夢の話
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夢の話

2013-01-24 20:51
    例えばの話をしよう。



    例えばこういう家族があったとする。
    お互いに28歳のときに結婚。夫婦仲はとても良好で、子供は一姫二太郎。その子供も品行方正才色兼備。



    例えばこういう家族があったとする。
    夫婦仲は良好。やがて一人の娘が生まれた。そして、生まれたと同時期に父が死亡。
    母は経済的理由から別の男性と再婚するが間もなく死亡。その男性は別の女性と再婚。

    連れ子の連れ子の娘は、とてもいい子に育った。



    例えばこういう家族があったとする。
    父と母の歳の差は、20歳以上。4人兄妹の一番上である長男はそのことが小さい頃とても疑問だった。
    そしてその疑問はある日突然解けた。15歳。母方の祖母の法事の日であった。

    『お前は援助交際の果てに生まれた、望まれない子供。』

    そんなことを、大叔母に言われた長男は、こう返した。

    『本当は知ってたよ』

    知っていた。知らなかったフリを、知らなかったことにしただけだった。

    もちろん、父母にめんと向かってお前はいらない子だったのだなどと言われたことがあったわけではない。
    同級生たちの親に比べてお母さんが若いことは、ちょっとしたアドバンテージではあった。
    同級生たちの親に比べてお父さんが老けているのも、ちょっとしたアドバンテージではあった。
    だけどもやっぱり、気にはなった。
    直接聞くような、聞くことが出来るような子供ではなかった長男は、知識を蓄え、そしてその事実に気づいた。
    長男は気付かなかったフリをして、気付かなかったフリをしていることを忘れたことにした。

    そしてまた聞かなかったフリをして、聞かなかったフリをしていることを忘れることにした。




    例えばこういう家族があったとする。
    お互いに28歳のときに結婚。夫婦仲はとても良好で、子供は一姫二太郎。その子供も品行方正才色兼備。
    だが、長女の13歳の誕生日に大地震が起こり、一家は離散。
    父は死亡。母は寝たきりに。長男は行方不明。
    13歳になった長女と4歳の次男だけが、残った。



    例えばこういう家族があったとする。
    父と母は困っていた。連れ子の連れ子である娘の存在を、困っていた。
    夫婦仲は、冷めていた。
    娘はいい子だった。
    娘は自殺した。



    例えばこういう家族があったとする。
    長男が軽犯罪を犯した。
    そのことを知った父母は怒り、悲しみ、悔やんだ。
    長男はそれから家に引きこもり、次男や三男が家を出てからも、長女が何を言ってもずっと引きこもっていた。
    そのことが関係あるかは定かで無いが、父、母は、それぞれ大病を患った。
    幸いにして、もしくは不幸だったのか、父母は生き残った。
    それぞれ後遺症を残して。
    引きこもりの長男は、安心して引きこもり続けた。



    例えばこういう家族があったとして。
    一番愚かで間抜けで可哀想なのは誰だろうか。

    13歳の誕生日に最低のプレゼントをもらった女の子は。
    可哀想ではあるが、間抜けではない。

    血の繋がりの無い親のために命を絶った優等生は。
    間抜けではあるが、愚かではない。

    自分の存在意義を見いだせず閉じこもる男は。
    愚かではあるが、可哀想ではない。

    でも確かに、一番愚かで間抜けで可哀想なヤツは居るのだ。



    例えば、これを真面目に最後まで読んだやつとか。

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