U149とプロダクション名について
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

U149とプロダクション名について

2018-07-02 22:38
    ちんたら3ヶ月ほど書いてたら、3巻も出たし米内Pがダメ出しされてますね。以下はシンデレラガールズのヘルプのまとめとU149の前提に関する見解です。

    A:サイコミ連載中の『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』。その舞台となる第3芸能課の事務所の…プロダクション名がはっきり分かっていません。
     これは月刊チャンピオンで連載されていたワイルドウインドガール(現在は番外編が連載中)、またAfter20など、この間に長期連載されている漫画作品も同様に、プロダクション名が出てきません(されていたら教えてください)。というより、漫画作品の大半はプロダクション名が明らかではないようです。
     シンデレラガールズにとってそもそもプロデューサーの存在を出すのかどうかも、派生作品にとって大きなポイントです。ゲーム内公式二次創作?のシンデレラガールズ劇場でもプロデューサーの顔が出てきません。アニメで346プロダクションが出るまで、顔つきのプロデューサーが出てくる漫画作品自体がほとんどありませんでした。After20もプロデューサーはいるようですが、存在がほとんど出てこないため、アニメ以前の『アイドルマスター シンデレラガールズ Shuffle!!』以来の初期漫画作品に連なる傾向(ただし特殊なテーマ設定)と考えます。
     それにしても、なぜプロダクション名が出てこないのでしょうか?
     U149もWWGも、明らかにアニメと設定は異なります。アニメは伝統ある、格式高い芸能プロダクション、そこがアイドル部門を作って大勢のアイドルたちを集めた……という設定。U149はすでに様々なアイドルたちが活躍するそれなりに大きな事務所、ティーンなアイドルたちには第3芸能課にたった一人のプロデューサーをあてがう、という設定。WWGに至ってはヤンキーあがりの不良プロデューサーが、所属アイドルも少ない弱小事務所に舞い込んできたテレビ企画に、ぶん殴られた縁で出会ったヤンキー娘をねじ込むというトンデモ設定(うーん、チャンピオン向きだ……)。
     しかし、これだけそれぞれ魅力も違いながら、また明らかに事務所の設定が異なりながら、漫画作品にはプロダクション名がなかなか出ません。もちろんたくさんプロダクション名があると混乱してしまうかもしれませんが、はっきり言いまして、モバゲー版では入退社も自由、デレステではプロダクションなんて存在感の薄いものですから、それこそどれも346プロのif話であったり、自由に名前をつけてもよいわけでして……すると、シンデレラガールズ本体がプロダクション名自由だから、かえって名前がうまくつけられないのかもしれません。あれ、答えが出ちゃいましたね。
     さてひとつの回答は出ましたが、ここではまず作品の本筋を深く読み込むのではなく、基本に立ち返ることから始め、その後に各作品を一定比較する方法を取りましょう。ゲーム・シンデレラガールズのヘルプをいちいち参照する、というやり方を取っていきます。

