ゲームに理不尽さをどう組み込むか リセットペナルティ、キャラロスト
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ゲームに理不尽さをどう組み込むか リセットペナルティ、キャラロスト

2015-05-12 19:33
    A:栄冠ナインを飽きっぽい自分が腐るほどやって目を潰しそうなほど睡眠時間を削ってしまっている時期があったのだが(Vitaのケーブルがどっかいったので今遊べていない)、なぜこんなに面白いのかを改めて考えてみると、いくつかの理不尽さが仕掛けになっていることに気づく。その最大のポイントは、十分にキャラが育っていない内に現れる強豪校の存在、である。栄冠ナインはキャラクターを育てながら甲子園の春夏連覇を目指すゲームなのだが、その育てるのに一番良い場面というのは、まさに試合なのだ。試合では大幅にパラメータが上がり、個別の能力に加えて信頼度も上がる。加えて、試合に勝つことで学校としての評判があがり、パラメータを上げやすくなるグラウンドレベルもあがる。逆に、ここで理不尽な強豪校の存在が現れ、それも地区大会の一回戦で出てきてしまうともう立ち直れない。学校の評判がガタ落ちになり、グラウンドレベルも下がり、キャラを満足に育てられない負のスパイラルに陥ることになる。
     しかし、この理不尽さに加えて、リセットペナルティについても上げなくてはならない。これはリセットをしていい目を引き直そうと再開すると、「悪いうわさが流れています!」とマネージャーから言われて、評判、キャラの能力などが一気に落ちてしまうペナルティが科されるというものだ。実はこのリセットペナルティというものは、ゲームが止まったり、うっかりボタンを押し間違えてリセットになった時でも発生するものらしい。悪い目を引いてもそれを我慢して引き受けないといけないよ、という制限と歯止めになっているわけだが、リセットボタンが押しやすいゲーム機だと本当にクソなシステムだともう3回も憤慨させられている。

    B:さて、一方でリセットが出来ないこのゲームでは、代わりに絶対的なゲームオーバーが存在しない。我慢してプレイしていれば、また天才型やOB選手など、能力値の高いキャラクターが加入することで巻き返しを図ることができる。それが長く続けてしまう例なのだろう。また一年、いや十年も続けていれば、新入生でいい選手が加入してくるのでは…! という期待が、リセットさせずにプレイさせる動機になっている。
     それとは対極的に、リセットをさせるゲームがある。良い目を引き続けるためにセーブ&リセットを繰り返させる、キャラロストのあるゲームだ。もちろん、これにはゲーム上の強弱はある。特定条件下で戦闘不能になるとキャラロストだとか、死亡すれば問答無用だとか。たとえばFE、たったの3%しかないのに敵の必殺が決まってキャラロスト、敵の範囲を見逃していてタコ殴りされてキャラロスト、確かにそのまま進めるプレイもできるだろうが、わずかなミスを突かれて殺到される様は理不尽さすら感じる。FEにはキャラロストはあってもリセットペナルティがないのだが、もしそんなものがあったらたちまち攻略不可能でニューゲームを強制されることになりかねない。
     リセットペナルティとキャラロストは、別方向での強要がある。片方は悪い目を強制させ、もう片方は良い目を引くまでやり直しを強要する。しかし、どちらも面白い。双方は互いに別方向の仕組みであるが、理不尽さを如何にしてゲームに組み込むか、という点で作用していることに違いはない。

    C:ところでキャラロストは昔ながらのRPGでは一般的であったらしい。しかも昔のゲームにはセーブがそもそも存在していないこともあった。つまり本来のゲームは理不尽な強敵に出くわしてもそれを我慢してやり直ししなければならず、栄冠ナインのリセットペナルティも真っ青の状態だったわけだ。/むしろセーブ&ロード(リセット)が簡単にできるようになったことで理不尽さの強要が緩和され、キャラロストがシステムとイベント(物語上の死)に分けられるようになったとも言える。死んで当たり前の世界での死と、死ぬことが回避できる世界での避けられない死は、物語上の位置づけが変わってくる。
     このことはゲームが理不尽さをゲーム性の拠り所にしかけていた時代から、理不尽さをどうやって楽しむ要素に組み込むかという時代に変わったと言えるのではないか。リセットペナルティやキャラロストは、最近のゲームではあまり喜ばれないシステムであることは確かだ。わざわざ導入する最大の理由は、「理不尽な強敵」とのたたかい、苦労して頭を捻ってたたかって勝利した時の興奮感がたまらないからだろう。栄冠ナインでも、すべてのパラメータがAになっている強豪チームに食らいついて逆転勝利をした瞬間など楽しくて仕方がない。理不尽を避けられるゲームが作れる時代に、どうやって理不尽さを組み込むのか、ゲーム製作者も楽しんでいるに違いない。
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