無職転生・二次創作小説「エリスは流石だった」~エピローグ~
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無職転生・二次創作小説「エリスは流石だった」~エピローグ~

2015-04-27 17:38
  • 14

それからの事を、ここに記しておこうと思う。

あの後、俺はシルフィとロキシー、家族に謝った。
みんな、俺を抱きしめてくれた。本当に申し訳ないと思った。
驚いたことに、ナナホシが混じっていた。
彼女は涙目で、俺の手を握った。…別に他意は無いだろう。俺もジジイだし。

エリスの部屋に案内されると、そこには時間のスケアコートがいた。
どうやら、俺が寝込んでいる間、ずっとエリスの時間を停止させてくれていたらしい。
ペルギウスはナナホシを目覚めさせると、事情を話し、スケアコートとナナホシを俺の屋敷に送り出した。無粋な氷魔法よりはと、奴なりの、せめてもの手向けだろう。

俺は、息を引き取ったままの時で止まっているエリスに、サヨナラのキスをした。
少し暖かく、柔らかかった。…ちょっぴり汗臭かった。

そこから、急いで葬儀の支度をした。
各地に報を飛ばすと、アスラ王国、ラノア王国が国葬扱いをすると返信があった。
俺はそれを断り、シャリーアでエリスを送る事にした。

葬儀にはかなりの人数が参列してくれた。
各国の大使たちや、ルード傭兵団の幹部。ルイジェルド親子。
剣の聖地の面々。水神流の剣士達。北神親子。アトーフェまでいた。
やはりというか、一番多かったのは、アルスの弟子達だ。
彼らはエリスにも師事していた者が多く、こぞって参列した。

ザノバ、ジュリはもとより、今では大教皇になったクリフまで来てくれた。
エリナリーゼは相変わらず若いままだった。純粋な長耳族だから当然だ。
ザノバは俺を見るなり、抱きついてきた。
普段は謹言実直な癖に、感情が昂ぶると派手な行動をする。
だが、今回は優しい抱擁で済んだ。…コイツも大人になったという事だ。

告別式では、驚いたことに、ペルギウスが来てくれた。
……つーか、迷惑だった。
わざわざ、威容を誇るケィオスブレイカーで来やがった。
……宇宙人かアイツは。スミス!スミスはおらんのか!!
まぁ、お陰で、葬儀にも箔が付いたって感じだが。

さらに、ペルギウスは弔辞まで詠んでくれた。
あとで聞いた話によると、なんでもアスラ王だった戦友のガウニス・フリーアン・アスラの葬送の儀において詠んだ、由緒ある弔辞らしい。
内容はよく覚えていないが、素晴らしい弔辞だった。

……ええ、そのあとに挨拶をする事になった俺からしてみたら、いい迷惑でしたが。

ペルギウスは去り際に「お前の葬儀に、我は来ないぞ。三度も詠みたくない」と俺に耳打ちした。案外、アイツも人間味があるんだな。

葬儀が終わり、人の波が引いた頃、俺と一族郎党、近しい人間だけで、エリスを送る事にした。孫娘のアリスは、最後にエリスの頬にキスをし、フェリスの手をペチペチとエリスの頬に触らせていた。
……これで、赤ママと本当のお別れだよ、フェリス。

それではと、俺が皆に声をかけ、火魔法でエリスの遺体を焼いた。
巨獣となったレオが、遠吠えを上げる。
空に立ち上る煙に向けて。遠く細く、いつまでも響く声で。
リニアが「聖獣様が、泣いているニャ…」と寂しそうに呟いた。プルセナも涙ぐんでいる。

しばらくして、綺麗な骨が残る。年齢の割に、しっかりとした骨格が残った。
それを土魔法で作った骨壷に入れ、ジュリの作ってくれた化粧箱に仕舞う。
それから、墓地に向かい、グレイラット家の墓に埋めた。
それからみんなで黙想をして、解散した。

自宅では酒と食物を用意して(近所のおばちゃん達が手伝ってくれた)、みんなで騒いだ。
アルスはベロンベロンだ。アイツ、ママっ子だったからな。弟子に羽交い締めにされてら。
高弟達は、次々と俺に挨拶に来た。
「大師傅には、ひとかたならぬ恩義が……」とかなんとか。
剣神流のニナ、水神流のイゾルテも来てくれた。二人共、肩を落としていたが、思い出を語るうちに笑顔を見せ、最後には嗚咽をあげて泣き出し、抱きしめ合って泣いていた。
━━━みんな、エリスの事が大好きだったんだな。良かったな、エリス。



