第18話 幻想郷の一番長い日 7
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第18話 幻想郷の一番長い日 7

2018-01-07 04:14
    あらすじ

    封印されていた神々から人里を守ろうと準備していた霊夢と魔理沙。

    しかしそこに予期せぬ訪問者、姫街棠はたてが現れ、二人に助けを求める。

    天狗の内乱を解決するために、道中妖夢も加わって、
    4人は妖怪の山へと向かうのだった。

    第18話 幻想郷の一番長い日 7

    妖怪の山へ向かって飛んでいる一同。
    緊張の中、魔理沙が疑問を口にする。



    魔理沙「なぁ、霊夢」

    霊夢「どうしたの?」

    魔理沙「今回の妖怪の山の異変ってさ、『伏ろわぬ神々』と
    なんか関係あるのかな?」

    妖夢「え?なんですか?その『伏ろわぬ神々』って?」

    魔理沙「あ、やべ、妖夢はこれ知らないんだったな」

    はたて「私も知らないわよ。なんなの?それ」


    霊夢「あー……。ま、いいか、もう無関係じゃないし」

    妖夢「えっ?えっ?」

    はたて「……もしかしてこれ、聞かない方がいいやつ?」

    霊夢「もう遅いわ。実はね……」


    少女説明中……


    はたて「あーーーもーーーー!!
    やっぱり知らないほうがいいやつじゃないのよー!!
    なんなのよ!幻想郷全滅とかーーー!!!
    そんなのと戦えないーーー!!」

    妖夢「……(絶句)」


    あまりに突飛な情報だったため、妖夢とはたては現実を受け止めきれずにいる。
    霊夢が淡々と説明したこともあり、どうにも真実味が感じられないようだ。


    魔理沙「まあ、そうなるよな」

    霊夢「恐らくだけど、妖怪の山の異変もそいつらが一枚噛んでるわ」

    はたて「……いやでもおかしくない?
    天魔様がおかしくなってきちゃったのって、大分前よ?何か月か前。
    霊夢さんの話だと、結界が危なくなったのって、つい最近なんでしょ」

