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哲学随想を試しに書いてみる。41
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哲学随想を試しに書いてみる。41

2015-05-28 17:09
  • 10
無垢な子供の精神力というのは、知性の大人のそれとは違い、どこか生命力的である。

 生命的である、ということはすなわち、草木が萌える、といった「萌え」の字義どおりに、生物的であり、さらには動物的である、ということである。
 キルケゴールなどは、キリスト教的思考の伝統から、人間と動物の間にははっきり線引きをしていたので、無垢を動物の本能性や習性に比することは最低限に止めていたのではあるが、
 そこをさらに踏み込み・・・

 生命の平等の観点から、幼児の無垢の状態を、人間の知能と動物の本能の中間の状態、とみなすことへの是非、

 ・・・を、問題提起として提示すること、くらいならば許されるのではないだろうか。

 事実、無垢には知能という概念の深浅についての対立項といえる、
 賢明と愚劣、
 などは決して当てはまらない。
 無垢な幼児を愚劣だ、とみなし怒り苛立つ人はそこのところをしっかり知っておかなければならないだろう。
 無垢にあるのは、ただ、
 純粋か不純か、
 だけであって、それゆえ無垢なものの認識に理解、というものは実は無く、ただ、そこには学習、があるのみである。

 動物の習性や本能どうよう、
 無垢は無知なのである。

 刑法における刑罰の対象外を規定する「責任能力の有無」なども、ひとつの根拠はこれである。量刑や刑罰は対象の善悪の有無を前提とするが、善悪は前回の原罪を経た無垢の帯びる理智を土台とするものである以上、善悪以前、すなわち理知以前の無垢の行為の悪を測り量刑することは不可能なのである。

 そこは善悪の彼岸の領域である。

 善悪の及ばない領域で荒ぶる、不純の極みの無垢をこそ、鬼、と言う。

 ちょうど、荒ぶる無垢の神・素戔嗚尊が高天ヶ原から追放されたように、鬼はその善悪を量られることはなく、裁かれることもなく、人間や神の領域からただ追い払われ、退治されるしかない。
 そこが、悪心によって堕落し神に裁かれコキュートスに繋がれた堕天使である、悪魔などと鬼が異なる根本である。よって、鬼は善でも悪でもないから罪に染まることもなく、それを清める罰もまた意味がなく、どころか、地獄で刑吏をやったりもする次第になったりもするのである。

 無垢の地平は、知性の地平の対立項である賢明か愚劣か、によってではなく、純粋か不純か、という対立項で示される、と先に言ったが、その地平とは、キルケゴールの指摘によれば、
 霊性の地平、である。
 霊性の霊、とは知性や理性では到底捕えがたい領域ではあるのだが、これまたキルケゴールの指摘では、それは

 肉と精神、の中間者・媒介者もしくは止揚統一、

 として見出される。むろん、この肉、とは「キリストの受肉」などでいう時の、肉、である。
 一方で、魂は物質と精神の中間者・媒介者もしくは止揚統一であり、やはり知性や理性の領域をはみ出し、霊性の領域にかかる。
 
 「三つ子の魂百まで。」とか、「人間三才までは神のうち。」などという我が国のことわざはだいたいそうした無垢と霊性との関係性を端的に捉えているのである。

 子供、もしくは、知性の領域から脱落する老人、において至る無垢、すなわち霊性においては、神・天使・悪魔・鬼・仏などは実存主義や観念論の実存認識が実存を捉えるのとさして変わりのない「実存」と言え、知性理性がそうした霊性認識に対し驕ることは決して褒められたことでもない。(平たく当為表現すれば、青少年も中壮年も幼児や老人に対し驕るべきではない、というだけのことである。)


 そうした神魔鬼仏の霊性(無垢)の領域から、原罪・罪によって人は知性の領域に至り、人となることは前回に見たとおりだが、

 ここで、人が知性の贖罪を前に見るか、後ろに見るか、

 それにより死に至る病、絶望・虚無への道を歩み出すか否かが、決まる。


 前回は、無垢(霊性)から見た智(知性)こそが不安なのだ、という結論だったが、
 今回は、無垢が無知であることも踏まえて逆に、

 
 智(知性)から見た無垢(霊性)が虚無なのだ、


 と、言わなければならない。
 虚無とは、もはや罪・原罪に阻まれ帰ることのできない無垢に対する、知性の後ろ向きな憧憬なのである。
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×
知恵を持ったから純粋に帰れなくなった
Edenのリンゴ
とかですかね。

たしかに私も、純粋になれって言われたって
心の中には不純がある以上、決して真の意味で
真っ白にはなれない。
難しいもんですね。
72ヶ月前
×
でも、虚無とか死を黒って例えるなら
知恵があったほうが理解できますよね。