    B-1:プロダクションとはなにか?
     そもそも、プロダクションとはなんでしょうか? 前回、アイマス、モバマス、そして派生作品としてのデレステのゲームの目的からみる違いを説明しましたが、ここではシンデレラガールズにおけるプロダクションを見ていきます。というのも、俺らは、アイマスに対する765プロはともかく、それほどシンデレラガールズにおけるプロダクションについてはっきりと意識していないからです。
     さしあたり「アイドルマスターシンデレラガールズ」という「ゲーム」におけるプロダクションを確認しましょう。
     前回のシンデレラガールズを見た際、「トッププロデューサーを目指す」ことがゲームの目的と確認しました。実はプロダクションの創設(作成、建設?)、あるいは加入といった要素は、「アイドルマスターシンデレラガールズとは?」というヘルプでは、ステップに触れられていません。あくまでモバマスの根幹は、プロデューサーがアイドルを集めること、そのアイドルをレッスンで鍛えてライブやイベントに参加し、さらにまたレアアイドルを集めて、その過程でファン数を積み上げていくことで、「トッププロデューサーを目指すゲーム」という仕組みになります。
     プロダクションはそれをサポートする、いわばおまけの仕組みと言えるでしょうか。現在では各イベントのトレーニングルームにバッジを供出し、ボーナスを強化することでイベントを進めやすくしています。
     おまけと言っても、いまや分厚いサポートシステムであることは間違いありません。
     実際にヘルプを引きます。
    「プロダクションについて」
    プロデューサーのLvが5になると、プロダクションを作ることができます。プロダクション内では、役職なしのプロデューサーは「社員」と呼ばれます。プロダクションに加入すると、振り分けptの付与やプロデューサーランキングアワードのプロダクション部門に参加できる等、多くのメリットがあります。
     またプロダクションのリーダーを「代表」、補佐役を「副代表」と呼び、代表はプロダクションの様々な管理を行うことが可能です。
     このように、プロダクションはシンデレラガールズを支えるシステムのひとつですが、その主体となる代表はあくまでプロデューサーです。プロデューサーがプロダクションを作る、プロデューサーがプロダクションに加入する。あるいは問題のある社員を退社させるにしろ、自分の意思で退社するにしろ、その主体はプロデューサーです。
     しかし、プロダクションは、アイドルとは直接には結びついていません。
     まあゲームのシステム上、当たり前と言えば当たり前ですが…衣装やトレーニングバッジ、マニーなどの資産を増資に使うことでプロダクションと結び付けられますが、アイドルは個々人のプロデューサーと結びついています。
     アイドルの受け渡しは、プロダクション内の社員同士のトレード、という形式によって表現されています。これは同じプロダクションに所属しているから、トレードという形でアイドルの担当を変えることが可能、という表現でしょうが、あくまで社員同士の合意…プロデューサーが主体であり、プロダクションがなにか意図や方針を持っている、ということは一応ありません。/ただ○○担当プロダクション、という形で集まるファンプロなどを考えれば、プロダクション全体が特定のアイドルのトレードを推奨したり、方針を持ったりすることはおかしくはないでしょう。

    B-2:それでは以上のプロダクションの検討を改めてまとめてみましょう。
    プロダクションとは
    1. プロデューサーがつくり、加入する(解散し、退社する/させる)
    2. 加入によって振り分けptや設備の効果など、ゲームを有利に進めるポイントが自動的に加算される
    3. プロダクションのランキング部門に参加できる
    4. トレード(担当替え)がプロダクション内でできる←それ以外はフリートレードを利用する必要がある
     このようになります。
    これらをU149などに当てはめてみましょう。
    1主体的にプロデューサーがプロダクションに入社し、あるいは退社できているか。
     U149にはもちろん、このような描写はありません。346もそうですが、自分たちで事務所を作り、解散する、という力は個々のプロデューサーにはさすがに描かれません。その代わりに、アニメではシンデレラプロジェクトという企画を立ち上げ、それを白紙に(解散に)追い込まれるという展開があり、第3営業課自体が新しい部門であったり、この企画や部署が擬似プロダクションとしての役割を果たしていると言えるでしょう。
     しかしこれについても、U149はアニメと違い、自分で3課を立ち上げたわけではなく、無人の「プロダクション」にぽこっと入ってきたような状態、というのでしょうか。
    2設備の効果を漫画の描写に当てはめるというのはなかなか難しいものがあります。なので、ここでは言及しません。
    3プロダクションのランキング部門に参加する、ということは、他のプロダクションが存在するということです。
     これはU149に限らず、敵となるプロダクションが出てきません。相手がいなければランキングで競うことができません。346は常務が出てきますが、これは社内で競っているため、必要性がよく分かりませんでした。WWGではうちは弱小事務所だから、とハッパをかけられ奮闘しますが、別の事務所の姿がはっきりしませんでした。ただ別の事務所のアイドルはたくさん出てきます。
     U149の場合、第1営業課がメインで動いているせいか、当初はそれにくっついていく仕事が多く、これを他のプロダクションと考えても競う対象と見るのは難しいでしょう。
    4トレード(担当替え)がプロダクション内でできるということですが、この表現の一つがおそらくアニメのシンデレラプロジェクトとプロジェクトクローネです。
     ではU149の場合、米内Pが第3課にきたことがトレードに当たるのでしょうか。
     そもそも第3課にはプロデューサーがいなくなっていました。トレードはあくまでプロデューサー同士の担当替えです。したがって、P不在からアイドルを任されることはトレードには当たらないでしょう。/フリートレードとも少し異なるかと思います。

