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外国人の医療費
我が国の医療費をいかに削減するかという問題提起に対して、外国人による健康保険の利用をやめれば医療費問題は解決するんだという意見が複数ありました。
実際のところどうなのでしょうか。
日本国内に住所を有する者は、日本人、外国人を問わず国民健康保険の被保険者となります。
ただし、健保組合など他の医療保険に加入している者、生活保護受給者、短期在留外国人、滞在三か月を超える外国人のうち、外国人富裕層を対象とする「外国人長期滞在制度の対象者」、医療滞在ビザで来日した「医療目的の者」などは適用除外となります。
かつては日本に一年以上滞在する外国人が国民健康保険の対象でしたが、平成の法改正で滞在三か月以上の中長期在留外国人が対象となりました。
2024年のデータをみると、国民健康保険の被保険者数は2,508万人、そのうち92万人が外国人で、割合でいうと3.6%になります。
ではその外国人はどの程度医療費を
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残薬問題
医療の質を落とさずに無駄な医療費を削っていこうと問題提起したところ、医療費を削れば医療の質になにがしかの影響を及ぼすものだから、慎重にというご意見をいただきました。
実は、医療の質を落とさずに医療費を削った実績があります。
抗がん剤の残薬問題です。
残薬というと、処方された薬を飲み切らずに家で余っているもののことだと思うかもしれませんが、薬瓶のなかに粉末状の薬があらかじめ入っていて、投与するときに生理食塩水などを加えて溶かして使うバイアル製剤になっている高価な抗がん剤に関する問題です。
こうした抗がん剤の中には、患者の体重によって投与量が決まるものがあり、溶かした薬がすべて使われずに一部がバイアル(瓶)の中に残ってしまいます。
慶應大学の岩本隆特任教授の試算によれば、2011年7月から2012年6月の間にバイアル製剤として提供された抗がん剤のうち、病院内で溶かしたけれど使われず、残薬となっ
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社会保険料に資産割を
私が現役世代の医療保険料の負担を軽減したいと申し上げているのは、医療費とその負担がアンバランスな状況になっているからです。
厚労省が出している年齢階級別の医療費とその負担に関するデータがあります。
最新データは2021年度のものです。
75歳以上、つまり後期高齢者の負担は、窓口負担と保険料をあわせて15万円程度ですが、一人当たりの医療費は75-79歳で約77万円、そこから徐々に医療費は増えて、95-99歳では119万円ちかくになります。
他方、現役世代は、30-34歳から負担額は30万円ちかくになり、45-49歳からしばらくは40万円程度を負担することになります。
現役世代の負担を軽減するためには、高齢者にさらなる負担を求めることになりますが、年金収入にこれ以上の負担を求めるのも難しいでしょう。
しかし、金融資産に着目すると、高齢者ほど金融資産を多く持っていますから、所得だけでなく資産も
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