ネタバレ 映画「ドラゴンクエスト ユアストーリー」
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ネタバレ 映画「ドラゴンクエスト ユアストーリー」

2019-08-13 14:56
    ○初めてやったドラクエはスーファミ版の3ですが、次が5です。
     まあ観たかったんで観に行きました。地雷であることは多少分かっていましたが、ほら、観ないで文句言うのも、ねぇ? ただもう、初見はぽかーんな感じでした。

     まず結論からお話しますと、これはドラクエ5ではありません。わたしはあまりおもしろくありませんでした。
     本作はざっくりネタバレしますと、ドラクエ5を元にしたVRゲームであり、プレイヤーが数時間くらい体験しながら遊んでいると、ウイルスがゲームの邪魔をしてきます。しかしスライムに化けたアンチウイルスを使って対抗することでプレイヤーは勝利する……という内容になっています。問題はそのウイルスが最後の最後に出てくることです。
     したがってドラクエ5と異なる展開や内容となっていても、それはある程度プレイヤーがプレイ前に決めた設定によるものとなっています。たとえば映画では幼少期がカットされていますが、それはプレイ前の設定によってカットされたものとなっています。ドラクエ5とは異なるゲームなので、グランバニア王国は出ません(スーファミの王宮の画面が出ますが)。娘は出ません。マリアは出ません。天空装備は剣だけです。ただこの辺は時間を考えればあれこれ編集しても多少は仕方ないかなとも思います。問題はそれが最後の最後に分かってくることです。
     つまり本作は2重に問題を抱えていることになります。

    ○ドラクエ5ではないという問題(VRクソリメイク版ドラクエ)
     本作はウイルスとのたたかいという、最後のネタバレがされるまで、一応この世界がドラクエ5であるかのように進行していきます。しかし、どこかドラクエ5と食い違っていることが観客には分かってきます。
     まず幼少期がカットされて、スーファミのゲーム画面を映します。
     青年になっても登場人物が一部おらず、上で述べたようにグランバニア王国などが出ないので整合性が取れていません。
     そして何より、このゲーム、モンスターを剣で切ると消滅しちゃうんですよ…。データが消えるみたいに。倒したモンスターが起き上がって仲間になりたそうにこっちを見ている、という展開が出てこないんです。(ブオーンも倒さないから仲間にできた)。ドラクエ5だったらありそうもないでしょ? ドラクエ5のキモのひとつって仲間モンスターなんで。だから本作では仲間になるのは基本的に勝手についてきたやつらばかりで、最後に主人公が持っているのは杖じゃなくて剣。いや消滅したやつが復活して起き上がるんでもいいんですけど、とにかくそういうゲームじゃなくなっているんですよね。
     だから「ああ、これ(やっぱり)ドラクエ5じゃねえんだな……」と気づかざるを得ないように出来ています。
     しかもこれが非常に問題なのは、この原因がウイルスのせいではなくてリメイクだから(ゲームが違うから)とはっきり分かるのが、最後の最後なんです。
     これがどういうことかというと、幼少期カットやロボット(キラーマシン)とたたかいたいという要望を受けて、つまり「登場人物であるプレイヤー」の要望に沿って作られたから、このドラクエはみんなの知っているドラクエとは違うドラクエになったんだ、ということが終盤に明かされます。
     しかしそれは映画上の、つまり作品のクオリティを考えた編集というより、映画をうまくまとめられなかった編集にわざわざ設定を付け加えているようで、やや虚しく見えました。なんか言い訳してるみたいで
     本当にドラクエ部分が面白いと思って作っていたら最初からこれはVRリメイクのゲームです、と押し出したのではないでしょうか? みんなの知っているドラクエ5とはちょっと違うまとめ方をするけど、面白く作るよ! という格好にすればいいのですから。
     大体、ガチに子供の頃にやり込んだプレイヤーがこんなクソリメイク掴まされたらちょっとキレると思うんですけど、本当に大丈夫なんですかね。


