第6話 人修羅一行 戦闘する
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第6話 人修羅一行 戦闘する

2017-11-04 01:38
    あらすじ

    シンがのんびり命蓮寺で過ごしている裏で、
    幻想郷の大いなる危機に対して、会合が始まろうとしていた。
    幻想郷がどんな思いで創られたのか。どんな脅威が迫っているのか。
    それぞれ理解した霧雨魔理沙と、友人の博麗霊夢は、
    八雲藍に導かれ、会合に臨むのだった。

    第6話 人修羅一行 戦闘する

    『伏ろわぬ神々』の復活に緊張感が走る幻想郷。
    そんな切迫した事態と裏腹に、シン一行はのんびりと人里へ向かっていた。

    天子「いやー、なんだかんだ、アンタ達といると退屈しなくていいわね~」
    ガラ「それってお宝が見れるから?天子さんもお宝が好きなの?」
    天子「アンタ達の言うお宝には興味ないわ。むしろアンタたち自体が面白いのよ」
    シン「そんなに面白いものじゃないと思うけど……」
    天子「自覚がないってのも面白い所なのよね。
    お宝に夢中になると周りが見えなくなったり、何も意識せずに女を口説いてみたり」
    ピク「全く、全然、これっぽっちも、面白くないわ」

    相変わらずピクシーは機嫌が悪い。

    シン「ピクシー……怖いからこっち見ないで……」
    天子「ま、私は随分と楽しませてもらってるってことよ」

    そんなことは意に介さず天子は話を続ける。

    シン「特別なことしてるわけじゃないし、ボクたちは別に構わないけどね」
    ピク「ていうか、アンタ毎日来てるわよね。そんなに暇なの?」
    天子「そんなに暇なのよ。
    まったく、天界は毎日毎日同じことの繰り返しで……
    あんなの生きてるって言わないわね」

    やはりこの世界の天界はシンの知る天界とは違うようだ。
    同じことの繰り返しで生きてるって言わない、
    というところだけは共通だが。

    シン「平和なところなんだね。いいことじゃないか」
    天子「平和を通り越して苦痛なのよ。
    今日と同じ明日が延々と続くのよ?拷問みたいなものよ」
    シン「まあ、普通の感覚だったらそうなるよねぇ……」

    天子「ま、天界のいいところと言えば、桃がおいしいくらいね」
    ガラ「へぇ。天界の人たちは桃を育ててるの?農家さん?」
    天子「違うわよ。
    その辺に勝手に桃の木が生えてるから、気が向いたら食べるだけよ」
    ピク「そんなテキトーな感じの桃が本当においしいわけ?」
    天子「美味しいわ。食べてみる?ハイ」

    そういって天子は帽子にくっついていた桃を手渡す。

    ピク「アンタの頭のソレ、本物だったのね……」
    ガラ「わーい!いただきます!……おおっ!?うまいっ!」
    シン「ホントだ。これは美味しいね」
    ピク「あら、本当に美味しいわ。
    ティターニア姐さんに持って行ってあげようかしら?」
    天子「でしょ?天界に住んでていいことって
    これが食べられるくらいかしらね」

    シン「へえ。でも天界に少し興味あるな。今度みんなでいってみようか?」
    ガラ「いいね~!お宝も何か見つかるかも!」
    天子「来るのは構わないけど、本当に何にもないから覚悟しときなさいよね」
    シン「ハハハ、楽しみにしてるよ……!?」
    天子「ん?どうしたのよ」

    いきなりシンの足が止まった。
    表情も心なしか固くなる。

    シン「……」
    天子「な、何よ?だんまり決め込んじゃって」
    シン「……ああ、ゴメンゴメン。
    そういえば今日他に用事があったの思い出してさ。
    悪いけど、この辺で解散でもいい?」

    今のシンの言葉には、逆らえない威圧感のようなものを感じる。
    態度はいつもと変わらなく思えるのに、なんだというのだろう……

    天子はシンの変化に戸惑う。

    天子「なんなのよ急に……何の用事なのよ」
    シン「ホントにごめんよ。天子は今日のところは天界まで帰ってくれ」
    天子「な、何よ。……なんだかしらないけど、わかったわよ。
    それじゃまた明日ね」
    シン「ああ。それじゃまた明日」
    ガラ「ばいばーい」