    霊夢「というか2日前ね。結界にひびが入ったのは。
    まさかこんなに早く結界が破壊されるとは思ってもみなかったけど」


    はたて「じゃあ天魔様がおかしくなっちゃったのって、
    その伏ろわナントカって奴らとは関係なくない?そうだよね?そうだといってよ」

    魔理沙「うーん、でもタイミング的にできすぎだと思うんだよな……」

    霊夢「そう。結界が破壊されたとたんに動き出した。無関係じゃないわ」

    妖夢「ええと……」


    魔理沙「てことはあれか、結界が壊れる前から、
    幻想郷にちょっかい出してたやつがいるってことか」

    霊夢「多分、ね」

    妖夢「ええと……あの……」

    はたて「それって……かなりヤバいんじゃ……」


    霊夢「ヤバいでしょうね」

    霊夢「裏・博麗大結界をすり抜けてくるくらいの実力者。
    それが妖怪の山で、私達が戦う相手よ……」

    はたて「しかもそいつ、天魔様を操ってるんでしょ……?」

    魔理沙「攻撃してくる天狗の軍勢をかいくぐって、大天狗も天魔も何とかして、
    それからその、とんでもなく強い奴を倒すってことか……?」

    霊夢「……そうなりそうね」

    はたて「ちょっと待って、私そんなのきいてないわ」

    霊夢「アンタが持ってきた話でしょ」

    はたて「あ˝ー……引きこもりたい……布団にもぐって全部忘れたい……」

    霊夢「今まで散々やってきたでしょ。腹くくりなさい」


    妖夢「あうぅ……」

    魔理沙「あ、ダメだ。妖夢が現実を受け入れられずにパンクした」

    霊夢「やれやれ……前途多難ね……」



    ・・・・・・



    戦々恐々のまま、4人は妖怪の山へと到着した。

    当然ながらはたてが離れた時よりも、戦闘は激化しており、
    至る所で弾幕が飛び交っている。



    霊夢「これはなかなか壮観ね」

    魔理沙「……妖怪の山がクリスマスツリーみたいだ」

    妖夢「これだけの天狗と戦っていては、スタミナが持たないですよ」

    はたて「うえー……私が出てった時より激しくなってる」


    霊夢「そりゃそうでしょ。
    ……でもまだみんな弾幕ごっこのルール内で戦ってるわね。結構結構」

    魔理沙「そだな。これなら何とかなりそうだ」

    はたて「あなた達、あの数見てよくそんな余裕そうにしてられるわね……」

    魔理沙「正直言って安心してるくらいだ。
    ガチンコの殺し合いになるかと思ってたから」

    妖夢「まぁ、気を抜かなければ、命の危険はそこまでなさそうですね」

    はたて「一回負けたらオシマイなのに、大したもんだわ……」



    天狗たちが暴走していると言っても、
    あくまで幻想郷流の弾幕ごっこルールの範囲内で争っているようだ。

    さすがに同胞と殺し合いをするほど狂ってはいない、ということだろう。

    それを見て安心する魔理沙。
    霊夢、妖夢とは何度も異変解決に出向いた仲であり、
    自分含め、この3人の弾幕ごっこの腕前は幻想郷でもトップクラスだ。

    いくら相手の数が多くとも、
    雑兵程度なら、油断しなければ負けることはない。


    ……しかし霊夢は気を緩めてはいなかった。



    霊夢「……魔理沙、妖夢、気は抜いちゃダメよ」

    魔理沙「いや、まあ、そこまで気は抜いてないがな。
    それでも殺し合いするよか全然マシだろ」

    妖夢「そうですよ霊夢さん。
    この様子なら何とかできなくはないというか、勝機がありますよ」

    はたて「流石の自信じゃん。頼もしいわ」


    霊夢「……やっぱり気を抜いてたわね。全く……。
    いい?結局は天狗との戦いは前哨戦よ。最後の敵が本番だからね?」

    魔理沙「あ―……そうか」

    霊夢「そいつは多分弾幕ごっことか知らない相手よ。
    実力差から考えても、息をするようにこっちを殺しに来るでしょうね」

    妖夢「その敵とは真剣勝負になる、と」

    霊夢「そうよ。
    地獄の女神と全力勝負するくらいに思ってなさい。」

    魔理沙「……言われてみりゃそうだよな。気を抜いてたらやられちまうか。」

    妖夢「……不覚でした。考えが足らなかったです」

    霊夢「わかればいいわ。まずは文と合流しましょ。
    文はどの辺にいるの?はたて」

    はたて「あー、えーと、ちょっと待って」



    そう言うとはたては、外の世界でいう携帯電話を取り出し、念写をする。
    すると画面に文が飛んでいる姿が写しだされる。



    はたて「オッケー。ここにいるのね。今から案内するわ」



    少女移動中……



    はたて「あっ、いた!文ーっ!!」

    文「ん?その声は……はたてですか」



    念写で文の居場所を割り出した4人は、
    無事に合流することに成功した。



    文「あやや……霊夢さんだけでなく、魔理沙さんに妖夢さんも。
    ナイスですよ。はたて」

    はたて「この二人を連れてこれたのは殆ど偶然だったけどね」

    文「僥倖です。私だけでは手が足りなかったですからねぇ」



    霊夢「で、文。どんなもんなのよ」

    文「正直押し切られそうです。