     このように考えると、実はモバマスのプロダクション概念をもっとも忠実に?適用している作品はおそらくアニメであることが改めて推測されますし(おそらくWWGも割と適用している)、U149がこれとは違う概念を下敷きに作られていることが推測されます。
     ここでデレステのプロダクション概念を検討したいところですが、デレステにはプロダクションという概念がほとんどありません。

    B-3:ここまではプロデューサーとプロダクションとの関係を検討しました。それはシンデレラガールズが「トッププロデューサーを目指す」ため、P中心、P主体のゲームとしてきちんと機能しているかが大切だからでしたが、結果的にプロダクションとアイドルが直接結びついていないことを示しました。すると、シンデレラガールズではアイドルは当然プロデューサーと結びついていることになります。
     プロデューサーがプロダクションをつくり、プロデューサーがアイドルを集める。各個人のプロデューサーがアイドルに対しても一貫してスカウトからプロデュースまで(あるいはトレードをするにしても)責任を負う仕組みになります。ここをもう少し見ていきましょう。
     まずヘルプ項目の「お仕事について」をひきましょう。
    「お仕事について」
    アイドルとしてさまざまなお仕事を順番に攻略し、成長していきましょう。お仕事を実行するとスタミナが減りますが、経験値やマニーを手に入れることができ、ファンも集まります。ときにはアイドル候補生やアイドル衣装を手に入れたり、アイドルとの親愛度が深まることもあります。お仕事完了で、ステータス振り分け可能な振り分けptも獲得できます。
     「アイドルとして」と書かれています。このことから、お仕事をさせるのはPで、するのがアイドル、ということが分かります。当然といえば当然ですね。減るスタミナもアイドルたちがお仕事をやりきれるスタミナ、すなわちPが管理しきれるスタミナと捉えるべき性格のパラメータということです。
     U149ではアニメやWWGと違ってスカウトをしない、と触れましたが、ここで注目すべき点は「アイドル候補生」を手に入れる=スカウトをする機会がお仕事です。これをもっとも表現しているのはWWGですね。
     また、アイドルそのものではなく、「アイドル候補生」ということにも注目しました。
     それでは次に「アイドルについて」です。
    「アイドルについて」
    あなたはプロデューサーとして、所属アイドルにお仕事やLIVE対決などを実行させ、プロデュースしていきます。また、アイドルは初期状態で50人まで所属することができます。マイスタジオ上で、編成したアイドルたちがプロデューサーにお話しをしてくれることを「アイドルコメント」といいます。また、特定のアイドルを編成すると、一定の割合でアイドル同士が会話をする「アイドルトーク」が発生します。
     やはり、Pが所属するアイドルにお仕事やLIVEを実行させ、プロデュースする、という仕組みです。
     すると、このスタミナは先程から記した通り、アイドルたちが仕事をやりきるスタミナであり、Pがお仕事をさせる(管理しきれる)スタミナという表現です。/ということは、ドリンクはPではなく、アイドルに飲ませてたのか……。
     問題は「所属アイドル」とはどこに所属しているのか、ということです。プロダクションにプロデューサーは所属していません。プロデューサーが作るからです。フリーのプロデューサーが初期状態のはずですから、なにかおかしなことになります。初期状態から50人のアイドル(正確には候補生も含めて)が所属できますと、これはプロデューサーになった時点で貸しスタジオなり貸し事務所なりをちひろさんから借りて、「プロデューサーの事務所に所属する」という体裁になるのでしょうか。
     おそらく、ゲーム上は「プロデューサーに」所属する、これを翻してプロデューサーがそのアイドルを担当する、という仕組みです。めちゃくちゃ不思議ですが、P中心のゲームとしてこういう設計にしたのでしょう。

