ブスをキャラクター化する 『顔がこの世に向いてない。』
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ブスをキャラクター化する 『顔がこの世に向いてない。』

2019-09-02 20:48
    まの瀬『顔がこの世に向いてない。』ジャンプコミックス+

     買いました。

     この手のブスをキャラクター化する流れっていつくらいから始まったのだろう。それもブスでも恋愛ができるという話じゃなく、ブスだからあえて主人公に据える、みたいな。あ、わが国の古典を紐解くのは禁止でお願いします。なんでも揃ってそうだから。
     しかしこの漫画、とにかく枠組みが古い。
     そもそもブスがこの世に向いてないのはなぜかといえば、それは美人=男に気に入られるかどうかが重要だからである。
     ちょっとわたモテと比較してみよう。初期のわたモテは喪女(モテない女性)を指して叩かれていたのだが、実際の内容は喪女どころかぼっちや今で言う陰キャをあざ笑っておきながら、がんばって男に媚びていたのにめちゃくちゃ失敗しまくる滑稽なキャラクターのコメディ漫画だった(その後、男ではなく女にモテてるのはある種この漫画の路線が一貫している証拠ではなかろうか)。
     ところが顔世の場合、ブスコンプレックスを癒やすために、男の愛情が持ち出される、ということになる。大丈夫なのかジャンプ編集部! と言いたくなってしまうのだが、この男の子である北見一八くんの愛情は主人公の野宮のコンプレックスを刺激するだけで、マジでほとんど役に立たない。つまり、ブスである自分を決定的に肯定してくれる男の子(北見くん)がいて、その周りのキャラクターが解説することで、こんなにこじれてしまったのはなぜなのか、という一応半青春漫画になっているわけである。半青春漫画と言ったのは、あとの半分はブスを始めとして他のキャラクターもアホみたいに戯画化(キャラクター化)されているギャグ漫画と化しているからである。/主人公の野宮の友達の成島(ルーシー)は、恋人が二人で立ち寄りそうな喫茶店に画的に先回りできる「デートの行き先を事前に知る能力」があります。これには特に説明がありません、なんでだよ。

     じゃあブスのコンプレックスってなんだよ、ブスのキャラクター化ってなんだよ、という話になりますね。
     ぶっちゃけ野宮は絵を見てもそんなにブスという感じではない。ただ他のキャラがブスと言っているだけである。だからこれは学校中からイジメられてきたので、陰キャの立ち位置になってしまい、野宮をブス呼ばわりしてもオッケーになってしまった世界だと考えられる。
     作中では北見くんの妹がデート中にいきなり出てきて野宮をブス呼ばわりして逃げ帰っていく。このとき、北見妹(北見七三)は初対面だ。この他にも北見くんの幼馴染で野宮の元イジメ首謀者の安倍や北見くんの友達の河合も、軒並みブス呼ばわりを仕掛ける。こんなことは普通に考えてありえない。仮にガチでブスだとしても、初対面や初感想でブス呼ばわりする人間が多すぎる。
     これ実はデブでもハゲでも構わないのだが、キャラクターを成立させるために、人を侮辱しても構わない舞台を用意しているのである。別にブス呼ばわりしても何かしらの制裁を受けることはない。ただ野宮がコンプレックスを刺激されてますますこじらせ、彼氏となった北見くんが困った結果、周りの人間がオロオロすることにはなる。でも、ブスをブスって声に出して吐き捨てるような真似はほとんど見ないけど、女に点数つけたりデブハゲチビ呼ばわりもネットじゃ溢れかえってるし、それで制裁なんか受けないじゃん。
     こうなると、ブスのキャラクター化とは人を侮辱しても構わない世界の戯画化、ということになる。このとき人に必要なのはそれでも前向きに生きることだろうか? 誰かには必要とされているという安心感だろうか? まあ世界が変わんない限りどっちも裏切られるんですけどねってことまで描いてあります。

     あと北見くんはちょっとおかしいです。

     やっぱりコンプレックスいじりするテレビのお笑いはダメなんじゃねぇのかな?(カバー下の感想)
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