    縄張り拡大派の数が圧倒的に多いですから」

    魔理沙「どのくらいの戦力差なんだ?」

    文「こちらの数が1とすれば、あちらは9か10くらいでしょう」

    妖夢「……少し厳しいですね」

    文「数がいればいいというワケじゃありませんよ。
    あくまであちらの大半は哨戒天狗です。このメンバーなら敵ではないでしょう」

    はたて「アンタもアホみたいに強いからねぇ」

    文「そういうアナタこそやればできるクセに」



    霊夢「そういえば何でアンタは縄張り拡大派じゃないの?
    なんとなく答えはわかってるけど」

    文「……わかってるなら聞かないで下さいよ。
    正直かなり頭に来てるんですから」

    魔理沙「お前がそんなに怒ってるなんて珍しいな」

    文「チカラづくで縄張り拡大とか、畜生のやり方ですよ。下品なやり方だ。
    私達は天狗であって狗ではありません。」

    はたて「まあ、それは私にもわかるわ」

    文「まったく天魔様はおかしなことを言いだしますし、
    大天狗達は揃いも揃って追従するだけの木偶の坊だし、
    恥を知ってほしいものです」



    文の口調はいつも通りだが、明らかに怒り心頭だ。

    普段は飄々としていて、そうは見えないが、
    文はかなり古くから生きている実力者である。

    その分自身に対する誇りと、天狗がどうあるべきか、という信念は
    しっかり持っているのだ。

    そんな文にとって、今回の騒動は到底許せるものではない。



    縄張りを広めるだなんだと、そんなのは弱者の発想だ。
    本当の強者ならそんなことを考えずに、思う通りに振る舞えばよい。

    ……だから私はあまり妖怪の山の掟に縛られたくないのだ。



    文「まぁ、私の事はいいんです。
    身内の恥を晒すことはしたくないですが、助けてくださると助かりますね」

    霊夢「そのつもりだし構わないわよ」

    魔理沙「といっても、どうするんだ?
    このまま何も決めずにバラけて戦ったら、ジリ貧だぜ?」

    霊夢「そうね……
    相手の黒幕を倒すメンバーは、ほぼ万全の状態でいた方がいいわね」



    文「……黒幕?」

    魔理沙「ああ、文も知らないんだっけか」

    はたて「文、聞かない方がいいわよ……」

    文「なんなんですか?いったい?」

    魔理沙「実はな……」



    少女説明中……



    文「あややや……それはそれは、何とも……」

    霊夢「あんたかなり昔から生きてるでしょ?
    天魔をどうこう出来る奴って心当たりないの?」

    文「正直ピンときませんね……しかし天魔様の実力は私よりも上です。
    その天魔様が操られているとなると、
    おそらく圧倒的に強いか、相性が悪すぎるか、どちらかでしょうね。
    他の天狗ではどうにもできないでしょう」

    はたて「アンタしれっと
    自分が天狗の中で2番目に強いって言ったわね……」

    文「? そうですが?」

    はたて「恐れ入るわよもう……」



    魔理沙「しかし、もし天魔から見て相性が悪い相手だとしたら、
    天狗の二人もきついかもな」

    文「ですね。私とはたても操られる可能性はあります」

    妖夢「そうなってしまうと手が付けられませんね……
    どうでしょう、霊夢さん。
    天狗たちの鎮圧はお二人に任せて、私達は黒幕討伐に向かっては?」

    霊夢「それがいいかもね。そんな気がするわ」



    妖夢「お二人もそれでいいですか?
    大変な数の天狗を相手にすることになってしまうと思いますが……」

    はたて「えー……それはちょっと」

    文「もちろん問題ありません」

    はたて「うえぇ……」

    文「何怖気づいてるんですか、はたて。
    あんな能無しどもなんて蹴散らせて当然でしょう?」

    はたて「だってさっきアンタ、このままじゃ押し切られるって……」

    文「それはあくまで余裕を持って戦えば、という話です。
    そんなマズい相手がいるというなら、私も全力でやりますよ」

    はたて「大した自信家よね、全く……」

    文「はたての自己評価が低すぎるんですよ。
    アナタ大天狗くらいなら簡単にあしらえる実力があるくせに」

    はたて「ちょ、そういう失礼なこと言っちゃダメでしょ!」

    文「……まあいいです。
    とにかく、私たち二人と他の反対派たちで、
    あのバカどもと天魔様の目を覚まさせます。
    その間にあなた達3人は黒幕とやらをどうにかしてください」

    魔理沙「ああ、任せとけ」

    妖夢「では、お二人とも、ご武運を」



    ・・・・・・



    黒幕討伐組と、天狗鎮圧組の二手に分かれた一同。
    それぞれ戦闘に向かう。



    はたて「そういえば文。
    私達反対派ってさ、かなり実力ある奴が多いじゃない?」

    文「まあ、そうですね。地位に関係なく、実力ある者が多いですね」

    はたて「反対派はチカラがある天狗が一杯いて、拡大派は弱い天狗が多いじゃない?
    実力の高い低いって、変なこと言い出したりするかどうかにも関係してたのかな?」