    B-4:プロデューサーがプロダクションやアイドルに対して主体的に結びついていることは分かりました。
     であれば、プロデューサーが競う相手は同じプロデューサー、ということになります。もちろん、ゲーム上、アイドル同士でLIVE対決をさせますが、ほとんどの場合LIVE対決で負けることはまずなくなりました。
     PRAの項目を見ましょう。プロデューサーランキングアワードです。
    「プロデューサーランキングアワード」
    プロデューサーのファン獲得数を競い合うランキングイベントです。略してPRAと呼びます。競い合うプロデューサーは、同じランクのプロデューサーのみとなります。
     アイドルのファン獲得数ではなく、プロデューサーのファン獲得数です。読み間違えていません。
     シンデレラガールズでは、プロデューサー同士が競い合うプレイヤーになります。競い合うのはアイドルではないのです。/アイドルをプロデュースし、LIVEをすることでファンを獲得する…云々、といえるかもしれませんが、期間中にトレードに出してもファン数に傷はつきませんし…。
     しかしながらこれを表現しているのは、おそらくギリギリでアニメくらいでしょう。武内Pに対して対抗企画を出した常務。U149でも1課のPは出てきますが、競い合うという態度ではありません。桐生つかささんが「LIVEで勝負ってなんだよ」と言っていましたが、基本的に勝負が発生するのは稼いだファン数を元にしたイベントや毎週のPRAなどのランキングにほかなりません。それらは基本的にアイドルではなく、プロデューサーに還るわけですが、まあさすがにそこまでは……。

    C-1:さて、ここまでゲーム内のシンデレラガールズにおけるプロダクションやプロデューサーのヘルプを確認しました。
     本当に大雑把にまとめると次の諸点になります。
    • プロダクションはプロデューサーがつくる
    • アイドルはプロデューサーに所属する
    • プロデューサーはプロデューサー同士で競い合う
     このうち、プロダクションをシンデレラプロジェクトや第3芸能課のように小さな部署、企画、としても、U149は主人公?たる米内Pが立ち上げた部門ではありませんし、もちろんアイドルたちも米内Pに属する訳ではありません(あくまで第3芸能課であって、だから「行かないで」という第1話から始まった)。また米内Pは社内で放って置かれた部署に配置され、自分がタイプだったアイドル以外を任されます。しかも三船美優さんのブロマイドをもらっていた訳ですから、好きなタイプのアイドルを知っててわざわざ第3課に配属したわけですよね……。なんかこういう状況では、競い合うとかそういう話以前だと思います。
     こうしたゲームのモバマスから外れた設定を使っているところに、U149が大事にしている部分があるのではないでしょうか。
     というのも、上記の3つの点は、直接には派生作品でも表現できないこともありますが、アニメやWWGがかなり表現しようと試みたことを示しているからです。すると、U149が最初からこれらの土台をあえて無視して作っている、あるいはそことは別の枠組みで作っていると考えるのが自然です。
     今ひとつ考えにくいのですが、これら3点はプロデューサー(=プレイヤー)を主体的に作った(もっというと、プロデューサー中心主義)のですが、U149は無視している、あるいはプロデューサーの主体性の低下を前提としている、と見ると良いでしょう。
     まずプロダクション、ないしそれに類するプロジェクトは、米内Pは自分から立ち上げたものではありません。第3芸能課は最初から存在しており、そして意図もあったようです(第27話で、凛ちゃんが「新しい部門を作るって聞いたけど、いい感じ」だし「こんなにいい子達揃いなのに どうして最近まで活動してなかったんだろ…」と語っています)。そして米内Pはそもそもアイドルをスカウトしていません。最初は大人っぽいアイドルへのプロデュースこそいろいろ思いつきますが、小さい子たちには侮ったりしてうまいプロデュースを考えられず煮詰まってしまいますが、そもそも大前提として、なぜ米内Pが第3課に行かされたのかという理由もイマイチはっきりしていません。だから先輩にもうまくいってないと相談したり営業をかけたりしますが、プロデューサーとしてなぜタイプでもないアイドルを?という疑問が解消されていないのです。/この点、アニメやWWGは自分でスカウトしているので、自分が好きな…少なくとも自分が考えたプロジェクトや企画に合うと思ったアイドルを集めたことは間違いないですが、米内Pは違います。
     U149にて象徴的なのは第9話の赤城みりあ②です。遊園地のお仕事でつまずき(オレがこの子達のプロデューサーなんだ)と思いつめるPに、「みりあ達のこと!ちゃんと見て!」「"みんなで楽しく!"って 言ったのはプロデューサーだよ!?」と、みりあちゃんはじめ三人のアイドルに励まされます。オレがこの子達のプロデューサーなんだ、という考え方はまさにプロデューサー中心主義の象徴とも言えますが、もともと彼自身は好きなタイプのアイドルを担当したわけでもなく、万全のサポートを受けられているわけでもありません。一人で考えて成功させられれば橘さんの時のように乗り切れますが、それではみんなが楽しくないんです。みんなの中にはプロデューサーも入っているからです。/それで結論がみんなで作戦会議して、プロデューサーもきぐるみを着て舞台に立つ、というお話になったわけですが……。
     ところで、それならプロデューサーを主体としたゲームやプロデューサー中心主義は悪いのか、と言われそうですが、プレイヤーを優先するゲームの方が普通はいいに決まっています。さすがに運営がプロダクションを指定したり、プロダクションに加入しないとアイドルがプロデュースできないとかだったらキレそうになるでしょ。/できればSRの排出量も増やしてほしいですが。/つまり、U149ではその理由が未だに明かされていませんが、前提になってきたプロデューサー中心主義がうまく立ち行かなくなった地点から出発した派生作品として作られているのではないでしょうか。「プロダクションに加入しないとプロデュースできない訳ではない」はずだったが、そうもいかなくなっている。がんばって一人で考えてプロデュースしてもうまくいかなくなっている、という出発点。
     その形態のひとつとして、モバゲー版シンデレラガールズでは2014年9月に福井県が開放されたのを最後に、新規アイドルをスカウトしなくなりました。シンデレラガールズの他のアイマスとの大きな違いのひとつは、最初からアイドルを目指す少女たちではなくアイドルになる気もなかった原石をスカウト(発掘)することにありましたが、長らくその役割がしにくくなりました。どのアイドルも3年以上が経過し、どのアイドルにもプロデューサーがついている、ということは、どのアイドルもスカウトされています。もう新しくPを始めるに当たって、最初から先輩Pに聞きに行った方が早いかもしれません。自分がスカウトして、どんな子かな、と横並びで知ることはできません。だからこそ、凛ちゃんがいっていたように、「こんないい子達揃いなのに」というセリフが意図的に配置されています。本来第3芸能課には、彼女たちをスカウトしたプロデューサーがいたのですから。

