実上の支配者よ。ずっと昔からのね。
      莫大な資産と統治力によって、ウエスターバーグを陰で操っている。
      刑務所のみならず、他の主要施設も、
      ほぼ完全にこのケールシュタイン家の所有物だと思っていいわ。
      いわゆる親玉ってやつね。悪の、でないところがポイントだけど。
    ロバート:善良な面もあるって事か。
    ディアマンテ:むしろその側面のほうが遥かに目立ってる。
      住民の満足度は大きいみたいよ。経済面でも生活面でも、相当に。
      理想のリーダーだと思われてるんじゃない?
    ロバート:それで?
    ディアマンテ:最初の話に戻るんだけど、
      ダイゴの釈放に許可を出した、ウエスターバーグ刑務所の所長さん、
      この人もよーく調べてみたら、ケールシュタイン家出身の人間なのよね。
      これって怪しいと思わない?
    ロバート:警戒する価値は大いにありそうだ。
      最悪の場合、この街の支配者ともやりあう事になりかねねーと。
      こっちももうちょい戦力増強しとかねぇとマズいかもな。
    ジョンソン:この件から手を引くって選択肢は?
    ロバート:ダイゴの事は俺の親父の代から引っ張ってる問題だ。
      つまりクロサワファミリー全体の問題でもある。
      そっから手を引くって事が何を意味するか、想像できるよな?
    ジョンソン:へいへい、新入りは黙っときますよ。
    ロバート:報告を続けよう。
      ウルフ…はずっとこの拠点の護衛やってたからいっか。
      ショコラたちはどうだ?
    ショコラ:しょこらたんはご覧のよーにカメラ設置してきましたお!
      ジョンジョンが言うように死角のギザ少ない街だから、
      設置台数は予定よりもグッと抑えられたお!
    ジョンソン:俺ジョンジョンなのか…
    ショコラ:一方でモモタスには聞き込みをしてきてもらいまんた!
      対象は街じゅうの動物たちね!
      そんでちゃんと迷わずに帰ってきたよ!すごかりし!
      役に立つかどうかは別としてすんごい気になった情報が1コあって、
      なにやら最近、街の西にある森の様子がおかしいらしいお。
    ロバート:西の森?
    ジョンソン:立ち入り制限区域だとかで許可の無い進入はできねぇ場所だ。
      つうか動物に聞き込みって、そりゃマジか?
    ディアマンテ:ショコラの飼い猫モモタスは、
      人間の言葉を理解し、文字を読むことができる。
      その知識量はちょっとした学者にも匹敵するほどよ。
      もちろん他の動物との会話もできる。
    ショコラ:そんなギザ賢いモモタスとおハナシができて、
      情報を引き出すことができるのはしょこらたんだけなんだお!
    ディアマンテ:情報戦においてはなかなか強力な武器だと思わない?
    ジョンソン:突拍子もねぇ、おとぎ話みてぇだが。
      ま、ボスが信じてるんなら、マジなんだろうな。
    ロバート:ショコラ。西の森の話を、もう少し詳しく。
    ショコラ:ああそうだったお。
      あのね、森の近くに住んでた動物たちが、
      一斉に他のエリアに移り住み始めてるんだって。
      なんかすごく変わった「音」と「匂い」がし始めてるらしいのね。
      人間にはほとんど分からないものみたいなんだけど。
    ロバート:「音」と「匂い」か。
    ショコラ:たぶんだけど、音は超音波的なもので、
      匂いは何かの植物かもって話。
      これまで森には存在してなかった草か花、
      それに仄かに血の匂いも混じってるらしいお。
    ディアマンテ:西の森、地元住民には「アルセイドの森」と呼ばれてるみたいね。
      案の定というか何というか、ケールシュタイン家の所有地だわ。
    ロバート:なるほどな…なるほど。

