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uezel(ウィゼル)さん のコメント

今度は言いくるめ技能と剣技(こうげき)だけでなく、本物の魔法(呪文)も主人公が使えるようになるといいかもしれませんね。

勇者がいて、ヒロインがいて、仲間と魔王がいて、
王道なのかそうではないのかわからなくなってきましたが、泣けました。

色々盛り込めそうですね!これからの発展を楽しみにしております!
No.20
110ヶ月前
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1章 ここは出会いと別れの酒場よ (第1回へ) 2章 いったい何を言えばいいの (第2回へ) 3章 やればできる (第4回へ) 4章 人の心はダンジョンなのさ (第11回へ) 5章 震えているのはあなたのせいだ (第15回へ) 6章 あの木の下まで競争な (第21回へ) 7章 ここで立ち止まるわけにはいかない (第23回へ) 8章 あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね (第28回へ) 9章 ゆうきのだいいっぽ (第32回へ) 原作となるアプリは こちら (iPhone、Androidに対応しております) http://syupro-dx.jp/apps/index.html?app=dobunezumi  ドレアさんとこそこそ話をしている間もマオはずっとうつむいており、変な具合に二人っきりにされてしまったせいで、ふわふわした居心地の悪い空気が漂っていた。もう戦闘は終わったというのに、僕の頭の中はまたこんがらがりはじめ、落ち着きなくあたりを見回し、たまにマオを見てはまた目線を外し、獅子舞を踊りそうになったがそれだけは阻止し、ひとりで何かと戦っていた。  し、し、ししししし下に、や、やけ、夜景の綺麗なレストランがあるんだけど?  言いたい。言った方がいいよな。でも。ああ。言えない。なんだこれ。な、な、な、なんですかこの状況。言いたい放題言って、ひっかき回すだけひっかき回して楽しそうに去っていった大人の女性、ドレアさんがうらやましくもあり憎らしくもある。僕も早く大人になりたい。だけど、まだ遠そうだ。大人への道はかくも険しいものなのだ。  一緒に夜景を見ませんか?  違うか。もっと大人っぽく。  シャルウィ、レストラン?  違うこれ直訳すると「レストランしませんか」になっちゃう。レストランするって何だ。また新しい言葉を作ってしまった。どうする。どうする。どうする。  気まずい沈黙が、あたりを包み込む。  緊張して何もしゃべれない。氷や溶岩や砂漠を乗り越えて汗をかいて、何度も死んで薄汚れて、髪はぼさぼさ、手は泥だらけ。そして目の前には、初恋の人。  これが落ち着いていられるわけがない。けれども獅子舞だけは踊るわけにはいかない。  僕が次の一言に困っていると、先にマオが、重い口を開いた。 「ケガ …… してる」  え?  僕の体には、切り傷や擦り傷、打ち身や打撲のあとが無数にあった。  幾多の戦いをくぐり抜けてきたから。いつの間にかたくさんのケガをしていた。 「見せて。ここに座って」  マオに促されるままに僕は木の下に座った。  そしてマオは、ガーゼとテープと消毒液を出して、僕の傷の手当をはじめた。  十年前の思い出と重なり、僕は、あたたかな気持ちになった。 「似てるよね、この階」  え? 「私たちが、昔よく一緒にいた …… あの草原に似てるよね」  え。あ。うん。 「ドレアさんがね。変に気をきかせてくれて。こんなふうにしたんだよ」 「おかげで、思い出したくないことも、いっぱい思い出しちゃった」  思い出したくないこと? 「この木の下で。たくさん、ひどいこと言っちゃったなって」  僕は胸がずきんとした。 「本当は、あんなこと言いたくなかったのに。あんなことしか言えなくて。私、なんてダメなんだろうって。もっと他に、方法はいっぱいあったはずなのに。私はあれしかできなくて」  手当をするマオの目には、涙が浮かんでいた。 「でも、私が悪いんだもんね。あなたはきっと、私なんかよりもっとつらかったよね」 「本当に …… ごめんなさい」  もういいんだ。もう、いいんだよ。  僕は何度も、首を横に振った。 「ねえ。ずっとここにいようよ」  不意に、マオがそう言った。 「どうしても …… 行かないといけないの?」  僕は、目線をそらして考え込んだ。 「さっきは一緒についてってあげるって言ったけど。私 …… 本当はこわいんだ」 「あなたも、私も、もしかしたら旅の途中で …… しんじゃうかもしれない」 「もう、はなればなれは、やだよ …… 」  胸の中を、ぎゅうっと絞られているような。そんな気分だった。 「だから。私たちが生まれたこの街で、ずっと。一緒にいることは、できないのかな …… 」  伏し目がちに言うマオに、僕は、なんて言っていいか、迷った。  こんな事を言ったらマオは、残念に思うかもしれない。  でも。僕は。  僕の気持ちは、決まっていた。  ゆうしゃの じゅもん! じゃなくて。  僕の言葉で。僕自身の言葉で。強く。  マオに「すきだ」と言った時と同じように。断固たる決意で、言った。 「魔王がよみがえったから、僕が、倒すんだ」 「僕の家は勇者の家系だから、父さんが魔王を倒したみたいに、今度は僕が、倒すんだ」  それを聞いて、マオは、にっこり笑って言った。 「 …… やっぱり、変わってないね」  笑顔だった。笑顔だったけど。マオの目から、涙がこぼれ落ちた。  僕が変わっていないことを喜んでいるのか。  それとも。  確かな勇気を手に入れた僕の目をまっすぐ見据えて。マオが、何かを決心したように。  ゆっくりと。か細い声で、話し始めた。 「あのね。えっと …… あのね …… 」  もじもじしながら、頬を真っ赤に染めて。  途切れ途切れに、こう、言ったんだ。 「あなたって、よく見ると、ほんのすこしだけ、かっこいいかも …… 」         おもえば ながい みちのりだった。    いくたびも ぞうちくをくりかえし  いまや きょだいな タワーとなった  さかばのうえで ゆうしゃは おもう。    こんなに いろいろ あったのに  まちのそとには まだ  いっぽも でていない!     かずかずの であいが あり  トラウマも みごと のりこえたが  まだ なかまを あつめたにすぎない。    ゆうしゃの ほんとうの たたかいは  これから はじまるのだ! さいごまで およみいただき ありがとうございます。 よろしければ かんそうを おきかせください。
SYUPRO-DXマガジン
【シュウプロデラックス】浜中、横田、入間川からなる3人組のアプリデベロッパー。天井にめり込んでジャンピング土下座を決める鋼鉄の肉体を持つ男、パイルドライバーを失敗すると引退しようとするベテランレスラーなど、向こう側の世界観を模索するバカゲーアプリの開発から活動をスタートし、処女作「THE・土下座」がゲーム総合1位を獲得。「あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね」はカジュアルRPGながら小説の書籍化、マンガ化などメディアミックスもされている。シナリオやアプリで使用される楽曲が多くのプレイヤーに支持され、どこか懐かしく心に刺さるドット絵のカジュアルRPGの制作に日々奮闘している。