    天子は納得いかない様子で、空を飛び去っていった。

    シン「さて……」
    ガラ「シン君、今日何かほかに用事があったんだね。何の用事なの?」
    ピク「どうも、ついさっきできた用事みたいよ?でしょ?シン」
    シン「ああ」

    シンは一言そういうと、街道を外れて森の中へ入っていく。

    ガラ「あ、待ってよ~」

    人修羅移動中……

    シン「どうやらここからみたいだな」
    ガラ「わ~。こんなところに洞窟があったなんて!シン君知ってたんだ」
    シン「知ってたわけじゃないさ」
    ガラ「?なら何で迷わずにここに来れたの?」

    ピク「さっき街道を歩いてた時にね、ほんの一瞬だけど、すごい殺気がしたのよ」
    ガラ「ええっ!?」
    シン「どうやらボクだけに絞って放った殺気だったみたいだ。
    だからガラクタ君も比那名居さんも気づかなかったんだろうな」
    ピク「アタシは気づいたわよ~」
    シン「ピクシーは踏んでる場数が違うからね……と、お出ましみたいだ」

    会話をしながら洞窟の奥へ進んでいると、人面の大蛇が姿を現した。
    髪を両耳の傍で結っており、古墳時代、奈良時代の日本人を彷彿とさせる。

    唯の妖怪というにはあまりにも巨大なその体、
    そして漂う魔力から分かる圧倒的なチカラ。

    シンを呼んだのがこの悪魔だというのは間違いないだろう。

    ??「来たか……異分子よ……」
    シン「なんだキサマは。初めて見る顔だな」
    ??「先ほどの『雄叫び』……貴様の仕業だな……?」
    シン「?……そうだが、それがどうした?」
    ??「あれほどの魔力を軽々と放つとは、やはり捨ておけん……」
    ??「貴様等は我らの邪魔になる……悪いが排除させてもらおう……」

    シン「……まともに話をする気はないようだな。それなら詳しい仲魔に聞くだけだ」
    シン「----召喚『タケミカヅチ』」

    シンが悪魔の名を呼ぶと、稲光と共に鬼神が現れた。

    出雲の国譲りで活躍した天津神、タケミカヅチ。
    彼をシンが召喚した理由は二つ。

    一つには、
    彼も敵と同じような髪形をしているので、何か知っているだろうと考えたから。

    そしてもう一つは、
    戦闘における彼のチカラが、信用できるものだからだ。

    なにせ天津神の中でも1,2を争う武闘派悪魔である。

    タケ「おーす!シン、久しぶりだな!」
    シン「久しぶり。タケミカヅチ。
    来てもらって早々悪いが、アイツが何者か教えてくれないか?
    同じ日本神話の神のようだし、知っていないか?」

    タケ「どれどれ……うおっ!!オオナムチ!!なぜコイツが!?」
    シン「オオナムチ……初めて聞く名だ」

    タケミカヅチがこんなに驚くとは。
    やはりあの悪魔、ただものではないらしい。

    タケ「シン、お前オオクニヌシ仲魔にしてるだろ?
    コイツはオオクニヌシの荒魂(アラミタマ)の化身だ!」

    ガラ「オオクニヌシさんが御霊合体すると蛇になるってこと?」
    タケ「違う!ボケてる場合じゃねぇ!」

    タケ「オオクニヌシは国津神の最高神だが、
    てっぺんとるまでに、血で血を洗う争いを勝ち残ってきたんだ!」

    タケ「シンの仲魔のオオクニヌシは理性的で厳格な一面を体現しているが、
    このオオナムチは荒々しく、目的のためなら手段を選ばん獰猛な一面を体現している!」

    ガラ「つまり……!どういうこと?」
    タケ「オオクニヌシの、一番尖ってて最強な時期の姿ってことだ!」

    ……そういうことか。
    魔力がやけに禍々しいと思ったが、そういう悪魔なら納得だ。
    シンは気を引き締める。

    シン「……成程ね」

    オオ「貴様……!まさか建御雷!!貴様だけは許さぬ……!!」
    タケ「あー、やっぱりそうなるよな……!
    俺ほどアイツに詳しい悪魔はいねぇ!俺を呼んだのは正解だ」

    シン「それはツいていたな」
    タケ「しかしお前……なんか知らんがチカラを封印されてるな!?
    ちょっとマズいぞ!」
    シン「?」

    タケ「こいつはお前の知ってるオオクニヌシの数倍つええ!
    恐らく今の封印されたお前よりも強いぞ!」
    シン「構わない。格上との戦闘なら何度も行ってきた」
    タケ「だったらわかるな!気ィ抜くなよ!」
    シン「当然。無駄死には御免だ」

