楽しい読書感想文 2020夏
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

楽しい読書感想文 2020夏

2020-08-15 11:42
    〇みなさんこんにちは。
     今年も楽しい読書感想文の時期ですね。
     昨年も読書感想文について書きましたが、それから楽しく読書感想文は書けましたか? こんなご時世だから、読書なんかしなくてもよいんじゃないかな、私はそう思います。

     ところで、昨年とは違った角度から、読書感想文について考えてみます。というのも、昨年も、そして今年もこの話題を眺めてみると、「作文や小論文はマシだったが読書感想文はどうも苦手」「本を読むのは好きだが、なぜ読書感想文を書かせるのか」と憤る人がチラホラ見え、読書感想文は様々な国語の課題の中でもとくべつ、嫌な文章を書かせる課題に思えるからです。
     これは不思議なことです。
     国語が好きで(つまり課題を出すことにもそれほど抵抗はなくて)、あるいは読書が好きな人の中にも読書感想文には苦手な意識があるのかもしれません。
     昨年は読書感想文の指導やテクニックから、読書感想文とは何をする文章なのか、ということを無理やり読み解いてみましたが、今回はもう少し別の文章と比較して考えていきましょう。

    〇読書感想文とブックレビュー
     読書感想文にもっとも近い文章はブックレビューかと思います。しかしこの二つは、単語から調べてみると、かなり意味が違うことが分かります。
     わたしはここで、辞書を引いて読書感想文とブックレビューを比較してみることにします。(ここでは岩波国語辞典とジーニアス英和辞典を使います)
    読書:本を読むこと。
    感想:ある物事に対して心に生じた、まとまりのある感じや考え。所感。読書_文。
    book:本。書物。著作。
    review:①見直し、再検討。②批評。論評。書評。a book review
     つまり、読書感想文が「本を読んで心に生じた考えを書き付ける文章」であるのに対し、ブックレビューは「本の批評=書評」であることに注意してください。これは批評が、国語の辞書で「よい点・悪い点などを指摘して、価値を決めること。」と書かれていることからもはっきりと別の内容を持った文章であることが分かります。
     さらに面白いことに、読書感想文は「本そのもの」ではなく「本を読むこと」に力点が置かれていることに注意してください。
     読書感想文の「ある物事」とは本の内容や本の良し悪しではなく、本を読んだ「体験」のことを指していると考えるべきでしょう。私は昨年、あなたの体験を書くことが重要だ、と書きましたが、まさに読書感想文という言葉自体にそれが含まれているのです。

    〇読書感想文は自分語りをする文章?
     さて、読書感想文とブックレビューを比較すると、本を扱いながら全然違った文章であることが分かりました。それどころか、読書感想文に至っては本がメインではなく、自分の体験感想がメインだ、ということです。
     つまり読書感想文とは、本を媒介にした「自分語りをする文章」なのではないでしょうか。
     これをブックレビューと比べて考えてみましょう。
     あるレビューにおいて、レビュアーの体験はその商品の良し悪しをはかるための大切な要素ですが、主軸ではありません。実際に使って確かめてみた結果を評価につなげていきます。ブックレビューであれば、引き込まれた場面や登場人物・キャラクター、あるいは内容が多いか少ないか、装丁や本の重さだって判断材料になるでしょう。(たとえば受験用の単語帳が大きくてかさばるんじゃいけませんからね。)
     もちろん、自分の体験だけを書き連ねて本の内容にまったく触れないレビュアーもいるかもしれませんが、そういったレビューは悪質な、というか、「よい点・悪い点を指摘して、価値を決める」という原点を忘れた書評にすぎません。
     読書感想文ではどうでしょうか。
     本の内容はもちろん大切な要素です。しかし、重要なのは本を読んで感じた考えが書かれているかどうかです。極端な言い方をすれば、本の内容を正確に書いて評価をするよりも、それが自分の体験や考えに結び付いているかが重視されています。いちいち本の内容を細かく書いて原稿用紙を埋めても「感想」に結びついてなければ先生は評価しないわけですよね。
     これはレビューとはまったく真逆で、本の内容や本の良し悪しよりも、自分の体験と感想を重視する態度につながります。これは結果的に読書感想文が「自分語りをする文章」であることに繋がっています。

     この時、なんで読書感想文は本の内容や本の良し悪しはなんで問われないのか、気になるでしょう。
     それがおそらく課題図書の存在だと思います。
     先生方は課題図書を使って一括で本の内容を確認できます。提出された読書感想文を読んで、本の内容を間違って読み込んでるかどうかを判定できますね。指定してあるので本の良し悪しもそこまで悪いものだとも問われません。
     これで安心して「自分語り」に集中できるってわけです。

    〇読書感想文が苦手な理由
     これで段々と読書感想文が苦手な理由が分かってきたんじゃないでしょうか。
     読書感想文で判定されて評価されているのは、「自分語り」の部分であって、本をいかにうまく読み込んでいるかではないんですよ。
     小論文であれば、あるテーマに対して適当な回答を論じればよいし、読書が面白い人はいるでしょう。しかし、いくら面白い本でもそれを道具に「自分語り」をして、判定されるのが「自分」というのではなんか気分が悪くなります。/これ、昨年も似たようなこと書きましたね。
     ではこの「自分語り」への拒否感があるとしたらどうすればよいのでしょうか?
     これはもう、今年は本の内容と本の良し悪しに徹底してこだわりぬくことをおススメしたいです。おれは自分の話がしたいんじゃなくて、本の話がしたいんだよ、とばかりに、徹底して本の内容について書きましょう。最後に読書感想文を書かせる先生はおかしいとでも書いておけば感想はバッチリです。

     こうしてみると、時々言われる「あとがきだけ読んで書けばいい」とか「あらすじだけ読んで書けばいい」と言った解決方法は王道に見えますね。感想じゃないじゃないか、と思っていましたが、結局、それで「自分語り」の部分が書けるかどうかが問題なのですから。
    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。