     モニターに流れる街のあちこちの風景。

    ロバート:よし分かった。
      ディアマンテ、お前はこれからケールシュタイン家に狙いを絞って調査を続けてくれ。
      ショコラは監視カメラのモニター体制に移り、
      並行してモモタスと、例の森の件を追跡調査。
      ウルフは動き回るのを控えて拠点の護衛に徹してくれ。
      そのぶん足を使うのはジョンソン、お前の役割だ。
      ダイゴの仮住まいはすでにヤヨイが特定しているが、
      瞬間移動持ちの「笑顔」が奴と早々にコンタクトを取ったらしい。
      あの女は自分の体に触れている者も一緒に運ぶことができる。
      今後ダイゴがどこへ動くか、現状では予測が難しい。
      もっとヒントを集めろ。
      奴の狙いを。奴らの狙いを。そこに伴う関係性を。
      そのためにどんな行動を取るのかを。
      こいつは一手や二手で決まる単純な勝負じゃない。
      読める限りの先を読みながら、慎重に駒を進めていくんだ。

     報告が終わり、外へタバコを吸いに出るジョンソン。

    ジョンソン:「足を使う」か…とことん忙しくなりそうだねぇ…ん?

     その視線の先にシーガルがいる。

    ジョンソン:なんだアイツ。あんなところでボサーッとして。
      ホームレスかなんかか?
      まーいっか、さてと、クソして寝るか。

     おわり。
     …と、思いきや。


    ヴェローナ・ストライプスのちょっとした大冒険 #03.5



     一瞬巻き戻って。

    ジョンソン:なんだアイツ。あんなところでボサーッとして。
      ホームレスかなんかか?
      まーいっか、さてと、クソして寝るか。

     ジョンソン、拠点に戻る。
     ロバートとディアマンテがまだ元の場所に留まっている。

    ジョンソン:おやおや、お2人とも頑張りますねぇ。
      少しは休まれたほうがいいんじゃないですかい?
    ロバート:そうかもな。だがその前にジョンソン、さっきの話について、
      もう一度確認したい事があるんだが、いいか?
    ジョンソン:ああ、構わねーよ。
    ロバート:エリア間の移動は「橋だけ」だって言ってたよな?
    ジョンソン:ああ、言ったねェ。
    ロバート:そんじゃさ、この拠点の表にある、これは何だ?

     映像は拠点の表にある地下鉄の入り口を指す。

    ジョンソン:地下鉄の入り口ですねェ。

     間。

    ジョンソン:…うん、分かるよ。言いたい事は分かる。痛いほど分かる。
    ディアマンテ:この地下鉄でエリアをまたいで出勤してる人もいるみたいね。
    ロバート:どういう事か、聞かせてもらおうか。
    ジョンソン:うーんとその、なんだ。アレだ。
      いわゆる「うp主の手違い」ってやつだな。
    ロバート:なんだそりゃ。
    ジョンソン:あるんだよそういうのが、ごく稀に。
      いや、しょっちゅうかもしれねーけどよ。
    ディアマンテ:まぁ、駅の数はそんなに多くないし、
      監視カメラのハッキングも済ませたから、現状、問題は無いけどね。
    ロバート:それでもミスはミスだ。
      ジョンソン。お前、向こう一週間「拠点でのメシ抜き」な。
      食いたきゃ外で、自腹で食ってこい。
    ジョンソン:えぇぇーマジかい…
      コハル姐さんのメシが食えねーのは痛ェなぁ…
    ディアマンテ:働かざるもの食うべからずってやつね。

     そのやりとりを聴いている別働隊ヤヨイの姿。

    ヤヨイ:(コハルの手料理、食べたいなぁ…)

     本当におわり。


    <各回リンク>
    #01『Greetings To You』
    #02『Encounter And Encounter』
    #03『To Be Or Not To Be』(この記事)
    #04『Flux Of Time』
    #05『Calm Before The Storm』
    #06『Run Verona Run』
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