葬儀の日から数日は、誰かしら顔を見せていたが、一週間が過ぎ、二週間が過ぎ、一ヶ月が過ぎる頃には、皆、平常の毎日に戻っていった。

我が家はというと、相変わらず子ども達は走り回り、保母アリスの大声が響き渡っていた。
フェリスはハイハイを始めた。アルスやクリスよりも早いかもしれない。
ニナやイゾルテも、この子は才能があると言っていた。
アルスは自分の弟子にすると息を巻いており、50近いのに鍛え直すと宣言していた。
エリスも70を超えても凄い鍛えてたし、アルスも剣王2~3人程度じゃ相手にならないぐらい今も強いから、きっと、エリスの夢を叶えてくれるだろう。
あ、でもフェリスが剣の道以外に興味を持ったら、俺は本人の意思を尊重するけどね。

シルフィは自宅に併設した「グレイラット治療院」を切り盛りしている。
ロキシーは魔法大学の校長。その傍ら、俺の研究を手伝っている。

最近、三女のリリが帰国して、彼女も俺のプロジェクトに参加してくれることになった。
彼女はザノバの魔法人形の機巧を習得し、独自に色々と開発している。
俺の魔導鎧にも昔から興味深々で、それの改良にも色々参加していたから、きっとその方面から良いアイデアをだしてくれるだろう。
なにせラプラスやヒトガミと戦うのは俺じゃない。オルステッドと救世主のララだ。
俺以外でも動かせるような魔導鎧を早急に開発して、少しでも彼女たちの手助けが出来るメンツを増やしていかないとな。

俺はというと、エリスからの助言で、ブレイクスルーできたアイデアがあった。
最近はずっとそれにかかりきりだ。かなりいい具合に研究は進んでいる。
まぁ、俺が結実させなくとも、リリがやってくれるだろう。
あとは、次世代の奴らに託す事にしよう。俺は俺の仕事をするだけだ。

ヒトガミの動きは、あれからも一切ない。
エリスに童貞呼ばわりされて赤っ恥もかいたし、なんらかの嫌がらせでもあるかと思ったが。
案外、アイツ器小さいからな。
まぁ、そのうち俺もあそこに行くだろうし、慌てる事はない。

エリスが、俺を待っていてくれる。
それだけで、今日も生きられる。

いずれ、シルフィやロキシーを置いて、俺は死ぬだろう。
それが、少し寂しい。
でも、人はいずれ死ぬ。カタチあるものは壊れる。諸行無常。海砂利水魚。
……なんか違う。

その時はその時だ。
それまで、精々家族みんなで楽しくやっていこうと思う。




俺はそこで筆を止めた。
両手を頭上に突き上げ、伸びをする。
首を左右に振り、コキコキと音を鳴らす。

さて、今日は月イチ定例の実験日だ。
ペルギウスの所に行くとするか。
ジークも待っている。
ナナホシに、ポテチとおにぎりを持って行ってやろう。
アイツ、ウチのポテチと米がお気に入りだからな。

ナナホシの喜ぶ顔を思い浮かべながら、俺は立ち上がる。
杖を手に取り、ローブを羽織り、出口に向かおうとする。
そこで立ち止まり、壁に掛かっている肖像画を見つめる。

赤い髪の女性。
強い意思を感じさせる眼差し。
エリスの肖像画。

それを見る度、未だ胸が締め付けられる。
だが、俺は立ち止まらない。進むしかない。

指先で、そっとエリスの輪郭をなぞる。

「じゃ、行ってくるな、エリス」
そう呟き、俺は研究室から出た。

それから俺はキッチンに向かい、頼んでいたおにぎりとポテチを手にする。
外に出て、犬小屋を覗く。
「シロー、外まで頼むな」
小屋の中には、アルマジロのシローが丸くなっていた。
ジローの孫だ。
シローはのそのそ外に出てきて、俺に腹を見せる。愛い奴め。

俺はシローの背中に乗り、ゆったりと街の外に向かう。
抜けるような青空を見ながら。



━━━行ってらっしゃい!ルーデウス!



そんな声が、聞こえた気がした━━━。






         ー完ー





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他4件のコメントを表示
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正直に号泣しました
1年遅れですが
このような作品を作ってくれて
ありがとうごさいます
45ヶ月前
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>>ぴーちゃん様

。゚(゚´Д`゚)゚。泣いて頂けましたか。閲覧ありがとうございます!コメントありがとうございます!
泣いてくれる方が結構いらっしゃっるみたいで、私としても感無量です。
無職転生が終了して、思い入れの強い時期に書いたもんで、自分でも涙が止まらなかったくらいのめり込んで書き上げました。今読むと未熟な文章の書き方をしてますけど、一番「好き!」っていう気持ちを込めた作品かと思います。
流石に、本家終了直後に書いたので、その後の設定とズレはありますけど(ズコー

一年過ぎても、閲覧してくださる本家ファンがいらっしゃるのがわかって、私も嬉しかったです。
閲覧、本当に本当にありがとうございました!
今現在はのんびりと、ルーデウス没後の時代を書いてます。
ララが主役です。どう考えても、孫の手先生の作風と別物になってますが。
45ヶ月前
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ううう、キャラが生きてました。ありがとうございます。ぅぅ。これが無職転生って感じです。ああぁ、エリスーー!!魂が溶けるように消えても意思は消えないと信じてる!くっはぁ!いやホント、最文体もホント、原作と似てて、、ありがとうございました(T_T) エリスーーーー!!!
32ヶ月前
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>>リョウ様

