第11話、東方決闘鉄_地獄編『火蓋』
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第11話、東方決闘鉄_地獄編『火蓋』

2020-11-28 17:55


    『真・討伐戦ルール』

    ・第6回決闘大会人里杯の代表6人と彼岸六道6人の団体戦。

    ・1対1・ライフ20点の通常レギュレーションでデュエル。アンティの有無は任意。

    ・4本先取したチームが勝利。

    ・3勝3敗、若しくは同勝数で引き分けになった場合、彼岸六道側が勝利となる。

    ・ゲームは彼岸六道側が全て後手番。

    ・決闘は複数の場所で同時に開始。

    ・各プレイヤーはデュエルが終わるまで他のチームメイトの勝敗を知ることは出来ない。

    ・真・討伐戦の結果は4回戦以降の決闘大会の成績には反映されない。

    ・彼岸六道側が勝利した場合、その時点で異変が成功したとみなされ、
     彼岸六道のメンバーに対して治外法権の原則が適用される。


     ――


     真・討伐戦、前々日。
     この日はじっとりと重苦しい、淀んだ曇り空である。

     神霊廟の大広間にて、第6回決闘大会人里杯に参加した人妖達が一同に介していた。
     突貫工事で整備が進められた真・討伐戦、その肝心要となる準備が行われている。
     即ち、『彼岸六道と戦う決闘者の選出』だった。

     拡声器を持った烏天狗が声を上げ、集まった一同に対して結果発表を行っている。

    「はーい、皆様お疲れさまでしたー! それでは結果発表に移りたいと思いまーす!」

     代表選手選抜トーナメント。
     スイスドロー形式で7回決闘を行い、順位付けを行う。
     原則として、この順位が高い参加者が彼岸六道に対する挑戦権を得られる。

     異変を起こした側に対して『解決する権利を奪い合う』という奇妙な構図だったが、
     幻想郷の存亡が掛かっている以上、
     いい加減な方法で参加者を選抜するわけにはいかなかったのだ。

    「なお、対『人間道』だけは彼岸六道からの強い要望により、
     ブロント氏がトーナメントの結果に関係なく選抜されております。ご了承くださーい!」

     参加者No.90、ブロント
     選抜トーナメントランキング:圏外
     vs 人間道

     白い甲冑を着た人間の決闘者、ブロントは深々とため息を付いた。
     いくら結果に反映されていないとは言え、この順位付けは不安になる。

     そんなブロントを誂うように、酒瓶を煽った小柄な少女がブロントを小突いた。

    「あっひゃっひゃっひゃっ! あんだけ大口叩いといて、お前圏外かよ!」

     参加者No.102、伊吹 萃香
     選抜トーナメントランキング:32位

    「うるさいよ馬鹿! というかお前も威張れるような順位じゃないだろ!」

    「わかってねーなあ。確かに数字としては大したことないがよー、
     この結果は私にとって大事な大事な記録なんだぜー!」

     萃香と啀み合うブロントの脹脛を、鋭いローキックが捉えた。

    「痛っ!? 何しやがるんですかねぇ・・・!」

    「ただの八つ当たりだよ」

     帽子を被った少女が、さも未練たらたらと言うようにため息を付いた。

     参加者No.51、霧雨 魔理沙
     選抜トーナメントランキング:8位

    「ずっるいよなー、お前は。
     敵方にお友達がいるって理由だけで、選手に選ばれちまうんだもんな。
     実力は私の方がずっと上なのによー」

    「は? そんな理由で粘着しないでいただけますか?
     ・・・と、言いたいところだが、今回ばかりは『その通りですね』と同意しておく。
     実際、相手が暗黒じゃなかったら、まず間違いなく俺は選ばれなかっただろうしな」

    「おっと? あんたにしちゃ随分潔いな」

    「ブロントさんが何でもかんでも噛み付くと思ったら大間違いだよ」

     そんなブロントの肩に、目線の入った忍び装束の男が腕を回した。

    「へっへっへっへっ! ザマァねぇなあ、ブロントさんよぉ!」

    「忍者、おもえ・・・」

    「俺ぁ、オメーと違ってきっちり実力で挑戦権をもぎ取ってやったぜぇ!」

     参加者No.33、汚い忍者
     選抜トーナメントランキング:5位
     vs 餓鬼道

    「うぐぐ・・・」

    「まあ、雑魚で数合わせのお前は気楽に挑んでくれや。惨然獄は俺が必ず討ち取ってやる。
     勝ち越せばそれで勝利の団体戦なんだから、そーカリカリすることねぇよ」

     忍者はポツリと呟くように、こう付け加えた。

    「あいつなら、そんなに酷ぇアンティは要求しないだろうしな」

    「そおだな・・・」

     ブロントは忍者の腕を取り払うと、訝しげに目を向けた。

    「ていうか、おもえ、随分楽しそうだな」

    「たりめーだろ! 空前絶後の超・巨大討伐クエストだぜ!
     こんな派手な祭り、楽しまなきゃ大損だろ!」

     そんなやり取りを横目で流し見ると、魔理沙は深々とため息を付いた。

    「あーあ、やってらんねぇぜ。
     いくらエキシビジョンとは言え、挑戦することすらできねぇなんてなぁ」

     手持ち無沙汰になった魔理沙は烏天狗の結果発表に耳を傾ける。

    「3位! 参加者No.112、フランドール・スカーレットさん! 対・修羅道!」

     フランが3位か、まあ順当だ。
     ていうかこれ、討伐戦で参加した妖怪達にも参加権があるんだよなぁ。
     などと思いながら結果発表を聞き流していると、
     聞き間違いか、と思うような言葉が続いて魔理沙は驚愕した。

    「2位! 参加者No.11、博麗 霊夢さん! 対・地獄道!」

     霊夢が2位・・・、嘘だろ!?

    「そして1位! あなたには今回の異変の主犯格にして、最重要ターゲット。
    『天上道』ヘカーティア・マレブランケを討伐してもらいますよ!」

     拡声器から流れる烏天狗の声にも熱が籠もっていた。

    「参加者No.52、冴月 麟さん!」


     ――


     真・討伐戦、当日。
     澄み渡る空の下、幻想郷唯一の巨大な会場にて。

     魔理沙は観客席から、がぶり寄りで見つめていた。

     来た、来た、来た・・・。
     見るだけで心が凍えそうな、恐ろしい妖気を纏って。
     6つの冥府の名を冠した6人の大妖怪達が会場へ入ってくる。

    「あいつらが、彼岸六道・・・!」

     恐ろしいテロリスト集団、彼岸六道。
     だがその大妖怪達を見つめる自分に、
     嫌悪や恐怖以外の感情が混じっていることに魔理沙は気付いていた。
     霊夢やフランドールに対して抱く気持ちと同じ、強大な力に対する『憧れ』。

     この真・討伐戦を見に来ている決闘者達は、
     大なり小なりそんな感情を抱いていることに、魔理沙は気付いていた。
     善であれ、悪であれ。強大な力というものは、それそのものに抗い難い魅力がある。

     決闘大会参加者代表6人、そして彼岸六道6人。
     計12名の決闘者達が、各々の思惑を渦巻かせて互いに向き合った。

    「それではこれより第6回決闘大会人里杯エキシビジョンマッチ、『真・討伐戦』を行う」

     審判代表を任命された神格:摩多羅 隠岐奈が銘々の対戦カードを読み上げた。

    「各決闘者はこのゲートを通って、別々の会場に別れて戦ってもらうぞ。
     真・討伐戦、開始!!」


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