    C-2:U149がプロデューサーの主体性の低下を前提としている、としました。
     この前提ではプロダクションやプロダクション名はあらかじめ用意されていてもおかしくないものでしたが、それは一方で他のプロデューサーやプロダクションと競う関係にもつながりません。米内Pはおねえさんアイドルとキャッキャウフフ的なプロデュースがしたかった(?)のであって、プロデューサーに見捨てられたようなちっこいアイドルたちを引っ張り上げてトップアイドルを目指す! という熱血物語でも実はありません。「停滞しているアイドルたちの現状の打破(再チャレンジ)」というシナリオが近いでしょうか。そのため、彼に与えられたのは、何々プロダクションではなく、第3芸能課という新しく立ち上げられたけど、放置され、なんの支援も引き継ぎもない部門というギリギリのプロジェクトです。これが与えられたプロダクション名といえます。
     この主体性の低下を前提として、俺がプロデューサー、という考え方を崩れているシナリオがU149では展開されます。
     再度第9話を強調したいんですが(いや、ホント大好きなんですよ)、この話では、ちょうどプロデューサーとアイドルの関係が「シンデレラガールズ」の中でのプロデューサーとアイドルとの関係でも象徴的に示されています。一人で階段を降りていく先へ声をかけてくるのは王子様……だとしたら、まさにこの場面では階下で悩むシンデレラ(・ボーイ)が米内Pであり、王子様がみりあちゃん(と小春ちゃんと千枝ちゃんなんだが、小春ちゃんはプリンセスって決まってるんだよなあ)なんです。アニメでも階下のアイドルに光を示して先導するシーンやガラスの靴を拾うシーンがあったと思いますが、U149ではPが「シンデレラガールズ」にある強い権限を持つプロデューサー像から降りて、アイドルたちに手を差し伸べられるもうひとりのシンデレラのような役になっています。
     いや、冗談ではなくてですね。
     実際、第9話に限らず米内Pは結城晴ちゃんの時にスカートを履いたり、ライブを見せに行ったり、自分が恥ずかしいと思うことや自分が楽しかったと思うことを共有しようと試みますね。もともと身長が低いのは目線が低いから、同じ目線で語れるから、という意図があってのことですが、本質的にシンデレラガールズのPとアイドルが同じ目線ではない中で、U149は行動としても一緒にタイムキーパーとしてお仕事をするなど、双方向の振る舞いを重視します。それはプロデューサーとしての役割を放棄したこととはまた違うのですが……。U149はPとアイドルの目線の共有を意識して(みんなで作戦会議、みんなで花火……)シナリオが作られ、プロデューサーが主体となってアイドルをプロデュースするより、アイドルの動きの中から組み立てが起きています。アニメでは比較的、蘭子回なら蘭子にお仕事と、完全に主役がお仕事の回と決まっていましたが、U149ではみんなで宣材写真を撮りに行って橘さんだけ納得いかずに「だったらもう一回撮ろう!」という流れや、「オープニングアクトやるぞー!」→レッスンを見る、その中で「佐々木さん、今度のライブのリーダーやりなよ!」と決まるなど、このお仕事を持ってきたからこのアイドル回ではなく、このアイドルがこう動いたからこのアイドル回、という流れが大半です。それは自分でスカウトしてきていない、デビューの道筋も見えていないからこそ、アイドルを見てアドリブでその時々の主役を立てている、という現れでもあります。
     逆に言えば双方向ですから、プロデューサーの方が手を差し伸べられる役にもなりうるわけですね。