    ○ウイルスの問題
     ぶっちゃけウイルスの説教の内容についてはどうでもいいです。
     この作品が何人かのレビュアーを困惑させているのは、この物語がゲーム世界だということとウイルスの存在とが一遍に来たからです。しかし、実際のところゲームとウイルスは別個の問題です。
     本作はVR描写を序盤から丁寧に織り交ぜて描けば、ウイルスがなくてもゲームであることは分かったはずです。そして、「このゲームが終われば現実に戻るんだ…それでもこの過ごした時間は本物だった」というあまりにも直接的なメッセージは、ドラクエ部分を魅力的に描けば十分に伝わります。観客だって映画を見終われば日常生活に戻るけれど、過ごした時間は本物で楽しかった、という満足感を得ることができますから。
     ではなぜウイルスという展開を持ってきたのか。
     終盤。ミルドラースを封印しようとしたとき、いきなり時間が止まってウイルスが出てきます。そして今まで観ていたドラクエ世界のテクスチャだのなんだのを壊します。さらに「お前はかつてドラクエ5を楽しんでおり、今はVRのドラクエをプレイしにきたのだ」という真実が明かされるわけですが、ここで観客は、主人公がドラクエ5の主人公ではなくドラクエ好き(?)のゲームプレイヤーであり、壊されていくゲームの世界を回復するという新たな展開を超速で理解しなければなりません。
     ドラクエはもともとゲームだから、これが仮想世界なのだという話が出てきても……まあ、分かります。しかしウイルスはたまたまゲーム世界を破壊しにきただけで、あえてドラクエを狙う理由がありません。するといくらその直後にプレイヤーを肯定されても「俺は(一応)ドラクエの映画を見ていたはずなんだが??」という困惑や「なにがなんだかわからない」という困惑の方が先に立ってしまいます。
     これ、どうも他で見るとラスト15分の出来事だそうです(笑)
     つまりクライマックスなんです。結局、敵であるミルドラースは出てこないんですね、ウイルスのせいで。最初からミルドラースの話をあれだけ出してたのに突然ウイルスを出したから、理解が追いつかないんです。
     レビューだとなぜかミルドラースの正体扱いされてますが、ウイルスマンにはあえてドラクエを攻撃する理由はないので(確かたまたまこのゲームが選ばれただけ)、こいつは本来、物語上の敵ではありません。大体ゲームとはいえウイルス対策をプレイヤー自らの手でやる必要は特にないですよね。そう考えればウイルスは敵ではなく、これがゲーム世界であることを観客にバラすための「仕掛け」だと分かります。このウイルスマン、ウイルスのくせにわざわざドラクエ5のスーファミソフトまで見せてゲーム世界であることを主人公に教えてくれています。/あえてウイルスを敵とみなすのであれば、観客に対する敵と見るべきですな。ドラクエを観ていたと思ったらなんか違う映画を始めるので。
     さて、ここまでくればウイルスを使った理由が分かりました。ウイルスはこの映画がゲーム世界であることを明かすための安易な仕掛けだったのです。確かにネタバレをしてくれる人がいた方が「ああこれゲームだったんだ」って分かりやすいですから。
     ただそれは必ずしも物語とは関係がありません。あの「大人になれ」っていうのは、ウイルスの意思じゃなくてばら撒いたやつのメッセージですけど、そいつは物語に絡んできませんし、解決には至ってないですよね。敵はむしろウイルスじゃなくてそいつになるんですが見逃されています。それにこんなリアリティ高いゲームでプレイヤーが自らウイルスにワクチン?(スライム)ぶっこまないといけないというのも、かなり危険度が高いって話にもなってくると思います。
     そういう意味でもクライマックスの怒涛の展開は無理があったかと感じました。

    ○良かったところ
     ビアンカやフローラの画像を指してボロクソに言われてたけど、動いてる画で観ると普通に良かったよ。でも結婚イベントはクソだったし、結婚ワルツもほとんどなかったような……あ、わたしはビアンカ派です。
     あとヘンリーが最後まで出てくるのは個人的にはちょっとうれしかったです。

    ○こうしてほしかったところとか
    ・ふつうにドラクエ5をつくってほしかった
    ・映画にはプレイヤーじゃなくて観客がいることをおもいだしてほしかった
     この2つは感じました。どっちかだけでも出来れば、普通の映画が作れたと思うんですが……。

     まあかなーりボロクソに書きましたんですが、映画の作り方がものすごくクソなだけで声優さんや3Dはがんばっているので、観る分には観られると思います。
     褒めている方のレビューもいくつか見たんですが、多分インパクトのある終盤を過剰に受け取ってるせいで、なんかものすごいものを見てしまった……みたいなところがあると思います。映画館でもそうでした。終わったあと、観客のみんなが漏らした第一声は「苦笑」でしたから。褒めている方はそこをがんばってポジティブに受け止めようとしているんだと感じました。
     最後の言葉はContinueYourAdventureだそうです。わたしらの冒険とつなげられても困るので、忘れようと思います。

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