(店`ω´)ううう、キャラが生きてましたか。死んでますが(ちげーよ)。
カチューシャの下りは荒唐無稽かもしれませんが、エリスですから。これくらいやってくれるでしょう。だってエリスですから。
原作の無職転生が終了してほんの一週間程度の期間をおいて書き出したので、蛇足編まである2017年六月現在にしてみると、設定の違いはあるけれども、些細なこととしてスルーしてください(/ω\*)
でも、当時のエリスとルーデウスの二人への「大好き!」という気持ちを一生懸命心を籠めて書き上げたので、自分にとって最高に最高の作品と言えます、この「エリスは流石だった」は。
最後に、閲覧していただき、本当にありがとうございました。
32ヶ月前
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蛇足編が完結し、無職転生ロスのまっただ中でこの作品を知りました。
蛇足編やジョブレスとの設定の差はありましたが、文体とキャラ描写、ともに本家の世界感を一切損なっておらず、すんなりと受け入れることが出来ました。
これで私もエリスの死を受け入れることが出来ました。なんていうか、自分の中のエリスが成仏してくれました。w
本当にありがとうございました。


29ヶ月前
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>>ゲスト様

(店`ω´)閲覧ありがとうございます!久しぶりのコメントヒャッホイです。
蛇足編、とうとう完結しちゃいましたねぇ……。僕もしばらくの間は無職転生ロスでした。無職というか、前世からずっと追いかけていたルーデウスという一人の人物の物語が幕を閉じたという事に対する寂しさですね。彼らの物語は、もう文字で読めないけれどどこかで続いている。でも我々はもう読めないんだよなぁ…もう会えないんだよなぁ、というもどかしさ。語り尽くせぬ万感の想いですよね。
この「エリスは流石だった」は本編終了、エリスは既に亡くなっていた、という衝撃的な部分に数日眠れなくなった僕の悶々を吐き出すために書きました。ルーデウスより先に逝ってしまった。残されたルーデウスの気持ちを考えるだけで、僕は夜も眠れなくなりました。でもエリスが死ななかったら……というifでは無く、原作を尊重して、失われたルーデウスの三日間の記憶を描いてみることにしました。結果、ルーデウスは救われ、僕の心も救われました。ここでもコメントして下さった方も仰るように、読んだ人の心も救い、エリスは成仏していったと思います。やっぱり、エリスは流石だった、と思います。

書いたのは無職終了直後の蛇足編すら無い頃ですので子供達の設定とか全然違いますが、楽しんで頂けたのでしたら僕も幸せです。閲覧、ありがとうございました!
29ヶ月前
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Twitterでは書ききれないため、こちらに感想書かせていただきます。
原作と変わらない雰囲気でキャラが生きていて、
きっとエリスはこんなふうに亡くなったんだろうな、と思えました。

エリスの思いの強さが形になる場面、流石ルーデウスねという台詞、
ああ、エリスだな、しみじみ思えました。

以下、流れに沿った感想を

エリスが剣を振っていていつも通りだな、と微笑ましく思い、
ルーデウスがジジイになっていて え?あ、もしかして…と嫌な予感がし、
エリスが倒れたところで やっぱり…と気持ちが沈み、
ルーデウスが慟哭することで その思いの大きさを知り、気持ちが落ち込み、
ヒトガミが出てきてエリスに迫る所で 怒りと心配が、でもエリスなら…と期待感。
そしたら愛剣が復活、そしてヒトガミを罵倒、超カッコイイ!
挙句の果てには童貞呼ばわりw
そして消えていくエリスとルーデウスとの誓い、、 目が熱くなりました。
最後の、いつものエリスの言葉。

良かったです。読めてよかった。
ありがとうございます。

エリス、流石ですね。
22ヶ月前
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>>11様 コメントありがとうございます!

(店`ω´)読み手のその時その時の気持ちを書いて頂けると、こっちもそっかそっかー、感じ取って貰えたんだな~嬉しいな~ってじんわりします。この作品は無職転生が完結してすぐに書いたものなので、僕のその時の想いが一番こめられている作品です。本当に泣きながら書いてましたし、泣きすぎて熱を出したりしました(知恵熱?)。
原作がそれくらい僕の心に衝撃を与えていたし、ただの文章として整理する事が出来なかったんですよね。
今回こうして二次小説として、行間を深読みした形で書いてみて、心の整理ができました。僕の中の無職転生、エリスとルーデウスはやっと手を取り合って転生してくれたんです。書いて良かったと思うし、読んで貰えるのが本当に幸せです。
閲覧、ありがとうございました。良ければ他の作品もご覧になってくださいませ。 
22ヶ月前
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読んだ。ありがとう。
12ヶ月前
×
>>13

( ˘ω˘ )読んで頂けた。ありがとうございます。
12ヶ月前
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