自殺っつー馬鹿な真似した俺は
限り無く黒に近い経験はできたんで
やっぱ物事は経験、そしてそれをもとに
思考だと思います。
72ヶ月前
×
 知性が無垢に還る正当な方法は、原罪のほうはキリストが贖った
のであってみれば、それに倣って個々の罪を贖う、償うということ
で、それで彼の地には神父・牧師さんへの罪の告解・懺悔という
習慣・伝統があるわけで、正義や善行のすすめも全てはそれに繋が
っている、とも言えますね。仏教圏の自分たちはそもそも無垢以前
の無にアプローチをかけ、無垢な巫女さんに穢れを祓ってもらう
わけですが。

 それを理知でもって無理に時計の針を戻し、無垢・霊性に還ろう
としたのが虚無主義の狂気なのであってみれば、それはそもそも
からして理知の自殺、自我の自殺とも言えるのかもしれませんね。

 知恵の実を食べてしまったのはしょうがないから、普通に罪は
罪と認め頑張って善悪の地平で善を目指し、賢くあるべく努めた
いものですねー。
 言うは易し、ですけど。
72ヶ月前
×
>荒ぶる無垢の神・素戔嗚尊

なるほど! とピッタリくる表現ですのぜ!
スサノオさんは、高天原で色々やんちゃをしたけど、そもそもそれを受けて「天つ罪」(田んぼの畦を埋めたり、など)が出来たような流れがあると思いますのぜ!つまり、スサノオさんが高天原で荒れる前は、「天つ罪」が制定される前の話であったがゆえに、断罪も出来る状態やないわけですな!
追放後、大泣きをして「母(イザナミ)の国である根の国に行きたい」というところからも、「荒ぶる無垢」の面がハッキリでているのぜ。

そのあと、オオクニヌシに試練を課すあたりでは、すでに「知性」がある状態なんやろね!その象徴がおそらく、「生太刀、生弓矢(イクタチ、イクユミヤ:スサノオの武力、政治的支配力の象徴とされる)」と「天の詔琴(アメノノリゴト:スサノオの宗教的支配力の象徴とされる)」ということかもしれんね!そしてこれらはオオクニヌシに引き継がれ、その支配力となるんやね! …という、古事記解釈をしてみたのぜ!
72ヶ月前
×
 とまと船さんコメありがとうございます~
 明らかに素戔嗚尊の八岐大蛇退治は贖罪ですよね。

 八岐大蛇が呑み込むはずだった姫の名は櫛稲田姫(クシナダヒメ)と
言って櫛のように整えられた稲田、を意味することからも、天の田んぼ
の畔をめちゃくちゃにしてしまった素戔嗚尊が地上の田んぼにそうした
ことをする祟り神・八岐大蛇(=大洪水)と戦い鎮める、ということは
見事に符合してますしねー

 このあたりの話は、古代から続く環境破壊とそれによりもたらされる
因果応報としての厄災とその克服、という人類最古の物語「ギルガメシュ
叙事詩」やあの「もののけ姫」(「もののけ姫」の舞台も出雲のある、
タタラ製鉄の本場、中国地方)にも繋がっていく深淵なテーマなのです
が、その大国主命に引き継がれた「生太刀」に当たる後の三種の神器の
ひとつ、草薙の剣である「天の群雲の剣」がその森を殺した人間への
祟り・八岐大蛇の尻尾を切り裂いたときに出てきた、ていうことにも
やはり深い意味があるんでしょうね。
72ヶ月前
×
なるほどです! 勉強になりました! スサノオさんは、天でやったことを地で贖ったんですね!
クシナダヒメさんの名前も確かに、よく見ると「稲田」やもんね!

お返事・ご解説ありがとうございますのぜ~!
72ヶ月前
×
パズドラやメガテンで知ってた神々の物語の背景には
ここまで深い意味があったんですね。

お二人の話、すごくためになりました!
72ヶ月前
×
連絡!
私の記事にあった、一般の人の写真使用を
荒らしに指摘され、運営に通報。
私は一ヶ月記事が書けなくなりました。

なので、コメント専用になります。
ま、おれからしたら、声優さんの写真張ってたのを
指摘されない時点でちぐはぐなんですけどね。

ま、死にはしないし趣味に没頭できるので
おきにせずに。
72ヶ月前
×
はい了解しましたー。

まあ、言葉を出せないときもそれはそれで思索を深めるいい機会
だと思いますから、復活したときのためにネタをぼちぼちためて
おき、なおかつ、その元ネタの元ネタの元ネタの・・と古典的に
遡及し一般化していけば、なお説得力が増すと思いますよー

 こちらも、仕事が忙しくてロランさんの投稿ペースについて
いけなかったりもしましたし、過去記事をじっくり読みつつコメ
もしますよー。
72ヶ月前
×
すみません、投稿のペースについては
友人にもよく
お前早すぎる、落ち着け!といなされてましたw

最近、買ってた小説などを消化できてなかったので
それを読んで、物思いにふけったり
最近哲学出来てなかったのでいっぱい考えたり
綺麗な小説をたくさん書いて
新しい方向性を模索したりする予定でっす。
72ヶ月前
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