【悲報】
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【悲報】

2018-09-04 21:43
    昨日はとってもツイてた。

    単休明けの7連勤に吐き気がし、資本主義を罵っていた矢先のことだった。
    巨大台風の接近に伴い、急遽4日が臨時休業となったのだ。
    カレンダー勤務とは異なり、3連休という概念がないうえ、盆正月といった祝日はその前後の2連休を1日切除し無理やり溶接しただけの、フランケンシュタインみたいにいびつなのが弊社の稼働カレンダーだ。

    無論、予定外の休みによって翌々日にしわ寄せが来るのは当然だ。しかし、予定表に忽然と現れた休業の2文字は、私を心躍らせた。

    よし、明日は最近手をつけていなかった、動画の編集をしよう。そして気になっていたデザートレシピに挑戦してみよう。

    それまで死んだ魚のようだった私の目に、希望の灯がともった。


    そして今日、9月4日。
    なるほど、雨や風が時折強く吹き、台風が近づいているのが分かる。しかし、最接近は昼過ぎというから、午前のうちは外出できそうだ。私はさっさと買い物を済ませ、嵐に備えた。

    午後、風が強さを増す。確かにここ最近では1番強い勢力をもった台風だ。
    私は自室にこもり、編集作業にいそしんだ。
    2時間ばかりかけて、ようやく編集が終わる。あとはエンコードすれば完了だ。プロファイルからいつもの変換コードを呼び出し、【保存】をクリックした。1時間もすれば出力が終わるだろう。

    その間、私はデザートづくりをすることにした。以前から気になっていたネット上のレシピで、かき氷シロップを使った、色鮮やかな寒天ゼリーが作れるのだ。
    私はレシピに忠実に分量を計り、作業を始めた。
    過程は意外にも単純で、普段手の込んだものを作れない不器用な私でもさくさく作業が進んだ。
    あとは、寒天を冷やせば完成だ。
    私は型に溶かしいれた寒天を冷蔵庫に入れ、昼食の準備をした。

    PCで動画を見ながら昼飯を食い、適当に時間をつぶす。寒天づくりとエンコードが終わったら、執筆作業を始めようと考えながら、皿うどんを完食する。なかなかうまかった。
    満足感とともに、ベッドに横になる。少し休憩するつもりだったのだが、単休で疲れが残っていたのだろう、気が付いたら眠りに落ちていた。


    目にコンタクトが張り付く感覚とともに起きた。すっかり居眠りしてしまったようだ。
    時計を見て唖然とする。
    午後8時を回っているではないか。
    襲ってくる虚無感。しかし、過ぎたことは仕方ない。私は気を取り直し、やりかけていた仕事を再開するため、冷蔵庫にしまった寒天を取り出した。

    色合いはとてもきれいだ。型から外してサイダーに浮かべれば、さぞフォトジェニックなデザートになるだろう。
    私がうきうきしながら箸を使って型から外そうとした矢先。箸の先端が寒天にめり込んだ。
    「えっ」
    思わず声を上げる。それは私がイメージしていた弾力のある塊ではなく、ぶよぶよした半固形の物体だった。
    これでは型から外せない。たちまち形が崩れてしまうだろう。私はどうしようと思案した結果、冷凍庫に放り込むことにした。

    寝起きに甘味でも楽しもうと思ったのに。私は落胆した。が、冷凍させればむりやりにでも固められるだろう。私はスライムを固形物にする時間で、動画のチェックと投稿を済ませようと思った。
    PCの前に座り、編集ソフトのウィンドウを呼び出す。

    が、何度クリックしても、ウィンドウが立ち上がらない。

    タスクバーのアイコン上にポインタをかざすと、一瞬ウィンドウが浮かび上がるのだが、クリックしてもどこかに吹っ飛んでしまう。焦ってタスクマネージャーを起動させると、

    AviUtil 応答なし

    絶句した。いつも、時間こそかかるが問題なく行えていたエンコードが途中で停止している。
    ほかのプログラムを終了させ、メモリに余裕を持たせようと試みる。しかし、何をしてもエンコードが再開する様子はない。
    私は苦渋の決断を下し、Aviを強制終了させた。

    なに、編集ファイルは保存済み。もう一度Aviを起動し、エンコードしなおせばいいだけだ。そう自分を奮い立たせ、再びエンコードを開始した。


    そして現在。
    何度トライ&エラーを繰り返しても、一向にエンコードは終わらなかった。
    音声までは出力できているようなのだが、それが終わると途端に作動が停止する。
    時刻は9時を回った。

    ああ、私は、この僥倖ともいえる休日に、何もなしえず、ただただ惰眠をむさぼることしかできないのか。


    私はこれから、編集ファイルを改め、最後の望みを託し、エンコードに臨もうと思う。
    もしかすると、もう何をやっても無理なのかもしれない。
    しかし、もうこれしか方法が思い浮かばない。

    これを読んでいる人間がいるのなら、覚えていてほしい。
    もし、私がそれに成功すれば、今週の土曜、9月8日に、新しい動画が投稿されるということを…。

    私は自分のツキが残っているのか、それとも尽きてしまったのかを確かめるべく、エンターキーを叩いた。

    【了】


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