    そう言うとシンはマガタマ「カイラース」を飲み込む。
    属性攻撃への耐性は普通だが、破魔呪殺耐性と身体能力全般の底上げが魅力。

    まさにカイラース山のような不動の安定感。
    初見の相手と一戦構えるには、非常に頼りになるマガタマだ。

    オオ「異分子……!建御雷……!骨も残さず喰ろうてやるわ……!!」


    ・・・・・・


    …所変わって、少し前の天界…


    天子「……」
    永江「どうされたのですか?総領娘様。
    帰ってきてから心ここにあらず、といった感じですが」
    天子「……やっぱりおかしいわ」
    永江「?なにがです?」

    天子「私が毎日外来人のところに遊びに行ってるのは知ってるでしょ?」
    永江「ええ。詮索するなとおっしゃるので、それ以上は全く知りませんが」
    天子「今日そいつがね。なんか妙な態度だったのよね」

    永江「妙な態度?」

    天子「普段は「好きにしていいよー」とか「やりたいようにやっていいよー」とか、
    こっちに合わせてくれるのにさ。
    今日別れるときに、「もう帰れ」なんていうのよ」

    永江「もう帰れ、ですか」

    天子「そう。
    いつもなら私が飽きて帰るまで、いつでもいてもいい、みたいな感じなのに。
    今日は私に帰ってほしいみたいだったわ」

    永江「何か用事でもあったのでは?」

    天子「本人もそう言ってたけど、
    1週間一緒にいて、何か用事を作るような動きはしてなかったのよね……」

    天子「どうにも嘘っぽいのよねえ。普段はそんなこと言うやつじゃないのに……」

    天子はシンと別れるときの不信感をぬぐい切れずにいた。

    一週間も一緒にいれば、相手がどんな奴かくらいはなんとなくわかる。
    天子の直感では、シンは何か隠してはいるが、いい奴だ、という評価だった。
    そのシンが、急に突き放すような態度をとったのが、腑に落ちない。

    永江「もしや……何か怒らせるようなことをしてしまったのでは?」
    天子「アンタ私をどんな目で見てんのよ……」
    永江「せっかくできたお友達なんですから、早く仲直りしないと」
    天子「だから違うっての!怒らせるようなことなんて言ってないから!」
    永江「総領娘様は無意識で神経を逆なでることがありますから……」
    天子「ああもう、面倒くさいわね……」

    天子「……よし!決めた!今からもっかいアイツのところに行ってみるわ」
    永江「ええ!?今からですか!?
    こんな遅い時間にお邪魔するなんて、お止めください!」
    天子「そんなこと気にする奴じゃないわよ。それじゃ、行ってくるわー」

    そう言うと天子は、衣玖の制止も聞かずに飛んで行ってしまった。

    永江「ああ……大丈夫でしょうか……
    総領娘様がお友達に嫌われなければよいのですが……」

    ……実際シンには予定などなかった。
    なのにウソをついて天子を遠ざけた理由の一つは、戦いに巻き込みたくなかったから。

    そしてもう一つの理由は……

    ・・・・・・

    タケ「ーーー『ショックウェーブ』!!」
    オオ「ーーー『マハジオダイン』」

    2体の悪魔が放つ特大の雷は、
    洞窟内を照らしながら激しく炸裂し、相殺された!

    タケ「ウソだろ!?オレの雷と同じ威力かよ!笑えねぇ!」
    オオ「建御雷……!貴様は許さぬ……!」
    シン「真下がガラ空きだ」
    オオ「!?」

    タケミカヅチに気をとられたオオナムチ。
    シンはその隙を逃さず、死角である顎の下から奇襲をかける!

    シン「ーーー『死亡遊戯』」
    オオ「ヌッ!オオッ!」

    急所に攻撃が入り、オオナムチに隙ができる!

    ピク「ナイスよシン! ーーー『メギドラオン』!」
    オオ「ガッ!アアッ!」

    そこをすかさずピクシーの追撃!
    ほとばしる魔力を核熱に変えた一撃が、オオナムチの顔面を直撃する!

    オオ「……」
    ガラ「倒した!?」
    タケ「……いや、まだだ!」
    オオ「なかなかやるが……温いわ ーーー『ディアラハン』」

    3体の悪魔が与えた衝撃は、
    並の妖怪なら影も形も残さないほどのダメージだった。

    しかしオオナムチはそれを捌き、耐え、悠々と回復してみせる!