    文「そうですねぇ……
    チカラある天狗が反対派に多い理由としては、
    単純に縄張り争いに興味がない、やり方が気に入らない、そんなところでしょうか」

    はたて「天魔様の命令なのに従わないってのは、抵抗感あるんだけどね……」

    文「何も考えず命令に従う。
    そのことに疑問が持てる程度には、
    物事を考えられる者たちということでしょう。
    結構なことです」


    縄張り拡大賛成派に、チカラの弱い天狗が多くいること。
    そこにはたては何か引っ掛かるものを感じていた。


    文「ま、頭が空っぽの集団に対して、こちらは自分で考えて動ける者の集団です。
    そこまで勝敗を心配することもないでしょう」

    はたて「それでも数の差がなぁ……ハァ、気が重いわ……」

    文「そろそろ縄張り拡大派の姿が見えてきますよ。気合入れてください」

    はたて「わかってるわよぅ……」



    ……



    魔理沙「おっしゃ!勝ったぜ!」

    天狗A「グヌヌ……すみません、天魔様……」



    妖夢「他愛ないですね」

    霊夢「流石に拡大派の天狗はたくさんいるわね」

    魔理沙「それでも反対派の天狗たちが、だいたいの戦闘を引き受けてくれてる。
    十分チカラは温存できそうだぜ」

    霊夢「そうね。ここまでは作戦通りってところかしら」



    妖夢「しかし黒幕はどこにいるんでしょうか?闇雲に飛び回っていても……」

    魔理沙「どうだ?霊夢」

    霊夢「たぶんそろそろね。あっちの方にいる気がするわ」

    魔理沙「だってさ」

    妖夢「……ホントに便利ですよね、その能力」



    着々と妖怪の山の異変を解決していく一行。

    しかし本番はここからである。

    一番奥で待ち構えるのは、一体どんな存在なのだろうか?


    つづく



    略称一覧

    霊夢…博麗霊夢(はくれいれいむ)。幻想郷を覆う、博麗大結界の管理をしている。通称・博麗の巫女。幻想郷で起こる数々の異変を解決してきた実績があり、各勢力からの信頼は篤い。年齢からは想像できないほど、物事を達観した目で見ている。

    魔理沙…霧雨魔理沙(きりさめまりさ)。魔法の森の辺りで暮らしている魔法使い。霊夢とは昔からの知り合いで、仲が良い。明るく前向きな性格。彼女も霊夢と共に異変解決をしてきた経歴を持つ。ただし罪悪感なしに泥棒をしていくので、一部からはお尋ね者扱いされている。

    妖夢…魂魄妖夢(こんぱくようむ)。白玉楼住まいの庭師にして剣術指南役。とても真面目であるがゆえに、主人の幽々子からは日々からかわれている。従者としての能力も剣術の腕も上々。半霊という人魂のようなオプションがくっついているが、それは彼女がそういう種族だから。

    はたて…姫街棠はたて(ひめかいどうはたて)。鴉天狗であり、新聞記者でもある。引きこもりがちなのに新聞が書けるのは、念写能力を持つおかげ。今回の異変では縄張り拡大反対派。実は戦闘のポテンシャルが高いうえ、なんだかんだ修業はまじめにやっているため、なかなかに強い。

    文…射命丸文(しゃめいまるあや)。鴉天狗であり、新聞記者でもある。よく人里に下りて無茶な取材をしたり、信ぴょう性の薄すぎる記事を書いたりしている。しかしその行動は、天狗というものを世間に周知させ、天狗社会に新たな風を吹かせたい、という願いもあってのこと。まあ9割趣味だが。本編で言っていたように天狗の中でも幻想郷中でも実力はトップクラス。

    天狗A…縄張り拡大派の哨戒天狗の一匹。あっさりやられてしまったが、相手が魔理沙ゆえ致し方無し。まあ実際実力も低いが。普段はまじめに大天狗の指示通り、山の哨戒をしている。趣味は将棋。

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