    D:まとめていきましょう。
     U149はシンデレラガールズのモバゲー版が出発点に備えていたプロデューサーの主体性の低下を前提としています。ただし、ここで注目しておくべきなのは、プレイヤーにプロダクションを作る主導権やアイドルをスカウトすることができなくても、アイドルやプロダクション側が大きく主導権を発揮する訳ではないということです(自動的にプロダクションが振り分けられたり、アイドルが振り分けられたりすることはまずない)。第16話(佐々木千枝編①)のオープニングアクトの際に、一時期プロデューサーが不在であったため、下見に来ていないアイドルの保護者から信用を得られていない、という発言がありましたが、明らかにアイドル(そして保護者)とプロダクションの間には微妙な信頼関係が流れており、逆に幼いアイドルたちにとってはいっそこんなプロダクションを移ってしまえ! という考えも思いつきません。
     これはやはりシンデレラガールズがプロデューサーにこそ主体性があるため、不在であった期間に、プロダクションとアイドル(あるいは保護者)のどちらも身動きが取れず、停滞した現状を生み出したものと言えます。つまりプロデューサーの不在こそが主体性の低下の象徴であり、プロダクションが支援してくれないのではなく、支援するだけの自主性(もはや主体性でなく)を持つPもしばらく見いだせなかったことにある、ということでしょう。
     米内Pが本当に主体性、というか自分の気持ちにだけ正直になってしまったら、おねえさん方のプロデュースを最終的にはやりたい、ということになってしまいますし、俺がこの子達のプロデューサーなんだ、という思いつめた考えを続けてしまうことになっていたかもしれません。特に後者は何度も強調する部分(みりあちゃんのいいところも含めて!)ですが、そもそもスカウトしたプロデューサーが存在し、第3課に就いたPがかつて存在していた時点で、米内Pだけがこの子達のプロデューサーではないことは明らかです。本来一人でやるはずじゃないプロデュースを一人でやっているということがU149の前提にあり、そこから組立てることでU149は出来上がっていると言えそうです。
     このように考えると、U149におけるプロダクション名の不在は、プロデューサーの不在にあると結論します。
     上記で述べたような双方向のシナリオを組み立てているわけは、プロデューサー不在からの回復にあるのですが、それが過去のプロデューサー像の問い直しになっている、という仕掛けと見てよいかもしれませんね。もしかしたら直接描写しないのではないかと思っています。

     ふーやれやれ。こんなところだろう。これでみりあちゃんをゆっくり楽しめるぜ。二度とやらねぇ。
    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。