    シン「厄介だな」
    ピク「どーすんの!?こいつホントに強いわよ!?」

    タケ「いくらオオナムチが強いったって、ここまで強いのはおかしいぜ!?
    これじゃ天津神が束になって戦っても敵うかわからん!」

    オオ「……我らは数百年の長きにわたり……恨みと怒りを増幅させてきた……」
    オオ「貯え続けた魔力の爆発……一身に受け、砕け散るがいい……!」

    オオナムチはそういうと、『気合い』を溜め始めた!
    そして間髪入れずに……

    オオ「消し飛べ……! ーーー『八相発破』!!」

    ズガガガッ!!!

    タケ「マズいッ!!」
    ピク「うっ……くっ!!」
    シン「……!!」

    隕石でも落ちたかのような轟音と衝撃!
    まるで目に見えるかのごとき強烈な衝撃波に、シン一同は吹き飛ばされた!

    辺り一面の景色はガラリと変わり、
    大小様々な岩石で埋め尽くされていた空間は、見通しの良い更地へと変貌していた。

    シン「……ピクシー!」
    ピク「……ケホッ……わかってるわ ーーー『メディアラハン』」
    タケ「クソッ!ギリギリセーフってところだな……」

    余りにも強烈な攻撃。3人とも運よく生き残ったが、
    全員『食いしばり』ながら攻撃を耐えるほどギリギリだった。

    次にあれが飛んでくれば、全滅は必至だろう。

    シン「タケミカヅチ。アイツの弱点は?」
    タケ「弱点はねぇ!そこはオオクニヌシと同じだ!」
    シン「そんなに甘くないか」
    ピク「それじゃ畳みかけるしかないわね!行くわよ!」
    タケ「それしかねぇな!」

    言うが早いか、ピクシーとタケミカヅチはオオナムチの方へ向かい、攻撃を始めた!

    ピク「ーーー『メギドラオン』!」
    タケ「ーーー『暗夜剣』!」
    オオ「……グフッ!……なんと苛烈な攻めであろう!……しかし!」

    息もつかせぬ連撃に、オオナムチは体勢を崩すが……

    オオ「ーーー『ディアラハン』」
    タケ「!?……またか!?」
    ピク「ちょっと!キリがないじゃない!」

    またもや体力を回復される。
    一気に畳みかけるには、転機が必要だ……

    オオ「無駄な行為だ……!今度こそ、終わらせようぞ……!!」
    タケ「クソッ!来るぞ!」

    オオナムチは再度『気合い』をため、渾身の一撃を放つ!!

    オオ「ーーー『八相発破』!!」

    ズガガガッ!!!

    オオナムチの放つ『八相発破』にシン一同はまたもや吹き飛ばされる!

    ……はずだった

    オオ「な……!?何……が……!?グフッ……」

    しかし地に臥していたのはシン一同ではなく、オオナムチだった

    オオ「キ、貴様等……!一体……何を……!?」

    シン「お前は3対1のつもりだっただろうが、実際は4対1だったということだ」

    オオ「……!?何を……言っている!?」

    ピク「アンタらみたいな偉そうな奴は、足元をすくわれるってことよ」

    ピクシーの視線の先では、
    ガラクタ集めマネカタが鏡のような道具を持って立っていた。
    オオナムチも遅ればせながらそれに気づく。

    オオ「貴様……!何をした……!?」
    ガラ「『物反鏡』だよ!これでさっきの攻撃を反射したんだ~」
    オオ「反射……だと!?……バカな!」

    シン「ということで、キサマの負けだ。何か言い残すことはあるか?」

    オオ「……クソッ!……口惜しや……口惜しや……
    チカラをもって他者を支配する者どもよ……永遠に呪われるがいい……!!」

    シン「ボクはそんなことしないし、もう呪われてるけどね。それじゃ今楽にしてやる」

    シンはそう言うと、右足に魔力を集中させる。

    シン「……安らかに眠るといい ーーー『ジャベリンレイン』」

    上段の回転蹴りとともに、無数の光線がオオナムチの全身をくまなく貫く。
    無数に空いた穴からは、血液が噴水のごとく吹き出し、辺りを血の海に変えた。

    タケ「おおい!やったな!シン!」
    ピク「ガラクタ君、今回はいい仕事してくれたわね~」
    ガラ「タケミカヅチさんとピクシーがチャンスを作ってくれたおかげだよ!」
    シン「ガラクタ君は道具を使わせたらピカイチだからね。
    ボクよりもいいタイミングで道具を使ってくれる」
    ガラ「道具の事だったら任せてよ!」

    ピク「あーあ、それにしても汚れちゃったわね。全身血だらけ」
    タケ「シンがシメにあんな攻撃使うからだぞ。すっぱり首だけ落としゃよかったんだ」
    シン「ハハハ。一番確実にとどめを刺せそうなのがあの攻撃だったんだ。大目に見てよ」

    強敵を倒して一安心し、談笑をかわすシン一行。
    久々の戦闘だったこともあり、無事に勝利できたのは幸いだった。

    ……そこに一人の人影が現れる。

    ??「ちょっと……何なのよ……コレ……?」

    シン「!?」
    ピク「まさか、その声!?」
    ガラ「天子さん!?」

    天子「何よコレ……?いったい何がどうなってるの……?」

    ピク「アンタ、帰ったはずじゃ……」
    シン「天子……これは……その……」

    天子「イヤッ!近寄らないでっ!!」
    シン「……!!」
    天子「化け物……アンタたちみんな化け物よっ!!」
    シン「……ッ!」

    天子は半ば錯乱しながら、目に涙を浮かべて走り去ってしまった……

    シン「天子……」
    ピク「……見られたくないもの、見られちゃったわね」
    シン「……」

    ……シンが天子を帰らせた一番の理由。

    ……それは、自分が戦っている姿を見られたくなかったから。

    ガラ「シン君……」

    タケ「あ―……シンよ、事情はよく分からねえが、あんまり気にすんなよ。
    お前がやったことは間違っちゃいねぇ。
    俺達でオオナムチを倒さなきゃ、何万人犠牲になってたかわかんねえ。
    そうだろ?」

    シン「……ああ、ありがとう。タケミカヅチ」

    タケ「それじゃ俺は帰るぜ。……ピクシー、後は頼んだ」
    ピク「……ええ。お疲れ様。タケミカヅチ」
    ガラ「あっ、今日はありがとうございました」
    タケ「おう。また会おうぜ」

    そう言うと、タケミカヅチは稲光と共に消え去っていった。

    ピク「……さ、私たちも行きましょ」
    シン「……ああ、そうだね」

    ガラ「まずは服を洗わないとね」
    ピク「そうそう!きれいな心は衣服からっていうじゃない?
    今日は洗濯して、ぐっすり寝ちゃいましょ!」
    ガラ「色々あった一日だから熟睡できそうだね~」
    シン「……ハハ、そうだね。ぐっすり寝られそうだ」
    ピク「ここに来る途中に川があったから、そこでお清めしないとね!
    ホラ!日が暮れる前に行くわよ!」

    そう言うとピクシーはシンの手を引っ張り、洞窟の出口へと向かう。

    シンはいつも通りを装っているが、ショックを受けていることは明白だった。
    せっかくできた新しい友人だったのに、こんな姿を見られてしまっては……

    シン「……こらこら、ピクシー。引っ張らないでよ」

    ピク「(本当に辛いでしょうけど、諦めないでよね……
    私達仲魔はみんな、シンの事応援してるんだから……!)」

    つづく



    略称一覧

    シン…間薙シン(人修羅)
    ピク…ピクシー
    ガラ…ガラクタ集めマネカタ

    天子…比那名居天子(ひなないてんし)。幻想郷の天界に住んでいる、自由奔放な天人。
    たびたび人里に現れては、暇つぶしをしている。根はいい子。

    永江…永江衣玖(ながえいく)。龍神のお告げを人々に伝えるのが役目。ちなみに伝える情報の取捨選択は彼女がする。仕事中はまじめだが、そうでないときはものぐさ。オンオフ切り替えがしっかりしている。何故か天子のお目付け役として任命されている。

    タケ…建御雷(タケミカヅチ)。天津神の一柱であり、シンの仲魔。電撃攻撃が得意。出雲の国譲りの功労者。

    オオ…オオナムチ。国津神でも随一の実力を持つ悪魔。大国主(オオクニヌシ)はシンの仲魔だが、オオナムチはそうではない。大国主は何十人もいる兄弟と覇権争いを繰り広げ、日本統一を成し遂げた強力な神。このお話ではオオナムチはその荒々しい面の化身ということにしてます。

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